電位差ってのはは「量」ではなく「関係」なんですよね。
まず根本的に重要なのは、
電位差は物理量として“点”に属さないという事実です。
電位(電圧):スカラー場 φ(r)
電位差:Δφ = φ(rb - ra)
これらは2点の関係量であり、単独では存在しません。
これは距離が「aからb」なしには定義できないのと同型です。
次に、電位は「保存力場のポテンシャル表現」にすぎません。
電場Eは、静電場において
∇ × E = 0
を満たすため、回転のないベクトル場である。
したがって、あるスカラー場φ が存在して
E = -∇・φ
と書けますよね。
ここで初めて「電位(電圧)」が導入されるのですが、電位は実在量ではなく、電場を微分で表せるようにするための数学的構成物であることに注意してもらいたいです。
電位差は線積分の結果であることについて議論します。
点Aから点Bへ電荷qを移動させるときの仕事は
W = ∫(b→a) F・dl = q ∫(b→a) E・dl
として表されると認識されていると思いますし、
ここで電位差は
Δφab = - ∫(b→a) E・dl
と定義されることはご理解されているかと思います。
つまり電位差とは「空間内のベクトル場を経路に沿って積分した結果」であり、点に貼り付いている量ではないのはお分かりいただいていることかと思います。
念のため補足しておきますと、電位差が経路に依らない理由についてですが、静電場では ∮E・dl = 0 ですから、∫(b→a) E・dlは経路に依らず、端点のみに依存します。
このとき初めて、
Δφ = φ(b) - φ(a)という「差としての表現」が許されるんですよ。
ですので、wikipediaから引用されたかは存じ上げませんが9 - 0 = 9と 0 - (-9) = 9の式で表されるようなそれぞれの電位の符号を任意に逆にすることは不適切というより完全に間違っていることがご認識いただけたかと思います。
実際には、元の図の赤い線をテスタのプラス、黒い線をテスタのマイナスに接続すると、0 - 9 = -9Vが表示されます。
(赤い線をテスタのマイナス、黒い線をテスタのプラスに接続すると、9 - 0 = 9Vが表示されます。)
言い換えると、電位差とは「線積分が端点差に還元できる場合に限って成立する概念」になります。
しかし、電位や電位差を考えるにあたって、ゲージ自由度という最大の罠が存在します。
電位 φ は
φ' = φ + C(任意定数 C)を加えても電場は変わらないのです。
つまり、「電位は絶対値に意味がない」ということと、「物理的に意味を持つのはΔφのみ」ということに留意しなければなりません。
電位差とは、保存的電磁場において定義されるスカラー場の差分であり、その値は電場ベクトルの線積分により与えられ、ゲージ変換に対して不変である可観測量を指します。
ここまでの説明で、voltage ≠ 電位差であることはご理解いただけたかと思いますが、念には念をで9V電池単体のの役割についてご説明しておきますと、
「非保存力(化学ポテンシャル勾配)によって内部で電荷分離を強制し、外部空間に約9[J/C]の仕事差をもつ静電ポテンシャル差を維持する装置」となります。
百均などで9V電池を見かけたときは電池の静電ポテンシャル差について思いを馳せてみてください。