国際サッカー連盟(FIFA)は5日、平和や団結に向けて行動した個人の功績を表彰するため今年創設した「FIFA平和賞」をトランプ米大統領に授与した。スポーツの国際団体がこうした賞を設けるのは珍しく、米メディアによるとFIFAのインファンティノ会長がほぼ独断で決めた。狙いはどこにあるのか。
筆者はスポーツファンなので、5日に行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)の組み合わせ抽選会を楽しみにし、テレビ中継を見ていた。なかなか抽選が始まらなかったが、それに先立ち、FIFAがトランプ氏にFIFA平和賞を授与した。
FIFAのインファンティノ会長がトランプ氏と個人的に関係が良好であり、少し前から平和賞を作り、トランプ氏が受賞するといううわさがあった。
FIFAは11月、正式に今年からFIFA平和賞を導入すると発表した。これは「平和のために比類のない、並外れた行動を取り、それによって世界中の人々を団結させた」とFIFAが評価する人物に毎年贈られる、新たな賞である。
インファンティノ会長は2018年のW杯開催国選出以来、ホワイトハウスや南部フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅を頻繁に訪問しているほか、トランプ氏と一緒にゴルフにも行っていた。なおFIFAはニューヨークのトランプタワーに事務所を開設した。
一方、今年1月にトランプ氏は再選された際にミーティングで、インファンティノ会長の名前を5回も出して感謝の意を表していた。さらに、インファンティノ会長を中東でガイド役として同行させている。
なお、公式にはFIFAはW杯共催国の首脳と良好な関係を維持することは会長の役割の一部だと説明されている。「カナダ、メキシコ、米国が2026年W杯開催権を獲得して以来、FIFA会長はトランプ氏、そして同じく共催国であるカナダとメキシコの首脳と緊密な関係を築いてきた」としている。
良く解釈すれば、問題を起こしがちのトランプ氏を懐柔している。これは、表向きのFIFAの立場であるが、インファンティノ会長の個人的な立場から、FIFA平和賞が作られたのは周知の事実だ。
筆者はそれでもFIFA平和賞くらいでトランプ氏が一生懸命に平和活動してくれるなら世界にとっていいことだと思う。ことわざで「称賛は人にベストを尽くさせる」があるが、トランプ氏はそれを地で行ってほしい。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)