ENTPには気持ちが存在しない
※このnoteでは自認ENTPが自分のタイプの内面を考察していますが、それを一般化できる証拠は一切ありません。以下、一般論ではなく主観を元にENTPを語る場合、“ENTP”と記載します。
“ENTP”には自分の気持ちが存在しない。
ユング心理学の心理機能のうち、性格タイプにおける第1機能から第4機能までは、われわれの意識上に載ってくる心理機能である。これらを意識的に組み合わせて、人間の心は成り立っている。ENTPであれば、Ne-Ti-Fe-Siの組み合わせ。これらが顕出する反対に、捨てられた機能がある。これらは意識から外れ第5から第8機能として無意識を形成し、自意識のアンチとして我々の心理をコントロールする。ENTPでは、Ni-Te-Fi-Seとされている。
このうち、7番目に来る機能はいたずら者機能というそうだ。全く軽視しており、存在を認めない割に、時々表出して破壊と混乱を巻き起こすそう。僕はこの機能を、「意識の中から完全に欠落しているが、それでも無意識の一部を構成する」機能として理解している。
ENTPにとって、Fiはこの第七機能に当たる。確かに、"ENTP"って平素から自分の気持ちというのを完全に軽視する。というか、存在しないと思っている。良し悪しではなく正しいかどうかで判別するし、説明できない主観に重きを置かない。小さいころ、人の気持ちを考えずにずけずけ話すこのタイプに腹が立つF型は多いと思うけど、それはそもそも気持ちが存在しないからなんです。存在しないものを思いやれないのです。
でも、気持ちというのは人が生きていくためのプログラムであり、その座に何も座らせない状態では人として生きていけない。そのため、デフォルトのこのタイプは第一機能のNeを「気持ち」として使うことになる。これはつまり、「興味の赴くままに動く」ということ。興味がわく=快感、興味がわかない=不快という単純な心によって、“ENTP”は動く。
小学生まではともかく、社会化した環境ではこんな構造のままで生きていけるはずもない。そのため、成長に応じて第三機能のFeが台頭してくる。これにより、「他者の気持ちを自分に投影することで自分の気持ちとする」スキルが身につくようになる。
FiでなくFeを依り代とする気持ちの性質
このENTPの第三機能にFeを持つという性質は、かなり特殊な挙動をもたらす。
比較対象として、Fe優位の他の性格タイプ(ESFJやISFJ等)の構造では、外的感情を使いつつも、無意識下で第五機能として内的感情=気持ちが働いている。そのため、Feにより他者の気持ちを重視しつつも、同時に自分の気持ちも存在し、Fiは明確に価値判断を行っている。
これに対して“ENTP”やESTPは、第三機能にFeを持ちつつ、無視される第七機能にFiを持つため、他者の気持ちを投影した上で自分の気持ちは完全に無視できる、という性質を持っているのだ。
そのため、“ENTP”はペルソナを被る時に良心の呵責が発生しない。
この良い面を挙げれば、Feを習得した”ENTP”に極めて高いコミュニケーションスキルをもたらすという事だ。Fiによる感情に関する縛りが生じないから、Feによるペルソナはどんな形であっても使い放題である。楽しみながら人よりも頻繁にFeを使うため、Neに由来する生来の経験値ボーナスも相まって、第三機能であっても彼らはFe能力を爆発的に伸ばすことができる。
愛されることはできるようになるけれど…
Fe能力を伸ばすことで、このタイプは愛されることはできるようになる。相手の感情をコピーすれば、何を求めているか感じられるし、好かれるキャラはいくらでも演じられるから。でも、恋愛において感情をコピーしたりペルソナで相対する事で、本当に関係は上手くいくのだろうか。
長期的な恋愛関係を維持するには、お互いリラックスして素の関係でいられることが大切という。であれば、ペルソナをかぶり素の状態でない”ENTP”は、果たして長期的な関係を結べるのだろうか。
とはいえ、素を出してと言われても、"ENTP"は困惑する。思い当たる素の心は少年時代のNeの感じなんだけど。でもそれが本当に自分の心の全て?それとも、急所であり存在しないと思っていたFi、それが何らかの結晶となっており、イドの奥の奥から操ってきているのか?
しばしばENTPは「誰とでも恋愛できるが、他者に合わせすぎるため失敗する」「もてるのに恋愛下手」と言われるが、まさしくこのFiの不在に由来しているのだろう。
誰とでも合わせることをがんばり、それこそ心だと思っていた”ENTP”は、かくして結婚という壁の前に立ちすくむのである。
…これがもし、INTPのようにFe機能が伸びることがなければ、感情は意識の俎上に上がらず、Fiの不在を特に気にしなかったかもしれない。淡々と合理的に結婚相手を見つけることができたかも。でも、ペルソナを被るにつれ、他者の感情を通してFiの存在を知り、どこかで自分のFiが覚醒してしまった気がする。
Feはこのタイプにとっての知恵の実だったのかもしれない。
これが問題の根源であり、愛を探す上での最初の鍵ではないかと考えた。
永遠の迷子であるFiを見つけ出さなければいけない。もしくはFiは存在せず、Neが心の本質であることを証明しなければならない。でもFiがどこにあるのかもよくわからない。30年以上放置してきたんだから。
結論
…考えた結果、考えれば良いのだという考えに至った。
ENTPにとっての最大の武器はTiである。問題は考えて解決するのがENTPの強みであり、そうやってしか問題を解決することはできない。
それになんだか面白そうだ。Fiのありかを示す地図はなくとも、今はMBTIという道具がある。この道具を使って、化石を掘り出すように、丁寧に周りの土を払って浮き上がらせていけばよい。
こうして、思考によって自分の気持ちを探る旅を始めたのである。



コメント
13こんにちは。メッセージ拝見しました。
ちょっと忙しくて返答ができなかったので、最後に。返事はせずとも大丈夫です。
考えのとっかかりになれたようで、心も決められたようなので良かったです。
女性視点での心は分かりませんが、ナチュラルに想像すると、僕も同じ決断をするような気がします。成功するか失敗するかはわかりませんが、その結果を自分で受け入れられると確信できるのであれば、それは正しい道筋だと思います。
最初お話を聞いた時に、違う世界線に行った時の自分を見ているように感じました。なのでお互いに後悔しないように選択してほしいなと思い長々とコメントしてしまいました。
縁を大切にするというHaさんの考えは、とても尊いなと思います。そうやって積み上げていかないと真の人間関係は築けないし、成長もできませんからね。それに責任感を感じて自分の心を苛めすぎないでほしい&相性が悪いことには目を曇らせないでほしい、とは思いますが。
二人のやりとりを聞いていると、ENTPINFJカップルっぽいなとは感じていました。その内容も、側から聞いていると、相性良さそうに感じますよ。トラブルの種はいろいろあると思いますが。彼は成長の余地はあると思うので、上手くカウンセリングして飼い慣らしてあげてください。
大丈夫だと思いますが一つだけ改めて伝えると、今回の事で倫理的にマウントを取ったり、行動を拘束するような事はしないであげてください。
ENTPは自分を見透かして真剣に向き合ってくれる人が好きです。道具を使って気軽にコントロールされるように感じると、すぐに冷めてしまいます。そしてそれ以上に、Haさんが求める関係性はもっと本質的で深い相互理解に基づくものだと思いますので。
彼との道を、もしくはそうでない道でも、自分で覚悟して歩んで行かれることを祈っております。
ENTP判定が出たけどステレオタイプのENTPや他の人が紹介するENTPとどうにも一致しないよなぁと思っていた理由がわかりました。
自分でも多重人格じゃないけど自分の「素」ってわかんないな〜と思っていたんですが、自分が相手ごとに付け替えてきた仮面を無意識に自分だと錯覚しているのかもしれないです。
そしておっしゃる通りに仮面をかぶって維持した関係は長続きせず、偽る暇すらなく18年間一緒にいる相手がいる一方で、偽りを覚えた小学校以降は別れたらおしまいになってました。
ちーさん
なるほど、大変でしたね。メッセージずれてたらすみません。
色々うまく行くことを願ってます☺️