【ポケモン】人生を安価で decide…エンジョイエンジョイね【転生掲示板】   作:ユフたんマン

26 / 29
遅くなったのでお詫びとして主人公を描きました。イメージが崩れるのが嫌だという方は見なくても大丈夫です。


【挿絵表示】


すっげえキモいデザインだな!
左目、大きくない?
フフ......へただなあ、へたっぴさ........!単純に絵がへた....


もうさァッ! 無理だよ! 普段から絵なんか描いてないんだからさァッ!!誰か上手い人描いて…(懇願)



後、アオイのアギャッスはミライドンに決まりました。アンケートありがとうございます!


オモテ祭り

『ドッドッドガースドドッガドッ』『シャア〜!』

 

キタカミ神社へと続く長い階段。その一段一段を踏みしめる度に、賑やかな喧騒とスピーカーから流れるポケモン音頭が響き渡る。

その長い階段を登りきれば、露店や柱に吊るされた提灯に照らされる中、多くの仮面を被った人とポケモンがこのオモテ祭りを楽しむ光景が目に入ってくる。

 

「おお…思ってた以上に規模がデカイな…!」

「オモテ祭りはこの町の大規模な催しだからキタカミから出て行った人達もこの時期には帰省してくるのよ」

「へぇ…それにポケモンも多いな。野生か?」

 

アンカーの視線の先にはコノハナとタネボー。2匹とも仮面を被り、焼きそばの屋台の前で焼きそばを美味しそうに啜っている。

 

「そうよ。元々このオモテ祭りは豊穣祭として自然の恵みに感謝を捧げる人間だけの催しだったのだけれど、人とポケモンが歩み寄った時代から自然と交流の場になっていったみたいね。そこからともっこ様の勇姿を称えるオモテ祭りに変化していって今の形になったらしいわよ。悪い鬼のオーガポンがあんな優しくて可愛い子だったからキタカミ伝説も案外当てにならないかもだけどね。

詳しく知りたかったらじーちゃんに聞きなさい。こういう昔話大好きだから」

「ほーん…やっぱりゲームと現実じゃ違ぇのな」

「何て?」

「いや、なんでもねぇよ」

「ふーん…ところでアンカーはこういう祭りの経験は?」

「カントーとジョウトで2回だな。丁度やってたから軽く参加したぜ」

「そ、ならまだ祭り初心者ね。ならここは祭りのベテランである私が祭りの回り方を教えてあげるわ。感謝しなさい」

 

なんて自信満々な様子で胸を張るゼイユだったが、スグリがにーちゃん!と叫びながら駆け寄ったことで脳内で瞬間的に構築されたプランは初っ端から粉々に粉砕されてしまった。

 

「にーちゃんの分のりんご飴さ買ってきたべ!一緒に食べるべ!」

「ぽにー!」

 

二へへと笑うスグリに甘〜いと頬を緩ませるオーガポン。可愛い。

 

「あーもうッ!!スグの馬鹿!りんご飴は普通最後でしょ!食べるのに時間がかかる、ベタつくから花火を見た後に祭りの感想を言い合いながら舐めて帰るのが定石じゃない!」

「わ、わやじゃ…そんな怒んなくてもいいでねーべか…オレはにーちゃんにわや美味いから食べて欲しくて…」

「まぁまぁ落ち着けよゼイユ。せっかくスグが買ってきてくれたんだからな。ありがとなスグ」

「二へへ…うん!」

「はぁ〜……もう仕方ないわね…じゃあ取り敢えずりんご飴食べ終えるまで遊び尽くすわよ」

「オレ射的やりたい!」

「俺は鬼退治フェスやってみたいな」

「よーし!じゃあ全部回っちゃうわよ!」

「「おおーー!!」」

 

 

 

 

とそんなこんなでアンカー達一行はりんご飴をぺろぺろと舐めながら次々と露店を回っていく。

 

「水ヨーヨーか、懐かしいな」

「わ、わやすげぇ!あまりの速さに残像が出来てるべ!」

 

スパパパパパッと音を鳴らして振り回すアンカー。それを見てスグリは目を輝かせ手に持つ水ヨーヨーで真似て振り回す。

 

そんな2人の背後でゼイユは知り合いに絡まれていた。

 

「ゼイユ、あんた男連れて帰ってきたって聞いたけどほんと?」

「シズネちゃんから聞いたよー。いやーあのゼイユちゃんがねぇ…」

「はぁ!?言い方!!間違ってないけどニュアンスが違うから!」

 

ゼイユに興味津々といった様子で話しかける2人は元々このキタカミで育った年齢の離れた昔馴染み。

今では既にキタカミから離れ違う地方で暮らしている。

ちなみにシズネちゃんはお祭り少女であり管理人の子供である。ゼイユとアンカーが仲睦まじく帰ってきた様を目撃しており、この狭いコミュニティで言いふらして大拡散。既にこのオモテ祭りの為に戻ってきたばかりの2人にまで情報が行き渡っているのである。恐るべき田舎の拡散力。

 

「あの子テレビで観たことあるなー。あれでしょ?リーグ制覇したっていう」

「優良物件じゃん!ゼイユやるー!」

「だからそういうのじゃないって言ってんでしょ!!」

「ヒューヒュー!」

「照れちゃって、ゼイユにも可愛いとこあるじゃん」

「キィィーー!!こいつら全く人の話聞かないわッ!!」

 

キャーッと騒ぐ2人に額に血管を浮かばせるゼイユ。

そんな爆発寸前のゼイユにアンカーが手を振り声を掛ける。

 

「ゼイユ、次の店行くぞー」

「な、な、次は射的な!」

「はいはいわかったわかった。先行ってるからな」

「わかったわ。じゃあ私ももう行くから!」

「お祭りデート楽しんできな」

「頑張ってねゼイユちゃん!応援してるからね!」

「あーもう余計なお世話!最後の最後まで!ほんとにそういうのじゃないから誤解しないでよ!」

 

手を振る昔馴染みの2人にシッシッと追い払うように手を振りアンカーたちの元へ駆け寄っていった。

 

 

 

 

 

 

「(あ、可愛い…)」

 

ゼイユは手に持っていたコルク銃の照準を合わせる。狙いはポッチャマの二等身フィギュア。

しっかりと狙いを定めて引き金を引く…

 

「結構重いわね…」

 

放たれたコルクはフィギュアの箱に直撃するも、そこそこの重量があるのか軽く動いただけ。

ゼイユは直ぐ様再装填しまたしても引き金を引くもそのフィギュアの箱は動じない。

そのまま全てのコルクを使い切るも落ちることはなかった。

 

「はい残念」

「おかしくない!?あれだけ当ててるのに!!?」

「まぁこれ高いからな。それ相応に重くしてるのさ。落ちない訳じゃないし難易度調整ってやつだ」

「納得出来ないわッ!!」

「落ち着けゼイユ、ここはイッシュのノブナガと呼ばれたい俺に任せろ」

 

バトンタッチで次に銃を握るのはアンカー。

 

「フンッ!」

 

放たれたコルクはフィギュアの箱に直撃、ぐらりと揺れるも倒すには程遠い。

これでは先程のゼイユの焼き直しになってしまう。アンカーはこれから一体どうするつもりだとゼイユがアンカーへ視線を移した次の瞬間!

既にアンカーはコルクの補充を済ませ箱に向けて発砲していた!

箱の先程の揺れが収まる前にもう一撃、これにより大きく箱は揺れ始める。

さらにもう一発!間髪入れずに再発砲、凄まじい速度での連続射撃、まるでそれはスキルリンクのタネマシンガンの如く!

屋台のおじさんの顔は真っ青に変貌させる。

そして最後の弾でフィギュアの箱は大きな音を鳴らして台から転がり落ちた。

 

「ガハハ!これぞランセ地方に伝わるノブナガの三段撃ちだ!」

「にーちゃんわやすげぇべ!!」

「三段撃ちじゃなくてこれじゃ三連撃ちだし色々ツッコミどころ満載だけどナイスよ!よくやったわ!!」

「なんだこれは…たまげたなぁ…くそ、坊主の勝ちだ!持ってけ!」

 

屋台のおじさんから受け取ったフィギュアをアンカーはそのままゼイユへと明け渡した。

 

「…ありがと」

「おう、どういたしまして」

「兄ちゃん見て見て、大漁だべ!」

「ほう、大きめの袋菓子と小さめの駄菓子が数個、大漁じゃねぇか!スグは上手いな」

「にへへ…褒めすぎだべ…」

「いやいや、ゼイユは一つも取れなかったからな」

「キィー!!一言余計なのよ!」

「ガハハ、悪い悪い。ところで次はどこの屋台に行く?」

「ったく…そうね、りんご飴も食べ終わったし焼きそばでいいんじゃない?祭り特有の塩気の効いた焼きそばは絶品よ。特に今のような口の中が甘い時には尚更ね」

「へぇ、ゼイユのお墨付きか。なら焼きそばだな」

 

というわけで射的の屋台から焼きそばの屋台へ移動した3人は焼きそばを購入し、屋台のおじさんから焼きそばを受け取る。

 

「すみません、これドでかい目玉焼き乗ってるんすけど間違えてません?普通の頼んだはずなんすけど…それにやけに盛り盛りだし…」

「あぁ、サービスだよサービス。兄ちゃんゼイユと仲良くしてくれてんだろ?もしかしてアレルギーだったか?」

「いえ、大丈夫ですけど…」

「いえーい!ラッキーじゃない!おじさん太っ腹ー!」

 

ゼイユははしゃぎながらも屋台の横に設置されてある椅子に座り、スグリと共に大盛りの焼きそばを食べ始める。

 

「ゼイユちゃんはなぁ…昔から我儘で我の強い子だけどな、根はとてもいい子なんだ」

「それは知ってるっすよ。俺もゼイユには救われてる。ゼイユがいなけりゃ今の学園生活はもっと苦しかったかもしれねぇ…」

「うん、俺から言えたことじゃあないのは承知だけどよ、ゼイユちゃんを幸せにしてやってくれよ!」

「もちろん……ん?今なんて?」

「アンカー!早くこっちで食べましょ!焼きそば冷めちゃうわよ!」

「あ、おう!焼きそばありがとうございます」

 

アンカーがゼイユとスグリの元へ向かうのを見た屋台のおじさんは微笑ましげにうんうんと腕を組みながら頷いた。

 

「青春だねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

鬼退治フェス。それはオモテ祭りにて開催されるミニゲーム。ルールは簡単、指定された木の実と同じ色の台に乗せるだけ。木の実は4種類、オーガポンのお面が描かれた風船の中に仕込まれており、迫り来るヨクバリスやカビゴン達から如何に守りながら時間制限までに量を集められるかというものである。

 

「ライドポケモンとして1匹のみポケモンも参加可能ですよ。ライドポケモンがいなければこちらでオドシシをレンタル出来ますよ」

「アンカー、私が手本を見せて上げるわ」

「へぇ、敵に塩を送るか」

「ふん、初心者に勝ったところで何も面白くないし、何よりフェアじゃないわ。それにこれくらいで私の勝利は揺らがない」

「凄まじい自信だな」

「そりゃそうよ、何年私がこの鬼退治フェスをやって来たと思うの?言っとくけどこれは遊びじゃない、戦争よ」

「(んな大袈裟な…)」

 

受付のお姉さんは苦笑いを浮かべながら手続きを進める。

 

「難易度は上級ね。勝った方はそうね…相手の言う事を何でも聞くってのはどう?」

「ん?今何でもするって言ったのか?」

「な〜に〜?怖気付いたのかしら」

「んなわけねぇだろ、後悔しても知らねぇぞ?」

「ふん、そんな強がりを言えるのも今だけよ。アンタに吠えづらかかせてあげる!」

「望むところだ!」

 

バチバチと視線を合わせ火花を飛ばす二人。

鬼退治フェスの準備が出来た受付のお姉さんがゼイユを連れて会場へと赴く。

 

「頼むわよ」

 

ゼイユがライドポケモンとして選んだのはギャロップ。アンカーの目からしてもよく鍛え抜かれた身体、ゼイユとのシンオウ旅を初期から支えてきた古参のポケモンでもある。

 

尚、アンカーとのバトルで選出しないのはタイプ相性的な関係である。

 

「スタートッ!!」

 

開始の合図と共にギャロップが駆ける。その鍛え抜かれた脚で力を解放。爆発したかのような爆音を響かせ風船を割りながら駆け回る。

 

背中に跨るゼイユもしっかりと風船の中の木の実を確保し、指定された木の実を着々と設置された台に乗せていく。

 

「速い!速いべ!!ねーちゃんわや速ぇ!!」

「自信満々だっただけにやるな…こりゃ厳しい戦いになりそうだな…」

 

ゼイユはその後も次々と木の実を台に乗せていく。

順調に進んでいくと思われた矢先に、木の影からそれは姿を現した。

 

「カァビ…」

 

デカァァァァァいッ説明不要!!その大きな巨体は正しく大食いポケモンの代名詞とも言われるカビゴンだ。

カビゴンは1日に食べ物を400キロも食べなければ気が済まない大食感、台に置かれた木の実に大きな腹の音を響かせながら迫り来る。

 

鬼退治フェスの鬼門とも言えるカビゴン、ヨクバリス等のポケモン達による妨害。これがこのチャレンジの難しさに拍車を掛けている。

このカビゴン達は挑戦者がせっかく集めた木の実を食べてしまう。もちろん食べられた木の実はカウントされず、上級ともなれば職員に雇われたカビゴン達がひっきりなしに木の実へと襲い掛かる。

その対処に通常なら手を焼かされ、木の実を集め切ることが出来ずタイムアップとなってしまうのだ。

 

だが今回の挑戦者は百戦錬磨のゼイユ。それらは全て想定内。

 

「ギャロップ!ほのおのうず!」

 

ギャロップが放ったほのおのうずが台を囲む様に展開される。カビゴン達はほのおのうずのあまりの熱気に後ずさる。

 

「なるほど!ほのおのうずでカビゴン達が近づけないようにしたか!だが…それだけで止まるなら…」

 

カビゴン達が後ずさる中、勇敢にも足を進めるカビゴンがいる。

それは特性、あついしぼうを持つカビゴン達。どういう原理かあついしぼうでほのおのうずを半減しながら突き進む。この程度の炎ではこの食欲は止められない!

 

「それくらい分かってるわよ!」

 

ゼイユを乗せたギャロップは容易くほのおのうずの中に飛び込み、入り込んだカビゴンをにどげりで吹き飛ばす。

 

「ふむ、あついしぼうのカビゴンは防げないが、それ以外のカビゴンの足止めは可能か。それにギャロップの炎は信頼する者には危害を加えない。ゼイユは安全に飛び込めるっつーわけか…」

 

ほのおのうずで完全に防ぎ切ることは出来ないが、それでも数は相当絞り込める。

 

だがカビゴンも黙っていない。後方ではあついしぼうでないカビゴンがあついしぼうのカビゴンを呼び寄せ次々と台に向かって進軍していく。

なんと言う執着だろうか、次第にゼイユも押されていき、最後はカビゴンを処理するのが間に合わなくなり時間切れで幕を下ろした。

 

「キィー!何かカビゴン達頭良くなって来てない!?前まであんな徒党を組んで襲ってくることなんて無かったのに!!」

「スコアは16800点です!一人でこの記録は凄いですよ!」

「まぁまぁ行ったわね。ざっとこんな感じかしら」

「次は俺か…よし、オトモはお前だウーラオス」

「べあ!」

「あんた正気?まぁ手持ちに陸のライドポケモンはいないのは分かるけど…」

「よ、よろしいのですか!?こちらでオドシシのレンタルも出来ますが…」

「大丈夫だ、問題ない!」

「嫌な予感がするわ…」

 

アンカーはスタート位置でクラウチングスタートの構え。ウーラオスは台の隣で構えている。

 

「やっぱりそう来たかぁ…」

「ス、スタートッ!!」

 

開始の合図と共にアンカーは走り出す。その速度はギャロップにも決して劣らない速度。一足踏み出す毎に加速しながら凄まじい速度で疾走する。

 

「うおおおおおおッ!!!」

「あれありなの?」

「ト、トレーナー自身が走ってはダメと規定に無いのでOKです…」

 

またしても現れるカビゴン達。今度はほのおのうずが無いためゴンベやヨクバリス達も参戦。アンカーが集めた木の実を求め進軍する。

 

「べあッ!!」

 

だがしかし、そう簡単にはいかない。何故なら台の横には木の実を守る守護神、ウーラオスの存在があるからだ。台へ飛びかかるポケモン達を薙ぎ払いながら木の実を死守する。

守りながら木の実を取りに行くのは難しい?なら二手に別れればいいじゃない。通常の挑戦者ならなし得ない所業だが、アンカーの人間離れした肉体なら可能である。

 

これに焦ったカビゴン達は、この鬼退治フェスの為に編み出した秘技を繰り出した。

 

カビゴン、カビゴン、カビゴン、3匹によるジェットストリームアタックッ!!

3匹のカビゴンから放たれるギガインパクトの連撃、なんと言う連携だろうか、並のトレーナーのポケモンなら対応出来ず直ぐ様戦闘不能になるだろう。しかしこのウーラオスは並ではない。

 

1匹目は勢いをそのまま横に流し、あらぬ方向へと突き進む。2匹目はその巨体の下へ潜り込みアッパーで空中へ吹き飛ばす。そして3匹目は後ろ回し蹴りで顎に一撃。気絶したカビゴンはその勢いのまま通り過ぎ、そのまま戦闘不能で倒れ込む。

 

それを見てカビゴンとゴンベはドヨドヨとあの連携攻撃が破られた事に動揺し動きが止まる。

だがウーラオスに休みは無い。カビゴン達とは別の勢力、ヨクバリス達がそんな事関係ないとばかりに木の実へと襲い掛かる。

 

逃げたら一つ、進めば二つ、奪えば全部ゥ!ハッハァ!!

 

ヨクバリス達は先程のカビゴン達とは対照的に協力などしない。全ての木の実を自分の物にしようと仲間割れしながらも邪魔者であるウーラオスへと迫る。

 

「相変わらずヨクバリスだけ画風が違うわね…」

「わ、わやすげぇ歯茎だべ…」

 

ウーラオスは容易く全てのヨクバリス達を制圧、カビゴン達は無闇に突撃するのは得策では無いと判断し、一度ウーラオスから距離を取る。

 

このまま何も出来ず終えてしまうのか…否ッ!!

 

カビゴン達にもプライドがある。1個も木の実を奪えずに終えるなどもっての外!

よってカビゴン達は正面突破を諦める。

 

「ゴ〜ン♪」

 

1匹のゴンベが、ウーラオスの前に躍り出る。その手に持つ物は…

 

「べあッ!!?」

「ゴンゴン♪」

 

ウーラオスは思わず視線を奪われる。何故ならそれは…

 

「ちょっ…カビゴン達狡猾すぎない…?」

「ハチミツだべーーッ!!」

 

ウーラオスの喉がゴクリと鳴る。目の前のゴンベは美味しそうに何処からか持ってきた餅をハチミツに浸して口に放り込む。恍惚の表情を浮かべながらウーラオスに見せつけるように食べている。

 

カビゴン達はウーラオスと似たポケモンを知っていた。それはとこしえの森を縄張りとするガチグマだ。カビゴン達の中であの縄張りのハチミツを食べてはならないという事は重々承知されている事である。何故ならそれは縄張りのヌシであるガチグマの好物だからだ。

同じ様な見た目のウーラオスなら同じくハチミツが好物だろうとカビゴン達は推測。

そうして最も美味しそうに、食欲を煽れるゴンベに食べさせた。

これが本当のハニートラップである。

 

「ッ…!!」

 

効果は抜群だ!ウーラオスは自身の使命を思い出しながらも耐える、耐える。だが自身でも気付いてないだろうがジリジリとゴンべとの距離を詰めてしまっていた。

 

カビゴン達はまだ動かない。まだだ、まだだと食欲を抑制する。

 

ウーラオスが誘惑に負け、ゴンべからハチミツ漬けの餅を受け取り、口に入れた瞬間、カビゴン達は本気を出す。Zワザさながらの素早い動きで台へと直行。ウーラオスが反応をする前に根こそぎ木の実を奪い尽くしてしまった。

 

ウーラオスが我に返るが時既に遅し。ぼとりと何かが落ちた音に、ウーラオスはビクリと飛び跳ねる。

 

そしてゆっくり、ギリギリと油の切れたギアルのような動きで振り向くウーラオス。

 

 

 

そこには大量の木の実を抱え、まるで重歯目の名探偵のような鋭い目でウーラオスを見つめるアンカーの姿が。

 

「べあ…」

 

違うんすよ…これには深い事情が…と直ぐ様冷や汗を流しながら速やかに正座の姿勢に移るウーラオス。

 

「しばらくおやつとハチミツ抜きなお前」

「べあ……くぁ……!!?」

 

ウーラオスはその場に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

キタカミ滞在最終日。ようやく桃沢商店の営業が再開。

 

オーガポンと共にアンカーは店主であるお婆さんに話し掛ける。

 

「不腐の桃、この店に置いてますか?」

「はいハい…いらッしャい…チょット…マっテ…ねェ」

 

店の奥に入っていったかと思えば直ぐにお婆さんは店前に戻ってきた。

 

「ごめんなさいねぇ…えーと、なんだったかしら…ダメねぇ…病み上がりか歳のせいか分からないけれど…何が欲しかったかもう一度教えて貰っていいですか?」

「不腐の桃です」

「不腐の桃…あぁ…店先に置いてた…あれ?動かした覚えは無いのに…何処かに…野生のポケモンがイタズラで何処かに持って行っちゃったのかしら…ごめんなさいねぇ…それと元々あれは非売品だからあっても売れなかったのよ」

「…………マジか。不腐の桃はポケモンです。見つけたら直ぐこの番号に電話をお願いします。毒タイプの危険なポケモンです。あと怪しい餅は食べないようお願いします」

「不腐の桃がポケモン…?昔から代々伝わる置物なんだけどねぇ…信じ難いけれど、見つかったら電話すればいいのかい?」

「お願いします。あとこれ、モモンのみです。既に毒に侵されている可能性があるので一応食べて置いてください」

「ありがとねぇ」

 

 

 

 

モモンのみを食べたのを見届けたアンカーは桃沢商店から離れ頭を抱えながら蹲る。

 

「ぽにお…最悪だ」

「ぽに?」

「奴が目覚めた」

 

オーガポンは首を傾げる。

 

「モモワロウ、かつてともっこ達を率いてお前と戦ったポケモンだ」

「…がお゛…ぼう゛ッ!!」

オーガポンの顔が憤怒に染まった。

 

 

 

かくして物語は動き始めた。それも、アンカーの知る原作という正史とかけ離れながら…

 

 

 




アンカー
初めての安価失敗。
これから定期的にキタカミに訪れることが確定した。放っておくとモモワロウが危険が危ない。
管理人にもモモワロウの事を説明済み、見覚えのない餅は食べない、モモンのみ等の毒対策の準備をスイリョクタウンの住民への呼び掛けをお願いした。


ウーラオス
カビゴン達のハニトラ(文字通り)にやられた食いしん坊。
本ポケ曰く仮に食いしん坊だとしても食いしん坊という名のガラル武人だよ等と供述している。
容赦なく半年ほどおやつとハチミツ抜きにされた。
ダクマの頃からハチミツに目が無い。


カビゴン
キタカミの自治体に雇われた野生のカビゴン達。木の実を食べる為により狡猾に進化した。木の実を食べる為なら何でもやる化け物。報酬に餅も貰えるため、Zワザを使うまでもなく常に全力を出している。


ぽにお
スグリとの仲は良好、旅にも手持ちにはならないが同行しようかと思っていたがアンカーからの爆弾発言により中止。これからより一層モモワロウの足跡を追う為キタカミ中を駆け回る。



モモワロウ
にっくきぽにおの気配を検知、しかも町の中。身の危険を感じ完全回復とはなっていないが最低限の体力でその場から逃げ出した。行き先は誰も知らない。




桃沢商店が閉まってた理由
初めからこの展開だとオモテ祭りを楽しめない為先延ばしになった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。