「美少女キャラを描くのが巧い」でも「絵柄が個性的」でもない…生成AI時代に稼いでいる「イラストレーター」の意外な“スキマ需要”
寺院が要求する使用料が高すぎる
例えば、ひそかに需要があるのが、“歴史系”が得意なイラストレーターだ。特に、神社などの建造物や仏像などを描けるイラストレーターに、堅実な仕事があるのだという。生成AIでも“それっぽい絵は出せる”ものの、マニアのニーズを満たすレベルのデフォルメは、人の手でなければ難しいためだ。 さらに、出版界特有の事情が、そうしたイラストレーターの仕事に繋がっている面もある。歴史系の書籍を担当する編集プロダクションのベテラン編集者が、こう話す。 「書籍に寺院や神社の写真を掲載する場合、その使用料がとんでもなく高いのです。ある京都の寺院は平気で1枚10万円など、法外な値段を請求してくる。仏像などの写真も同様で、ありえないほど使用料が高いんですよ。だったら、イラストで代替すればいいということで、イラストレーターに発注するケースがあります」 出版社の場合、写真を使用する際に管理者や所有者に一報入れることが多い。SNSではかなりの割合で写真を無断使用しているが、書籍の場合そうはいかないのである。すると、法外な使用料を要求されてしまうのだ。
イラストの方が新鮮な誌面を作れる
さらに、丁寧にお願いしたとしても、フリー素材や個人で使用した写真の一切が使用禁止で、「私どもが用意した写真以外は使ってはいけない」と強硬な姿勢をとる寺院も少なくない。前出の編集者がこう続ける。 「潤沢な製作費があった時代は、言われるがまま寺院に使用料を払っても問題ありませんでしたが、今は製作費が少ないうえ、先方から提供される写真はネットで誰もが見たことがあるようなアングルばかりで、真新しさがありません。高額な使用料を払ってまで使う必要があるのかと、疑問を感じる例が少なくありませんでした。 そうした事情を逆手にとり、写真をすべてイラストに変更したところ、読者から好評を得ました。もちろん、イラストレーターには相応のギャラを支払っています。依頼している点数が多いため、総額ではなかなかのものですから、感謝されていますよ」