中国では雇用情勢が一段と厳しくなっている。都市部失業率は5%前後で推移するが、16〜24歳に限ると15%以上になる月が多い。2025年8月は18.9%と学生を調査対象から外した23年12月以降で最も高い数値だった。若年層の就職難が深刻だ。
25年の大学等卒業者数は過去最高の1222万人。就職率の公式データはないが、民間統計で6割以下との報告もある。新型コロナ禍のころから「卒業即失業」という自虐的なフレーズが広がっている。中国版「就職氷河期」だ。
中国人民銀行(中央銀行)が10月24日に公表した最新版の都市部預金者アンケート調査(25年7〜9月期)によると、雇用実感について「厳しい状況・就職難・判断できず」との回答が57.4%と、結果をさかのぼれる範囲で最も高い割合となった。新型コロナ流行前の19年の30%台と比べ、労働市場の大幅な悪化だ。「比較的良好な状況・就職は容易」と答えた人はわずか4.9%にとどまった。
こうした状況の中、中国で「鉄飯碗」(鉄のご飯茶わんは決して割れない=「食いはぐれのない職業」の意)と称される公務員人気が高まっている。26年採用向けの国家公務員試験の志願者数は372万人となり、ここ5年間で約2.4倍。今回から受験対象年齢の上限がこれまでの35歳から38歳(修士・博士は43歳)に引き上げられたこともあり、競争はさらに激化。採用枠に対する平均倍率は98倍と非常に狭き門だ。
たとえ就職できたとしても、職場での悩みは尽きないようだ。中国の人材紹介サイト「智聯招聘」がまとめた転職動向調査によると…
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