NotebookLMのスライド生成で結果を自在にコントロールする方法①
NotebookLMに追加された「スライド資料」作成機能が話題です。
NotebookLMはとにかく一発で非常にクオリティの高いプレゼンテーションスライドを出してくるので、いろんな人が「もうこのままでプレゼンできる」と言ってしまうレベルです。ボタン一発でこんなふうに。
これだけ見るとぜんぜん悪くないですよね。プレゼン屋の目線で見ても悪くない。
ただ、次にこちらも見てみてください。
こちらもまったく同じソースを使ってNotebookLMで一発で出したスライドなのですが、後者の方は意図してこのスライドデザインになるよう指定したものです。
この記事ではこのようにNotebookLMでスライド生成するときのデザインの指定方法をご紹介していこうと思います。
NotebookLMの使い方
NotebookLMを使ったことがある方はご存じだと思いますが、他の生成AIとの大きな違いがユーザが最初に文書データやWebサイトなどのソース(情報源)を指定することです。スライド作成時も同様で、まずは既存のPDFファイルやWebサイトなどの情報を追加するところから始めます。
なお今回のサンプルではnoteのこの記事をソースとして読み込んでいます。
資料を読み込んだら右側の[スライド資料]ボタンを押すと、スライド生成が始まります。待ち時間は数分。
冒頭のスライドはこれで出来たものです。
さっきも言いましたがこれでぜんぜん悪くない、ですね。ただプレゼン屋としてはいくつか気になる点がありました。
生成されるものがなんとなくクリーム色・黄色がかっていることが多い(これは生成AI系の画像に多く見られる傾向)
ちょっと平成っぽいデザインで野暮ったい(日本語だと特に)
誰が作っても同じ感じになる(たくさん作ってる人には「あぁこれな…」と気づかれやすい)
せっかく作るならこういう「AIっぽさ」みたいなのをなくしてスライドのクオリティを上げてみたいなと思います。
YAMLで生成結果をコントロール
ということでこの記事はここからが本題で、この「AIっぽさ」を減らして(ある程度)スライドデザインを思い通りにしていくのがこのやり方です。
方法は簡単で、デザインの指示書きを入れてから[生成]ボタンを押す、これだけです。
[作成するスライドについて説明してください]の部分にデザインの指示書きを入れて[生成]をクリックしてください。これだけ。びっくりするくらい簡単です。
この指示書きのことを「YAML」(ヤムル)と呼びます。
こういう用語で呼ぶと難しく聞こえますが、プログラミング言語のように難解なものではありません。「AIに指示や設定を整理して伝えるためのメモ書き」だと思ってください。こんな感じの普通の日本語の文章です(後述しますが実際はもっと長い)。
全体デザイン設定:
トーン: "プロフェッショナル、建築的、エッジの効いたミニマリズム"
配色パレット:
ベース: "#E9E9E9 (ライトグレー) または #FFFFFF (白)"
文字色: "#000000 (漆黒) または #333333 (ダークグレー)"
アクセント: "#000000 (黒) - 太い線や強調文字に使用"
特別色: "ダークモード(黒背景) - 強調したいスライドで使用"
タイポグラフィ:
見出し: "英語のサンセリフ体(Helvetica Now, Interなど)。太字で装飾的に配置。"この指示を使うことで、スライドのデザインをAIまかせにせず、自分でコントロールすることができるようになります。
なお、英語で書いた方が指示が伝わりやすいと言われることもありますが、NotebookLMに関しては日本語でも十分に指示通り動きました。書き換えてカスタマイズしていただく利便性も考えて、ここでは日本語でご紹介しています。
YAMLを使ってスライドデザイン
ではさっそく、冒頭でも紹介しているYAMLを使ったデザインがこちらです。
このYAMLで生成しました。
# presentation_design_spec_minimal_jp.yaml
# スタイル: 洗練されたミニマル・ポートフォリオ
# 特徴: 左上のナビゲーション、余白の美学、グリッドレイアウト
全体デザイン設定:
トーン: "プロフェッショナル、建築的、エッジの効いたミニマリズム"
配色パレット:
ベース: "#E9E9E9 (ライトグレー) または #FFFFFF (白)"
文字色: "#000000 (漆黒) または #333333 (ダークグレー)"
アクセント: "#000000 (黒) - 太い線や強調文字に使用"
特別色: "ダークモード(黒背景) - 強調したいスライドで使用"
タイポグラフィ:
見出し: "英語のサンセリフ体(Helvetica Now, Interなど)。太字で装飾的に配置。"
本文: "日本語ゴシック体。サイズは小さく、字間・行間を広めに取る。"
共通レイアウト・ルール:
ナビゲーション: "すべてのスライドの左上(または右上)に、『01. INTRODUCTION』のようなセクション番号とタイトルを小さく配置する。"
グリッド: "厳格なグリッドシステムを使用し、要素を整列させる。"
余白: "あえて何もない空間(ネガティブスペース)を広く取り、高級感を出す。"
レイアウト・バリエーション(カタログ):
- タイプ: "タイトル・タイポグラフィ"
デザイン: "散布レイアウト。受賞バッジやキーワードをスタンプのようにランダムに配置。中央のタイトルは小さく太く。"
- タイプ: "テキスト+データ強調"
デザイン: "非対称の分割。左側に物語るようなテキスト、右側に巨大な数字(黒字)。細い区切り線を入れる。"
- タイプ: "カードグリッド"
デザイン: "隙間の狭いグリッド配置。高品質な画像を並べ、マウスオーバーで文字が出るようなWeb的な表現。"
- タイプ: "全画面グラフィック"
デザイン: "画面全体(または画面の半分以上)に、オフィスの内観写真(コンクリート打ちっぱなし、Macが並ぶデスクなどを配置。彩度を落としてクールに。左下に極小のキャプションを入れる。"
- タイプ: "写真+リスト分割"
デザイン: "50:50の分割。左は建築的・抽象的な写真。右はデータリスト(英語の太字見出し+日本語の細字説明)。会社情報などをリスト形式で記述。項目名(英語)を太字、内容(日本語)を細字で。余白を多く取り、情報は詰め込みすぎない。"
- タイプ: "ミニマル地図"
デザイン: "シルエットマップ。ライトグレーの背景に白地図。極細の引き出し線で拠点を指し示す。"
- タイプ: "垂直タイムライン"
デザイン: "垂直軸。一本の細い縦線から、左右にテキストが分岐するデザイン。年代順に整然と。"
- タイプ: "バブルチャート / ベン図"
デザイン: "ワイヤーフレーム風。黒背景に白の細い線画。円が透明度を持って重なり合う。"
- タイプ: "対話形式(チャット)"
デザイン: "ミニマルな会話劇。漫画的な吹き出しではなく、シンプルなテキストブロックと太字の話者名で構成。"
- タイプ: "年表リスト"
デザイン: "リズムのあるリスト。左列に巨大な年号(2024など)、右列に説明。フォントサイズの対比を強調。"
- タイプ: "ダークモード図解"
デザイン: "知的なテック感。黒背景に白の細い線でノードをつなぐ。星座やネットワークのような見た目。円同士を細い線や幾何学模様で繋ぎ、テクノロジーとクリエイティブの融合を表現。"
- タイプ: "3ステップ・カラム"
デザイン: "タイポグラフィによるカラム。巨大な数字(01, 02, 03)が柱となる。アイコンは使わず文字の強弱で魅せる。"
- タイプ: "ロゴグリッド"
デザイン: "モノクロ・グリッド。すべてのロゴを黒またはグレーに変換し、格子状に整列させる。"
- タイプ: "2カラム(課題 vs 解決)"
デザイン: "鋭い対比。太い黒の縦線で『課題』と『解決策』を分断する。テキストはブロック状に揃える。"
- タイプ: "中央配置(ダークモード)"
デザイン: "映画的。黒背景の中央に小さな動画サムネイルやキービジュアル。情緒的な英語のタグラインを添える。"
- タイプ: "数式・フロー図"
デザイン: "数式スタイル。『A × B = C』のような形式を、巨大なセリフ体で表現。矢印はミニマルに。"
- タイプ: "矢印ステップ"
デザイン: "線形プロセス。大きな矢印の中にテキストを収める。ハイコントラスト(黒矢印に白文字)。"
- タイプ: "チャート"
デザイン: "精密データ。細い線の先に小さな黒丸がついたグラフ。科学計測器のような見た目。"YAML内でさまざまなスライドのタイプを設定しています。
スライド1はこのタイプ、スライド2はこのタイプ、というようにページ割ごとに指定するなど、もっと詳細な設定も可能です。
ちなみにこのYAMLは、
Geminiに自分の過去の製作スライドを読み込ませて
「これをNotebookLMでスライド作成時にYAML指定する文章考えて」
できたものを入れてみて生成、ダメなところを手直し
を何度か繰り返して作ったものです。全然完璧なものではないので引き続き自分も検証を続けたいと思いますが、ひとまずの現時点でのものとして載せています。
このYAMLは自由にカスタマイズ・再利用してもらって構いません。
せっかくAIで生成するスライド、ぜひカッコいいスライドデザインを作ってみてください。
また、別のYAMLを使うとまったく別のスライドデザインにすることもできるので、それはこちらの第2弾の記事『NotebookLMのスライド生成で結果を自在にコントロールする方法②』で。
注意点
YAML指定するとある程度のデザインの方向性は決められるのですが、やはり生成されるものにはAI特有のガチャ感があります。だいぶ精度は上がってきましたが、「こう書いてるのにできてない!」ということは多々ありますし、完璧な精度でYAMLが反映されるものではありません。
YAMLを指定すると、スライドの中身もそれにあわせて自動的にカスタマイズが入ります。興味深いし面白いのですが、これも自動というかガチャというか、細かく指定ができないのが難点です。
最初にYAMLなしを生成する必要はありませんので、いきなりYAMLありで生成して構いません。見比べたいときにはYAMLなしもやってみてください。
手早いので[作成するスライドについて説明してください]の部分にYAML全文を入れる方法を本記事では紹介しましたが、YAMLを別ファイルにしてソースに読ませて「presentation_design_spec_minimal_jp.yamlに従い、エッジの効いたミニマルなデザインにしてください」といった指定をするなど、いろんなやり方があります。
NotebookLMのスライド作成には1日の生成数に限度があり、自分が使っている有料のGoogle AI Proプランだと1日あたり15点のようです。YAMLの細かい違いなんかを試しまくっているとあっというまに上限になってしまうのでご注意を(2025年12月現在)



素晴らしいアイデアありがとうございます!
ありがとうございます。こうやるんですね。参考になります。