イズナのウィリーバイクを作りました。
良かったら使ってみてください。
ナンバー:M0B2NM2R
地面にピシリと亀裂が走り、周囲の土がぐらりと揺れる。
小さな振動は次第に大きくなり――
「おりゃああああっ!!」
派手な叫びとともに亀裂が弾け飛び、
土砂の中からデデデと温泉開発部が勢いよく飛び出した。
「ふぅーっ! よし、脱出完了! みんな、お疲れさまだ!」
続いてカスミが地面から顔を出す。
「外だーッ!!」
「空気うまっ!」
「やったあああ!!」
歓声が一斉に上がり、しばし達成感に包まれる開発部。
しかし、カスミはその熱気の中でビシッと腕を組んだ。
「さて、みんな。解散!!――と言いたいところなんだが。」
部員たちが一斉にカスミへ視線を向ける。
「どうしたの部長?」
「温泉掘り直しか?」
「さっきの雪原かな?」
その期待に満ちた眼差しを見回し、カスミはニヤリと笑った。
「皆、最近“冷水の源泉”ばっかり掘れてたのは覚えてるだろう?」
「うん」「そのせいでまともに温泉開発できなかったよねぇ……」
部員たちは顔を見合わせ、コクコクと頷く。
「我々は今から――その“原因”をブッ潰しに行く!!」
一瞬の沈黙。
だが次の瞬間には、全員の目が熱を帯びていく。
「その原因を潰せば温泉がっ!熱々の源泉が戻ってくるのだ!」
「うおおっ!」「温泉!」「やってやるぞ!」
部員たちの瞳に、湯気のような熱が灯る。
そして、カスミが高く手を掲げた。
「さぁ皆! 温泉を取り戻すため、私に着いてこい!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!!」
(……ワシも温泉は好きだが何がこいつらをそんなに掻き立てるんだ……)
デデデは半分呆れながらその熱気を眺めていた。
そのとき――。
「……出られたのね」
背後から、冷えた声が落ちてきた。
カスミとデデデが同時に振り返る。
「ひいっ……」
「おお、嬢ちゃんか。って、それは……!」
ヒナの手には、
デデデの巨大なハンマーが握られていた。
「これ、あなたのでしょ。返しておくわ」
すっと差し出されたハンマーを、デデデはヒナから受け取る。
「感謝するぜ、やっぱりこれが無いとな!」
ハンマーを数回振りかぶって肩に担ぐ。
デデデはそのまま、ふと思いついたようにヒナへ身を寄せ、小声で尋ねた。
「なぁ……なんでカスミは、嬢ちゃんのことをあんなに怖がっとるんだ?」
ヒナは表情を変えず、淡々と答える。
「さぁ……彼女の普段の行いが悪いからじゃないかしら。」
その言葉と同時に、ヒナの視線がゆっくりとカスミへ向く。
「ひいいいっ!!」
カスミは再び腰を抜かし、その場にへたり込んだ。
(こいつらの間で何があったんだ……)
倒れ込んだカスミにメグが慌てて駆け寄った。
「部長、大丈夫? 立てる?」
「あ、ああ……すまない……」
カスミはメグの手を借り、ふらつきながらなんとか立ち上がる。
咳払いを一つ。
「ゴホン! ……さて、みんな! 気を取り直して出発だ!!」
「「「おおーっ!!」」」
温泉開発部の勢いは、怖気づこうが腰が抜けようが、決して止まらない。
そして一行は――
熱気と闘志をまといながら、凍てつくゲヘナの火山へと歩みを進めていった。
火山は本来の熱を失ったかのように沈黙し、山頂からは白い煙だけが、寂しげに空へと昇っていた。
「……寒くなってきたな」
ゲヘナの山奥へと進むほど、吹雪は鋭さを増し、
風は切り裂くように肌を刺す。
視界は白い霧雪に覆われ、足元すら心許ない。
「そろそろ見えてくるはずだが……」
カスミは裾を押さえながら、降りしきる雪を払い道を進む。
そのとき――
「なっ……何これ!?」
温泉開発部の部員の一人が叫んだ。
全員が足を止め、視線を向ける。
そこに広がっていたのは――
完全に凍てついた森林地帯。
木々は根元から折れ曲がり、
枝はまるで硝子のようにひび割れたまま凍りついている。
草も、雑木も、地面さえも氷に覆われ、まるで“寒気”を表現したかのような異様な光景だった。
そして。
氷原の中央にまっすぐと続く、巨大な足跡。
「これ……アイスドラゴンの足跡か……」
デデデが眉をひそめる。
しかしその足跡は、彼の知るものよりもはるかに大きい。
(いや、こんな……こんなにデカかったか……?)
デデデの声には警戒と困惑が混じる。
「む……! あ、あったぞ!!」
カスミが前方を指差す。
視線の先にあったのは――
氷で完全に封じられた洞窟の入口。
巨大な足跡はそちらへと続いていた。
それは、風雪の中で、淡く青白く輝いていた。
「……凍ってるわね」
ヒナが氷の壁を手の甲でコンコンと叩く。
澄んだ音が返ってくる。厚さは相当なものだ。
「委員長、部長! 任せて!ここは私が!」
メグは背負っていた火炎放射器を構え、勢いよく氷壁に向けて炎を吹きつけ始めた。
しかし、氷は少し溶けたが、分厚い氷壁はびくともしない。
「あれっ? 随分硬いなぁ……」
デデデはメグの肩に手をおき前へと出る。
「下がってな、 こういうのは俺様の出番だぜ!」
デデデが前へ歩み出ると、重々しくハンマーを構える。
次の瞬間――そのハンマーが微かに震え、
周囲の雪を押しのけるように 力が集まり始めた。
「うおおぉぉぉぉおおっ!!」
ハンマーにエネルギーが凝縮され、眩い光が迸る。
そして――
「おにごろし! デデデハンマァァァァ!!!」
轟音と共に、ハンマーがアッパー気味に振り抜かれる。
氷壁に巨大な亀裂が走る。
次の瞬間、砕け散った氷が雪煙とともに崩れ落ちた。
「おおっ!」「すごーい!!」「技名はともかくすごい!」
温泉開発部の面々がその威力に声を上げる。
そして、洞窟の暗い入口が、ついに姿を現した。
洞窟の奥へと進む一行。
吐く息は白く濃く、霜のように空気に溶けていく。
進めば進むほど、温度はさらに急激に下がり――
空気は張り詰め、肌を刺す冷気へと変わっていく。
そして、それと同時に。
邪悪な“気”が……確実に濃くなっていった。
「……間違いない。この気……!奴は、近くにいる……!」
デデデの声は低く、震えていた。
洞窟内部は、まるで天然の罠の宝庫だった。
天井からは巨大なつららが今にも落ちそうにぶら下がり、
足元には鋭い氷柱が森のように生え、
通路の途中には氷でできた自然のトゲ罠が迷路のように並んでいる。
普通の人なら、一歩進むだけで危険な目に遭うだろう。
だが――
デデデのハンマーと、温泉開発部の開拓技術にとっては、
どれも障害ではなかった。
「どけぇッ!!」
「そこの氷柱!砕きまーす!!」
「通路拡張ッ!温泉開発の基本!!」
氷柱は砕け散り、つららは叩き落とされ、
トゲ罠もシャベルとツルハシの前ではただの障害物に成り下がる。
こうして難所だらけの洞窟も――
一行にとっては“ただの道”となり、驚くほどの速さで踏破されていった。
「む……?」
ふと、カスミが壁に手を触れた。
その部分から先は、氷ではなく黒く光っていた。
「これは……黒曜石?」
黒曜石――溶岩が急激に冷えて固まったもの。
洞窟の壁が、まるで焼かれたかのように黒く染まっている。
つまり――
ヒナはひと息、白い吐息を漏らして呟く。
「空気が変わってきたわ……火口が近い。」
洞窟の先から、ほのかな光が差し込んでいるのが見えた。
暗闇の中で、白い光はやけに不気味で――
まるで“何か”がそこにいると告げているようだった。