フィンランド、ミスや国会議員つり目投稿 くり返されるアジア人差別

オスロ=藤原学思
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 北欧フィンランドの国会議員らが、アジア人に対する人種差別とみなされる「つり目」の写真を投稿し、非難を浴びている。欧米では度々、つり目の写真が炎上してきたが、同様の騒動がくり返されている。

 フィンランドメディアによると、今回の発端は、ミスフィンランドに選ばれた女性を飲食店で写したとされる11月末のSNS写真。指でまぶたを上部に引っ張って「つり目」を表現し、「中国人と一緒に食べる」と説明が添えられていた。ミスフィンランドの主催者は「称号には高いレベルの責任が伴う」として11日に「ミス」の剝奪(はくだつ)を決めた。

 本人は14日、朝日新聞の取材に「頭痛と目の痛みを感じて、こめかみをもんだ」と釈明。友人がその様子を撮影し、説明を加えたという。「誰かを傷つける意図は一切なかった。この件が苦しみや誤解を生んだことを悔いており、私にすべての責任がある」とした。

 一方、「ミス」剝奪の決定が厳しすぎると反発する声が一部で上がった。反移民政策を掲げる右派で、連立与党の「フィンランド人党(フィン党)」に所属する国会議員と欧州議会議員の計3人は、女性を擁護するように、相次いで「つり目」の写真や動画を投稿した。朝日新聞は3議員に取材を申し込んだが、14日夜までに回答はない。

 アドラークロイツ教育相は「無責任で、幼稚で、愚かだ。明らかに人びとを不快にさせるものだ」と批判。フィンランド在住の日本人男性は「差別表現に抗議し、アジア人差別の実態調査と改善を求める」とのオンライン署名を始め、14日夜までに7千筆以上が集まった。

 つり目は歴史的に、アジア人を嘲笑する記号のように使われ、近年では典型的なアジア人差別とみなされる。だが、「つり目で炎上」は何度もくり返され、今年8月にも、スイスの時計メーカー「スウォッチ」が両手で目尻を引き上げる男性の姿を広告に使い、謝罪に追い込まれていた。

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
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    堂本かおる
    (ニューヨーク在住ライター)
    2025年12月15日7時12分 投稿
    【視点】

    この件をアメリカのメディアも報じ始めている。それに対する保守派の意見はフィンランドの極右政党の政治家と同じだ。「身内間のジョークだ」「WOKEだ」「ミスの剥奪はやりすぎだ」 人種差別について、どれほど説明しても理解しない層は国を問わず、一

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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2025年12月15日7時29分 投稿
    【視点】

    とても重要な記事だと思うのですが、最初、理解に苦しみました。 まず、写真をすぐに見てしまったのですが、フィンランドの国会議員のつり目の写真ですよね。そして、ミスフィンランドに選ばれた女性の写真は掲載されていないので、一瞬、ミスの剥奪をされ

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