13年前は入国までに5時間も…日本サッカー協会の事業報告書で振り返る平壌での北朝鮮戦

 2011年、男子のサッカーW杯ブラジル大会アジア3次予選の日本―北朝鮮戦が行われた平壌の金日成競技場(共同)
 2011年、男子のサッカーW杯ブラジル大会アジア3次予選の日本―北朝鮮戦が行われた平壌の金日成競技場(共同)

サッカー日本代表は21日夜、東京・国立競技場で、2026年ワールドカップ(W杯)アジア2次予選B組で北朝鮮代表との一戦に臨む。同日の対戦後、26日には平壌の金日成競技場でも北朝鮮戦が行われるが、平壌で試合に臨むのは2011年11月のW杯アジア3次予選以来、約13年ぶりとなる。日本サッカー協会(JFA)が作成した2011年度の事業報告書では、入国までに5時間を要したことなど、さまざまな難問に直面していた当時の様子が詳細に記されている。

空港から公式練習に「直行」

2月に平壌で開催予定だったサッカー女子のパリ五輪アジア最終予選第1戦を巡っては、運営面の不安などからサウジアラビア・ジッダへの開催に直前で変更された。男子のW杯2次予選も平壌での開催を危ぶむ声が上がっていたが、最終的には平壌での開催が決まった。

ただ、過去に平壌で行われた試合では、日本代表が多くのトラブルに見舞われている。

JFAがまとめた2011年度の事業報告書によると、14年W杯アジア3次予選として行われた平壌での北朝鮮戦は、11年11月15日に金日成競技場で開かれた。報告書では「外務省や通産省(現・経済産業省)など、関係省庁に多大なご協力をいただきながら準備を進めたが、準備段階から入国まで難問が多く、非常に難しいチーム運営となった」と言及している。さらに「査証取得のために、入国者全員(50名)が指定された日時に在北京DPRK(北朝鮮)大使館へ出向き、取得に1時間弱を要した」と当時の状況を振り返っている。

また、「平壌空港では、パスポートチェックに2時間、荷物検査に2時間、その後、すべての荷物を受け取るまで1時間かかり、チームが完全に入国するまでに約5時間を要した」といい、「選手は空港から直接スタジアムへ向かい公式練習を行うことになった」と敵地でさまざまな〝洗礼〟を受けた状況が記されている。

W杯アジア2次予選の北朝鮮戦を控え、練習でボール回しをする中村敬斗(中央)=国立競技場(尾崎修二撮影)
W杯アジア2次予選の北朝鮮戦を控え、練習でボール回しをする中村敬斗(中央)=国立競技場(尾崎修二撮影)

慣れない人工芝に苦戦

午後4時から行われた試合では、0-1で北朝鮮に敗戦。報告書では「隣の人の声が聞こえないほどの統率された応援とブーイングに圧倒され、選手の当たりも激しく、完全に相手ペースの試合となった」と振り返っている。

さらに、「慣れない人工芝にも苦戦し、ペースをつかめないまま50分に失点し敗れた」として、人工芝での一戦に苦心したことも触れていた。

平壌で北朝鮮と13年ぶりに対戦することに関し、外務省は「できる限りのサポートをしていきたい」として日本代表を支援する方針。それでも、13年ぶりとなる平壌での一戦では、多くの難問に直面することが予想される。

外務報道官「できる限りサポート」

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