2025/08/30
TOMIX 789系スーパー白鳥 製品レビュー
今回はTOMIXの新製品、789系「スーパー白鳥」が届いたので紹介します。TOMIX 98895 JR 789-0系特急電車(スーパー白鳥)セット
TOMIX 98896 JR 789-0系特急電車(スーパー白鳥)増結セット
発売月
2025年8月
価格
27,830円(税込)
8,580円(税込)
※模型画像を詐欺通販サイトに盗用されることが増えたため、今回からウォーターマークを入れています。
お見苦しいですがご容赦ください...。
目次
1.実車概要
2.模型外観
3.プロトタイプの考証、遊び方
4.まとめ
5.おまけ マイクロエース製785系300番台について
789系基本番台(以下0番台)は、東北新幹線八戸延伸に伴う津軽海峡線内の運転系統再編、特に50系5000番台で運行されていた快速「海峡」の置き換えを目的として、2002年12月に特急「スーパー白鳥」としてデビューしました。
青函トンネルの下り勾配ではJRの在来線としては最速の140km/hで走行し、八戸~函館を最速2時間52分で走破、青森~函館の所要時間も「海峡」時代から30分程度短縮しました。
運行当初の編成は函館・八戸方HE-100編成と青森方HE-200編成を繋げた基本5両編成で、増結時はHE-200編成を増結して8両編成という形態でした。
その後、2006年のダイヤ改正でサハ789-100とHE-105編成、増結専用のHE-300編成が追加され、基本編成はサハ789-100を含んだHE100+HE-200の6両編成、増結時はHE-300編成の2両を追加した8両編成となっています(増結パターン1)。
しかし、HE-300編成は2本しか新造されなかったことから、その後も基本編成からサハ789-100を減車した上でHE-200編成を増結として繋げる、登場時と同様の形態をとることが多々ありました(増結パターン2)。
HE-100側を2本繋げての増結は幌の構造上難しく、実施されたことはないようです。
ちなみにこの時、「スーパー白鳥」は4→6往復に増加し、特急「つがる」6号も受け持つようになったことから、運用数も2→3運用に増加しています。
2010年12月の東北新幹線新青森全通に伴い、運転区間が新青森~函館に変更されましたが、その際更に2往復増加することになり、それに前後して改造で785系NE-303編成の編入並びに、HE-106、HE-206編成の新製が行われました。
これにより「スーパー白鳥」は6→8往復に増加し、運用数についても「つがる」から撤退しながらも3→4運用に増加しています。
2016年3月の北海道新幹線の新青森~新函館北斗開業で「スーパー白鳥」は廃止されましたが、HE-100、HE-200編成は改造を受けたのち、2017年3月より札幌~旭川の特急「ライラック」に投入されています。
一方で、HE-300編成の2本と785系NE-303編成は活用先がなく、その後廃車処分となりました。
因みに、「スーパー白鳥」運用時は基本編成のHE-100編成とHE-200編成は適宜組み替えるために番号が揃わないことが普通でしたが(HE-102+HE-205等)、「ライラック」運用になってからは同番号で固定され運用されています(HE-102+HE-202等)。
どこからどう見ても789系0番台「スーパー白鳥」で素晴らしいです。
本当にありがとうございました。
以前より発売されているキハ261系1000番台、5000番台と同様に安定した造型で、気になっていた萌黄色の色味も個人的にはイメージ通りでした。
写真はクハ789-300ですので付属品の渡り板を取り付けてみましたが、位置がやや下過ぎましたね...。
幸い様子見として両面テープで貼っているだけなので、調整は可能です。
前頭部側面。
ロゴマークの印刷はそこそこ綺麗ですが、「Hokkaido Express Advanced Train」の文字はカスレ気味です。
台車はN-TR789形/N-DT789形台車で、キハ261の台車ともやや似ているものの、しっかり新規作成されています。
ただ、車輪径810mmの小径車輪はキハ261同様に再現されていません。
小径車輪を使用していなくてもそこまで車高が高く見える訳ではないので、費用対効果の面で見送られているのだろうとは思いますが...^1。
側面窓周囲には窓枠の表現があり、ここもキハ261系1000番台との違いの1つです。
マイクロエース製の789系0番台は所有していないので、2020年発売のKATO製789系1000番台と並べてみました。
1000番台の方はスカート周りや床下を中心に手を入れてしまっているので、参考程度に見ていただければ。
同じ789系ですが、貫通扉の有無を始め各部品のサイズには共通性が無いことが分かります。
両者とも実車の印象を上手くスケールダウンできていると思いますが、強いて言えばTOMIX製はおでこのライト部分の盛り上がりが高すぎるように見えます。
ライトプリズムを収める関係でこうなっているのでしょうか。
KATO製品はライトの塗り分けをしており、それが第一印象をとても良くしています。
一方のTOMIX製品は白1色ですが、油性ペンやカラーフィルムなどを用いて簡単に印象向上できるかと。
基本セットのクハ789-200(左)と増結セットのクハ789-300(右)の屋根。
ランボードの塗り分けが良いアクセントになっています。
それとちょっと分かりにくいですが、製造時期による屋根ビードの太さや本数の違いを再現しています。
2002年製造の1次車のみ屋根ビードが細く、それ以降の増備車が太く本数が少なくなっています。
今回の製品だと基本セットに含まれるHE-100のサハ789-100と、増結セットのHE-300のモハ788-300とクハ789-300が太い屋根ビードとなっています。
間違いなく今回製品の目玉の一つであるクハ789増結用TNカプラー(右)。
ダミーカプラー(左)と比較しても大きさにそこまでの差はなく、スカートに至ってはなんと全く同じ開口幅でC280カーブの通過を実現しています。
今までのTNカプラーは他社製品と比べて圧倒的にスカートの開口部を狭く出来ていましたが、それでも実車よりはやや広いということが多くありました。
ですが、153系用小型胴受カプラーの採用辺りからTNカプラーの更なる小型化が進み、今回その集大成と相成りました。
これだけはTOMIX以外には再現できない大きなアドバンテージで、私がTOMIX製のスーパー白鳥を待ち続けた理由でもあります。
増結用TNカプラーを装備していますが、連結器カバーさえ取り付けてしまえばダミーカプラーと遜色ないのではというレベル。
ただ全てが完璧かというと、残念ながらそんなことは無く...。
スカート下部に樹脂流し込みのゲートがあるのですが、裏側ではなく何故か表側に丸出しになる構造になっていて、しかもそれが乱暴に切断されているせいでかなり目立ちます。
外観の設計は完璧でも、射出成型や組立工程も含めたトータルの部分ではまだ上手く噛み合っていないように思えます。
増結用幌を取り付けるとこんな感じ。
貫通扉のワイパーアームが銀色だったり黒色だったりするのは、屋根ビード同様2002年製造車が黒、それ以降の増備車が銀ということなんだそうです。
製品では基本セットのクロハ789-100とクハ789-200が黒、増結セットのクハ789-300が銀と作り分けられています。
クロハ789-100では向かって左側、クハ789-200,-300は向かって右側のスカートにある電笛用スリットは上部手掛け+4列スリットのタイプが全車再現されています。
後述しますがこれは2009年頃以降順次取り付けられたものとなります。
連結面間隔は気持ち広いかなと思いますが、個人的には許容範囲内です。
ちなみに実車では先頭車側に幌枠を取り付けることはせず、最初から中間車側の幌が先頭車の形状に沿った形になっていました。
キハ283等では先頭車に幌枠を付けたり外したりしていましたが、連結の号車が決まっている789系ではこちらの方法が有利だったのでしょう。
後述しますがマイクロエース製785系300番台とも、785系側にTNカプラーを取り付けることで問題なく連結が可能です。
TNカプラーは0336を使用していますが、走行条件によっては0339等の連結面間隔が広いカプラーにした方が良いかと。
785系側の幌の方が高さがあるため、そこだけはちょっと気になるかもしれません。
ただ増結用幌とクハ789用TNカプラーは増結セットに付属しているため、基本セットと785系300番台のみを購入する場合は注意が必要です。
TNカプラーは来月分売予定ですが幌に関しては分売されません。
中間運転台マニアは全世界に789億人いるとかいないとか。
マイクロエース製品のようにライトユニット装備とまではいきませんでしたが、ガラスパーツとユニット表示の印刷は入っており、ソツのない仕上がりです。
ユニット表示下部に存在する編成表記はインレタ対応となります。
床下のボディマウントカバー表現に関しては、標準のアーノルドカプラーの動作に支障がないようにという制約があるとはいえ、ここまでローレリーフ形状にしなくても良かったのではと思います。
マイクロエース製品もアーノルドカプラーでしたが、あちらは結構攻めた造形をしていました。
今回は隠しパーツも存在しないため、サードパーティから3Dプリントパーツが出るのを待つことになりそうです。
パンタグラフ周り。
パンタグラフはED79用の0265 PS79から一部部品をカットした物となっています。
N情報室などでも触れられていたクロハ789-100のダブル室内灯構造。
正直室内灯の色分け程度であればマーカーやフィルムテープ等で簡単に再現できるのであまり必要性を感じていませんが、室内パーツが色分けされいるのは結構良いなと思いました。
付属品。
基本セットは台車スノープラウと渡り板、渡り板穴開け用治具、増結セットはそれに加えて増結用幌とTNカプラーが付属します。
渡り板は大きいサイズと小さいサイズがありますが、今回製品では基本的に小さいサイズのみ使用します。
模型外観の章で述べた通り、
・スカートの電笛スリットは4本
・屋根ビードはサハ789-100とHE-300のみ太く、その他は細い
という仕様から、2009年頃~2016年3月のHE-101,103~104、HE-201~205、HE-301編成が適合します。
まず年代について。
スカートのスリットは登場時は存在せず、追加が2009~2011年頃に順次行われていたため、基本的には2011年の東北新幹線新青森全通後の姿を再現したと言えます^2。
2往復時代の北斗星とは合わないものの、そこまで気になるような差ではありませんし、何よりマイクロエースから発売の785系300番台とバッチリ合わせられるため、良いチョイスだと思います。
2006/8/8 函館駅 789系「スーパー白鳥」 HE-101+HE-20*
登場時の姿。
正面向かって左側、スカートの蓋にスリットがないことが分かるかと。
次に編成についてですが、先ほど適合から除外した各編成は
HE-102,302:スカートのスリットが5本タイプ
HE-105,106,206:スカートのスリットが5本タイプ&2,3次車のため屋根ビードが太い
と、模型の仕様とは僅かに異なっております。
そのため増結セットは(ここまで気にするのなら)HE-301編成ピンポイント再現となっています。
以上を踏まえたうえで、今回の製品の中で一番の不親切ポイントである前面渡り板パーツについて触れていきます。
前面渡り板は実車においても無・小・大と三種類が共存しておりましたが、説明書では必要最低限の記載のみ。
しかし、「スーパー白鳥」時代は以下のように明確な決まりがありました。
無:HE-101~104のクロハ789-101~104
小:HE-200とHE-300の全てであるクハ789-201~206,301,302
大:追加増備車であるHE-105,106のクロハ789-105,106
「スーパー白鳥」時代"は"としたのは、営業開始前の試運転時にクハ789-201がやや大ぶりの渡り板を装備していたことと、「ライラック」転用後は撤去されている車両がいるためです。
メーカーとしては今後現行仕様を出す際、金型を変更しない為に渡り板を選択式としたのだと思いますが、それならもう少し説明書で詳しく書いといてほしいなと思ったり。
ドリルで穴開けた後に気になっても遅いですからね。
2016/2/17 青森駅 789系「スーパー白鳥」 HE-106+HE-206
「スーパー白鳥」時代の789系。
HE-206のクハ789-206は小型の前面渡り板が装備されていますが、HE-200編成側の渡り板は画像のように板下げ状態が多かった気がします。
2016/2/17 青森駅 789系「スーパー白鳥」 HE-106+HE-206
反対側のHE-106。
クロハ789-106は105と同様、大型の渡り板を装備しています^3。
またどちらの先頭車もスカートのスリットが5本のTOMIX製品とは異なるタイプを装備しています。
2023/4/9 深川~納内 789系「ライラック」 HE-104+HE-204
「ライラック」転用後の写真ですが、スカートのスリットが4本のHE-104です。
クロハ789-104は「スーパー白鳥」時代も渡り板は装備していませんでした。
余談ですが転用の際、ロゴマークの変更やトレインマークのLED化の他、前面だけでもジャンパ栓へのプロテクター装備(後に画像のように撤去)、スカート切り欠き(連結器解放レバー避け?)の追加、貫通扉上部に梯子掛けの追加など、789系1000番台に準じた改造を数多く実施されています。
その他この編成ではライトのLED化も行われています。
正直スカートのスリットや屋根ビードはあまり大きな差ではない為、思い入れのある編成があるならそれに合わせて全く問題ないと思います。
ですが車番選択に迷った場合は、上記を参考してもらえればと思います。
製品化発表から1年程経過し、遂に発売されたTOMIX製789系0番台。
今回TOMIXから0番台が発売されたことで、789系は1000番台を含めると大手3社による三つ巴の形式となりました。
今回の789系0番台はその最後発としてのメリットを活かした、まさに決定版といえる製品だと思います。
長所
・すでに発売済みのキハ261系1000番台を踏まえた安定した造型ながらも、窓や台車など細かな差をしっかり再現
・屋根ビードやワイパーの色等、細かな差まで作り分け
・外観を一切犠牲にしない増結用スカート付きTNカプラー
短所
・増結用幌が増結セットにのみ付属していることから、HE-100+HE-200+HE-200の8連を組みにくい
・中間連結部の床下カバーの表現がレリーフ状
・スカートのゲート処理が雑
789系0番台の模型は2004年にマイクローエースから発売され、出来も当時のマイクロエースとしてはかなりの傑作であったことから、何度も生産が行われ根強い人気がありました。
私としても何度か購入のチャンスを窺ってはいたものの、中々タイミングが合わないまま、遂にTOMIXから発売される運びとなりました。
2020年のKATO 789系1000番台発売時には0番台も秒読みかと考えておりましたが、その後音沙汰ないまま5年経過してしまいました...。
今回の製品は、789系0番台の模型として決定版といっても過言ではない出来だと思います。
特にクハ789-200の増結用TNカプラーは外観も機能も完璧であり、今後キハ261系基本番台も期待したくなります。
789系0番台を印象付ける萌黄色の色合いも、個人的な解釈と近く、とても安心しました。
一方で、近年床下機器の細密化を進めているTOMIXの中で、中間連結部の床下カバーが全てレリーフ状なのは設計方針とだいぶズレているのではと思ってしまいました。
HG仕様ではないことやHC85等の前例もあるので驚きはしませんでしたが、マイクロエースの789系がアーノルドカプラー装備ながらもかなり頑張った設計をしている以上、後発ならもう一捻りほしかったかなと。
今後現行の「ライラック」仕様の発売も当然見据えていると考えられますが、その場合各編成で異なるロゴマークをどう扱うのか気になります。
マイクロエース A7220 785系300番代 特急「スーパー白鳥」用増結改造車 2両セット
発売月
2024年9月(再生産:2025年8月)
価格
13,750円(税込)
いろんな意味で話題になったこの2両セット。
新製品発表当時はこの785系300番台を含んだ8両セットの中古相場が暴騰していた時期で、「この2両だけ出してどうすんだよ」「今これを出すということはまさか...?」等々、様々な怒りや動向の読み合いが様々な場で行われました。
そして発売直後にTOMIXからの789系0番台製品化があり、市場在庫は瞬殺&中古相場が暴騰しましたが、ここでも「今のうちに買わなければ」「いまのマイクロならすぐ再生産するだろ」など再度読み合いが勃発していましたね。
私は初回の読み合いは外しましたが、2回目は読み合いを制しました...w
TOMIX製品と比べると青帯の色にやや大きな差がありますが、それ以外は意外と違和感なし。
床下の塗り分けが綺麗でTOMIX製品もこれに合わせたくなります。
そもそも実車の時点で編成美の欠片もない凸凹編成でしたので、気にせずガチャガチャ繋いで走らせて楽しめそうです。
TOMIXから785系が出ることはないでしょうから、買っといて損はないかなと思います(フラグ)。
それではまた。
^1:KATOもマイクロエースも再現していない為、TOMIXだけが劣っているというわけではない
^2:厳密には新青森開業時点でもスリットを装備していなかった車両がいる
^3:HE-105+HE-205は2020年の検査で渡り板を撤去済
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