防衛省統合幕僚監部は6日、中国海軍の空母「遼寧」が同日、沖縄本島と宮古島の間を通過して訓練を実施したと発表した。中国の空母が3隻体制となって以降、日本近海での活動を確認したのは初めて。脅威が高まる日本近海で日本はどう備えていけばいいのか。
恐れていたことが起こった。防衛省は7日、中国軍機が自衛隊機にレーダーを照射する事案が6日に発生したと発表した。沖縄本島南東の公海上空で、中国海軍の空母「遼寧」から発艦したJ15戦闘機が航空自衛隊のF15戦闘機に断続的に照射した。自衛隊機は対領空侵犯の措置を取っていた矢先だ。
今回、小泉防衛相は記者会見を7日午前2時という異例の時間に行った。「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であり、このような事案が発生したことは極めて遺憾だ」として、中国側に強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れた。
抗議と申し入れは、外務省から日本にある中国大使館の大使に行われた。また、防衛省も中国側に抗議を行ったという。
中国海軍の報道官は、日本の航空機が、宮古海峡の東で事前に発表していた空母艦載機の飛行訓練を行っていた中国海軍に何度も接近し、妨害したと述べ、交流サイト(SNS)でも同様な主張をしている。
この中国機によるレーダー照射は、火器使用の引き金に指をかける、いわゆるロックオンである。その証拠となるデータは自衛隊が保有しており、それを確認分析して即座に防衛相記者会見となった。
空母艦載機によるロックオンは、これまでの経済的威圧とはレベルを異にし、一つ間違えば自衛隊員の命に関わる危険な事案だ。
抗議と申し入れがいずれも中国政府向けなのはどうなのか。不測の事態に備えて、日中両政府が2023年3月に開設した防衛当局間の専用回線「ホットライン」が今回も機能していなかったようだ。
中国は、そもそも政府よりも共産党が優先するので、党が直接指導する人民解放軍と、政府の一機関にすぎない外務省との立場の差は歴然としている。直接人民解放軍に連絡しないとダメだろう。一刻も早く、自衛隊と中国人民解放軍の偶発的衝突を避けるため、防衛力を高める。そして、まずはホットラインを機能させることが必要だ。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)