科学出版を取り戻す──「ストックホルム宣言」が示す改革の行方
2025年11月、ロンドン王立協会のオープンアクセス誌『Royal Society Open Science』に「科学出版改革のためのストックホルム宣言」が発表された。
論文数と被引用数が研究者の評価を支配し、偽論文やペーパーミルが氾濫し、AI生成データが査読をすり抜ける──そんな現代科学の歪みを前に、この宣言は「知の公共性」を取り戻す行動を呼びかけている。
商業出版社中心の高コスト構造を超え、研究者コミュニティ自身が出版の主導権を取り戻すこと。
数ではなく質、被引用ではなく誠実さを軸にした研究評価制度への転換。
そして、偽科学を監視し、透明で信頼できる知識流通を支える新たな制度設計――。
科学の「信頼性」を再建するために、ストックホルムから再び宣言が放たれた。
本稿では、その全文をもとに、宣言が描く出版改革の方向性と、研究者・教育者にとっての意味を読み解いてみたい。
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