外堀を発破で埋め立てる愚かしくも最善の方法(配点:自爆)
多分二四時間経過したので本日の更新です
「それじゃあ」
「は、はい! 今日も頑張りましょう!」
クラスが違うが故に、学校に到着してしまえば別れるのは道理である。
だがそれでも、毎朝を共に歩いていけることがとても嬉しい。
最近は吃らないよう喋ることができるようにもなったし、今年は波が来ている! ポロロッカ!!
そんな風に今日も今日とて全身から幸せオーラを漂わせていた玲であったが、ふとある事を思い出す。
ユニークシナリオ「兎の国からの招待」を自発した事? それはもう報告した。
NPC「慈愛の聖女イリステラ」から打診されたクエストについて? それに関しては登校中に向こうから話題として持ち出してきた。
違う、それではない。
それは玲の……サイガ-0の中ではつい最近まである種の既に終わったイベントとして認識されていた。
だが深淵の盟主からの言及、警鐘が予見する未来……そして、ラビッツの賢兎からの言葉。それらをまとめればゲームというものに楽郎程の造詣の深さを持たない玲とて理解できる。
クターニッドにそれを告げられた時は「青」からの逃走でそれどころではなく、その後は身内のゴタゴタで完全に忘れていた。
だが言わねばならない、相談せねばならない。何故ならそれは恐らく……
ワールドクエスト第四段階に関連する事柄であろう事はほぼ確実であるが故に。
「どうしたの玲? 上の空で」
「あぁ、いえ……ちょっと不手際を思い出したというか」
「ふーん……課題すら一度も忘れた事がない玲が珍しいね」
友人の心配に、大したことではないと返答しつつさていつ伝えたものか、と玲は考える。
確実に伝えるとすればやはりシャングリラ・フロンティアにログインしている最中だろう。とはいえ陽務 楽郎という人物はシャンフロ一本でゲームをしているわけではなく、何も毎日ログインしているわけでもない。
であればSNSを使うのが次善か、そんな事を考えながら昼休みの廊下を歩いていると、ふと前方から友人と談笑する件の人物が歩いてきた。
(あ、丁度いいですね)
如何なる人とて、己の全ての行動に思慮を巡らせる事は困難である。
突発的な欠伸やくしゃみを完全に制御する事は困難であり、同様に脳内で優先度が低いと判断された挙動へは得てして注意が散漫となる。
「あ、陽務……君」
「んぁ?」
だからこそ特に緊張する事もなく、最優先事項「楽郎にシャンフロについて重要な話がある事を伝える」の達成に意識を向けた玲は、携帯端末を使って伝える手間が省けてよかった、と極々自然な動作で楽郎を呼び止め……
「この後、(シャンフロについての)大切なお話があるのですが、(ログインした後に)お時間を頂いても……いいですか?」
共通の繋がりを持つ当人以外には絶対に他の意味で伝わるであろう爆弾を投下した。
「………」
「………」
「………」
静寂。
全員の呼吸が一斉に停止してしまったかのような、完全な静寂。
玲が投下した爆弾を聞き取れなかった者達の喧騒は遠く、当人である玲は何故いきなり空気が凍ったのかとしばし考え…………
「……? あー……もしかしてシャンフ」
「ばっっっっ!!?!?!!?」
正しく意図を察した楽郎を余所に、自分が「いきなり廊下ですれ違った相手に告白予告じみた台詞を放った」という事実に玲の感情のメーターが三回転半程振り切った。
バッ!!! と明らかに素人の動きではない挙動で楽郎を制するように掌を向け、もう一方の手で発火せんばかりに熱を持った顔を覆う。
「ち、違っ……一般的なあれそれではなく!」
「え? あ、うんあっちの話だよな?」
「そう! 一般的なあれそれではなく!」
「アッハイ」
「い……いぃいぃ………!」
頭に昇った血と熱が臨界に達する。
脳内に突如として竜巻が発生したかのように思考が攪拌される。
自分に降り注ぐ視線、視線、視線。隣で唖然として口を開く友人すらも頭の中から消失して……
「一般的なあれそれではなくぅぅぅぅぅ!!」
逃げた。
「……いや、結局シャンフロの話だったのか?」
後に残ったのは、起爆した爆弾によって引き起こされるであろう未来に気づいていない最重要人物と。
「ヘイ陽務、今日の昼飯は奢ってやるよ」
「え、マジ?」
「おう、カツ丼固定だがな」
「なんで?」
「そりゃお前……取り調べと言えばカツ丼、伝統だろ?」
「取り調べ? 何の…………」
暫し思考の後、楽郎は全方向に味方がいない事に気付いた。
「……ははは」
「はははは」
「「HAHAHAHAHA」」
ポン、と肩に手を載せる友人の手を振り払って笑い合い……
「フレに呼ばれたんで部屋抜けますね^ ^」
「ひっ捕らえろっ!!」
逃走劇が始まる。
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