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王子動物園飼育員の深い愛情と再整備が叶える動物ファーストの空間

2045年のリニューアル完了に向けて、営業を続けながら順次再整備を進めている王子動物園。

変化の真っ只中にある動物園で働く2人の飼育員に、これまでの王子動物園の裏話やこれからについてお話を伺いました!

お話を聞いた飼育員
石川さん  
ゾウ担当。飼育員歴33年。趣味は車と登山。
小川さん
カバ担当。飼育員歴33年。趣味はアームレスリングとオートバイ。

インタビューを受ける石川さんと小川さん
(左)石川さん(右)小川さん

―今日はよろしくお願いします!
まずは、おふたりが担当されている「アジアゾウ」と「カバ」に初めて出会った時のことを教えてください。

 
―石川さん
ゾウのマックと出会ったのはスイスからやってきた3歳の時。180cmくらいの体で、毛がもじゃもじゃしていて印象的でしたね。少しでも顔を覚えてもらおうと思って、昼休みに通路に座って話しかけていました。

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来園当時のマック

ズゼは、6歳でラトビアからやってきた時に出会いました。「人を壁に押しつけて挟むかもしれない」と聞いていましたが、実際はすごくおとなしかったです。嫌なことがあると鼻で押してしまうこともありましたが、私にはしてこなかったのでちょっと気が合ったのかもしれませんね。

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来園当時のズゼ

―小川さん
カバは今、ナミコと出目男の2頭がいます。出目男を担当したのは私が21歳のときで、もう31年も前になります。当時は先輩の作業を見て覚えるスタイルで、初めて一人で餌をあげようとしたときに、出目男に顔で跳ね飛ばされてしまいました。出目男にしてみれば軽く突き飛ばしただけだったんでしょうけど(笑)

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餌を食べる出目男

―石川さん
最初の頃って動物との距離感が掴みづらいですよね。
 
―小川さん
そうそう。でもその経験があるからこそ、特に大型動物には慎重に接するようになって、これまでケガもなく続けられているんだと思います。
 
―長く担当されていると、動物の性格や「その子らしさ」が見えてきますよね。それぞれ、どんなところに魅力を感じていますか?
 
―石川さん
マックは「ほめたら伸びるタイプ」なので、号令に従ってくれたときはとにかくほめています。ただ、近づきすぎると鼻が伸びてくるので、距離感には気をつけています。
 
ズゼはちょっとおっとりしていて、しっかりと号令をかけないと動かないときもあります。
 
―小川さん
出目男も、見た目に反してすごく繊細でかわいいんですよ。知らない人が来たら水に潜って顔を出さなかったり、歯が痛いと好物の青草も食べなかったり。
 
口のなかを触ったり、体をブラシしてあげたりすると気持ち良さそうに目を閉じるので、何をしてほしいのかがわかりやすいんです。

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ブラシで気持ちよさそうな出目男

―石川さん
繊細さは、ゾウにもあります。
ズゼとマックは相性がよくて、ホルモンのバランスを見ながら状況次第では同居させることもあるんですが、マックがしつこくズゼに構ってほしそうにしているんですよ。
 
ズゼはちょっとそっけないんですけど、マックが見えないと不安になって鳴いてしまうこともあって…。お互いなんだかんだ好きなんですかね。

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(左)メスのズゼ(右)オスのマック

―小川さん
きっとそうでしょうね。見た目の迫力とは裏腹に、心の動きが繊細な点は魅力ですよね。 

―石川さん
ズゼのかわいいエピソードもあります。ズゼはラトビアから来園したとき、同行していた現地の飼育員がいなくなると落ち着かずに室内をぐるぐる歩き回って止まらなくなって……。餌も食べず、自分の尿を浴び始めたときは、どうしていいか分からず焦りました。

けれど、来園したときに持ってきたお気に入りの丸太を与えたら落ち着いてくれたんです。今でも夕方に自分の糞を持って寝室に戻ってくるのは、その名残かもしれません。

―小川さん
糞を丸太に見立てるなんて、おもしろいですね。やっぱり習慣になっていることって、長い時間が経っても忘れないんですね。(現在は安全性の観点から丸太をあげるのは控えています)

―飼育員目線で「ここを見てほしい!」「知ってほしい!」というポイントがあれば教えてください。
 
―石川さん
毎日14時30分頃から、ズゼのトレーニングを行っています。伏せさせて背中を見たり、鼻を上げて口のなかをチェックしたり、足の裏を見たりして細かく健康チェックをしています。決して芸をしているわけではなく、健康管理のための大切な作業。そんな視点で見てもらえるともっと楽しめると思います!

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腹部や口内の状態を確認

実際、年齢や個体に合わせたケアってとっても大切。ズゼもマックも毎日足の手入れをしています。マックの寝室にはウッドチップ、屋外で自由に動ける放飼場には柔らかい川砂を入れて、足に負担がかからない工夫もしています。

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足のケアの様子

―小川さん
王子動物園は、開園当初からカバを飼育してます。今いる出目男やナミコがのんびり過ごしている姿ももちろん見ていただきたいですが、緩やかな傾斜のプールや、食べている餌、安心して子育てができて身を隠せる構造の施設、茂った植栽にもぜひ注目してみてください。

健康管理でいえば、出目男は今年で44歳の高齢。人間に換算すると80代なので、歯の傷みや足腰のケアが欠かせません。
 
毎日よく観察して、獣医さんと連携してすぐに治療や投薬ができるようにしています。ちなみに出目男もズゼと一緒で、飼育員が動物と同じ空間に入る“直接飼育”をしているんですよ。
 
口腔内も実際に触れながらケアしています。飼料も歯に負担がかからないように柔らかい部分を選んで細かく切って。冬は水温にも気をつけて、必要に応じて加温してあげています。

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出目男の口腔内をケア

―最後にこれから変化を続ける動物園についてどのように考えていますか?
 
―石川さん
ズゼとマックはもちろんのこと、担当する動物には長年愛情を注ぎ、健康管理もしっかりと行いながら飼育してきました。
 
これから再整備を迎えますが、動物たちを大切に思う今までと変わらない姿勢で、動物がいきいきと過ごせるような獣舎のリニューアルを考えていきたいです。
 
―小川さん
やっぱり、それが大事ですよね。現在のカバの獣舎も、カバの身体を考えて2003年に新たに造りました。その結果、出目男も含めたカバは今日まで元気に長生きしています。
 
今までの経験、思いを未来に繋げられるような動物ファーストな獣舎を作り上げていきたいです。

笑顔で並ぶ石川さんと小川さん

これからの王子動物園

王子動物園は、これから再整備という大きな変化を迎えます。

獣舎や展示施設は、動物本来のいきいきとした姿を引き出し、動物ファーストの環境へと生まれ変わっていきます。さらに来園者にとっても動物たちとの出会いをより楽しめるよう、展示方法にも新しい工夫が加わります。

そんななかでも変わらないのは、動物たちを心から大切に想い、毎日一生懸命に育てている飼育員さんたちの姿です。

よりよい環境を目指して、動物のために、そして来園者のために日々努力を重ねる職員がいる。そのことをぜひ知っていただけたらうれしいです。

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※サバンナゾーン・爬虫類館の完成イメージパース
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※パノラマビューポイントの完成イメージパース

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王子動物園は開園から74年。
獣舎や設備の老朽化、物価高によるエサ代の高騰などの課題があるなかで、動物たちが健やかに暮らしていけるように、皆様のご支援をお願いします。


〈この記事を書いた人〉
しょうり/王子動物園
王子動物園職員。趣味はキャンプ。複数の部署を経験したあと、現在は王子動物園で事務業務を担当。配属当初は動物園業務に不慣れな点もあったが、各種イベントや広報活動に携わるなかで、動物園の魅力とやりがいを実感するように。学生時代に学んだ写真撮影の経験を活かし、園内の動物たちの姿はもちろんイベントのようすなど、日々の園の魅力を伝える写真を撮り続けているらしい。

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王子動物園飼育員の深い愛情と再整備が叶える動物ファーストの空間|神戸市公式note
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