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勘違い/Novel by ハリコ

勘違い

2,786 character(s)5 mins

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X→peace145745

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スマホがブブ、と震えて通知を知らせる。席を外していた彼女のものだった。
見るつもりはなかったもののパッと明るくなった画面につい目がいってしまう。そこに映された「今日はありがとう」という羅列を見た瞬間、思わず彼女のスマホを手に取った。
続けて震えたスマホが次々と映し出す通知。それがまさか「次のデートも楽しみ」「早く予定決めよう」だなんて送られてくるから。それを見た瞬間カッと目の前が真っ赤になった。
あの女。僕というものがありながら、他所の男に手を出していたなんて。
あ、絶対許さねぇ。
スッと脳裏が冷えた感覚がした。途端、頭がクリアになって思考が回転し始める。
するとガチャ、とドアを開けて彼女が戻ってきた。ほけほけと呑気な顔をして「ただいまぁ」とほざいているのが癪に障る。これから自身が何をされるかわかっていないんだ。
彼女はいつもみたいに「おかえりなさい」と言ってくれると思ってホヤホヤと隣に座った。

「おい」
「え?」

予想外に鋭い一言が飛んできたことに驚いた彼女は、剣持が自分のスマホを持っていることに気付く。
苛立った顔をしてカンカン、と液晶を叩く剣持は誰がどう見ても不機嫌である。

「これ、説明できるよなぁ?」
「…?何それ」
「わかりませんか」
「?ハイ。私のスマホ」
「…あー、ハハ。そういう感じね。ハイハイ、なるほど」
「ほんとに、なに…」

剣持は「あー」と呻きながらぐしゃぐしゃっと頭を掻き回して俯いた。そして目を閉じて大きく深呼吸をすると、彼女のスマホを伏せて自分の前のテーブルに置いた。

「…はあ。すみません、取り乱しました。少し話をしましょうか」

彼女はいつも通りに戻ったように見える剣持を見て、おずおずと顔色を伺いつつ姿勢を正した。
何を言われるのか見当もつかなくて怖い。どうして怒っているのかわからない。
そんな彼女を他所に剣持は膝に肘を掛けると組んだ手の上に顎を乗せた。ニコ、と口角が上がる。

「今日、何処へ行ってきたんですか?」
「?カフェへ…」
「ああ、いいですね。他には?」
「あとはショッピング、みたいな…」
「なるほど。何を見たんですか?」
「ふ、服とか…?」
「へえ。夕飯などは」
「ごはんと、ちょっとだけお酒飲んだ…」
「うん、素晴らしい。良いデートコースですね」
「?デー」
「楽しかったですか?僕を置いてするデートは」

ずっと内の何処かで引っかかっていた、彼女に対しての自分の幼さ。後ろめたさやコンプレックスのように感じていたそれを目の前に突きつけられたような気がして。それがとんでもなく悔しくて、腹が立った。

「次のデートの約束なんてしようとして。…僕が中々時間を作れないからですか?そうですよね。放課後も土日も部活に明け暮れて、22時以降は外にすら出られないんですから」
「何?なにを、」
「どうせガキだと侮っていたんでしょう。こんな無防備にスマホなんか置いていって。見られると思わなかったんですか?」
「どの、なんの話」
「とぼけるな」

テーブルに伏せられたままの彼女のスマホを掴み、通知を開いてまたテーブルに投げるように置く。

「この僕を何処ぞの男と同じように扱ってんのかって言ってんだよ」

彼女が通知を見てアッという顔をした。
本当に何故こんなに剣持が声を荒げているのかわからなかったのだ。だって彼女が会っていたのは、正真正銘女の子の友人なんだもの。
雑に転がったスマホの画面を見て、ようやく事態に気がついた。

「ようやく気付いたか?もう全部わかってんだよ」
「ちが、これは」
「言い訳しますか?どうぞ。何を言っても無駄だと思いますけど。僕は馬鹿じゃないので」
「これは浮気とかじゃなくて」
「浮気じゃなくて?僕がなんやかんやしてる間に僕以外の男とデートしてきたんだろ」
「違う!」
「いつから付き合ってた?相手は知っているんですか?僕がいること」
「そんなのじゃ、」
「ああ。それか、僕が浮気相手ですか」
「そんなわけ!」
「じゃあなんでこんな通知が来るんだよ。おかしいだろ」
「だから誤解で、」
「僕はお前だけなのに、お前は僕だけじゃないのかよ…ッ」

それが剣持の全てだった。
自分が彼女の唯一じゃないことがひたすらに悔しい。
自分だけが好きで、自分だけが尽くしていたのだと考えると馬鹿馬鹿しくて仕方がなかった。そんな自分は彼女から見ればさぞ滑稽に映っていただろう。

剣持はいつの間にか立ち上がっていて、彼女を見下ろす形になっていた。ふぅふぅと息を荒げて拳を強く握り締めている。
見下すような目はギラギラと熱を帯びていて、噛み締めた唇は血色が強い。
彼女はテーブルに置かれていたスマホに手を伸ばすが、剣持はその手を拒むように握った。
その力が今まで感じたことのない強さで、剣持の普段の優しさを知ると同時に彼女は怖くなって

「女の子ッ!」
「…ア?」

殆ど悲鳴のような声で叫んだ。
手の力が緩む。

「きょ、今日会ったのは女の子」
「ハ…?」
「や、だから。その子は私の友達で…女の子の…」
「だったら、」
「デートっていうのはなんていうか、そういうノリ?みたいな感じで…。あ、今日撮った写真とか見せた方がいい?」
「…見せてください」

よいしょ、と近くに寄られてスマホを手渡せば入力される己の誕生日。こいつ、パスワード僕の誕生日にしてるのかよ…。
彼女が操作して見せられた画面には明らかに女性の手元とかわいらしいスイーツが映っていて。横にスライドをすれば彼女と女性のツーショット。
剣持刀也の頭は弾け飛んだ。
正真正銘、シロである。
「ほら!」と安心したように他の写真も約束をした時のLINEの画面もを見せられて剣持の耳はどんどん熱を持ち始めた。

「…カ、…ッ!」

やがて喉の奥から絶命したかのような声が漏れて。

「……ッ、…紛らわしいんだよ………ッッ!」

頭を抱えて絞り出すように唸る剣持を見た彼女はオロオロと謝ることしかできなかった。

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マシュマロ wavebox

また、Xにて進捗や短編、夢ネタを掲載しておりますのでよろしければ是非🙌🏻

Comments

  • とと

    凄く好きです(; ; )大好きです…!!

    Dec 5th
  • 桜火
    Nov 17th
  • あや

    👏

    Nov 16th
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