高市早苗首相は、韓国の李在明(イジェミョン)大統領と来年1月中旬に地元の奈良で会談する方向で調整に入った。首脳同士の相互往来「シャトル外交」の一環で、地元に招待することで李氏と親密関係を築く狙いがある。日中関係に課題がある中で、日韓はどのような関係を結ぶべきなのか。

 率直にいえば、日韓間にも問題はあるが、日中問題に比べれば、たいしたことない。韓国も北朝鮮に前のめりになった文在寅(ムンジェイン)政権ほど左派でもない。というか、北朝鮮はロシアに傾斜しており、韓国との関係改善という雰囲気ではない。

 中国、北朝鮮はウクライナ紛争でロシア側である。9月に中国で行われた軍事パレードで、3カ国のトップがそろい踏みしたことから、この専制国家連合は当分、西側民主主義国と関係を強化する公算はあまり大きくないだろう。そこには、民主主義国である韓国も含まれるといえる。

 しかも、韓国は、大陸国家でもある中国、ロシア、北朝鮮と直面する地政学上の半島国家だ。半島国家は大陸と海洋の間にあるため、大陸国家(ランドパワー)と海洋国家(シーパワー)のどちらの影響も受けやすい。

 そのため、外交方針に一貫したものはない。その時々で大陸国家である中国・ロシアに近くなったり、海洋国家である日米に近くなったりする。今の国際情勢では、中国、ロシア、北朝鮮と近い関係になりにくいため、日韓関係を改善・強化する絶好の機会だ。

 経済関係については日韓だけで話し合えばいい。問題は安全保障関係である。

 2018年12月当時、日本は安倍晋三政権、韓国は文政権だった。能登半島沖の日本海において韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」が海上自衛隊のP1哨戒機に対して火器管制レーダーを照射し、この話もうやむやに処理された。

 また、これも文在寅政権下の2019年8月、韓国はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を表明したが、米国からの継続要請を受諾する形で協定失効通告の停止となった。

 これ以降、「協定失効通告の効力停止」という不安定な状態にあり、正常に運用されていない状態が続いていたが、尹錫悦(ユンソンニョル)政権となった2023年3月、岸田文雄首相との間で行った日韓首脳会談でGSOMIAが完全な正常化となった。

 ただ、いまだに日韓間では安全保障でギクシャクしている。原潜について韓国は米国製造の方針である。それに日本も便乗することで、関係を深める手もある。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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