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米FRB、意見割れる中で3会合連続0.25%利下げ―1-3月は利下げ停止視野に(中)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表
記者会見に臨むジェローム・パウエルFRB議長=米NBC NEWSチャンネルより

FRBは今年最後の会合で小幅利下げを決めたが、3委員が反対票を投じた。FRBはインフレ再燃を警戒、追加利下げには慎重だ。1-3月は利下げ停止が予想され、2026年はわずか1回の利下げを予想している。

 CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWacthツールを見ると、FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策(政策金利)の見通しについて、金利先物市場では次回1月28日会合での金利据え置き確率が77.9%と、最も高く、前日の69.8%から上昇、ディーラーは金利据え置きに賭けている。反対に、3月会合での0.25ポイント利下げ確率は41.7%(前日は33.8%)で、依然、据え置き確率が50.6%(同54.3%)と、高い。0.25ポイントの利下げ確率は4月会合が44.2%で、据え置き(36.4%)を上回る。6月会合でも40.4%と、据え置き確率(18.7%)を上回り、早ければ4月会合での追加利下げを予想している。

■12月FOMC経済予測

 FRBの今回の会合で更新された最新の12月経済予測によると、19人のFOMC(米連邦公開市場委員会)委員による金利予測を示す、いわゆる「ドット・プロット」は2026年の政策金利が現在の3.5-3.75%に据え置かれると予想したのは4人だった。これに対し、景気リスクを重視、もう一段の景気刺激を求めるハト派(金融緩和派)は3.25-3.5%予想が4人、3-3.25%予想も4人の計8人と、バラツキが目立つ。これは2026に1-2回(1回0.25ポイントの利下げ換算)の利下げを意味する。

 FRBの政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標の見通し(政策金利のレンジ予想の中央値)については、2025年が3.6%(前回9月予測は3.6%)、2026年は3.4%(同3.4%)、2027年は3.1%(同3.1%)、2028年は3.1%(同3.1%)と、いずれも前回予測から変わらなかった。これは2026年が1回の利下げ、2027年は2回(前回予測は1回)と、2026-2027年で計3回(同2回)の利下げにより、政策金利は現在より0.75ポイント(前回予測は0.5ポイント)引き下げられることを意味する。市場では2026年1、3月会合は据え置き、4月会合で追加利下げを予想している。

 また、市場が注目していた、インフレ圧力を高めることなく安定成長を可能にする短期金利の水準で、金融政策が目指すべきといわれる、いわゆる、中立金利(政策金利の長期予測)も3%(前回予測も3%)に据え置かれた。3月会合で2018年以来、6年ぶりに3%に引き上げられたが、中立金利の引き上げは金利の長期高止まりを意味する。

 FRBはインフレ抑制のため、政策金利を中立金利以上に引き上げる必要があると考えているため、中立金利を超える金利水準は経済成長を抑える「制限的な領域」にとどまり、通常であれば景気後退が懸念される。

 PCE(個人消費支出)物価指数で見たインフレ見通しは、2025年のコア指数は3%上昇(前回予測は3.1%上昇)、2026年は2.5%上昇(同2.6%上昇)、2027年は2.1%上昇(同2.1%上昇)、2028年は2%上昇(同2%上昇)と、2026年以降に急減速すると予想。前回9月予測では物価目標(2%上昇)に収束するのは2028年だったが、この見方は変わっていない。

 また、インフレ率の全体指数は2025年が2.9%上昇(前回予測は3%上昇)、2026年は2.4%上昇(同2.6%上昇)、2027年は2.1%上昇(同2.1%上昇)、2028年は2%上昇(同2%上昇)と、これも2026年以降に急減速すると予想。インフレは前回予測では2028年に物価目標に収束すると予想している。

 GDP(国内総生産)の見通しについては、2025年は1.7%増(前回予測は1.6%増)、2026年は2.3%増(同1.8%増)、2027年は2%増(同1.9%増)、2028年は1.9%増(同1.8%増)と、いずれも上方修正され、金利引き下げにより景気は改善すると見ている。FRBはインフレを起こさずにGDPが拡大できる最適成長率は1.8%増と見ており、前回予測のような2026年にスタグフレーションが起こる可能性はないと見ている。

 失業率は2025年が4.5%(前回予測も4.5%)、2026年は4.4%(同4.4%)、2027年は4.2%(同4.3%)、2028年は4.2%(同4.2%)と、2027年が引き下げられたが、失業率は今後数年間4%超と、高止まりを予測している。対照的に、インフレ率は従来予測よりも速いペース、特に2026年に急減速する可能性がある。(『下』に続く)

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ありがとうございます。
The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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