上野動物園(東京都台東区)の双子のジャイアントパンダ、雄シャオシャオと雌レイレイが当初、返還期限とされていた来年2月20日を待たず、1月下旬に中国へ返還されることになった。同動物園を管轄する都建設局は15日に開いた記者会見で返還のタイミングについて、日中間でレーダー照射などを巡る非難の応酬が続き、関係が悪化していることを受け、中国側に対応の変化があったわけではないと指摘した。
パンダ2頭の返還が1月下旬に返還されることになった理由を、同局は会見で「中国側の検疫施設の受け入れ可能時期を調整した結果」「日程調整の期間としては通常の範囲内で、前倒しされたわけでなない」と説明した。
現在、日中間では高市早苗首相の「台湾有事」「存立危機事態」を巡る国会答弁もあり、中国当局が日本への渡航自粛を求めるなど、1カ月以上、冷え込んでいる。これまでも中国当局は他国へのパンダ貸与を「外交カード」としてきた経緯があるため、今回のパンダの返還交渉にも一定の影響を及ぼしたのではないかとの懸念はぬぐえない。
こうした見方について、都側は会見後、産経新聞の取材に対し「(二国間の摩擦とパンダ返還の時期とが)たまたま重なった。ただ、返還はもともと予定されていたもので、飼育関係者のレベルでは、日中関係悪化を境にした中国側の対応の変化は感じられない」と述べた。
新たなパンダ貸与を中国側に求めるも…
一方、都では中国当局に対し、シャオシャオとレイレイ返還後の「空白」を埋めようと、新たなパンダ貸与希望の思いを伝え続けているという。これについて、中国側からは「『受け止めました』と回答があったのみで、それ以上の回答はない状態が続いている」と語った。
さようなら「シャオシャオ」「レイレイ」上野動物園から中国に1月返還 東京都が正式発表