法廷で暴かれた統一教会の「韓国政界工作」 与党にも野党にも献金
統一教会の韓国政界工作は野党「国民の力」だけでなく、政権与党「共に民主党」にまで及び、一大スキャンダルに発展している。
政教癒着を主導した容疑で起訴された教団元No.2の尹英鎬(ユン・ヨンホ)前世界本部長に対する結審公判が昨日(10日)ソウル中央地方裁判所で行われ、尹前世界本部長を起訴した特別検察チーム(特検)は尹被告に政治資金法違反容疑で懲役2年、残りの容疑(請託禁止違反と業務上横領及び証拠隠滅容疑)で懲役2年の計4年を求刑した。
「特検」によると、本件は「宗教団体が莫大な資金力を利用し、政治勢力と結託し、選挙や政治に介入し、大韓民国の公権力を不当に利用した重大な犯罪」のようだ。
尹英鎬被告が主導した政教癒着の実態は起訴状にも書かれていたが、「特検」はこの日、約40分にわたって▲尹被告が「国民の力」の重鎮で後に党No.2の院内総務になった権性東(クォン・ソンドン)議員に1億ウォンを提供し、2022年の大統領選挙で尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補陣営に人的、物的支援を提供し、当選を手助けしただけでなく、党の代表選でも人的支援を行った▲当選後に尹大統領夫妻の指南役と目されている易者の全聖培(チョン・ソンベ)被告人を顧問に雇い、金建希(キム・ゴンヒ)夫人に高価なシャネルのバッグやネックレスなどを渡し、教団の懸案を持続的に請託し、実際にその一部が叶っていたことなどを詳細に指摘していた。
請託の内容は教団が国連第5事務局の韓国誘致とカンボジアメコン川平和公園プロジェクトへのODA支援などで「特検」は「教団はこれら事業を円滑に進めるため政界と結託した」と断じていた。
この日、尹被告は「上からの命令、指示を受け、教団の利益のためやったことで個人的な私利私欲のためにやったことではない」と弁論したうえで、▲教団が全責任を自分に押し付け、トカゲのしっぽ切りにしようとしている▲「特検」の呼び出しにも調査にも誠実に対応し、証拠隠滅や逃亡もしていない▲教団の脅迫から家族を守る必要がある理由などを挙げ、保釈を求めていた。
この日の裁判には尹被告が8日の公判で与党の議員にも献金した事実を明かし、次回の公判でその詳細を暴露すると予告していたこともあって報道陣が多數押し寄せていたが、尹被告は最終陳述ではそのことについては一言も言及せず、空振りに終わった。
但し、すでに2022年に教団が主催した「朝鮮半島平和サミット」行事との関連で「(与野党)両当事者に接触していた」ことや今年8月の「特検」の取調べで「文在寅(ムン・ジェイン)政権の時から『共に民主党』の国会議員にも献金していた」と供述していたことから教団による与党への政界工作は既成事実として受け止められ、政界もメディアも「犯人捜し」で揺れている
「疑惑の議員」は与野党合わせて二桁の15人前後とみられているが、政府与党では釜山出身の3選議員だった田載秀(チョン・ジェス)海洋水産部長官が議員在職時に教団から現金4千万ウォンと1千万ウォン相当の時計を受け取った容疑を掛けられている。本人は金品授受を全面否定しているが、水産部長官の辞意を表明していたたところをみると、授受の可能性は否定できない。
李在明(イ・ジェミョン)大統領の再側近、林鍾聲(イム・ジョンソン)前議員も「渦中の一人」である。公職選挙法違反で2023年に懲役4か月の実刑を宣告され失職し、前回の選挙には出馬できなかった林前議員は党の「4050(40代~50代)特別委員会」委員長の座にあるが、教団から3千万ウォンを収賄した容疑を掛けられている。
鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官もまた、教団との疑惑が取り沙汰されている。5回当選議員の鄭長官は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時にも統一部長官を経験し、2007年の大統領選に出馬した重鎮議員である。
鄭長官は教団との関係について「2021年9月30日に加平郡にある教団の総本山を訪れ、当時世界本部長だった尹英鎬氏と一度会ったことがあるが、それ以後は会っていない。韓鶴子総裁とは会ったこともないし、面識もない」と釈明しているが、総本山を訪れながら、韓総裁に挨拶しないのは俄かに信じ難い。
与党の4人目は城南市長時代から李大統領の再側近だったチョン・ジンサン前党代表政務調整室長で盧武鉉政権下の2006年2月に統一部長官に任命された李鍾奭(イ・ジョンソク)現国家情報院長と共に2022年の大統領選挙直前に教団が開いた「朝鮮半島平和サミット」行事との関連で教団幹部と接触した疑いを持たれている。
一方、野党では権性東議員の他に「国民の力」の前身「自由韓国党」の院内副総務だった江原道出身の金奎煥(キム・ギュファン)元議員が教団から受け取った金額は明らかにされていないが、「特検」から政治資金法違反容疑で警察に告発されている。
また、元院内総務の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員も本人は否定しているが、教団との関連が取り沙汰されている。
なお、教団は韓東勲(ハン・ドンフン)前代表にも代表当時「韓鶴子総裁が会いたがっている」とアプローチしていたが、「韓東勲氏は教団との関係を拒んでいた」と側近の一人は説明している。