何故女性のADHDは見過ごされ男性のADHDは寛解するのか?

注意欠如多動症…所謂ADHDは神経発達障害の中で最も1般的に診断される疾患の1つであるが、その疫学的データにはライフステージと性別に関連する顕著なパラドックスが存在する。雑に言えば小児期においてADHDの有病率は男性に著しく偏っており、1般集団における男女比は概ね2:1~3:1の範囲であることが示されている。しかし加齢と共に性差は縮小し、成人期における男女比は概ね1:1に近づくことが多数の研究で確認されている。

この性差の縮小は当然に単なる症状の自然経過で説明出来るものではない。このメカニズムを駆動させるもの自体は「男性における症状の改善」と「女性における遅延診断」であること自体は間違いない。要は男性は小児期にADHD診断されやすいが成人期に近づくにつれて症状の寛解を示すケースが多く、女性は正直にADHD診断されにくいが成人期にADHD診断されるケースが多く、結果として成人期以降は男性当事者の減少&女性当事者の増加という形で男女比1:1に近づくのだ。繰り返すが、その原因自体に疑いの余地はない。 

問題は「何故小児期に男性は診断されやすく、また成人期に寛解するケースが多いか?」及び「何故小児期に女性は見過ごされやすく、また成人期に診断されるケースが多いか?」だ。その内、前者に関しては2025年時点で主因が特定されている。それは…

小児期診断の偏り:相対的年齢効果(RAE)と神経発達の性差

RAEによる教師の誤診

小児期のADHD診断率における男性優位性を生み出す主要な要因の1つが相対的年齢効果(RAE)である。RAEは学年内の同級生と比較して相対的に誕生日が遅く生まれている子ども(所謂遅生まれ)が、発達的な未成熟さを理由に注意力や行動制御において不利な評価を受ける現象を指す。例えば日本において4月生まれと3月生まれの子供は同じ学年内であっても11ヶ月の差がある。成人はともかく子供にとって11ヶ月が如何に長く重要な差であるからは説明する間でもない。

特にADHDの診断基準に照らして最も問題となる多動性や衝動性といった外在化症状は、幼い子供の定型発達の範囲内であるにも関わらず学校環境において目立ちやすい。研究データによると教師によるADHD症状の評価は、親による評価よりもRAEの影響を強く受けることが示されており、教師は生徒を暦年齢ではなく学年内の集団と比較する傾向が強い。この教師評価のバイアスは、相対的に若年(遅生れ)である子どもたちのADHD診断および投薬の受給リスクを高めることがメタ分析によって確認されており、高処方国において投薬を受けるリスク比は1.27に達する。

米国においては教師の問題児=ADHD認定により、CDC統計において小学生(6-11歳)でADHDの投薬治療を受けている子供は人口全体のおよそ6%(約150万人前後)に達する。因みにコレはオピオイド系医療用麻薬蔓延と併せて数少なくない米国民及び2025年現米国大統領であるトランプが「神経発達障害は製薬会社がでっち上げた詐病であり、彼等の目的は病気でないものまで病気として子供達を薬漬けにすることにある!」という陰謀論を唱える主要背景だ。尚、著者はこの陰謀論を支持しない。

(これによれば6-11歳の約11.3%がADHDと診断されており、そのうちの約53.6%が現在投薬を受けている為、小学生全体のADHD投薬率は11.3×53.6=0.605=6%)

このRAEは神経発達の性差と交絡することで男児の診断率を押し上げる。男児は女児と比較して神経発達の成熟が遅れる傾向があり、特に理性を司る前頭前野に1年の遅れがある。その為、男児は同年の女児に比しても落ち着きがなく衝動性に弱く、これがADHDの外在化症状として教師に認識されてしまう。

要は女児より相対的に幼い男児/早生まれ男児より相対的に遅い遅生まれ男児は、成熟度の遅れに起因する1時的な行動上の困難を、臨床的なADHDとして誤診されるリスクが高いのだ。
神経発達の性差について詳しくはコチラ

男性における「偽陽性の解消」と寛解傾向

RAEや神経発達の性差に起因する診断バイアスの影響は、成人期における男女比の収束を説明する直接要因だ。つまりRAEや神経発達の性差によって若年で診断された集団には、純粋なADHDではなく、単に相対的な神経発達的未成熟さに由来する1時的なADHD様症状を持つ「偽陽性集団」が1定数含まれると推測される。

この集団は当然ながら時間経過と共に神経発達的な成熟を遂げる。2024年に発表された7歳の早生まれの子供と遅生まれの子供を比較し、21歳時点ではどうなってるか?を調べた大規模研究でも以下のことが判明した。

小中学校時代:
親や教師の評価では、学年で1番若い子供達(遅生まれ)の方が「ADHD症状が強い」と評価される傾向が明確にあった。

大人への変化: 
しかし学年で1番若いグループは、成長(小児期→成人期)に伴ってADHDスコアが大きく低下(改善)する傾向が見られた。

このような研究が示すのは発達の成熟に伴い症状が改善しやすい男性集団の存在、即ち「偽陽性(誤診)の解消」が成人期における男性の診断率を相対的に低下させ、男女比収束の1方の極を形成していることを示している。

女性における診断遅延メカニズム

上述した男子のADHD診断のされやすさは、女子においては測らずともクラスにおける「相対評価による未熟認定され難さ」として機能する。端的に言えば、男女で同じADHD症状を有していても女子は神経発達の性差により「ADHD男子と比較すれば落ち着いてるし違うんちゃうかな?」と判断されやすいということだ。

またこれに関しては、1時は広く唱えられ、またそれが人々のジェンダーバイアスに合致し、そして女性当事者にある種の自尊を提供するが故に、日本では未だに唱えられている神話として「女子は男子に比して定型発達者の擬態が上手い」というのがある。凡そ神話は以下のようなものだ。

女性当事者は定型発達者(健常者)に合わせて振舞い、自身の障害特性を隠そうとする。それは環境からの要求が比較的低い小児期や青年期初期には機能し続けるが、仕事、育児、複雑な人間関係、学術的負荷など、要求水準が劇的に高まる成人期に破綻しやすい。この破綻が抑うつや適応障害や他精神疾患として表面化し、初めて医療機関を訪れる契機となり、その過程で根底にある発達障害が特定される。

ASDとADHDは併存率が非常に高く、概ねASDのある当事者の約30~80%がADHDを併存しており、ADHDのある当事者の約20~50%がASDを併存しているとされる。そしてASD女性はASD男性と比して自己申告では定型発達者に合わせ、また周囲とコミュニケーションがとれている事が確認された。これにより「女性発達障害者は男性発達障害者と比べて周囲に合わせコミュ力があるから気付かれにくい」という説が産まれる。

しかしながら現在では完全に否定されている。というのも自己申告においては女性当事者は常に男性当事者より際立ったコミュ力や共感性を見せるが、客観的研究では男女差が見られない或いは男性優位の傾向が見られるからだ。例えば5〜10歳のASD児童の男女を調査して自閉症傾向をはかるテストをさせた結果、性差として男性はジェスチャーが苦手な1方、女性は表情が読めない傾向があったがコミュ力総体は差があるか微妙だった。また更に男性は加齢に従ってコミュ力が女性より上昇したり、症状が軽減する傾向まで確認された。

そして2022年、決定的な結果が出る。ASDをカモフラージュしてると自認する当事者と障害を知らない人間と会話させ、その様子をビデオにとって健常者に見せて印象を尋ねる研究が行われた。その結果、女性当事者は男性当事者より好意的に見られること及び当事者のカモフラージュ意図は健常者の印象に全く影響を与えないことが確認された。

更に決定的なのは「コミュ力があると自認する傾向がある人間ほどコミュ力が低い傾向にある」ことが明かされたことだ。被験者の感情知性…他者の感情を読み取ったり行動を予測する能力等をテストで測定した研究では、テストのスコアが最も低い層(下位25%)の人間は自分の能力を「平均以上」あるいは「上位」にあると著しく過大評価していた。更に能力が低い人ほど、批判的なフィードバックを受け入れず、改善しようとしない傾向まで確認された。

https://psycnet.apa.org/record/2013-29217-001

書いていて辛くなってきたので、ここら辺で切り上げる。それに読者はもう答えが分かっているだろう。要するに女子が男子よりADHD他発達障害を見過ごされやすいのは「人間は男子より女子を甘く見るうえに女子本人もコミュ充を自認する」からだ。そして成人期に診断が増えるのは「男子と比して甘く見られ本人も自己評価が甘いが故にソーシャルスキル等を改善するインセンティブが乏しく、それが加齢と共に地雷となってきた」だ。男性当事者が加齢と共に女性当事者よりソーシャルスキルが良好になる傾向は、これの間接的証明になる(更なる間接的証拠として成人期の当事者は男性より女性の方が重い症状を報告する研究もある)。

診断基準

1方で男性と女性は症状の出方が異なるという話もある。ADHDの臨床像は、長らく「授業中に立ち歩く」「攻撃的になる」といった男子学生をベースに作られてきた。しかし女性当事者は衝動多動よりも不注意に依り、そして不注意は衝動多動よりも目立ち難いという理論だ。実際2012年の被引用数3000件のメタアナでも、男性は多動・衝動性優勢型と診断される割合が女性よりも多く、女性は不注意優勢型と診断される割合が男性より多い事が確認されている。

この症状の違いは教室においては以下のような形で現れる。

男子:
衝動性、多動性で目立つ。目立つ為に早期に発見され、排除や治療の対象となる。

女子:
不注意は公の場ではそこまで目立たない。例えば授業中に空想に耽っていたり、忘れ物をしたりしても、まぁ不思議ちゃん程度で済む。

加えて教師は「静かにしている」ことで教師から好意的に評価されるバイアスがある。結果として、女子の当事者が抱える「頭の中の多動(思考の散乱)」や「実行機能の不全(片付けられない、期限が守れない)」は放置される。「手のかからない子」「不思議ちゃん」は、その意味では早期介入の機会を奪う残酷なマスクとして機能する。

トラウマ、愛着障害、及び併存症

愛着障害や虐待・イジメなどのトラウマ体験を持つ子供が、ADHDと酷似する症状を示すことは非常に多い。人間は逆境環境においては過覚醒として常に危険に備えている状態となる。この防御反応が、外から見ると「不注意」や「多動」として観察されやすいのだ。これは「幼少期から持続しているか?」「環境を移すと落ち着くか?」「薬は効くか?(当然ADHD用の薬は効かない)」等でADHDと見分けられるが、症状自体は専門医でも区別が難しいとされている。 

過覚醒

過覚醒とは雑に言えば「脳と体が24時間、戦場にいるかのような緊急モードに固定されてしまった状態」のことだ。人間は例えば地震に襲われた時は色々と敏感になり、様々な物事に神経を張りつめらせるが、地震が落ち着けば神経も落ち着く。しかし、本来は危険が去れば落ち着くはずの防御反応が、トラウマや長期的なストレスによって解除出来なくなり、アクセルが踏みっぱなし=覚醒状態となってしまうのが過覚醒だ。

我々の身体には自動的に体を調整する「自律神経」があり、雑に言えば「交感神経(アクセル)」が身体を緊張させ直ぐに動かせるようにし、「副交感神経(ブレーキ)」が緊張を解除しリラックスさせる。しかし虐待やイジメなどの恐怖が長く続くと「いつ危険が来るかわからない」為に、脳が「常にアクセル全開だ!」と交感神経をonにし続けてしまう。結果、副交感神経が効かなくなり、最悪寝ている時でさえ体が緊張している状態になってしまう。

この時の脳内では「偏桃体」と「前頭前野」のバランス崩壊が起きている。扁桃体は、雑に言えば恐怖や不安を感じ取る脳の警報装置であり、危険を察知すると「逃げろ!」と信号を出す。しかし逆境経験に曝された脳は警報装置が超敏感になってしまい、ちょっとした事でも「逃げろ!」と叫ぶようになってしまう。これは元いじめられっ子が他者の手が上がるだけで(叩かれるかもと)身構えてしまう現象が分かり易い。

前頭前野は、雑に言えば脳の理性を司る「司令塔」だ。通常は扁桃体が警報を鳴らしても、「ただ手が上がっただけだ」と扁桃体を宥めてブレーキをかける。しかし過覚醒状態になると、危険を即座に避ける為に思考よりも反射を優先するため、前頭前野への血流が低下し、機能がオフされてしまう。

結果として、自分を落ち着かせる機能が働かず、危険警報だけ叫び続ける為、常にイライラしたり、パニックになったりしてしまう。この状態が外から見るとADHD由来の多動衝動性や不注意に見えるのだ(またASDに多い感覚過敏とも見られやすい)。

再び発達の性差

これを前述の発達の性差と合わせると、最悪の仮説が浮かび上がる。つまり男子は発達が女子より遅れるのとジェンダーバイアスで悪者とされやすく、教室で「落ちこぼれ」や「問題児」と扱われやすい。また教師からの叱責も女子に比して回数が多く、そして厳しい傾向にあり、尚且つイジメからも保護されにく。

また男子生徒は女性生徒に比して体罰を容認されやすい。米国の公立学校では男子生徒が体罰を受ける頻度は女子生徒の5倍に上る。フロリダ州で数千件の事例を調査したところ、体罰を受けた生徒の82%が男子生徒であった。

そして叱責の敏感さ以上に悪質なのが「叱り方の性差」だ。研究では教師は無意識のうちに以下の使い分けを行っていることが判明した。
 
対男子(公開叱責):
クラス全員に聞こえる大きな声で、名前を呼び捨てにし、遠くから怒鳴りつける。ex「おい田中!座れ!」「何やってるんだ!」→結果:クラス全員の前で「あいつは悪いやつだ」「逸脱者だ」というレッテル貼りが完了する。これが集団内での社会的地位を低下させ自尊心低下や学習意欲喪失やイジメに結び付く。
 
対女子(非公開指導):
 教師は女子のそばに近づき、声を潜めて、個人的に諭すように注意する。ex「〇〇さん、今は静かにしようね」 → 結果:自尊心や学習意欲が守られ、周囲に「悪い子」という印象を与えない(という形でイジメからも保護される)。

例えばイジメにおいても女子は男子に比してなぁなぁで済まされやすい事が判明している。英国の13〜14歳の生徒を対象に学校内での男女間の相互作用を観察・分析した研究では女子生徒は男子生徒に対して、積極的に攻撃を行う傾向があることが判明した。そして研究において証明された重要な発見は「女子から男子への攻撃は教師や周囲によって『いじめ』として認識されない」というものだ。

つまり端的に言えば教室は、ある種の男子にとっては擬陽性ADHDを製造する逆境環境として機能しているのではないか?という疑惑だ。

環境による擬陽性ADHD製造と寛解

男子生徒に対する過酷な学校環境…頻繁な叱責、体罰、公然の恥辱、イジメ、ジェンダーバイアスetc…が、慢性的な「過覚醒」状態を引き起こすという仮説は、成人期における男子の「寛解」の謎を説明出来る。

もし小児期のADHD診断の相当数が、神経発達の遅れ(RAE)や、トラウマ反応としての過覚醒(不適切な学校環境への適応)による「偽陽性」であるならば、彼らが学校という「毒性のある環境」から脱出した瞬間に症状が改善するのは当然の帰結だ。 成人した男性は、自分のペースで働ける職を選んだり、自分を常に叱責する教師のいない環境に身を置くことができる。ストレス源である「学校」から解放されることで、過覚醒状態が解除され、副交感神経が再び機能し始める。実際知り合いレベルの話になるが、発達障害当事者で小中高が苦手だったにも関わらず大学に居心地の良さを覚える方は割と多い。

こうした変化は「寛解」であると同時に「環境由来のストレス反応が、環境の変化によって消失した」という面もあるのではないだろうか?

1方で女子にとって学校環境は相対的に「安全」であり、過覚醒を引き起こすトリガーが少ない。その為に小児期の女子はADHD様症状(過活動・衝動性)を後天的に獲得するリスクが低い。これが小児期における圧倒的な男女比の差を更に拡大させる要因となっていると考えるのは自然だろう

地獄の蓋と底

しかし物語は成人期、あるいは社会に出た段階で反転する。

男子が学校という拘束衣を脱ぎ捨てて症状を「寛解」させていくのに対し、女子は社会に出ることで「ガラスの温室」を失う。成人期の社会生活、特に就労や結婚、育児においては、ジェンダーバイアスや静かにしているだけでは通用しない。高度なマルチタスク、期限管理、家事遂行、感情制御といった実行機能が容赦なく要求される。(私のnoteの読者なら「いやジェンダーバイアスは社会人でも通用してるじゃん」とツッコミたくなるだろうが、本筋ではないので許して欲しい。とにかく本人の主観的には厳しくなるのは確かだ)

ここで女性当事者の「自己評価の甘さ」と「改善インセンティブの欠如」が致命的な時限爆弾として作動する。端的に言えば、幼少期に「問題児」として叱責され、厳しく扱われてきた男子や早期療育を受けた男子は皮肉にもある程度の対処スキルや代償手段を身につけている場合がある。しかし、見過ごされてきた女子は、自分の特性を自覚しないまま、何の武器も持たずに大人の戦場に放り出されるのだ。尚ここの部分は仮説ではない。男性当事者に比して女性当事者のスキルが厳しいこと自体は就労率の差として数字に出てるからだ。

具体的には米国においてADHDを持つ成人の失業率は男性10%に対し女性20%である。(就労率全般男性当事者の方が高いが、女性当事者は主婦やパートタイムといったフルタイム勤務以外の選択肢が豊富にある為、職を得たくても得られない或いは失った指標である失業率を採用した)

更に直接的な研究としてノルウェーのADHD当事者を追跡した研究では、女性当事者は男性当事者より労働に困難をきたしている…というより精神疾患病気怪我スキルその他により長期間働けない状態にいることが多いことが確認された。

私のnoteの読者なら採用や面接は女性は女性属性自体により優位な事を知っているだろう。それでも尚、女性当事者の方が男性当事者より就労出来ない事がナニを意味するか?は明白だ。尚、採用の女性優位に関してはコチラ参照。

結果として、仕事でのミス連発、家事の崩壊、育児ノイローゼ、そして2次障害としてのうつ病や不安障害を発症し、精神科の門を叩く。「うつ病だと思って受診したら、背景に未診断のADHDがあった」というパターンが成人女性に激増するのはこのためだ。

まとめ

総括すればADHDの性差パラドックスは、生物学的な差異以上に、社会的な構造が生み出した悲劇的な非対称性を示している。それ自体は疑いようがない。

・男子は、「未熟さ」を「病気」と誤診され、不必要な投薬やレッテル貼りのリスクに晒されている(過剰診断の犠牲)。

・女子は、「障害」を「個性」と見過ごされ、必要な支援を受けられぬまま、限界を迎えて倒れるリスクに晒されている(過少診断の犠牲)。

男性のADHDが「寛解」するように見えるのは、彼らが不適切な環境(学校)から解放されたからであり、女性のADHDが成人期に「出現」するように見えるのは、彼女たちを守っていた不適切な環境(甘い評価と構造的見逃し)が消滅したからに他ならない。

結局のところ我々が見ている疫学的データの推移は、脳の病気の自然経過などではなく「社会が男女に課す期待と、その許容範囲の歪み」なのかもしれない。以下、とりあえず判明している事実を列挙して記事を終わる事とする。

・ADHDは幼少期に診断されても成人期に寛解するケースが特に男性に多い

・というより、そもそも幼少期診断が男性に偏っている(男女比2:1~3:1)

・遅生まれの子は早生まれの子に比してADHDと診断されやすい(RAE)

・成人期寛解やRAEと合わせて幼少期にADHDと診断されたグループに相当数の誤診が混ざってないと考える方が不自然

・ADHDとASDは併存しやすい(ADHDからASDに対する併存率は約20~50%)

・発達障害女性はコミュ力が高いから見過ごされやすい事を支持する客観的研究はなく、むしろコミュ力に関しては男性当事者優位を示す事が多い

・虐待やイジメなどの逆境環境はADHDと似た症状を引き起こす

・ADHDは男性は多動衝動性優位が多く、女性は不注意優位が多い

・女性当事者は男性当事者より就労における困難に立たされやすい

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