3次会で上司からセクハラ、初の労災認定 大阪地裁「断るのは困難」
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会社の業務後の3次会で上司からセクハラを受けて休業を余儀なくされたとして、ITエンジニアの女性が労災認定を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は15日、休業補償給付を不支給とした国の処分を取り消した。中島崇裁判長は「女性が3次会への誘いを拒絶することは事実上困難な状況だった」と述べた。女性の代理人弁護士によると、2、3次会でのセクハラで労災認定されたのは初という。 【図解】ため息や舌打ち、飲み会強制…職場のグレーゾーンハラスメントの実態 判決によると、30代の女性は有期雇用6カ月の契約でIT関連企業の西日本支社に勤務していた。2019年6月に東京出張を命じられ、業務後に開かれた会社主催の懇親会に出席。その後、西日本支社長らと2、3次会に参加した。3次会はガールズバーで開催され、支社長の指示で女性店員とのキスや身体接触を強要され、19年6月下旬ごろに適応障害を発病した。 労災と認定されるには労働者が事業主の支配下にある状態で疾病が生じたことが必要。労働基準監督署は「3次会への参加は個人の意思」として労災を認めず、訴訟ではこの点が主に争われた。 判決は、女性の3次会への参加は「業務そのものではなく、私的な行為」としつつ、出張前に支社長が女性に業務後の日程を空けておくよう指示していたことを挙げて「3次会への出席は出張の行程に組み込まれていた」と指摘した。 さらに、支社長は有期契約社員だった女性の正社員登用に強い影響力を持っていたとし、女性が支社長による3次会への誘いを断るのは困難だったと指摘。3次会は、事業主の支配下にある状態にあったと認めるのが相当だとした。 その上で、支社長の言動は、女性の意に反する性的な言動でセクハラ行為に当たると認め、女性の適応障害の発病は業務に起因すると結論付けた。【大島秀利】
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