(社説)議員の資産公開 透明性高める改革を

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 昨秋の衆院選で当選した465人の資産報告書が先週、公開された。国会議員資産公開法の成立から30年。制度はすっかり定着したが、当初から指摘された抜け道はそのままで、閲覧の不便さも変わらない。法律が目的に掲げる「国民の不断の監視と批判」を実効あるものにするための見直しが必要だ。

 同法は1992年、政治改革の一環として、与野党合意に基づき成立した。未公開株を安値で譲渡された政治家らが値上がり益を得たリクルート事件や、金丸信自民党副総裁が5億円のヤミ献金を受け取った東京佐川急便事件による、国民の政治不信の高まりが背景にあった。

 公開対象は、土地、建物、預貯金有価証券、ゴルフ会員権、貸付金などで、選挙のたびごとにまとめて議長に報告するほか、任期中新たに保有した資産は毎年、補充報告が義務づけられた。政治家が地位を利用して蓄財していないかをチェックできるようにするのが眼目だ。

 ただ、公開を逃れるための抜け穴が多く残された。その一つが、家族名義の資産を対象外としたことだ。自民党を中心に、「家族でも財産上は別人格」との反対が強かったためだが、リクルート事件では、家族名義での株の売買も行われていた。閣僚や副大臣、政務官の資産公開では、配偶者や扶養する子どもも対象となっている。国会議員も同様にすべきだ。

 預貯金は定期性のものだけで、普通預金は含まれない。美術工芸品などは100万円超で購入したものの点数だけを届ければよく、贈られたものは対象外。報告内容をチェックする第三者機関はなく、虚偽記載に対する罰則もない。制度の実現を優先し、合意できた最大公約数からスタートしたにしても、今日に至るまで、何ら改善がなされなかったことは怠慢のそしりを免れまい。

 「国民の監視の下におく」という狙いに逆行しているともいえるのが、報告書の公開のあり方だ。メディアによる報道はあるものの、閲覧できる場所は東京・永田町の議員会館1カ所だけ。コピーや写真撮影は禁止されている。これでは、公開は形だけで、できるだけ人の目に触れないようにしているのではないかと勘ぐりたくもなる。

 情報技術が進み、政府自らデジタル化の旗を振るなか、ネット公開に踏み切れない理由はないはずだ。多くの人が手軽に閲覧できるようになることで、監視の実はあがり、政治家の側の緊張感も増すだろう。仮想通貨など、想定していなかった新たな資産も生まれている。制度を生かすには、時代の変化に合わせた不断の改革が不可欠だ。

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2022年4月19日13時8分 投稿
    【視点】

    国会議員の資産公開について、閲覧箇所が議員会館のみというのは、デジタル化の時代に逆行しています。公開を意図的に阻むような措置は、制度導入時には不可避であったとしても、今となっては無用です。国会審議のオンライン化やデジタル化も、こうした公開の

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