複数の職員が日常的に虐待 長崎市内の障害者施設、新たに数十件発覚か…元職員は10月に有罪判決

長崎新聞 2025/12/16 [11:30] 公開

意思疎通が困難な障害者3人の顔や頭を殴るなどした罪で元職員の男性(50)が10月に有罪判決を受けた長崎市内の障害者の生活介護施設で、複数の職員が複数の利用者に対し、たたいたり差別的な言動をしたりするなどの身体的・心理的虐待を日常的に加えていたことが、市の特別監査で明らかになった。市は施設を運営する社会福祉法人に対し障害者総合支援法に基づき改善を勧告した。勧告は10月10日付。

 また法人の調査で職員による新たな虐待や疑われる行為が発覚し、被害に遭った複数の利用者側に書面などで伝達したことも判明。本紙が把握しているだけでも数十件に上り、家族からは全容解明と詳しい説明を求める声も上がっているという。

 元職員が有罪となった虐待事件は3月7日に発生。市は施設側からの情報提供を受け、その日を含む前後約1カ月の状況を調査した。立ち入り検査や職員への聞き取りを実施し、防犯カメラの映像も確認した。

 勧告は▽事業者の虐待防止に対する認識が極めて不足している▽職員間で注意しづらい雰囲気がある▽利用者処遇などへの管理者の関わりが希薄-といった問題点を指摘した。

 その上で複数の職員による虐待行為は「障害者の尊厳を踏みにじる」と厳しく批判。2015年度にも法人が運営する施設が虐待事案で特別監査を受けており、改善報告が提出されていたにもかかわらず再発したことは「誠に遺憾」と指摘した。

 勧告は、虐待発見時の通報義務の周知徹底や職員研修計画の提出などを求めたほか、事業所に設置が義務付けられている虐待防止委員会が形骸化しているとして、会議録の提出や防犯カメラ映像の定期確認などを要求。約1カ月後、法人は研修計画や再発防止策などを盛り込んだ改善報告書を提出した。

 また法人の代理人弁護士は取材に対し、法人として虐待調査を実施し、その内容を家族に書面などで説明したと回答。しかし、有罪の元職員以外の職員も加害者に含まれるのかどうかなどの調査結果は「プライバシー保護」を理由に明らかにしなかった。

 ただ関係者への取材で、少なくとも事件発生日以前の1カ月以内に複数の利用者に対し数十件の虐待や疑われる行為が新たに発覚したことが判明。たたく、蹴る、追いかけるといった行為が含まれているという。

 元職員の公判では、利用者への暴行は約2年半前から始まったとされ、判決は「常習性がうかがわれる」と指摘した。

 県によると、障害福祉施設の職員らによる虐待に関し、通報・相談件数は県内で増加傾向にあり、23年度は過去最多の55件に上った。このうち県などが虐待と判断したのは11件だった。