- 1◆uorq7ead4s25/10/25(土) 19:19:20
- 2◆uorq7ead4s25/10/25(土) 19:27:04
救済(きゅうさい)ヒジリ ステータス
身長dice1d40=29 (29) + 140 = 169
攻撃dice1d100=52 (52)
防御dice1d100=89 (89)
HPdice1d100=94 (94)
持久力dice1d100=2 (2)
機動力dice1d100=73 (73)
知能dice1d100=48 (48)
事務dice1d100=88 (88)
政治dice1d100=15 (15)
髪の色dice1d8=6 (6)
1 茶 2金 3白 4青 5緑 6赤 7紫 8黒
目の色dice1d8=7 (7)
1 茶 2金 3白 4青 5緑 6赤 7紫 8黒
髪の長さdice1d100=85 (85)
低いほど短く、大きいほど長い
体型dice1d100=96 (96)
低いほど平坦、大きいほど凹凸あり
以下、依頼3回ごとに変動するステータス
依頼成功率:51
殺しに対する態度(小さいほど拒否感あり、大きいほど殺しに悦を感じる):48
- 3◆uorq7ead4s25/10/25(土) 19:31:42
HPの現在値書き込むの忘れてました……現在84
武装
SMG、SRの2つ
過去の依頼履歴
1度目の依頼 依頼人:モブ 標的;合歓垣フブキ(成功)
2度目の依頼 依頼人:モブ 標的:某企業の社長(モブ)(失敗)
3度目の依頼 依頼人:梅花園生 標的:麻薬売買グループ構成員(モブ)(失敗)
4度目の依頼 依頼人:モブ 標的:暴力団組長(モブ)(成功)
5度目の依頼 依頼人:モブ 標的:桑上カホ(失敗)
6度目の依頼 依頼人:岩櫃アユム 標的:天雨アコ(成功)
7度目の依頼 依頼人:ケイ 標的:秋泉モミジ(成功)
8度目の依頼 依頼人:モブ 標的:別の殺し屋(モブ)(成功) - 4◆uorq7ead4s25/10/25(土) 20:02:38
キャラクター紹介
救済ヒジリ
本作の主人公であり、『殺し屋キュウサイ』として様々な依頼をこなしている。
性格は明るめで、依頼人から殺し屋とは思えない、と言われることもしばしあるが、その腕前は確か。
標的を殺すときは、必ず笑顔で殺すようにする、という信条がある。
殺し屋としてのサービスとして、殺すことを優先するのか、苦しませた上で殺すのか、という要望を叶えている。
一度殺しの依頼を受けた以上は、失敗するか標的を殺すまで、止まらない。例え依頼人から止められても。
そこには、本当に殺す気があるのか、殺すということの重みを理解しているのか、という彼女なりの依頼人への問がある。
……しかし、最近は自分自身が標的を殺す際、何を思っているのかということをよく考えている。
天雨アコの依頼の際、シャーレに存在がばれてしまい、現在はキヴォトス全域で指名手配中。
なぜ、殺し屋として活動しているのか、その過去は未だ明かされていない。
ガン・スミス
金さえ払えばどんな情報でも、武器でも、薬品でも提供する武器商人の『大人』
見た目は阿修羅のように複数ある腕、古めかしいスーツに、何より目を引くのは顔の部位の映った無数のディスプレイのついた顔と真ん中にある拡声器……と許容しがたい。
関西弁で話し、一見気さくそうなふるまいをするものの、掴みどころのない謎多き人物。 - 5◆uorq7ead4s25/10/25(土) 20:05:17
- 6◆uorq7ead4s25/10/25(土) 21:49:05
というわけで、依頼内容をさっそく決めていきましょう。
依頼人
1ならモブ、2ならネームド dice1d2=1 (1)
モブの場合(1:ロボット、2:獣人、3:生徒) dice1d3=3 (3)
ネームドの場合 dice1d200=62 (62)
標的
1ならモブ、2ならネームド dice1d2=1 (1)
モブの場合(1:ロボット、2:獣人、3:生徒) dice1d3=3 (3)
ネームドの場合 dice1d200=167 (167)
殺し方
1ならすぐに、2ならなぶり殺し dice1d2=1 (1)
依頼の成功・失敗(51以下で成功)
dice1d100=40 (40)
- 7◆uorq7ead4s25/10/25(土) 22:37:54
大事なことを伝え忘れていました。
日中、外出している間はホスト規制がかかりやすいらしく、私からはスレの保守がしにくいので、皆様にはぜひ保守のご協力をお願いします。 - 8◆uorq7ead4s25/10/25(土) 22:39:28
埋め代わりに。
およそ50、100、150レスあたりで安価を取りたいと考えております。
場合によりけりとはなりますが、その際には皆様のアイデアをください。
トンチキネタならトンチキネタで書いてはみたいので……どんなネタでもください、やれるだけやってみます。 - 9二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 22:59:49
このレスは削除されています
- 10二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 23:03:06
このレスは削除されています
- 11二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 03:07:40
- 12◆uorq7ead4s25/10/26(日) 05:56:59
朝保守です
というかずっと主人公の苗字誤字してますね……
救災(きゅうさい)が正しいです - 13二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 15:25:51
保守
- 14◆uorq7ead4s25/10/26(日) 21:35:48
依頼人「だぁかぁらぁー!アンタは私の依頼を受けて、このクソ女をぶっ殺せばいいのよ!」
ヒジリ「あ、あの……落ち着いてもう一度、よく考えた方が……」
依頼人「うるっさい!いいから殺っちゃって!とっとと!」
ヒジリ「……ま、まぁ高い依頼料ですし、そんなに……」
依頼人「はぐらかすなっつーの!」
ヒジリに対して、非常に強く当たる依頼人。
どうしてこうなったのか、話は数分前に遡る。
身なりの整った生徒が、今回の依頼人だった。
制服に刺繍された校章が、その生徒がトリニティ生であることを表していた。
ヒジリ「いやぁ、驚きましたね。あのお嬢様学校のトリニティから、依頼が来るだなんて」
依頼人「意外だった?むしろ、トリニティだからこそ、貴女達みたいな外部の人間に仕事を頼むのよ」
ヒジリ「リスクヘッジってやつですね、うんうん」
依頼人「むしろ、アンタの方が意外よ。てっきり殺し屋キュウサイって、身長2mのゴリラみたいな女かと思っていたわよ」
ヒジリ「……世間での私のイメージ、どうなっているんでしょうね、ホントに」
依頼人「ま、そんなことより、ビジネスの話をしましょう」
ヒジリ「依頼、の話ですね」
依頼人「というわけで、アンタにはこのクソ女をぶっ殺してほしいのよ」
依頼人の手渡した写真には、依頼人と同じくトリニティの制服を着た生徒がいた。
しかも、写真は依頼人とのツーショットで、プリクラ加工されているものだった。
ヒジリ「あ、あのー……この方は?」
依頼人「アタシの友達、だった奴!」
ヒジリ「……と、いいますと?」
依頼人「あのクソ女、よりにもよってアタシが大切にっ、大切にしていたモモフレンズのライブチケットをフリマで売りやがったのよ!」
ヒジリ「は……え?……?モモ、フレンズ???」
依頼人「そうよ!しかも当日の物販ではライブ限定のぬいセットまで売られるのよ!」
ヒジリ「あの……そんなことで……私に、依頼を……」
依頼人「そんなことですってぇ~!」
以降、依頼人からモモフレンズの素晴らしさ、今回のライブをどれだけ楽しみにしていたのか、ということが延々と語られる。
……当然、ヒジリは「あっ、そっすねー……」と聞き流していたが。 - 15◆uorq7ead4s25/10/26(日) 22:04:26
依頼人「とにかくっ!アタシはあのクソ女をぶっ殺してもらいたいのよっ!」
依頼人の圧に押されるヒジリだったが、目を見開き、トーンを落として話を始める。
ヒジリ「……依頼人さん、貴女は本当に彼女を殺す気ですか?殺すとは、どういうことかわかっているんですか?」
依頼人「な、何よ……あんな女、とっとといなくなってほしいに決まってるじゃない!」
ヒジリ「そうは思うかもしれません。ですが、そのたった一瞬の感情に任せて、人を、さらに言えばご友人を殺して。……貴女は果たして、罪の重みに耐えきれるんですか?」
依頼人「な、うるさいうるさい!アンタまで、アタシの楽しみを奪うの!」
ヒジリ「……っ!」
……ふと、ヒジリの脳裏に、記憶がよぎる。
目から光が消え、。
あの時の、あの時と、同じ台詞……。
あの時が、あの時に、私は……。
私が……私の……。
依頼人「……な、何。アンタ。急に黙り込んじゃって」
ヒジリ「…………わかりました。依頼を引き受けます」
依頼人「わ、わかればいいのよ!」
ヒジリ「依頼人さん、依頼に際して、何日か時間をいただきたいのですが、よろしいですか?」
依頼人「えぇ、いいわよ。あのクソ女を消せるなら、全然問題ないわ!」
ヒジリ「はい、それでは、依頼を受領しました」
依頼人「えぇ、楽しみに待っているわ!」
こうして、依頼人は立ち去った。
依頼人「……それにしても、あのキュウサイとかいう女、説教垂れてきたと思ったら、急に静かになっちゃって、なんだか不気味な奴だったわね……。やっぱり殺し屋、なのかしらね」
その日の晩、ヒジリは過去の出来事を思い出し、眠ることができなかった。 - 16◆uorq7ead4s25/10/26(日) 22:46:59
翌朝から、ヒジリは標的の尾行を開始した。
流石トリニティ、殺し屋キュウサイを警戒してか、そこらかしこに正義実現委員会のトレードマークである、黒いセーラー服が見えている。
ヒジリ「……やっぱり警備は厳重か。裏路地に誘い込んでの闇討ちは、出来そうにないか。やるんなら、狙撃……」
スコープの向こう側に映るターゲットを見て、観察する。
元気がなさそうに見えるな……。
ずっと下を向いているし、歩き方も……。
落ち込んだいるんだ、きっと、依頼人さんと仲直りしたいんだろうけど、なかなか謝れない、そんなところだと思う……。
私はできることなら、依頼人さんから要望があって、殺すのをやめてほしい、という声が来ることを期待している。
喧嘩はしたけど、仲直りできてよかった、って、またプリクラを取りに行くような仲に戻ってほしい。
きっと、標的のあの子も、それを望んでいるはずだから……。
何より。もう二度と。
私のような、愚かな人殺しは増えてほしくはないから……。
依頼人「……なんて?警備が厳重で、殺しの依頼をこなすのが難しい、ですって?」
ヒジリ「はい、申し訳ございません。ですので、依頼料及び依頼不履行による慰謝料として……」
依頼人「はぁ、何が殺し屋キュウサイよ!くっだらない!たった一人すら殺せないの?ばっかじゃないの!」
ヒジリ「……申し訳ございません」
依頼人「わかったわよ、特別に、アタシが、手伝ってあげるわよ!」
ヒジリ「……はい?」
依頼人「アンタのその武器、SRでしょ?私が狙撃しやすいポイントまで、アイツを誘導するから、そしたらバーンって、やっちゃいなさいよ!」
ヒジリ「…………おやめになる気は、ないのですね」
依頼人「くどいわよ!もうアタシは決めたの!依頼人の言うことには、従いなさいよ!」
ヒジリ「……わかりました」 - 17◆uorq7ead4s25/10/26(日) 22:59:37
そして、決行当日。
時間帯は夕方、依頼人と標的は、二人で並んで帰っていた。
依頼人「……アンタに話したいことがあるの。久しぶりに、二人で一緒に帰らない?」
標的「えっ……あ、うん、いいよ……」
夕暮れに伸びる、二つの影法師。
無言で二人は歩いていた。
一つの影はまっすぐ進み、もう一つの影はふらふらと、まっすぐ進む影に近づいたり、離れたりを繰り返している。
そして、まっすぐ進む影が止まり。
依頼人「あ、あのさ……」
もう一つの影も、立ち止まる。
標的「あ、あの私……」
刹那。
遠くから、空中に一つの線が走り。
影が、一つになった。
依頼人「……え、ちょっとアンタ、何……死んでる……誰か!誰か!!この子を助けて!!キュウサイよ、殺し屋キュウサイがアタシの友達を!!」
悲痛な声で叫ぶ依頼人を、ヒジリはスコープで捉えていた。
ヒジリ「……そこまで計算済みだったんですね。誰も依頼人さんのことを、疑わないように」
ヒジリは、その一言だけ残して、その場を去った。 - 18◆uorq7ead4s25/10/26(日) 23:18:34
依頼人への取り調べは、すぐに終わった。
無理もない。喧嘩していたとはいえ、自身の友人が、真横で殺されたのだから。
依頼人「ふふ、ははは……はははははははは!ざまぁないわ、あのクソ女!あー死んでせいせいした!!」
自室に帰ってきた依頼人は、一人自身の勝利を噛み締める。
依頼人「さて、と……。お、新しいモモフレンズのライブがあるの!?今のうちにチケット予約しとかないと……」
一日経って、二日経って。
標的のいなくなった日々を、依頼人は謳歌していた。
依頼人「ま、アイツ前々からちょっと重いというか、うざいところあったし丁度よかったわー」
また一日経って、二日経って。
依頼人「ね、アンタだったら……」
答えはない。沈黙だけが返ってきた。
依頼人「……そっか」
またまた一日経って、二日経って。
依頼人「……ねぇ、アタシさ、モモフレンズのライブチケット、当選したんだ。……だれか答えなさいよ、答えてよ!!……お願い、答えて」
とある夜。ヒジリは依頼人に呼び出されていた。
依頼人「……」
ヒジリ「依頼人さん、後悔なさっているんですか?貴女は彼女がいない世界を望んでいたはずなのに」
依頼人「……そのはずだったけど、やっぱりアタシ、アイツがいないとつまらないよ」
ヒジリ「そうですか」
依頼人「……ねぇ、キュウサイ。どうしてアタシ、アイツのこと殺しちゃったんだろ」
ヒジリ「貴女がそう望んだからです。それ以外に、何もありません」
依頼人「……ねぇ、アイツは恨んでるかな。アタシのこと。アイツさ、アタシに悪いことしたと思ってたらしくてさ……モモフレンズのライブチケット、新しく買ったんだってさ……。ねぇ、アタシホント馬鹿だよね。アタシのこと、大切だと思ってた友達……だったのに……なんで……なんで……」
ヒジリ「なら、どうするおつもりですか?そもそも、私を呼んだ理由は何ですか?……懺悔したければトリニティの懺悔室にでも行ってください」
依頼人「……こんなこと、こんなこと言えるわけないじゃない!誰にも、誰にもっ!!アタシのことを思っていた友達を、殺し屋を使って殺しましたなんて、誰にも言えないわよ!!」 - 19◆uorq7ead4s25/10/26(日) 23:35:12
依頼人「……アタシは、アタシはどうすればいいのよ……。もうわかんないのよ……」
ヒジリ「……なら」
依頼人「……なら?」
ヒジリは依頼人の胸倉を掴み、普段の姿からは想像できないような形相で依頼人に怒号を浴びせる。
ヒジリ「ならずっと苦しみ続けろ!お前自身の軽薄な行いを!!死ぬまで!!何がモモフレンズのライブチケット?ふざけるな、たかが紙切れ一枚のために、自己の都合の為だけに友達を殺したお前に、悲しむ権利なんかあるもんか!!」
依頼人「……ごめんなさい……ごめんなさい」
依頼人は絶えず涙を流し続け、無意識に手を組み、自らの罪を悔いていた。
ヒジリ「それはお前が許されたいが為の言葉か!!罪から逃れようとするための免罪符か!!お前の罪は許されない、お前が死ぬまで、殺されるまで!!それまで絶望を抱いたまま、生き続けるということが、人を殺すということなんだよ!!」
依頼人「……ごめんなさい……ごめんなさい」
ヒジリ「だから苦しめ!!お前如きの苦しみ程度で、殺した人間が浮かばれるわけがない、でもそれでも、罪悪を感じるというのなら、苦しみ続けろ!!苦しみから逃げるな!!お前の苦痛が、せめてもの殺した相手への敬意と、贖罪となるのだから!!」
息を荒げてヒジリは依頼人を罵倒し続ける。
依頼人の口からは、最早懺悔の言葉しか出てこなくなっていた。
ヒジリ「……っ、失礼しました」
そこまで言ってようやく、ヒジリは依頼人を解放した。
ヒジリ「……もうこれ以上連絡は取らないでおきましょう。二度と、貴女と私は会わない方がいい」
依頼人は返事を返すこともなく、ただすすり泣くだけであった。
ごめんなさい……。
貴女を殺して、ごめんなさい……。
どうか、どうか。
ずっと苦しみ続けるから。ずっと貴女を殺したことを忘れはしないから。
許してくれなくてもいいから、だから。
ごめんなさい……。
貴女を殺して、ごめんなさい……。 - 20◆uorq7ead4s25/10/26(日) 23:36:16
罪深い私を、どうか呪ってください。恨んでください。苦しめてください。
そしていつか、私に罰をください。 - 21◆uorq7ead4s25/10/26(日) 23:38:42
本日のSSは以上です。
依頼回数が9回目ですので、ヒジリの精神性と殺し屋の技術に変化があったようです。
・殺しに対する態度(小さいほど拒否反応大、大きいほど無沈着、ないしは悦を感じるレベル)
現在の値(48)
増加?減少?(1d2:1で増加、2で減少)
dice1d2=1 (1)
dice1d10=4 (4)
・依頼の成功率(増加のみ)
現在の値(51)
dice1d10=1 (1)
- 22◆uorq7ead4s25/10/27(月) 06:13:08
朝保守です
- 23二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 15:06:01
1だけか
- 24◆uorq7ead4s25/10/27(月) 20:43:52
- 25二次元好きの匿名さん25/10/27(月) 21:06:24
しかしこれ、アコ死亡の段階で先生首になってるんじゃないか・・・?
連邦生徒会もかばえんだろこれ・・・。 - 26二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 06:49:04
大変だなぁ
- 27二次元好きの匿名さん25/10/28(火) 16:46:26
ほしゅ
- 28◆uorq7ead4s25/10/28(火) 21:45:37
こんばんは。
それではまたSSを投稿していこうと思います。
今日のヒジリの依頼人は、いかにもな風貌をしたロボットであった。
依頼人「アンタが殺し屋キュウサイ?割とかわいい女の子なんだな」
ヒジリ「あはは、よく言われます。でも、腕は本物ですよ?」
依頼人「まぁな。アンタの噂は常々聞いているよ。噂じゃあ燃ゆる瞳のジャヴァを殺ったって話じゃないか。いやぁすげぇ!」
ヒジリ「いやそんなそんな、ただの噂じゃないですかー」
ヒジリ(ま、これは本当の話なんだけどね)
ヒジリ「それで、今回のご依頼というのは……」
依頼人「あぁ、コイツ。コイツを殺してきてくれ」
ヒジリは手渡された写真を確認するが、少しだけ首を傾げる。
ヒジリ「……うーん、ワイルドハントっぽい制服の方ですが、どなたですか?」
依頼人「ワイルドハント芸術学院、その寮監隊の副隊長、ヒロミ様だ」
ヒジリ「寮監隊……確かワイルドハント芸術学院の治安維持部隊でしたっけ?すいません、いかんせんあの学園自体、中に入るのも外に出るのも難しいので、あまり情報がなくって……」
依頼人「だろうな。あそこの校則の厳格さは有名だもんな」
ヒジリ「……で、なんで依頼人さんはなんでヒロミさんを殺してほしいんです?」
依頼人「これだよ、これ」
依頼人は粉の入った小さいポチ袋を、ヒジリの目の前にちらつかせる。
依頼人「キュウサイちゃんも一発キメとく?飛ぶよ?」
ヒジリ「い、いやー私はあんまりそういうの間に合ってますというかなんというかなので……」
依頼人「ノリが悪いなぁ。まあいいや。とにかく俺らとしてはもっと販売ルートの拡大をしたいわけなんだよ。そこで、あの厄介な寮監隊の指揮系統を崩せれば、俺たちはデカいビジネスチャンスを得られるってわけよ。もともとあいつら芸術家ってのは、コイツにはまりやすいって話だからな」
ヒジリ「は、はぁ……とりあえず、わかりました。依頼を引き受けましょう」
依頼人「よろしく頼んだぜー?」
依頼人が返った後、ヒジリはパソコンを立ち上げ、ワイルドハント芸術学院の情報を収集し始める。
ヒジリ「さて、と、どうしよっかな。自治区自体が一つの外壁でぐるっと囲われているわけだし、どうしても中に入る、となると関所は越えないといけないだろうし……うーん、うーん……」 - 29◆uorq7ead4s25/10/28(火) 22:18:24
今更ながらワイルドハントイベは何と両方ともスルーしております。
何をやっているんだ何を……
エアプワイルドハントをお楽しみください。
寮監隊生「ヒロミさん、今回の没収禁制品リストの集計、終わりました!チェックお願いします!」
ヒロミ「うん、ありがとう。目を通させてもらうよ」
ヒロミの机にはそうしてたくさんの寮監隊生から受け取った没収禁制品リストで、埋もれそうになっていた。
寮監隊生「あ、あの……本当にこの量捌ききれるんです?」
ヒロミ「心配には及ばないさ。これでも、以前より量は減っているからね」
寮監隊生「えっ?こ、これで減っているんですか!?」
ヒロミ「あぁ。以前は2撤してようやく終わっていたが、今は1撤でなんとかなっているからな。久しぶりにゆっくり寝れるんだ、ははははは」
寮監隊生(それは本当にゆっくり寝れてるって言えるんだろうか……よく見たら隈凄いし……)
寮監隊生「そ、それにしてもなんででしょうね。以前より量が増えるならまだしも、減るっていうのは珍しいような……」
ヒロミ「あぁ、それか……それなんだがね」
ふと、ヒロミの顔が暗くなる。
ヒロミ「……君は、殺し屋キュウサイを知っているか?」
寮監隊生「殺し屋キュウサイ……!はい、今キヴォトスを恐怖のどん底に叩き落している、殺し屋ですよね?」
ヒロミ「私は、そのキュウサイが原因じゃないかと思っているんだよ」
寮監隊生「……どういうことです?」
ヒロミ「誰かの恨みを買えば、もしかしたら誰かがキュウサイを雇って殺しに来るかもしれない……。寮監隊の恨みを買えば、寮監隊がキュウサイを雇って殺してくる……。そんな負の抑止力が働いている、そう思うんだ。現に、ワイルドハントの外でも以前と比べて犯罪率が低くなった、という話は聞いていてね」
寮監隊生「……私達の仕事が減る分には、いいんじゃないんですか?」
ヒロミ「……君はそう思うのかい?見てみるといい。殺し屋キュウサイが現れてからの芸術品の質は格段に落ちている。みんなキュウサイに怯えて、恐怖して、インスピレーションが無くなっているんだ……」
寮監隊生「そんな……」 - 30二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 01:25:00
- 31◆uorq7ead4s25/10/29(水) 07:28:16
うわぁぁぁぁぁん!もうおしまいですー!!
SS書いてる途中で寝落ちして、さらに早朝投稿しようと思ったら自宅アクセスポイントがホスト規制かかってました!!
今日帰って投稿できなかったらもうこのスレもおしまいですー!! - 32◆uorq7ead4s25/10/29(水) 07:30:46
今はなんか奇跡的に書き込めてますけど、多分お昼にはまた書き込めなくなってますー!
- 33二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 08:29:00
- 34二次元好きの匿名さん25/10/29(水) 17:18:28
一応保守しておこう・・
- 35◆uorq7ead4s25/10/29(水) 21:23:32
やったぜ。
普通に書き込めます!
それでは続きです。ホスト規制がまたかかる前にさっさと書きますか。
ヒロミ「……それに、殺し屋キュウサイとはまた別件だが、没収禁制品の中に紛れて、とんでもないものが学内に持ち込まれようとしていたんだ」
ヒロミは机の戸棚から、小袋に入った粉を見せる。
寮監隊生「……これは?」
ヒロミ「違法薬物だよ。……ワイルドハントの中に、こんなものを欲しがる生徒がいること自体がショックだが、これを流通させようとしている奴がいるのも確かだ」
寮監隊生「噓でしょ……違法薬物だなんて、こんなの、こんなの!」
ヒロミ「……君の憤り通り、こんなものを私達のワイルドハントに蔓延らせてはいけない。……すまないね。少し長話をしてしまった」
寮監隊生「いえ、もっと寮監隊としての仕事を頑張ろうと思えました。有難うございます!」
ヒロミ「そうか、それならよかった。私も話した甲斐があったというものだ。……あと、違法薬物の件は」
寮監隊生「……内密に、ですね」
ヒロミ「助かるよ。……今後ともよろしく頼むよ」
そうして二人が談笑している中、唐突に放送が。
「緊急!緊急です!!現在自治区内にて、殺し屋キュウサイらしき姿を目撃したとの情報が入りました!至急、全生徒は身の安全を最優先し、単独行動はしないでください!!繰り返します!緊急、緊急……」
ヒロミ「……なんだって?」
寮監隊生「ひ、ヒロミさん……」
ヒロミ「大丈夫、落ち着こう……。ここで一番の悪手は、取り乱してパニックになってしまうことだ……。一旦、検問官を除いて、寮監隊の全生徒を集結させよう。殺し屋キュウサイに、ワイルドハントは壊させやしない……!」 - 36◆uorq7ead4s25/10/29(水) 21:43:40
ヒロミの号令の下、全寮監隊生が一か所に集合した。
ヒロミ「寮監隊長からの命が出た、我々はこのまま殺し屋キュウサイの捕縛を狙う!いいか、発見しても決して一人では戦うな!最優先は君たちの命であることを忘れるな!」
寮監隊生達「はい!!!」
かくして寮監隊による、殺し屋キュウサイの捕縛作戦が始まった。
最低でも5人から構成される複数の小隊が、目撃情報のあった場所を中心に、ワイルドハント自治区をくまなく捜索する。
寮監隊を指揮するヒロミ自身も前線に立ち、殺し屋キュウサイを捕縛せんと行動する。
ヒロミの小隊は計8名おり、入り組んだ裏路地をツーマンセルで探索していた。
ヒロミ「殺し屋キュウサイめ……ワイルドハントの生徒は、私が守ってみせる」
寮監隊生「……それにしても、殺し屋キュウサイの目的は何でしょう」
ヒロミ「それは、当然殺しの依頼の遂行だろうよ。……何せ彼女は金に目の眩んだ殺し屋、人を殺して……金を得たいのさ」
寮監隊生「ええと、それはそうなんですけど、そうじゃなくって。……そんなプロの殺し屋なキュウサイが、なんでわざわざ見つかるように行動したのかなって……」
ヒロミ「……ふむ、それは我々寮監隊の優秀な検問官がいたから発見できたのでは?」
寮監隊生「優秀な、ですか。……それでも見落としてしまったり、色々な手練手管で隠してくると思うんですよ。もしくは、割と力業で」
ヒロミ「そうなってしまったら、確かにどうしようもないな。……それにしても君、いやに殺し屋キュウサイのことについて詳しいというか。というかここはどこだ?」
気付けば、ヒロミは入り組んだ裏路地の奥、光の入らないような場所に、寮監隊生との二人きりで取り残されていた。
寮監隊生「えぇ。詳しいですよ」
ヒジリ「だって、本人ですもん」
私の目の前には、変装を解いたであろう、真っ赤な血の色のような髪をした殺し屋キュウサイが立っていた。
……気付けば、人気の少ない裏路地へと誘い込まれていた。いつ?いつから私は……殺し屋キュウサイに騙されていたんだ。
「あ、あぁ……」
思わず、腰がすくんで動けなくなってしまう。
ずっと、私の喉元にナイフは突き立てられていたのだ。
いつでも、私は殺せていた。
怪しく揺らめく死神の笑顔が、言葉はなくともそう告げていた。
私は殺される……怖い……。 - 37◆uorq7ead4s25/10/29(水) 22:14:06
誰か助けて。
そんな簡単な言葉も、喉から出ない。
身体が怯え切って、息をするだけで精一杯だった……。
ヒジリ「あらら、私ってそんなに怖く見えます?安心してくださいよ、取って食ったりしませんから。ただ、貴女を殺すだけです」
私は、死ぬのか。
色んな事が頭を過る。これが噂に聞く走馬灯という奴だろうか。
自らの書きかけの小説、寮監隊のこと、先生のこと……。
死にたくない、私にはもっとやりたいことがいっぱいあるのに。
助けてほしい、けれども私の体は動かない。
動け、動けといくら思っても……。
ヒジリ「それでは。今度はどうか、私のいない世界で生きてくださいね」
"そこまでだ!殺し屋キュウサイ!"
この声は。
聞いたことのある、私が一番信頼できる人……信頼できる大人……
「せん……せ……い……」
ゆっくりと顔を向けたとたん、何故か涙が止まらなかった……。
ヒジリ「おやおや、早かったですね、黒幕さん。いえ、もう先生とお呼びするべきでしょうか」
先生"ヒロミから離れろ。今すぐに"
ヒジリ「……そんな死にかけの顔で、睨まないでくださいよ」
先生の顔は、やつれにやつれ切って憔悴し、目は充血して濃い隈ができていた。
一人では立つのもままならないのか、ミリアに肩を借りて辛うじて立てている状態であった。
そんな先生の目はギョロりとヒジリを凝視し、離さなかった。
先生の前に、まるで盾にでもなるかのように、数人の寮監隊生がヒジリに銃を突きつけていた。
ヒジリ「……でもまぁ、分が悪いですね」
ヒジリはヒロミに構えていたSMGを下ろし、先生に向き合う。 - 38◆uorq7ead4s25/10/29(水) 22:35:01
ヒジリ「一つ聞きます。……どうしてここに来れたんです?」
先生"一つはあらかじめ、今回のような事態が起こると想定し、ワイルドハントでお前が犯行を起こしそうなポイントを絞っていたこと。もう一つは、ミリアのお陰だよ"
ミリア「私の前で変装、という手段を用いたということ自体が間違いだったのですよ」
ヒジリ「騒ぎを起こして、その混乱に乗じて仕事をこなすつもりでしたが……まさかそこまで予見していたとは、お見事ですね」
先生"さぁ、どうする……。私は既に増援を呼んでいる。これ以上抵抗しても、お前は傷つくだけだ"
ヒジリ「そうですねぇ。……生憎ですが、私は捕まる気はないんですよね」
ヒジリは再び笑顔を見せると、ポーチから何かを取り出そうとする。
寮監隊生「動くな!それ以上動けば撃つ!」
ヒジリ「そんなこと言っても、動かないと逃げられないじゃ……ないですか!」
寮監隊生「んなっ、フラッシュバンか!」
ヒジリ「いいえ、残念ながら……」
ミリア「……!先生、危ない!」
ヒジリ「普通の爆弾です」
瞬間、爆風と轟音が裏路地一帯を囲い、周囲数メートルを吹き飛ばした。
幸い、市販されている普通の爆弾であったためか、ヒロミやミリア、先生は無事だった。
しかし、その間に殺し屋キュウサイは姿を消していた。
ミリア「まだそこまで遠くには行っていないはず。検問を強化し、絶対にワイルドハントから逃がさないで……!」
先生"……クソっ!!"
ミリア「……先生、大丈夫?」
先生"あぁ……ミリア……とにかく今はキュウサイを逃がさないことが先決だ。……彼女には、聞かなければいけないことが、たくさんあるからね"
ミリア「わかりました。……それと、ヒロミさん、動けますか」
ヒロミ「……すまない、もう、暫く……動けそうにない」
ミリア「無理もありませんね。爆心から近かったのもありますし……さぞ怖い思いをされたことでしょうし」
しかし、寮監隊の必死の捜索にもかかわらず、殺し屋キュウサイの痕跡は見つけることができなかった。 - 39◆uorq7ead4s25/10/29(水) 23:07:59
数時間後、ワイルドハントの教室の一角で、寮監隊の作戦会議が始まっていた。
寮監隊生A「おい、検問所の連中は何やってるんだ!」
寮監隊生B「検問所の通行記録、確認しているけど殺し屋キュウサイの目撃情報が出てから、一つも入れた記録も出した記録もないって!」
寮監隊生C「じゃあ殺し屋キュウサイはどこに消えたんだよ!」
寮監隊生D「……まさか、まだワイルドハントに潜んでいたりするのか?」
先生"いいや、それはないよ。……過去の事例でしかないけれど、殺し屋キュウサイは一度殺しに失敗したら、警戒してもうターゲットを狙うことはないみたいなんだ。"
ヒロミ「……ということはもうワイルドハントの中で殺しは起きない、ということか?」
ミリア「念のため、学内の皆さんにはしばらく登校自粛を呼びかけた方がよさそうですね。……それにしても、仮にすでに外に出ているとしたら」
先生"……待った。君、さっき殺し屋キュウサイの目撃情報が出てから、一つも入れた記録も出した記録もないって言ってたよね?"
寮監隊生B「は、はい!殺し屋キュウサイの目撃情報があったのがこの時間で、それ以降の記録は一切ありません」
先生"やり取りが発生していなかったのではなくて、記録そのものが抹消されていたら……?"
ヒロミ「そんな……!検問所での記録については検問官全員の義務であり、記録は重要機密として保管されているんですよ!?手出しするなんて……」
先生"……殺し屋キュウサイなら、そうかもしれない。私もこんな簡単なことに気付かないなんて、相当疲れていたみたいだな……"
先生"殺し屋キュウサイには、協力者がいる可能性が高い。それも、かなり大きな権力を持った、ね"
ヒジリ「あーあ、今回の依頼は失敗しちゃいましたかー……」
スミス「ワイへの借金が追加になったみたいやな」
ヒジリ「わかってますよ……」
スミス「ま、今後も仰山稼いで、とっととワイへの借金返すんやでー」
先生(それと、これは絶対に言えないことではあるけど……。あの殺し屋キュウサイは、何故……。)
何故あんなにも悲しそうに、笑っていたんだろうか。 - 40◆uorq7ead4s25/10/29(水) 23:14:41
今回のSSは以上です。
色々とご心配をおかけしました。
さて、本格的にヒジリの存在が先生にばれてしまいました。
依頼に失敗すれば、尻尾が出てシャーレに捕縛されることになるかもしれません。
よって、今更かもしれませんが、依頼が失敗した場合には追加でダイスを振り、シャーレから逃げきれるかどうか、を判定したいと思います。
まず、シャーレからの逃走初期値を決めたいと思います。
流石にあれほど派手にやっているんです。+30の下駄を履かせたいと思います。
dice1d100=14 (14)
依頼に失敗した場合は、シャーレの逃走ダイスを振り、もし仮に逃走に失敗した場合(逃走値より小さい値)となった場合には、シャーレに捕縛されてしまうことでしょう。
逃走値は、依頼に失敗した場合に+1d10の値だけ増加することとします。
- 41◆uorq7ead4s25/10/29(水) 23:18:04
では、今日の最後に明後日投稿分の依頼について、ダイスを振りたいと思います。
この依頼が終わったら以前もお話ししていたように、安価で色々決めたいと思います。
依頼人
1ならモブ、2ならネームド dice1d2=1 (1)
モブの場合(1:ロボット、2:獣人、3:生徒) dice1d3=2 (2)
ネームドの場合 dice1d200=100 (100)
標的
1ならモブ、2ならネームド dice1d2=2 (2)
モブの場合(1:ロボット、2:獣人、3:生徒) dice1d3=1 (1)
ネームドの場合 dice1d200=23 (23)
殺し方
1ならすぐに、2ならなぶり殺し dice1d2=2 (2)
依頼の成功・失敗(52以下で成功)
dice1d100=46 (46)
- 42◆uorq7ead4s25/10/30(木) 07:50:32
保守です
- 43二次元好きの匿名さん25/10/30(木) 17:02:51
結構好き
- 44二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 01:20:42
保守
- 45◆uorq7ead4s25/10/31(金) 07:30:25
保守ありがとうございます
……ところで、閲覧注意つけといて今更ですが、リョナ系のエ駄死って普通に書いていいものなんでしょうか?
なんか次回の内容がそんな感じになりそうですので - 46二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 11:07:03
- 47二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 11:19:34
- 48二次元好きの匿名さん25/10/31(金) 16:10:41
- 49二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 01:41:07
- 50二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 08:31:39
- 51◆uorq7ead4s25/11/01(土) 14:41:23
こんにちは
ホスト規制でずっと書き込めなかったので今からSS投稿します皆さんが気になってることはSSの後でお答えします
依頼人「ほっほっほ。君が殺し屋キュウサイ君かね。今回はよろしく頼んだよ」
豪華な着物を着た依頼人さんの声自体は、優しいおじいちゃんだという印象を受けた。
でも、目は。焦点の合わない、けれど此方をじっくりと凝視する目は。
私は知っている。
あれは人の苦しむ姿を、死を悦びとするタイプの人間が見せる目だ。
……初めて「嬲り殺してほしい」と要望を受けた時の依頼人が見せた目と、同じだった。
「は、はい。それでは、依頼対象はどなたですか?」
依頼人「この子じゃよ、可愛いじゃろう?」
依頼人さんはまるで孫の話でもするかのように、一枚の写真を差し出した。
そこには、小柄な和装の少女が、可愛く笑っている姿があった。
「百鬼夜行、のお方ですか?」
依頼人「そうじゃ。修行部、というところに所属している勇美カエデちゃんという子じゃ。可愛かろう?」
薄っすらと、嫌な予感がしてくる。
「そ、そうですねー、可愛い子ですねー」
依頼人「今回はこの子を君に殺してもらいたいのじゃ。ただし、一度拉致してもらった上で、儂の指示のもと、殺してもらいたい」
「……それでー、どうしてこの子を?とても可愛い子じゃないですか、どうして?」
依頼人「どうして、と。可愛いからじゃよ?」
あー……。やっぱりか……。
嫌な予感は、的中してしまった。
依頼人「あの子にはな、儂が百鬼夜行に赴いた際にの、親切にしてもらったんじゃ。それ以来、儂はあの子のファンでのぉ……。ずっと、ずっと見たかったんじゃ……あの子の泣き叫ぶ声が、苦痛に歪んだ顔が」
「……あの、輪っか砕きにはそこそこお金が」
依頼人「お金?あぁ、なんじゃそんなことか。何なら言い値でよいぞ?」
「……なら、このくらいで、いかがです?」
あえて、通常の相場じゃ考えられない値段を吹っかけてみる。
……これで折れて
依頼人「なんじゃ、このくらいでいいのか?」
くれなかったか……。 - 52◆uorq7ead4s25/11/01(土) 14:42:52
依頼人「キュウサイ君、依頼を引き受けてはくれぬのか?」
「……わかりました、引き受けます」
断れなかった。
あの時、初めて殺しの要望を受けた時も、自身の要望にそぐわなかったから、依頼人から相当な報復を受けたことを思い出す。
……あの時の苦しみ、痛み、屈辱。
忘れたくても、忘れられない忌避感……。
断ったら、きっと私が……。
そして今、私は百鬼夜行の自治区にいる。
ミモリ「皆さん、今日のお昼ご飯は何にしましょうか?」
ツバキ「ふあぁ~……ミモリのご飯なら何でも美味しいから、ミモリのお任せにしようかな?」
カエデ「それじゃあカレーでもいい?なんかカレーの気分なんだ!」
ミモリ「ふふ、カエデちゃんがそう言うのなら、カレーを作りましょうか」
カエデ「わーい!やったぁ!」
……正直、輪っか砕きは嫌いだ。
依頼だから、断るわけにはいかないけど。
それでも、ヘイローを持つ人間は、ロボットや獣人よりも頑丈だ。
だから、苦しむ時間が……悲痛な叫びを聞く時間が、長い。
これが私の受け入れるべき罪であり、罰であることはわかっている。
でも、それでも、あの苦痛に歪む顔を見るのは……辛い。
カエデ「カレー、カレー、ミモリ先輩のカレー!」
ミモリ「それでは、買い出しに出かけましょうか」
カエデ「はーい!」
ごめんなさい、とは言えない。
だからせめて、恨んでくれと言わせて、勇美カエデさん……。 - 53◆uorq7ead4s25/11/01(土) 14:43:57
買い出し先の店舗にて、私は店員に変装して待ち構える。
……ご丁寧に、これは依頼人さんの仕込みだった。
確実に拉致できるように……。
カエデ「あっ……ミモリ先輩、ツバキ先輩、ちょっとこっち見に行ってもいい?ムシクイーンの新弾が売ってる!」
ミモリ「買いすぎは駄目ですよー」
カエデ「はーいっ!」
彼女が近づいたタイミングで……背後から……。
カエデ「ムシクイーンの新弾、どこでも売り切れだからこんなところで見つけるなんてラッキー!それにしてもこのお店、カードなんて前から売ってたっけ?」
うなじに睡眠薬を流し入れる。
そのまま、勇美カエデさんはすとんと眠りに落ちる。
音をたてないように抱きかかえて、バックヤードの段ボールに隠して、気付かれないように依頼人さんが手配したトラックの中に入れる。
とある暗い部屋に、ぽつんと置かれた白いベッド。
そこに寝かされた勇美カエデさんに、手枷と足枷をはめる。
依頼人「ほっほっほ、よくやってくれたよ。それでは、録画を始めてくれ。後はただ、儂の指示に従ってくれればいい」
耳元のイヤホンから、依頼人の指示が聞こえてくる。私は指示通りに、ビデオカメラの録画ボタンを押す。
依頼人「それでは、目を覚まさせてくれ。あと、これからはしゃべらないでおいてくれ。ただ彼女の悲鳴だけを楽しみたいからな……」
用意されていた、水の入ったバケツをぶちまける。
カエデ「……ん、ん?あ、あれ?こ、ここどこ?と、というか、なにこれ!?」
手枷、足枷もされて、知らないところで目を覚ましたんだ。混乱するのも無理はない。
依頼人「それでは、彼女の服を脱がせてあげなさい」
……あぁ、この人は。命だけでなく。
勇美カエデさんの尊厳すらも無くすつもりなんだ……。
私は、無言で勇美カエデさんの服を脱がし始める。
カエデ「ち、ちょっとあなた!なんで私の服を脱がそうとしているの!?や、やめてよ!レディーの服をそんなに強引に、脱がさないで!」
勇美カエデさんはもがくものの、手足を拘束されている状態だったから、脱がすのは簡単だった。 - 54◆uorq7ead4s25/11/01(土) 14:45:16
傷一つない柔肌が、冷たく暗い外気に晒される。
カエデ「うー……脱がされちゃった……」
勇美カエデさんは顔を膨れさせながら、少し怒っているようだった。
依頼人「やはりいいな……穢れを知らない少女の恥じらう顔というのは……。さて、では一番上の道具を取ってくれ」
依頼人さんが用意した道具は、三段ラックに置かれていることは、事前に聞いていた。
でも、どんな道具を用意されているのかは、知らなかった。
……一番上の道具は、裁縫道具の待ち針を大きくしたようなものであった。
これで、何をするつもり……?
依頼人「それを彼女の胸に刺してあげなさい」
最初から、とんでもない要求だった……。
暫く、頭の中がぐるぐるして、何も考えられなくなる。
今更?今更躊躇うの?
嫌だ、こんなことしたくない。
それをして私は許されたいの?
もう止まれない……。
依頼人「早く、してくれないか」
……冷たい、氷のような声に、私は意識を取り戻す。いや、意識を取り戻された。
カエデ「……え、なにそれ……。まって、やめて、やめて!いやだ、お願いだからやめて!」
彼女の豊かな左側の膨らみに、針を、一気に刺す。
カエデ「あああああああああああああっ!!!!!!!!!いだいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
依頼人「ほら、その針は一本だけじゃない。もっと刺してあげなさい」
勇美カエデさんは私の手を振りほどこうとするけれど、手枷をされた彼女はあまりにも無力で……
カエデ「ああああああっ!!!!!あああああああっ!!!!!!いぎゃあああああああっ!!!!!」
もう一本、もう一本と刺していく……。
あれ程綺麗だった勇美カエデさんの胸は、見るも無残に赤く染まっていく。 - 55◆uorq7ead4s25/11/01(土) 14:53:10
そして最後の一本を刺しきったとき、勇美カエデさんの声はガラガラになりきり、元々の面影を残さなかった……。
カエデ「やだ……もういたいの……やだ……たすけて……せんぱい……せんせい……」
ぽろぽろと涙が目から零れていた。
血が豊かな双丘に当たって、血と混じってベッドへと垂れていた。
白かったベッドは、既に赤く染まっていた。
依頼人「……滾るのぉ。さて、次に行ってくれ。二段目の道具じゃ」
二段目の道具を手に取って見てみる。
……あまり私は知らないけれど、それが女性の秘部にあてがうものだということは知っていた。
但し、陰核にあてがうと思われるところには、目の粗いヤスリがついていた。
依頼人「それを彼女に挿れてあげなさい」
……耳を澄ますと、汚らしい水温が聞こえてきた。
もう、想像もしたくない……。 - 56◆uorq7ead4s25/11/01(土) 15:36:12
もうこの時から、私は考えることをやめていたと思う……。
カエデ「な、なにそれ……?やめて、もういたいことはやめて!おねがい、おねがいっ!」
勇美カエデさんの秘部に、それをあてがい、無理矢理突っ込む。
ぶち、ぶちと何か不快な音をたてながら、秘部から血が流れ出る。
カエデ「やめてっ……ひぎっ……もう……やめて……そこ……おしっこ……でるところ……」
依頼人「……いいなぁ、次はそれで責めてあげなさい」
指が、バイブレーションをオンにするスイッチに延びる。
カエデ「な、何……何をする気……?」
スイッチを入れると、彼女の膣奥をプラスチックが蹂躙し、陰核を削る。
カエデ「な、なに……!?あがっ!おごっ!……ひぎぎっ!!」
絶頂なのか、はたまた痛みからの身悶えなのか。
勇美カエデさんは腰を浮かせてくねくねと蠢く。
カエデ「やめてっ!やめてっ!おしっこできなくなっちゃうから!だからやめてっ!」
そして。
彼女は血の混じった尿を噴き出して、気を失ってしまった。 - 57◆uorq7ead4s25/11/01(土) 15:57:09
依頼人「おや、伸びてしまったかの。仕方ないのぉ、また目を覚まさせてあげなさい」
またバケツに水を汲み、再び水をぶちまける。
カエデ「……」
目覚めた勇美カエデさんは、もはや言葉すら発さなかった。
虚ろな目をして、虚空をただ見つめていた……
依頼人「少し早いが、締めにするとしよう。最後の段の道具を取るんだ」
……最後の道具。
私が彼女を、殺すであろう道具。
それは……
依頼人「ほれ、その電気ノコギリで彼女の首を断ってくれ」
いともさらっと、依頼人さんはその一言を告げた……。
電気ノコギリを手に取る。
冷たいその金属のボディが、彼女を殺せと告げている。
私は、電気ノコギリを手に取って、彼女に近づく。
もう、勇美カエデさんは、抵抗すらしない。
上に覆いかぶさって、電気ノコギリを首元に当てる。
……彼女の目線だけが、こちらに向いていた。
光をなくした瞳が、こっちを向いていた。
ただただ、もう受け入れていた。
……やめて。
そんな、憐れみの目で、私を、見ないで……。 - 58◆uorq7ead4s25/11/01(土) 16:01:45
電気ノコギリのスイッチを入れる。
無機質なモーター音が室内に鳴り、ゆっくりと、彼女の首元に触れる。
モーター音が肉を抉る音に変わる。
彼女の掠れていたはずの声が、また張り上げられる。
……いくら力をかけても、首は切れはしない。
骨まで刃が達する、それでも、叫び声は止まらない。
そして。どれだけ力をかけてたであろうか。
……私の意識が再び覚醒したのは、ベッドに彼女の生首がごろんと転がったときだった。 - 59◆uorq7ead4s25/11/01(土) 16:09:24
私はその場にへたり込む。
ふと、肩に手が置かれた感覚があった。
依頼人「いやぁ、よくやってくれたよ、殺し屋キュウサイ。ほれ、これはチップだ」
そう言われて渡された札束すら、私は受け取る気になれなかった。
依頼人「チップを受け取ったら、とっとと出ていってくれんかね?……年甲斐もなく、もう、収まりがつかんのじゃ」
……依頼人さんの股間部が膨れていた。
もう、この後のことは、考えたくなかった。
私はそそくさと、その場を逃げるように後にした…。
その晩、私は眠れなかった。
眠ろうとして瞼を閉じるけど……、閉じた瞬間にあの時のことを思い出して……
「ううっぷ……おええええっ……」
胃からせり上がるものを、耐えることが出来なかった…… - 60◆uorq7ead4s25/11/01(土) 16:14:21
SSは以上です
>>47 について
スレタイトルにもあるように、一応殺し描写を含む内容については警告しておりましたが、エ駄死な内容については警告しておりませんでした、なので念の為、確認させて頂きました。
当初考えていた点としては「殺しが御法度であるキヴォトスにおいて、殺しを行う殺し屋がいたらどうか」という発想の元、SSを投稿しようと思っていました。
しかし最近のテーマとしては「罪と罰」が挙げられると思います。
過去殺めたキャラクターについての深掘りはしたいとは考えていますが、私の文才とダイス次第になりますので、正直なところ描写できるかどうかは分かりません(構想自体はあります)
とはいえ、以前も言ったかもですが救災ヒジリの物語を終えるまでは、投稿を止めるつもりはありません。
しかし、ホスト規制には勝てないので……保守されなくなってしまったらその時はその時だと、考えております
- 61◆uorq7ead4s25/11/01(土) 19:25:28
- 62二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 01:07:40
オエッ…
こいつ…俺らの想像を軽々と超えやがった…
読んだのが空腹時じゃなかったら大惨事になってたろうな… - 63二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 11:03:37
最後まで見届けるよー
- 64二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 20:00:18
頼んだ
- 65二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 20:01:19
行方不明になった生徒の友人とか姉とか妹とか(身バレ防止のため互いを仮名で呼ぶ)。
- 66二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 20:02:19
前回の依頼人。
……何の獣人だっけ? - 67二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 21:35:59
!?
- 68二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 22:38:02
どうなる・・・・?
- 69二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 22:39:53
wkwk
- 70二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 22:41:52
霊感持ちの依頼人が友人に良からぬ事が起きたと悟り、調べたところ「似通った人物像の生徒が何人も前触れ無しに消息を絶っている事」「後の発起人が部活仲間or趣味仲間をいやらしい目で眺める老人を目撃した事」「その老人の黒い噂」を突き止めたので、真相を問い質し犯人あるいはその一味なら仇を討たんとしている。
- 71二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 22:43:28
密室にて錆びた斧(救災ヒジリの配慮により、思い出す頻度を下げるべく敢えて日常離れした凶器をチョイス)で1人1回ずつ首から下へ打ち下ろし、それが済んだ後に姿を現した救災ヒジリが標的の私物の電動鋸で(憂さ晴らしも兼ねてわざと前回より時間をかけ)首を断つ。
ついでに、惨殺道具や犠牲者の死体の隠し場所などといった動かぬ証拠を公表し、弁明の余地すら与えず社会的にも殺す。 - 72二次元好きの匿名さん25/11/02(日) 22:45:38
このレスは削除されています
- 73二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 07:35:21
【朗?報】さすがに落ちてるかと思ったらなんかすごいプロットが来てた
- 74二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 12:21:48
- 75◆uorq7ead4s25/11/03(月) 12:57:55
安価どうもです
それでは、成功と失敗を決めてから、SSを投稿させてもらいます
依頼の成功・失敗(52以下で成功)
dice1d100=21 (21)
- 76◆uorq7ead4s25/11/03(月) 14:07:23
…勇美カエデを殺した翌日、よく眠れずまだあの気持ち悪さを引き摺っていたその時に、またも依頼が飛び込んできた。
ヒジリ「……あー」
依頼人「あの、殺し屋キュウサイさん?だ、大丈夫ですか?」
ヒジリ「あ、あのすいません!いえいえお気になさらず!いやぁ昨日ちょーっと夜更かししちゃって……あはははごめんなさい」
依頼人「そ、そうですか……」
あの悪名高い殺し屋キュウサイも、夜更かしとかするんだ……という依頼人の小声を、ヒジリは聞き逃さなかった。
ヒジリ(殺し屋だって……いや殺し屋だからこそ……夜更かしとかはするんだけどなー……。それに昨日のやつは……やめとこう。思い出すだけで気分が……)
依頼人「えっと、それでですね、依頼の話をさせてください」
ヒジリ「そうですね、はい。そうしましょう(……うん、切り替えていかないと)……それで、貴女のようなお方がどのようなご用件でしょうか?お言葉ですが、人を殺すようなお方には見えないと、言いますか……」
依頼人「……はい。私も、殺し屋さんに依頼をするのは初めてです。……どこから話をすればいいのやら。殺し屋キュウサイさんは、霊感って信じますか?」
ヒジリ「れ、霊感ですか?」
依頼人「突拍子もない話なのは分かります。……そうですね、貴女、最近人を殺しましたか?服装から見て、百鬼夜行の子かな……?その子が生首を抱えて貴女のことを見ています」
ヒジリ「……ノーコメントで、と言いたいところですが。一つ聞かせてもらえますか?その子、どんな表情をなさってます?」
依頼人「うーん……何て言うんでしょう。心配そうな表情をしていますね」
ヒジリ「……そうですか。ひとまず、霊感があることは信じましょうか」
依頼人「否定、なさらないんですね。……まぁいいでしょう。殺し屋キュウサイさんは、それがお仕事ですし、私はそのお仕事をお願いしに来たんですから」
ヒジリ「それで、その霊感がどうしたんですか?」
依頼人「……この写真は、私の友人、仮にここではユイと呼びましょうか。ユイはとてもいい子でした」
差し出された写真には、活発そうで小柄な少女が写されていた。
それは、昨日ヒジリが殺した、勇美カエデと似た雰囲気を持つ少女であった。
依頼人「しかし、数日前から連絡がとれなくなりました。……その上、私には霊感でわかるんです。ユイはもう、この世にはいないことが……」 - 77◆uorq7ead4s25/11/03(月) 14:09:53
ヒジリ「そういうこと、ですか……」
依頼人「はい。気になった私は調査を始めました。……そしたら、ユイ以外にも、ユイと似たような子が何人も前触れなしに消息を絶っていることが分かったんです」
ヒジリ「……まさか」
依頼人「そのまさか、です。これは偶然ではないんです」
そうして依頼人が差し出した写真には、顎髭を蓄えた犬の獣人(犬種で言えばヨークシャーテリアであろうか)が写っていた。
そしてその人物は。
ヒジリ「……!」
昨日の依頼人、その人であった。
依頼人「そして、行方不明になった子たちの友人に話を聞いたところ……行方不明になった子たちは必ずこのご老人と出会っているんです。そしてその時、ご老人が妙な目つきで見ていたと、聞いています」
ヒジリ「私にこのご老人を殺してほしい、ということでいいですね?」
依頼人「確かに、それもあるんですけど……私は真実が知りたいんです。……わがままを言っていることはわかっています。ですけど、真実を問いただした上で、奴を殺してほしいんです。そしてもう一つ。もしも奴が黒なら、奴を社会的にも抹殺してほしいんです……。そうでもしないと、きっとユイは安らかに眠ってくれないから……!」
ヒジリ「……わかりました。それなら、私からもわがままを一つ言ってもいいですか?」 - 78◆uorq7ead4s25/11/03(月) 14:13:02
依頼人「殺し屋さんからのお願い、ですか。どんな怖いことなんでしょうね?」
ヒジリ「そんなに私、酷い人に見えます……?」
依頼人「……冗談ですよ。殺し屋さん、意外と可愛いんでつい揶揄っちゃいました」
ヒジリ「ちょっと……!そうやって揶揄っていると、本当に殺しちゃいますよ!?がおー、がおーっ!」
依頼人「すいません……いや、あはははは……こんなに笑ったの、久しぶりだな……」
ヒジリ「……あはは。はははっ!あー……私も久しぶりに笑った気がします。……それでは、お願い聞いてもらってもいいですか?」
依頼人「はい、私にできることだったら」
ヒジリ「標的に殺されたであろう被害者のお友達を集めてきてもらえますか?」
依頼人「え、そんなことでいいんですか?」
ヒジリ「えぇ。……きっと依頼人さんと同じ考えを持っている人たちは、いっぱいいるでしょうから……。そして、私の準備ができたら、指定する場所まで一緒に来てほしいんです」
依頼人「……わかりました。殺し屋さん、どうかお願いします」
ヒジリ「それでは、依頼は承りました。……連絡が来るまで、しばらくお待ちください」 - 79◆uorq7ead4s25/11/03(月) 17:07:13
依頼人が帰った後、ヒジリはさっそく行動を開始した。
ヒジリ「うーん……拉致する手立てなら思いつくんだけどなぁ……。問題は社会的な抹殺だなぁ……」
ヒジリは探偵ではない。
殺しの為の情報収集は得意でも、それ以外の情報となると話は別だった。
ガン・スミスから情報を買うにしても、まだ借金がある状態だったから、情報を買うわけにはいかなかった。
だからまたも、地道な情報収集をするしかなかった。
ヒジリは会社の清掃員に変装し、標的が運営しているとある大企業のオフィスへと潜り込んでいた。
会社のあちこちには標的の獣人の肖像画が飾られ、いかにもなブラック企業の社訓があちこちに書かれていた。
ヒジリ(うーわ、こりゃ酷いなぁ……。名だたるあの大企業の実態がこれじゃあ、色々と黒い噂が流れててもおかしくないだろうな……。とはいえ、ただのブラック企業ってだけだったら、キヴォトスではさほど珍しくないもんなー……)
殺風景なオフィスにそぐわない、入り口の扉ですら豪華な装飾が施された部屋が、一つ。
ヒジリ(会長室……ここしかないか……)
しかし、入り口だけで数々の監視カメラに見張られており、容易に入ることができなくなっていた。
ヒジリ(……どうしようもないな。流石にそう簡単に入れるわけじゃないかー。見たところ、入るのにもただの鍵じゃなくて特殊なロックがかかってるみたいだ……限られた人しか入れない……となると、どうしよっかな)
考え込んでいても仕方ない、とヒジリは掃除をするフリをしながら、その場を去った。
ヒジリ「さーて、今日の戦果はっと……。うーん、とりあえず余裕でキヴォトスの労働基準を超えた労働を強いていることはわかるかな―……。でも、それでもあの標的を追い詰めるまでには、至らないか……。やっぱり、あの最悪な趣味の現場があれば……」 - 80◆uorq7ead4s25/11/03(月) 17:08:31
ヒジリが唸りながら策を練っていると、依頼人から連絡が入る。
ヒジリ「はい、殺し屋キュウサイでーす。ごめんなさい依頼人さん、今のところ有効な情報は何も得られてません……」
依頼人「苦戦されているようですね。そんなキュウサイさんに朗報です。被害者の知人をキュウサイさんに頼まれて集めていたんですけど、その中に、ミレニアムに在籍している子を見つけたんです。彼女であれば、ハッキングなどで情報収集のサポートをしてもらえると思いますよ」
ヒジリ「それは……!願ってもないことです!」
依頼人「彼女の連絡先はこちらです。一応、キュウサイさんは私の友達という体で『ハル』という名前で伝えています。『アヤ』の紹介で、と言えばわかると思います」
ヒジリ「わかりました『アヤ』さん」
依頼人「それでは、引き続きお願いしますね『ハル』さん」 - 81◆uorq7ead4s25/11/03(月) 17:10:18
翌日、ヒジリは再び標的の会社に潜入する前に、昨日アヤから聞いていたミレニアムの生徒と連絡を取ってみることにした。
ヒジリ「……あのーもしもし」
ミレニアム生「はい、あの、どちら様?」
ヒジリ「私『ハル』って言います。『アヤ』さんの紹介で……」
クミコ「あーなるほどね。アヤちゃんの友達の……。色々と頑張ってくれてるって話だったね。ウチのことは『クミコ』って呼んで。アヤちゃんから話は聞いているかもだけど、ハッキングとかは一通りできるよ」
ヒジリ「助かります―!私そのあたりの話には疎くて……」
クミコ「それじゃ、話を始めよっか」
ヒジリは自身が標的のオフィスに潜入していること、そして一番証拠が隠されていそうである会長室には、何らかの特殊な認証装置があるということを話した。
クミコ「うーん……話だけじゃ何とも言えないなー……。ハルちゃん、悪いけど一度その防犯設備について、一度カメラで撮ってきてもらえる?あとできればだけど、その会長室のあるフロアだけでいいから、ビルの図面とかあればもっといいなー」
ヒジリ「それだけで、ハッキングとか出来ちゃうんです!?」
クミコ「それだけとは言わないなぁ。まずはどうやってハッキングするのかを導き出すところから、かなぁ。それが分かったうえで、また手段を講じるって感じかな」
ヒジリ「ハッキングも、意外と地道なんですね……」
クミコ「ウチよりもハッキングが上手い連中はミレニアムには幾らでもいるけど、あいつ等、特にヴェリタスに手を借りると、後が怖いからなぁ……あ、いやなんでもない。とりあえずハルちゃん、頼める?」
ヒジリ「はい、お任せください!」
ヒジリはその日、クミコに指示されたとおりに会長室前の写真をバレないようにこっそりと撮影した。
更に、思いがけない収穫として、件の標的が部下に対してパワハラをしている場面、さらには秘書にセクハラをしている場面を録画することができた。
ヒジリ(まぁ、無いよりはマシかな……) - 82二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 21:41:11
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- 83◆uorq7ead4s25/11/03(月) 21:43:26
その日の晩、ヒジリはクミコへと連絡をした。
今日の成果を伝えるためだった。
ヒジリ「今クミコさんのところに画像データを送りました。こんな感じで大丈夫ですか?」
クミコ「ふぅーん、今見てる限りだと、ハルちゃんが言ってた通り、虹彩認証や顔認証の類っぽそうだね。これなら、比較的対処は楽かな」
ヒジリ「えっ、そうなんですか!?」
クミコ「意外と、あーいったローテクをデジタルにはめ込んだような認証って、穴が多いんだよねー。……ほら、あの企業の公式HP見てごらん、でかでかと、あの憎たらしい犬面の顔写真が貼られてるでしょ?」
ヒジリ「あっ、ホントだ……これをどうするんです?」
クミコ「待ってて。今即席でハッキング用のアプリ作るから……アプリ作っている間、暇つぶししてて―」
そう言うと電話がぷつんと切れた。 - 84◆uorq7ead4s25/11/03(月) 21:45:08
ヒジリ「暇つぶし、かー……。そうは言ってもな……。そうだ、依頼人さん、アヤさんに電話でもしよーっと」
アヤに電話をかけると、すぐに電話に出た。
アヤ「もしもし、y……アヤです。キュウサイさんですね?」
ヒジリ「迂闊ですねー、一応非通知設定にしているんですから、容易に本名言っちゃ駄目ですよ、アヤさん?」
アヤ「……この前の仕返しですか?」
ヒジリ「さぁて、どうでしょうねー?アーヤーさーん?」
アヤ「それはそれはどうも……!で、そんなことよりっ!進展があったんです?」
少しぷりぷりしたような声色で、アヤは進展を聞いてくる。
ヒジリ「ハッカーの子、クミコさんのお陰で、進展がありそうですね」
アヤ「流石クミコさんですね。周りからヴェリタスに入ってても遜色ないレベルのハッキング技術を持ってる、なんて言われているという噂でしたが、本当でしたか」
ヒジリ「ヴェリタスと遜色ない?本人からは自分よりハッキングの上手い人は幾らでもいるって話でしたが……」
アヤ「クミコさんはその、ちょっと卑屈なところがあると言いますか……なんです。元々ヴェリタスにも入ろうとしたけど、『あんな奴らと一緒はゴメン!』ってすぐ退部しちゃったんだとか」
ヒジリ「は、はぁ……あ、そうだ。これが追い詰める足しになるかどうかはわかりませんが……」
ヒジリはアヤに対して、本日撮ってきた動画を送る。
アヤ「これは……!」
ヒジリ「ど、どうしたんです、アヤさん?」
アヤ「キュウサイさん、これとても使えますよ……!今どきSNSの拡散力はすごいですからね。こんなに炎上しそうな動画を投稿したなら……!ちょっと知り合いに掛け合ってみます。この手の情報拡散が得意な子がいるんです!」
ヒジリ「は、はぁ……(今まで足がつくからSNSなんて一切やってなかったけど、そうだったんだ……SNSできっと、私のことも話題になってるんだろうな……)」
アヤ「キュウサイさんは引き続き、情報収集をお願いします!私の方でも、色々と調べてみるので!」
ヒジリ「あ、はい……!」
最後の方は、少しあっけにとられていたヒジリだった。 - 85◆uorq7ead4s25/11/03(月) 21:47:09
翌日、クミコに作成してもらったハッキングアプリをスマホにインストールし、再び標的の会社へと潜入する。
クミコから説明されたことを、脳内で反芻する。
クミコ(いーいー?このアプリはまず社内のネットワークに接続してから使うこと。スマホのWifiをオンにすれば自動でハッキングしてネットワークに接続できるから、後は会長室の前に立ってアプリの赤いボタンを押して。そうすれば、会長室の扉は開くはず。でも、中にあの犬面がいるかもしれないから、気を付けて)
ヒジリ「って話だったよね……ついさっき部屋から出ていくのが見えたから、行くなら今、かな」
周囲を確認し、赤いボタンを押すと、かちゃり、と鍵の外れる音が聞こえる。
ヒジリ(……よし!)
その扉の見た目通りの、いかにもな成金趣味の部屋が、そこにはあった。
ヒジリ「……さて、どこかに手掛かりは、あるかな?」
色々と物色していると、ヒジリはこのオフィスの図面、そして本棚の奥に隠された隠し金庫を見つけた。
ヒジリ「うーん……なんか中にありげだなこれ……わざわざ隠しているところを見ると、相当なお宝がってところかな……」
多分この中に求めるものがある、とヒジリの直感が告げていた。
ヒジリ「さて、どうしたものかな……」
ヒジリは隠し持ってきていた小型カメラを死角になる場所に設置し、その場を去るのであった。
去ろうとした直前、ふと気になるものがあったので、ヒジリはそれを持っていくことにした。
ヒジリ「……これも持っていくか」
会社から遠く離れた場所で、ヒジリはカメラの映像を確認する。
ヒジリ「さてさて、何が映っているのやら……」
まず、標的が激怒した様子で、荒々しく部屋へと入ってきた。 - 86◆uorq7ead4s25/11/03(月) 21:49:37
標的「クソっ!誰じゃ、あれだけ恩をかけてやった儂に対して、あんな裏切りをした社員は!誰のおかげでここまで会社が大きくなったと思っておる!……はぁ、はぁ。よそう。こんな時は、彼女に癒してもらうとしようか」
例の金庫に標的が手をかける。
2…7…1…8…2…8…1…8…
がちゃり、と金庫を開け、標的が金庫から取り出したのは……なんと、ヒジリが先日殺した勇美カエデの生首だった。
標的「カエデちゃん、今日の君も可愛いねぇ……。儂は今日、手塩にかけて育てた社員から裏切られてのぉ……辛いのだよ。儂をどうか、慰めてはくれんか」
そう、愛おしく髪を撫でる姿が、映されていた。
思わず、先日のことがフィードバックするヒジリは、吐き気をこらえながら映像を見続ける。
標的「君は他の子よりも儂のことをよく思ってくれているようで、何よりじゃよ……。あぁ、いかんいかん。興奮してきてしまったわい……すまんがカエデちゃん、頼めるかのぉ」
標的は股を開くと、カエデの口を股に近づける。
汚らしい音が室内に聞こえ、標的が悦の表情を浮かべる。
……耐えられなかったヒジリは、そのあたりに吐いてしまう。
ヒジリ「うぇっ……なんて、なんて酷いことを……」
終わったのか、標的は再び生首を愛おしそうに見つめる。
標的「ふふ……君はすごいな……。ついつい儂のアトリエから連れ出してしまったくらいにはね……君は私のお気に入りだよ」
ヒジリ「……アトリエ」
標的「……前の子は早いうちに腐ってしまったからのぉ。君は廃棄したくないものだ……。廃棄と言えば……アトリエに置いていた子が一人、限界を迎えそうじゃったのぉ。廃棄の手配をしておかなければ……」
標的はそのままどこかに電話をかける。
標的「儂じゃ……。あぁ、シラトリ区のD51番区、7番アトリエの清掃を頼む……」
ヒジリ「清掃……シラトリ区のD51番区、7番アトリエ……」
標的「……しかし、誰が本当に儂を裏切ったのだろうな。根も葉もないパワハラだの、セクハラだのと……不愉快極まりないわ」
ヒジリはすぐにアヤに電話をかけ、急いだ様子で用件を伝えた。 - 87◆uorq7ead4s25/11/03(月) 21:51:04
ヒジリ「……アヤさん、今すぐヴァルキューレをシラトリ区のD51番区に向かわせてください。……決定的な証拠が、今抹消されようとしてます」
アヤからの通報ですぐにヴァルキューレは動き、シラトリ区のD51番区の捜査が進んだ。
……そして、とある雑居ビルの隠し地下室に、無数の生徒の遺体がはく製となって展示されていることが分かった。
ヒジリ「アヤさん……あと、今から動画を送りますんで、それをヴァルキューレの人たちに見せてください。そうすれば、もう奴はお終いです」
アヤ「……ということは」
ヒジリ「はい、貴女の見立て通り、確実に黒です。奴は……うえっ、言葉に出すのも悍ましい……そんな理由で、人を殺していたようです」
アヤ「そう、でしたか……。……ありがとうございます、キュウサイさん。後は……」
ヒジリ「はい、私の得意分野ですので、ご心配なさらず」
翌日。
シラトリ区のD51番区は、野次馬が集まりちょっとしたお祭り騒ぎとなっていた。
清掃員としてアトリエに来ていた犯罪者グループもヴァルキューレに逮捕され、他にも無数のアトリエがあること、さらに自身の雇い主が、某大企業の会長であること、全部吐いてしまった。
その為、会社のビルは早朝からクロノスのレポーターが押しかけ、さらに各マスコミもイナゴのように飛びつき、ごった返していた。
シノン「皆さん、大ニュースですよ!なんと、あの大企業の会長が、とんでもない悪事を働いていたというタレコミが!以前からSNS上で内部告発をされていたこのブラック大企業!さらになんとなんとそのトップが……」
ヒジリ「うっわー……これはひどいや。これじゃ中に入れないよ」
下手をすると、このままあの会長が逮捕されてしまう。
そうなる前に、なんとしても拉致しなければならないが……。
ヒジリ「……こっちから会うのが無理なら、向こうから出てもらおう」
ヒジリはスマホの履歴を確認し、特殊な回線を用いて、標的へと電話をかける。 - 88◆uorq7ead4s25/11/03(月) 21:55:56
標的「……誰じゃ!こんな忙しい時に!」
ヒジリ「あー、この前の依頼人さんですね。どうも、殺し屋キュウサイです」
標的「殺し屋……!貴様、まさか儂の情報を売ったのか!」
ヒジリ「そんなわけないじゃないですか。あくまでも私は殺し屋、そんな依頼人さんの情報を漏らすなんてこと、しませんよ。今回電話したのはその逆。アフターサービスということで、今回依頼人さんを陥れた人物に心当たりがございますので、その暗殺を依頼しませんか?という営業電話ですよ」
標的「なっ、なんじゃと!……ならすぐに殺せ!手段は問わん、すぐにだ!」
ヒジリ「……わかりました。ですが、詳細をお聞きしたいので、私が指定する場所に来ていただいてもよろしいでしょうか?殺し屋キュウサイでは、依頼人さんと会って、依頼内容を聞いて、その上で引き受ける、というルールでやっていますので」
標的「あぁ、何とかしよう。金だって、幾らでも出そう!」
ヒジリ「それなら、またこの前の事務所でお願いします」
標的「わかった、すぐ向かおう」
それだけのやり取りを済ませて、ヒジリは足早に事務所へと向かう。
事務所にて、準備を済ませたヒジリは、標的を待ち構える。
標的は息を切らした様子で、事務所のドアをノックする。
標的「殺し屋……キュウサイ……儂じゃ……」
あれほど恐ろしかった表情が、今や額を滴る汗と、涎で、途端に哀れなものへと変わっていた。
ヒジリ「いやぁ、お忙しい中ご足労いただいて、ありがとうございます」
標的「それで、誰じゃ!儂のことを陥れた奴は!」
ヒジリ「まぁまぁ落ち着いてくださいよ。……時にですけど、依頼人さん。私毎回依頼があるたびに、誰を殺したのか、どういった理由で殺したのか、ということを帳簿に記録しているんですよ。……改めてですが、前回殺した時の理由を教えていただけますか?」
標的「貴様の都合なんか知るか!とっとと依頼の話を始めんか!」
ヒジリ「困りましたねぇ。依頼をするにあたって、実は割と複雑な事務手続きをしなきゃいけないんですよ。その際にそういった記録が抜けてしまいますと……」
標的「わかったわい!……儂の老後の楽しみの為じゃ!儂好みの子の泣き叫ぶ姿、飛び散る血を見るのが好きだから、儂は貴様に依頼した!……これでどうじゃ!」
ヒジリ「……とのことです、アヤさん。これでハッキリしましたね」 - 89◆uorq7ead4s25/11/03(月) 21:57:56
気付けば、ヒジリのスマホはずっとテーブルの上で通話状態となっていた。
標的「な……!貴様、図りおったな!」
ヒジリ「嘘じゃないんですよ?依頼人さんが前回依頼した内容については私の方からは漏らしていません。依頼人さんが、ご自身の意志で話したんですよ?」
標的「た、戯言を……!」
ヒジリ「というわけで、貴方を殺しに来ましたよ、標的さん」
予め仕込んでおいたロープを引っ張り、標的を椅子ごと拘束する。
標的「が……は……離せ……!」
ヒジリ「離すわけにはいきませんよ。……これも、仕事なんで」
そのままヒジリは手配しておいた車で、とある場所へ向かうのであった。
ヒジリ「アヤさん、至急皆さんを集めていただけますか?場所は……」
某所。
とある密室にて。
ヒジリに、もといアヤに呼び出された生徒数名が、奇妙な光景を目にしていた。
鉄製のベッドフレームに仰向けで大の字に拘束された、ヨークシャーテリアの老いた獣人。
そのそばには、錆びついて切れ味などないような、斧が置かれていた。
クミコ「アヤちゃん……これってさ」
アヤ「えぇ、きっとそういうことでしょう」
標的「な、なんじゃ貴様ら、儂に何をする気だ!」
……私は、その意図を知っていた。
殺し屋キュウサイは、きっと私達に、復讐の機会を与えようとしてくれているのだ。
……錆びた斧なんて、なんでこんな変なものでさせようとしているのかは、わからないけれど。 - 90◆uorq7ead4s25/11/03(月) 22:00:14
アヤは錆びた斧を携え、標的へと向かう。
アヤ「……どうして、どうしてなんです?どうしてアヤは殺されなきゃいけなかったんです!?」
標的「アヤじゃと?……儂はそんな奴は知らん!」
アヤ?「とぼけないで!小っちゃくて、いつも明るくて、誰にだって優しかったあの子を……!」
標的「あー、思い出したわい。殺すときの反応がイマイチじゃったから、忘れておったわい」
アヤ?「……っ!」
アヤの、いや、依頼人の斧を握る手が、固くなる。
クミコ「よ、よしなよアヤちゃん……!そんなことしたら……」
依頼人「アヤは死んだの!……私が殺されればよかったのに、この屑は!この、屑はっ!」
錆びた斧を首へと振り下ろす。
どつっ、と鈍い音が鳴った。
依頼人「あっ……ああっ……」
一回振り下ろして、その感触が手に伝わる。
錆びている為切り切れなかったが、確かに肉を切る、その感覚が。
ブヨブヨとした皮膚によって、刃先が少し揺らめいた感覚が。
依頼人「……ああああっ」
からん、と斧が床に落ちる。
そこに、ぞろぞろと他の生徒たちが集まる。
標的「よ、よせ……悪かった……金なら、金ならやる……いくらだ……いくら出せば……」
いち。
標的「がっ!」
に。
標的「うぐっ!」
さん。
標的「げぇっ!」
……斧は何度も、振りかざされる。
が、誰も標的を殺すことはできなかった。
喉仏が潰され、もはや標的は憎まれ口をたたくこともできなくなっていた。
斧が錆びていたから、なのかもしれない。
生徒たちが動揺していたから、なのかもしれない。 - 91◆uorq7ead4s25/11/03(月) 22:03:14
そして斧を、もう一度振ろうとする者も、現れなかった……。
依頼人「……なんで、なんでなの、アヤを殺した奴なのに、どうして殺せないの……?どうして私の手は、動かないの……?」
一人、また一人と、失意に沈んでいく。
そこに。
震える依頼人をゆっくりと抱き寄せる、殺し屋キュウサイがいた。
ヒジリ「……よく頑張りましたね、依頼人さん、そして皆さん」
依頼人「キュウサイ、さん……」
ミレニアム生徒「キュウサイ……まさかあの、殺し屋キュウサイ……?あの時の声と、同じ……」
ヒジリ「依頼人さん、自分の偽名を死んだ友達の名前なんかにするなんて……ホント、人殺しに向いてませんよ、貴女」
依頼人「私はっ……私はっ……」
ヒジリ「よしよし、よく頑張りました。ちゃんと向き合ってくれて、ありがとう。……後は、私が引き受けます。貴女達の殺意は、私が無駄にしません」
ヒジリがその手に携えていたのは、何人もの生徒の命を奪った、あの電動のこぎりであった。
ヒジリ「皆さんはここから離れてください。殺し屋キュウサイの協力者と思われちゃうので」
依頼人を含めた生徒たちは、そのままわけがわからない、という顔で外へと出ていった。
ヒジリ「皆さん、今日のは全部、悪い夢だと思ってくださーい!美味しくって甘いもの食べれば、きっと忘れちゃうんで―!」 - 92◆uorq7ead4s25/11/03(月) 22:05:40
私は全員が密室の外へと出たのを確認すると、標的へと近づく。
ヒジリ「さぁーて、二人っきりですね、標的さん。これなーんだ?」
標的の顔が青ざめる。
首元は、切れているというよりは皮だけが切れて、ほぼ痣になっていた。
ヒジリ「青ざめましたね。そうですよ。貴方の大好きな、だーい好きな」
電動のこぎりのスイッチを入れる。
またもモーター音が密室に響き渡る。
そしてその音は、以前私が聞いたものとは違っていた。
まるで、依頼人さんたちの恨みの声がこもったような。
被害者たち、アヤさん達の怨嗟の声がこもったような。
そんな音だったような気がする。
ヒジリ「電動のこぎりですよ!」
がりがりがりがりがりがりがりがり!!!
皮をゆっくりと突き破って、首の肉が、削れ始める。
飛沫が私の顔にかかって、血の匂いが辺りを包む。
思いっきり笑ってやれ。
ヒジリ「あっはっはっははははははははははは!!!!!」
コイツに。最大限の地獄を見せてやれ。
断末魔すら出させてやるものか。
あの子たちと同じように、お前の助けなんて、誰にも聞こえやしない。
ただ、絶望の中で……
ヒジリ「このままあなたの首をぶった切ってあげますよ!!!!!!はははははははぁ!!!!!!」
更に電動のこぎりのモーター音が唸りを上げる。
ヒジリ「ひゃああああはははははははははははははは!!!!!」
恨みを込めて電動のこぎりを、できるだけゆっくり、ゆっくりと差し込んでいたつもりだったが、あっという間に首はぽろりと取れてしまった。
ヒジリ「……あー、何やってたんだか、私。これじゃ、コイツと同じじゃん……」
あれほどの喧騒が、しんと静まり、はぁーあ、と私のついたため息だけが、聞こえていた。 - 93◆uorq7ead4s25/11/03(月) 22:08:15
本日のSSは以上です。
再度になりますが、安価のご協力、ありがとうございました。
依頼回数が12回目ですので、ヒジリの精神性と殺し屋の技術に変化があったようです。
・殺しに対する態度(小さいほど拒否反応大、大きいほど無沈着、ないしは悦を感じるレベル)
現在の値(52)
増加?減少?(1d2:1で増加、2で減少)
dice1d2=1 (1)
dice1d10=4 (4)
・依頼の成功率(増加のみ)
現在の値(52)
dice1d10=7 (7)
- 94二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 01:14:06
インガオホー!
- 95◆uorq7ead4s25/11/04(火) 08:23:20
- 96二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 15:54:55
- 97二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 23:16:17
- 98◆uorq7ead4s25/11/05(水) 07:41:37
- 99二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 09:37:21
- 100二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 18:54:15
このレスは削除されています
- 101二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 19:25:45
……一旦整理しよう
第1話→ キュウサイが標的を拉致して依頼人の前でとどめを刺す(以下「パターンA」)
第2話→ 思いがけぬアクシデントにより失敗(以下「パターンB」)
第3話→ 痛手を負いつつも辛うじて成功(以下「パターンC」)(*)
第4話→ >>99(以下「パターンD」)
第5話→ 標的やその周辺人物の反撃に遭い失敗(以下「パターンE」)
第6話→ 罠を張っていた依頼人をさらに出し抜いて成功(以下「パターンF」)
第7話→ あっさり成功するも却って虚しさが募る(以下「パターンG」)
第8話→ とどめを刺す前に依頼人へ遺恨を晴らすチャンスを与える(以下「パターンH」)
第9話→ パターンG
第10話→ パターンE
第11話→ パターンA
第12話→ パターンH
(*)
ダイスロールでは失敗判定になっている(>>3)ものの標的たる売人トリオ(とついでに人買い)が「爆発四散した」点を踏まえ死亡したと解釈し成功判定とする
- 102◆uorq7ead4s25/11/05(水) 20:47:20
ご丁寧に整理ありがとうございます。
それでは、SSを投稿します。
ヒジリの今日の依頼人は、シェパード犬の獣人であった。
依頼人「……」
ヒジリ「えーっと確か貴方、猟犬組の方でしたよね?」
そして、以前のヒジリの依頼人でもあった。
猟犬組。
以前ヒジリが依頼を受け、依頼を遂行し、そして裏切った暴力団組織。
その時と同じ依頼人が再び、ヒジリの元へと現れた。
あの時とは打って変わって、その有様はひどいものだったが。
あちこち傷だらけで、服も浮浪者を思わせるほど汚らしく汚れていた。
依頼人「……猟犬組なんてもんは、もうねぇよ」
ヒジリ「あらー、それは大変でしたね。それで、私に今度は何をさせるつもりですか?」
依頼人「頼む……!いやお願いだ……!猟犬組の裏切者を、殺してほしい……!」
ヒジリ「はぁ……裏切者って台詞、貴方から出るとは思いませんでしたよ。また私にその手のごたごたを引き受けさせて、用が済んだら消すおつもりで?」
ヒジリの脳裏に、以前の依頼の時の記憶が蘇る。
大型暴力団犬雄会と、その傘下組織である猟犬組、その権力争いの駒としてヒジリは利用され、さらには消されるところだったのだ。
ヒジリに不信感を植え付けるのには、充分であった。
依頼人「頼む!アイツを消さないと、俺もお前も消されちまう!どっちみち、アイツが生きてる限りは、俺もお前もずっと追われる身なのは変わらねぇ……頼む、この通りだ」
依頼人は深々と頭を下げ、さらには土下座まで行った。
しかし、ヒジリの不信感を払拭するには、至らなかった。
ヒジリ「それでもですねぇ、一度殺されそうになった相手を、そう簡単に信じろ、っていうほうが無理じゃないですか?」
依頼人「あの時のことを水に流せとは言わねぇ……でも、どうか……」
依頼人、シェパード犬の獣人は、小ドスと木製の板を取り出す。
ヒジリ「あー、あの?そういうのされても、私困るだけなんで……」
ヒジリが小ドスを片付けると、依頼人は自ら小指を噛み切った。
依頼人「……これで、どうにか……お願いします」
ヒジリ「わ、わかりましたよ……やりますからこれ以上そういうことしないでくださいよ……」
- 103◆uorq7ead4s25/11/05(水) 21:13:33
依頼人から聞いた、猟犬組崩壊の経緯は、以下のようなものだった。
ヒジリが依頼を遂行し、犬雄会の会長を毒殺してから、猟犬組はそれまで犬雄会の陣取っていた縄張りを我が物にするべく、暗躍を続けていた。
結果として、猟犬組は以前よりも勢力を増し、ブラックマーケットでも一目置かれる組織となっていた。
野心家であった猟犬組の組長は、更なる勢力拡大を狙い、様々な組織を吸収、合併していった。
しかし、そんな中で猟犬組に悲劇が起こる。
なんと、昔から猟犬組を支えていた古株の若頭が、犬雄会会長の暗殺は猟犬組組長が指示したことだと大暴露したのだ。
猟犬組に吸収されていた傘下組織のほとんどが、かつては犬雄会傘下であったこともあり、不満が爆発。
猟犬組は内部から瓦解し、今や見る影もなくなってしまった。
組長はケジメをつけることとなり、実行犯である依頼人も、追われる身となった……
今は、元猟犬組の若頭が、依頼人と本当の実行犯である、ヒジリを狙う中心人物となっていた。
ヒジリ「はぁ、私からすればいい迷惑なんですけどね。まぁ、今回はちゃんと前払い分でお金もくれたし、良しとするか……」
殺し屋の仕事というものは、意外とお金がかかる。
武器の調達、情報収集、標的を尾行するためにかかる交通費宿泊費もろもろ……。
特にスミスさんから買うと、高くつけられる……。その分、信頼性は高いけれど。
だから基本的に私は、料金は前払いでもらっている。って、そんなことは今更いいや。
今回も、いつものように仕事を終えられる。
……そうやって、油断していたのが悪かったのかな。
あんなことになるなんて、思いもしなかった……。
暗殺決行当日、私は標的を拉致するべく、とあるポイントで待ち伏せをしていた。
ブラックマーケットでの縄張りをどうするか、という重要な会議へと向かう途中で、車ごと拉致する。
そのために、大枚叩いて買ったこの催眠ガスがある。
以前空崎ヒナにも使ったことのあるものだ、普通の人なら、イチコロだろう。
……おっと、来た来た。さて、この先にある踏切で止まるはずだから、チャンスはそこ、かな。 - 104二次元好きの匿名さん25/11/05(水) 21:32:01
「ドス」はそれ単体で合口の短刀を示す物であり、合口の長刀も「長ドス」と呼ぶのであって、「小ドス」という名称は存在しません。
ちなみに、日本より銃器や刀剣の所持規制が厳しい韓国では、反社会的勢力も武器としての刃物を使いたい時は包丁を持っていくらしいです。
韓国ギャング史 韓国ギャング史 ・目次 ・始めに ・韓国ギャング史 ・略史 ・20…julyoneone.wordpress.com裏の裏は、表…に出せない!知られざる韓国・組織暴力(ヤクザ)事情とその歴史!shinshun.blog47.fc2.com - 105◆uorq7ead4s25/11/05(水) 21:35:47
標的「む、踏切か」
暴力団員「頭、例の話、順調なんすか?」
標的「あぁ。問題ない。……あと一息、といったところだ」
暴力団員「そりゃよかったっす!いやぁ、やっぱりブラックマーケットの将来を担うのは、頭っすよ!あの腐った猟犬組をぶっ潰してくれたんすから!」
標的「よせ。俺はただ、やるべきことをやっただけだ。……あのまま、あの屑がブラックマーケットを牛耳っちまったら、今頃奴の一人天下だ。それに、将来を担うのは、俺のようなおいぼれじゃねぇ。お前ら若衆だ。気ぃ、しっかり張れよ」
暴力団員「うす!肝に銘じます!」
そんな談笑をしている時だった。
背後の車から、人が下りてくる。
暴力団員「ん?なんだアイツ?」
そして。
SMGを車に向かって発砲する。
暴力団員「襲撃だ!頭を守れ!」
車の中が弾痕まみれになり、銃弾の雨が止んだ瞬間に、ふと静かになる。
標的「はぁ……はぁ……お前ら大丈夫か!?」
暴力団員「大丈夫っす、掠り傷っす!」
標的「そうか……そいつは……いや待て、何か妙だ」
車内に、何かが投げ込まれる。
シュー、と音を立て、次の瞬間には車内にいた人間は全員ストンと眠ってしまった。
ヒジリ「これでよしっと。……さて、スマホと関係ない人達は置いてってと。……車は、うん、動くね」
ガスマスクをとったヒジリは、依頼人との合流を急ぐのであった。 - 106◆uorq7ead4s25/11/05(水) 21:39:53
依頼人「でかした……!これで俺たちは助かる!」
ヒジリ「そりゃ、仕事なので。では、確かご要望だと嬲った上で殺してほしい、ということでしたね?」
依頼人「あぁ、こいつには俺が今迄苦しんだ分以上に、苦しんでもらいたいからな……!」
ヒジリ「でしたら、依頼人さん本人が色々とやるのがいいでしょうね。道具はここに用意してるんで、あとはごゆっくり」
依頼人「へっへっへ……今に見てやがれ、この腐れ外道が……!」
そして、依頼人は今までの憂さを晴らすかのように、標的を痛めつける。
依頼人「はぁ……はぁ……!俺がっ、こんな目にっ、あったのはっ、全部!てめぇのせいだ!」
標的「……言いてぇことはそれだけか、小僧」
依頼人「舐めた真似しやがって!糞がっ!」
標的は呻き声こそ漏らすものの、一切弱音を吐かなかった。
そんな様子を、ヒジリはただ冷めた目で見つめるのであった。
標的「お前の間違いは……付いていく奴を見定められなかったことだ……目先のことばかり見て、道理を無視したことだ……」
ふと、標的の目がヒジリに向く。
標的「それでいいのか……殺し屋……その先に待つのは……地獄……だけだ……」
依頼人「よそ見しないで、もらえるかなぁ!」
依頼人が金属バットで標的の頭を強打する。
依頼人「おら、どうした!?さっきの説教はどうした!おら!何が道理だ!この世界になぁ、そんなもんねぇんだよ!」
ごつ、ごつ、ごつ、ごつ。
……どれだけの時間、依頼人はバットを振り回したのだろうか。
ふと、ヒジリがバットを制止する。
依頼人「……邪魔すんじゃねぇよ殺し屋」
ヒジリ「依頼人さん……もうその人、死んでますよ」
依頼人「うるっせぇな!死んでようが何だろうが、もっとやらせろっ!」
その後も、依頼人の憂さ晴らしは続く。
ヒジリが呆れて帰ろうとした、その時だった。
室内に、カランとスプレー缶のような何かが投げ入れられる。
それは、ついさっきまでヒジリが使っていたものと、同じだった。
ヒジリ「……まずい!」
そうヒジリは思ったものの、すぐに睡魔に負けてしまい、地面に倒れるのであった。 - 107◆uorq7ead4s25/11/05(水) 21:41:31
- 108◆uorq7ead4s25/11/05(水) 22:00:11
私が目を覚ますと、薄暗い部屋の中だった。
目の前には、柄の悪そうな犬の獣人が何人かいて、みんな怒っているように見えた。
「……ここは」
暴力団員A「お目覚めかな、殺し屋キュウサイ」
暴力団員B「よくもまぁあんなにぐっすり寝れたもんだ」
暴力団員C「胡散臭いやつだったが、高値の分しっかり仕事してくれたな」
体を動かそうとしても、動かない。
どうやら、拘束されているらしい。
暴力団員A「それじゃあ殺し屋キュウサイ、今までのケジメをつけてもらおうか」
えっ、ちょっと待って。と思考が追いつく前に。
私の太腿に、特殊な形状のダガーナイフが突き刺さった。
「いっ、あああああああああああああっ!」
暴力団員A「よく鳴きやがる。特注の武器はやっぱり違うなぁ、殺し屋キュウサイ」
いたい。
ナイフの刺さった太腿をぐりぐりとされて、さらに肉が裂けていく。
「……ああああああっ!!!」
暴力団員B「こうやって、頭のことも殺したのかよ、この尻軽女!」
もう一本、突き刺さる。
「ひっ……いやああああああああっ!!!」
いたい、いたいいたい!
思わず涙が滲んで、視界がぼやけてくる……。
暴力団員C「お前がこの屑の依頼で頭、さらにはあの犬雄会の会長を殺したことは、もう知っているんだよ」
ふと、床に目をやると、死体袋が二つ見える。
一つには、既に中身が入っていた。きっと依頼人さんだろう……
暴力団員A「依頼でやったことは知っているよ。だがな。それで俺らが納得できると思うのか?」
もう一本、もう一本と、特注と言われたナイフが体に突き刺さっていく。
もう、痛い。いたいいたいいたいいたい!!!!
「だれか!たすけて!いたい!いたいの!」
暴力団員B「お前を殺せば……あの二人も浮かばれるだろうよ。まさか頭が自分が狙われることを覚悟してたってのには、驚いたけどよ」
暴力団員C「つーわけだ。精々苦しんでくたばれや」 - 109◆uorq7ead4s25/11/05(水) 22:10:48
暴力団員A「折角だ、こいつも使ってみるか」
暴力団員B「兄貴、なんすかそれ?」
暴力団員A「最近出回ってるヤクでな、あまりの質の悪さにバットトリップしかしねぇ、とかいう代物だよ。まぁ、こんなのでも買い手がいるのは、驚きだがな」
暴力団員C「いいな、やっちまおうや」
「やだ……やめて……!」
暴力団員B「そうやって、お前何人のやつを殺してきたんだろうな。まぁ、俺らが言えた義理はねぇけど」
暴力団員A「報いを受けな、殺し屋キュウサイ」
「い、いや……いや!!!」
体を動かそうとするけど、もがいても。
体が動かない……痛くて、痛くてもう、動かない。
「……あっ」
注射針の中から、ゆっくりと液体が注がれていく……。
皮を突き破って、私の中へ……
一瞬、視界が開けたと思った後に、ふと足元から重油のように湧き出ている何かが見えた。
手。
無数の、黒い手。
それが私を、とりかこもうとして。
やだ、やだ!こないで!ちかづかないで!
「……い気味っす……屋キュウサイも……ガキ……」
ごめんなさい、わたしがわるかった!わたしがわるいこだから、ばつをあたえにやってきたんだ!
ころしてごめんなさい!わるいことしてごめんなさい!みんなをきずつけてごめんなさい!
てが、うえからものびてきた。
あしに。うでに。むねに。かおに。
くろいてがつかんでくる。どんどんいきぐるしくなって。
くちのなかに、ゆびがつっこんできて、くろいてがのどまではいってくる。
きもちわるい。こわい。
たすけて、アキ…… - 110◆uorq7ead4s25/11/05(水) 22:21:40
「……だ、…前……あっ!」
「な……崎ヒナ!なんで……がぁっ!」
だれか、きたみたい。
からだが、ちょっとじゆうになった。
「……なたなんか、助けたくなかった……!」
なんで。なんでこのひとはこんなにおこっているの?
むなぐらをつかまれているみたい。
「何とか……言いなさいよ!」
ぺしっ!
頬が、いたい。
あ、あぁ……。そっか……。
この人が怒っているのは。
「……したの、今更……」
当然だ。怒って当然だ。
なぜなら……
彼女(アキ)は、私が殺したのだから。
「して……」
ヒナ「……え?」
「ゆるして!!!!アキ!!!!」
全力で腕を振り払って。
ヒナ「え、ちょっと……待ちなさい!」
後ろから銃の音が聞こえる。
体がたくさん、痛くなる。
ごめんなさい、ごめんなさい、アキ……。
ヒナ「絶対逃がさない……!追って!」
再び逃げる私を、許してなんて言えないから……
「いたぞ!追え!」「……クソっ、見失った!」「草の根分けてでも探して!……アイツは、アイツだけは!!」
だから恨んで、アキ………… - 111◆uorq7ead4s25/11/05(水) 22:24:34
本日のSSは以上です。
次回のSS更新ですが、殺しの依頼の話ではなく、救災ヒジリ、そして彼女の話していた「アキ」に焦点を当てた話にしたいと思います。 - 112二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 07:24:06
保守
- 113二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 16:31:28
保守
- 114二次元好きの匿名さん25/11/06(木) 16:38:24
第0話……って事は依頼人も標的も殺し方も成否も決定済みなのでしょうか?
犬雄会系猟犬組と言いエンコ詰めと言い、予想通りジャパニーズヤクザモチーフでしたね。
あと、いわゆる韓国マフィアと包丁云々は、コリアンノワール映画の近距離戦シーン(例えば、『新しき世界』後半のエレベーター内における乱戦)を見て知った人も多いはずです。
- 115>>97を呟いた人25/11/06(木) 18:16:59
- 116二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 01:13:17
保守
- 117◆uorq7ead4s25/11/07(金) 07:49:02
- 118二次元好きの匿名さん25/11/07(金) 17:36:32
怖いなぁとは思うけど
これはこれで好き - 119◆uorq7ead4s25/11/07(金) 20:51:54
こんばんは。それではSS投稿いたします。
……シャーレのオフィスに、日が差し込む。
再び朝が、やってきた。
朝の訪れとともに、空崎ヒナがシャーレのオフィスへとやってきた。
ヒナ「おはよう……起きていたのね、先生」
先生"やぁ、おはよう、ヒナ……。ずっと、眠れなくってね"
ヒナは先生のデスクに目をやると、大小さまざまな錠剤と、その錠剤のごみが散乱していた。
それがただの風邪薬のような薬の類ではないことは、その薬を同じく使っているヒナは良く知っていた。
先生"目を閉じちゃうと、駄目なんだ……あの時のことが、脳裏に蘇ってくるんだ。アコの、あの声も……"
ヒナ「……ごめんなさい、先生。殺し屋キュウサイを、取り逃がした」
先生"そっか……大丈夫だよ、ヒナ。ヒナ一人が気負う必要はないよ。殺し屋キュウサイのことは、私が何とかするから……"
ヒナ「馬鹿言わないで!……私があの時、殺し屋キュウサイを止められていたら、あんなことにはならなかった。私が、私が弱かったから……。ねぇ、先生、最近ゲヘナの学生がみんな大人しいのよ。お陰で、風紀委員会に初めて『暇』な時間ができたのよ。ある子に聞いたら、なんて返ってきたと思う?あまりにも、あまりにも私が労しいからだって!……笑っちゃうよね、今更になってなんのつもりって、思いっきり突き返しちゃった。あは、ははは……」
先生"……ヒナ、無理に笑わなくてもいいし、私なら大丈夫だよ"
ヒナ「大丈夫、なんかじゃない!……聞いたよ、連邦生徒会から。……本当に辞めるの、ここを。キヴォトスから、出て行っちゃうの?」
先生"うん……もう決めたことなんだ。殺し屋キュウサイの事件が終わったら、私は責任を持って先生を辞める。そうでもしないと、今回の件の責任は、果たせそうにないんだ。……次の先生も実は決まっているんだ。だから"
ヒナ「やだ!私にとっての先生は、先生しかいない……!本当に、本当に駄目なの……?」
先生"……この前、アコの親に会ってきたよ。思いっきりぶん殴られちゃってさ。でも、アコの親のあの顔を見ちゃったらさ、こうすることでしか責任は果たせないって、悟ったんだ……。それに、きっとアコだけじゃない。もっと、沢山の生徒が、人が、殺し屋キュウサイに殺されているんだ……。最近になって、行方不明になる生徒が増えてきたんだ。きっと、殺し屋キュウサイに……" - 120◆uorq7ead4s25/11/07(金) 20:53:26
ヒナ「……そんな、先生」
先生"アコだけじゃない。きっと行方不明のフブキ、モミジ、カエデも……既にこの世には……。みんな、私が殺したのと同じだよ"
ヒナ「なんで、なんでそこまで先生は……」
先生"罪を被りたがるのかって?別に被りたくて被っているわけじゃないけど……それが大人だから。それが先生としての責任でもあって、殺してしまった彼女たちに、少なくともできることだと信じているから……"
ガシャーン!と大きな音を立て、シャーレのオフィスの窓ガラスが割れた。
どうやら石を投げ込まれたようだった。
そして、割れたガラスの向こう側から、大勢の人の声が聞こえる。
「「殺し屋キュウサイに罰を!」」「「無能なシャーレは何をしているんだ!」」「「キュウサイを殺せ!」」「「被害者のことをなんだと思っているんだ!」」
ヒナ「……先生」
リン「先生、おはようございます」
そんな中に、リンがシャーレのオフィスへとやってきた。
頭を切ったようで、つーと血が滴っていた。
先生"おはよう、リンちゃん……。また私のせいで、そんな怪我を……"
リン「……この傷は気にしないでください。もう、慣れましたから」
先生"それで、殺し屋キュウサイのことについては?"
リン「はい。以前のワイルドハントでの襲撃事件、あの時先生が録画してくれた動画のお陰で、目星をつけることができました。……着ていた制服のデザインしか情報がなかったので、時間がかかってしまいましたが」
先生"結果はどうなんだい?"
リン「……彼女の本名は、救災ヒジリ。かつて『私立丘の頭高校』という学校に通っていました」
先生"私立丘の頭高校?聞いたことのない学校だけど……"
リン「当然です。なぜなら……既に廃校して、無くなっているのですから」 - 121◆uorq7ead4s25/11/07(金) 20:54:28
「……ヒジリ」
誰かが、私を呼んでいる。
「おーい、ヒジリってば……」
……なんだか、妙に急かすような声だな。
「ヒジリってば!」
ハッとして、目を開ける。
目の前には、少しいぶかしげな目をした、私の友人がいた。
アキ「なーにぼーっとしてんの?何、考え事でもしてたの?」
ヒジリ「い、いや別に?ちょっとぼーっとしてただけ」
アキ「答えになってないんですけどー」
ヒジリ「い、いいじゃん!ぼーっとしてたって?何が悪いの?何罪?」
アキ「ぼーっとしてた罪」
ヒジリ「何それ、どこの法律?」
アキ「今アタシが考えた」
ヒジリ「ぷっ……何それ……くっだらない……」
アキ「あー、笑うなってのー!」
ヒジリ「あはははははっ!アキったら、普段私のことを弄るくせして、自分のこと弄られると弱いんだから」
アキ「そんなに揶揄うと……その乳もぐぞの刑に処すぞ!」
ヒジリ「あ、ちょっと、やめて、やめてってばいたいいたい!」
アキ「その無駄にデカい乳を私に少しは恵まんかい!」
ヒジリ「そんなこと言ったって無理なものは無理だよー!あーいだだ!爪立てんな!」
教師ロボット「はいそこー、もう少しで授業が始まるからね、大人しくするように」
ヒジリ・アキ「「はーい」」
アキ。来栖(くるす)アキ。
ちょっと気が強くて、わがままなところもあるけれど……、私の大切な友達。
幼いころからずっと一緒に過ごしてきた、所謂幼馴染ってやつ。
教師ロボット「では、授業を始めます……」
そして、この学校は私立丘の頭高校。
銃を持つことが普通なキヴォトスで、珍しく「銃を持たずとも生きていける術」を教えている学校だった。
だから、私とアキは、銃を持たずに日々を過ごしていたんだ。 - 122◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:25:27
周りからちょっと変な目で見られることはあったけれど……アキと過ごしているこの日々は。
毎日がキラキラしていた。
アキと他愛のない話をして。
アキ「ヒジリ、昨日の晩御飯何だった?」
ヒジリ「私?私は確か普通にシチュー作って食べてたけど……」
アキ「あー、シチューねー……んまぁ、ヒジリの作るシチュー、結構美味しいからなぁ。普通に美味しいもの、食べてたか―……」
ヒジリ「えーっと、それで、アキは何食べたの?」
アキ「よくぞ聞いてくれました!アタシね、昨日はカレーを食べました!」
ヒジリ「へー、カレー美味しそう……っていや普通なんかい!壮大な前振りがあったから何かご馳走食べたのかと思っちゃったじゃん!」
アキ「騙されてやーんの!」
アキと一緒に遊びにも行ったりして。
ヒジリ「アキ、どう?釣れた?」
アキ「いやー、釣りって難しいわ、ボウズ……」
ヒジリ「えー……キャンプの晩御飯、折角だから自分たちで釣った魚にしようって言ったの、アキじゃん」
アキ「釣れないなんて思わなかったの!今頃は大量ってイメージだったのに……」
ヒジリ「しょうがないなぁ。それじゃ、私が行ってこようか?アキは他の物の準備しておいて」
アキ「はいはーい」
ヒジリ「……それでえっと、アキ?釣り餌ってまさかこの芋虫?」
アキ「そうだけど……ってそっか、ヒジリはビビりだから、虫とか駄目だったねー。無理すんなー」
ヒジリ「むー!もし釣れても魚アキにはあげないから!」
アキと一緒にくだらないことで喧嘩したりもして。
ヒジリ「だから!なんで勝手に私のお弁当の唐揚げ食べたの!」
アキ「しょうがないじゃんヒジリの作る唐揚げ美味いんだから!そんなこと言うなら、昨日のアタシの弁当の卵焼き、こっそり食べてたこと知ってるんだからな!そっちが先じゃん!」
ヒジリ「うっ……唐揚げと卵焼きは違うじゃん!」
アキ「違わないっ!」 - 123◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:26:28
アキ「ヒジリ―」
ヒジリ「なーに、アキ?」
アキ「……夕日、綺麗だな」
ヒジリ「え、アキ大丈夫?熱とかない?」
アキ「お前人のことなんだと思ってんだよ……ふつーに綺麗じゃない?この夕日さ」
ヒジリ「うん……確かに、そうだね」
アキ「大体夕日の絵を描くとさ、オレンジ色の絵の具でバーッと塗るじゃん。でも実際の夕日って、夜の闇の色も入って、意外とカラフルなんだなーって」
ヒジリ「……突然すぎて、どう反応すればいいかわかんないんですけど?」
アキ「いやさ、ない?ふと日常の風景を見てるとさ、アレ?ここってこんな風になってたんだ!って思うこと」
ヒジリ「うーん、あんま……ないかな?」
アキ「そこは、あるとかうんとか言ってほしかったなぁ……」
あの日の夕日、綺麗だったよね。
時間がゆっくりと流れて、止まったみたいだった。
その日の翌日に、あんな話さえなければ。
この瞬間は、きっと永遠だったろうに……。 - 124◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:27:45
教師ロボット「大変申し訳ございませんが、私立丘の頭高校は、経営難により、来月を以って閉校することとなりました」
アキ「はぁっ!?ちょっと待てよ!なんでこんないきなり!」
教師ロボット「……運営委員会の見解としては、やはりキヴォトスで銃を持たない、ということ自体が異常でしかなかったのです。生徒はこれ以上集まらず、利益が見込めないのであれば、閉校するべきであろうとのことです」
ヒジリ「待ってください!経営難であれば、私達もお金を稼ぎます!それでどうにか、なりませんか……?」
教師ロボット「残念ながら、私からは何とも言えません……とはいえ、ここではさほど珍しいことではないでしょう。何百、何千と学園のあるキヴォトスであれば、必然的に学校間での経済競争も……」
アキ「そんなことアタシたちは聞いてねぇんだよ!なんで、なんで今なんだよ!」
教師ロボット「ですから、運営委員会が定めたことですから……」
アキ「……このっ!」
ヒジリ「アキ!……ロボットさんに当たっても、仕方ないよ。もう、私達にできることは……もう、何もないんだよ……」
教師ロボット「……すいません、救災ヒジリさん、来栖アキさん。措置として、お二人にはすでに転入の手続きは進めております」
アキ「ちょっと、なんだよそれ!勝手に決められたってことなのかよ!なんでも、かんでも!運営委員会の言いなりかよお前は!」
ヒジリ「だからやめてよアキ!」
アキ「ヒジリ、アンタ悔しくないのかよ……学校無くなるのに、悔しくないのかよ!」
ヒジリ「悔しいよ!アキと一緒に過ごしたこの学校がなくなるなんて嫌だよ!だけど……だけど……だけどっ!」
アキ「……悪かった、ヒジリ。……少し一人にさせて」
アキはさ、声がおっきいから……トイレで大泣きしてたのが聞こえてきて……それにつられてなのかどうかわかんなかったけど……私も泣いた。
私達の思い出が、消えてしまう。
あの日々が、永遠だったはずの日々が……。 - 125◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:28:49
先生"その後、救災ヒジリはどうなったの?"
リン「あちこちの学校への転入、転出を繰り返し、最終的には学校を中退しているようです」
ヒナ「……結局のところ、ヘルメット団とかと同じ、学校を中退しただけの規則違反者ということね」
リン「……そうです、救災ヒジリと同じ経歴を持つ生徒が、もう一人いました」
先生"その生徒は?きっとその生徒に話を聞ければ……"
リン「来栖アキ。ですが彼女も、学校を中退して以降の動向は、わかりませんね……」
先生"救災ヒジリ、そして来栖アキ、か……" - 126◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:29:50
その後、私とアキは様々な学校を転々とした。
「銃を持たない」ことが当たり前だった私達にとって、それが常識じゃない人達からの目線は、冷ややかであった。
どこにいても、私達は疎まれ、除け者にされ。
どんな集団にも、属せなかった……。
時には手を差し伸べる人もいたかもしれない。
でも、その頃には私とアキは、他の人を信じる、ということをすっかり忘れてしまっていた……。
下手な同情程、却って腹が立ったし、そして関心を無くして、皆去っていった。
次第に、私の居場所はアキだけになり、アキの居場所は私だけになっていた。
アキ「ヒジリー」
ヒジリ「なーに、アキ?」
アキ「……夕日、綺麗だな」
ヒジリ「……うん、綺麗だね、アキ」
アキ「……なぁ、手繋がないか?」
ヒジリ「うん……私も繋がせて」
手を、繋ぐ。強く、固く。
離れてしまわないように、自分が消えてしまわないように。
来栖アキを、救災ヒジリを。
失わないように。
アキ「ヒジリ……アタシさ、不意に怖くなる時があるんだ……アンタがふと、消えちまうんじゃないのかって……」
ヒジリ「私も……。アキがどこかに行っちゃったら、もう私は、どうやって生きていけばいいのか、わかんなくなりそうで……」
アキ「離したくないよ……怖いよ、ヒジリ……」
ヒジリ「アキ……私も、とっても怖いよ……助けて、アキ……」
そうして二人で、傷口を涙で濯いでいた。 - 127◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:30:57
でも。
そんな私達にも。
亀裂が、入ってしまったのだった……
どんな学校にも属せなかった私達は、学校を中退して自分たちだけで生きていく道を探した。
不慣れな銃も扱って、ヘルメット団に混ざったり色々なバイトで稼いで、日銭を稼ぐ生活……。
そんな生活、元から破綻していたんだ。
だから、私達は徐々に追い詰められていった。
だったら、協力してなんとかすればいいじゃん、って思うかもしれない。
でも、現実は……そんなことすら許してくれなくなった。
銃の扱いに不慣れだから、稼ぎは微々たるもの、バイトをしてもタダ働きなんてことがザラ、そんなことをしている内に、二人とも食べるのにも苦労することとなった……。
「人間は生活の質を上げることは出来ても、下げることはできない」って言葉を、どこかで聞いたことがある。
下げざるを得ない状態になったら、その分だけ歪みが生じる。
アキ「だから、言ったよね!?アタシが稼いだ金なんだから、アタシが自由に使っていいじゃん!」
ヒジリ「そんなこと言って、二人で生きていくためにしていた貯金を全部ギャンブルで溶かしたの!?信じらんない、ただの馬鹿じゃん!どうしてくれんの!」
アキ「知るかよ!また敵を倒して、ふんだくりゃいいだけの話だろ!」
ヒジリ「アキは強いからいいよね!私が弱くてすいませんでした!」
アキ「そうだよ、クソ雑魚!大体そんなデカくてごつい銃持ってるなら、もうちょっと敵倒してくれてよくない!ねぇ!その銃は飾りかよ!」
ヒジリ「そんなこと言って、アキの尻ぬぐいはずっと私の仕事じゃん!私がいなかったら、今頃アキなんて……!」
こんな風に、喧嘩ばかりの毎日。
でも、離れることなんてできなかった。
離れたら、私は、アキは。
何処へ行けばいいのかすら、わからなかったから…… - 128◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:33:47
その日は、雨が降っていた。
しとしとと、延々と降り続けるような、弱い雨が。
私はその日も雨に降られて、濡れていた。
風邪をひきそうな中だったけど、頑張って仕事をしていた。
現場監督「お疲れー。ほれ、ヒジリちゃん。給料だ」
ヒジリ「……ありがとうございます」
現場監督「なーんだ、給料もらったのに嬉しくねぇのかよ。折角、日頃真面目にしてくれてるから、今回の給料には色をつけたってのによ」
ヒジリ「……ありがとうございます」
現場監督「はぁ……。お前さ、どんな事情はあるかは知らねぇけどさ。人は一人じゃ生きていけねぇんだから。協力し合って生きようぜ?」
ヒジリ「……そうですか、では」
現場監督「おいおいおい、ノリ悪いなお前も……。あー、お前にはいないの?大切な人とかさ。たまには日頃の感謝を込めて、プレゼントでも送ってみたらどうだ?」
ヒジリ「……プレゼント、ですか」
現場監督「そうさ。みんな助け合って生きてるんだ。たまには、いいんじゃねぇの?」
ヒジリ「……アキ」
現場監督「アキ?アキちゃんってのか。なら、この給料でなんか買ってやんな。多少奮発しても、大丈夫な分出してあるからよ」
アキ。
……そうだ。
ずっと喧嘩ばっかりしてたけど、私にはもう、アキしかいないんだ。
今までも、これからも、ずっとアキと一緒にいたい気持ちは、変わらないんだから……。
ヒジリ「……ありがとうございます!」
現場監督「あ、お、おい!……ったく、青春してんな、アイツも」 - 129◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:35:14
気付けば体が動いていた。
久しぶりだ、こんなに心が躍ったのは。
アキに何を贈ろう。何を贈れば喜んでくれるかな?
……そういえば、銃の調子が悪いって最近言ってたな。
そうだ、新しい銃をプレゼントしよう!
そうやって入ったガンショップが、その時の私にはまるでテーマパークのように感じた。
何を買おうか。何を買えばアキが喜んでくれるだろうか。
子供のように、爛々とした気分で。色々なものを見て回った。
そして。悩みに悩んだ結果。
アキが普段使っているのと似たようなSMGを、私は買うことにした。
「はぁ……はぁ……!」
会いたい。早くアキに会いたい。止まれ。
渡したい。この、一杯悩んで決めたプレゼントで、喜んでもらいたい。それ以上行くな。
謝りたい。今まで意地悪なことを言ってごめんなさいって、謝りたい。部屋のドアを開けるな。
そして。また二人で笑いあえる、そんな永遠の日々を送りたい。後戻り、できなくなるから。
苦しいかもしれないけど、きっと、私と、アキなら……。やめろ、今すぐ引き返せ。
「アキ……なら……」 - 130◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:36:17
アキは、どこで買ったのかわからない、派手そうな服を纏って。私の荷物を必死にまさぐっていた。
「何、してるの?」
「……あ、アンタには関係ない」
知らない。なんで、アキ。
「……何、してるの」
「関係ない、関係ないって言ってるじゃん!何、何なの!アンタまで、アンタまで!」
アキ、どうして?どうして私のこと、裏切ったの……?
私じゃ、どうして駄目なの……?
どうして、遠くに行こうとするの?
「アンタまで、アタシの楽しみを奪うの!」
ごつっ。
持っていた銃の銃床で、殴りました。
ごつっ。
固い球を、ただ、ひたすら殴りました。
ごつっ。
私がどんな顔をしていて、アキがどんな顔をしていたのかは、覚えていません。
ごつっ。
ただ、とてもひどい顔だっただろう、とは思っています。
ごつっ。
球から何かが流れてきました。なんでしょう。赤かったり、透明だったり。
ごつっ。
アキの声が聞こえなくなりました。それまでずっと何かを喋っていたようでしたけど、何を言っているのかわかりませんでした。
ごつっ。
銃床にひびが入りましたが、気にせず続けました。
ごつっ。
ピンク色の何かが球から見えました。でもどうでもよかったです。
ごつっ。
それ以降、固い音は聞こえなくなりました。 - 131◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:42:05
「おー、金の回収でぶらっと立ち寄ったら、案外ええ感じの収穫があったわ」
誰かの声がした。
そしてその時。
私は、初めて。
人を、殺したのだった。
「どうよ、嬢ちゃん。殺し屋やらんか?アンタいい素質、持ってせやさかいな」
私には、もう行く場所がなかった。
帰る場所も、行くべき場所も。この手で、奪ってしまったから……
「嬢ちゃん、名は?」
「キュウサイ……救災……ヒジリ」
「そうか、殺し屋キュウサイ。今後とも……ご贔屓に」 - 132◆uorq7ead4s25/11/07(金) 21:57:56
とても……長い間眠っていた。
この部屋は、暖かい。
私が失ってしまった、手放してしまった、もう戻らない、暖かさ。
「あ、起きたんですね。ハルさん。いや、殺し屋キュウサイさん。……無事で、よかったです」
SSは以上です。
こうして、殺し屋キュウサイは生まれたのでした。
次回の話は、キュウサイが何をするのかは、安価 >>140 で決めさせていただきたいと思います。
- 133二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 02:17:55
保守
- 134二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 11:46:33
なるほどなぁ
- 135二次元好きの匿名さん25/11/08(土) 21:08:00
ちょっと遠くない?
- 136◆uorq7ead4s25/11/08(土) 21:49:15
あ、珍しく書き込める……
確かにちょっと遠すぎたかもですね……
話は反れちゃいますが、皆さんヒジリのイメージCVとかありますか?私は夏川椎菜さんだったりしますが - 137二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 01:15:19
保守
- 138◆uorq7ead4s25/11/09(日) 09:18:36
保守どうもです
さて、そろそろかな? - 139二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 19:03:18
さあどうなる
- 140二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 19:12:19
CVとかは考えた事ないなぁ
声優さん詳しくないし - 141二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 19:16:08
失敗した
ごめんなさい - 142二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 00:37:45
辛いですね…苦しいですね…
この世界に救いはあるのでしょうか…?
残された人も、依頼人も、ヒジリさん自身でさえ救われて無いような気がします…
やはりここでいう『救い』は辛く苦しいこの世から…
うわぁ~ん!!! - 143二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 00:53:04
どうせこのシリーズそのものが剪定事象だろうしなぁ
- 144◆uorq7ead4s25/11/10(月) 07:30:53
- 145二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 08:04:44
おk
- 146二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 17:37:37
このレスは削除されています
- 147二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 17:40:07
墓参り
- 148二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 00:40:10
墓参りですかぁ…
誰のものなのか、妄想が膨らみますねぇ…
えへへ… - 149二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 08:48:43
保守
- 150◆uorq7ead4s25/11/11(火) 16:56:50
少し早いですが、SS投稿の時間です
まず、何のダイスかは伏せさせてもらいますが、今回の話の結末分岐に関係するダイスを振らせてもらいます
dice1d100=38 (38)
- 151◆uorq7ead4s25/11/11(火) 16:59:52
ヒジリ「……貴女は確か、ユイさんでしたっけ」
ユイ「ユイじゃなくって……というか、バレてましたか」
ヒジリ「ユイさん、嘘をつくのとか苦手そうでしたからね……。ホントもう、素直なんですから」
そう言うと、ヒジリは頭を抱えながら、ゆっくりと起き上がる。
ユイ「心配したんですからね、血塗れで雨の中倒れていたんですから。息をしていなかった時には、もう……」
ヒジリ「ご心配、おかけしてすいません……それでは」
足早に立ち去ろうとするヒジリであったが、上手く立ち上がることが出来ず、その場にへたり込んでしまう。
ヒジリ「あ、あれ……?立てないや……。おかしいな……」
ユイ「お医者さんじゃないんで詳しいことはわかりませんが……その傷で自力で立ち上がるのはたぶん無理ですよ……」
ヒジリ「そう、ですか……。殺し屋キュウサイも、いよいよここまでかなぁ、あはは……」
ユイ「あの……キュウサイさんが良ければですけど、傷が治るまで、うちにいませんか?傷が治るまででいいんで」
ヒジリ「あー、そうしてもらえるのはいいんですけど、ユイさんはいいんですか?私は今や、キヴォトスの敵です。その味方をするってことは……」
ユイ「今のキュウサイさんは、とてもじゃないですけどそんな怖い存在には見えませんよ。ただの怪我をした女の子にしか、見えません」
ヒジリ「……参りましたね。これじゃあ、ヴァルキューレに突き出されても、何もできないや」
ユイ「そんなことしませんよ。私はただ……キュウサイさんが心配なだけです」
ヒジリ「私が心配、ですか。私が死ぬのが、ですか?それだったらご心配なさらず!だって私は殺し屋ですもん、この業界に属してれば、誰かに殺されるなんてことも珍しくないんで!」
ユイ「それもそうなんですけど……私は、今の貴女が、どうしても……どうしても放っておけなくて。放っておいてしまったら、どんどん遠くへ行ってしまいそうで……」
あの時聞いた言葉が、夢の中でずっと反芻されてきた言葉が。
自然と、ヒジリの両手を結び、組ませていた。
ヒジリ「遠くに……」
そんなヒジリの手を、ユイは優しく包み込む。
ユイ「……はい。不思議ですね。私と貴女は依頼人と殺し屋の関係だったはずなのに、私は貴女のことを離したくないんです」 - 152◆uorq7ead4s25/11/11(火) 17:27:18
ヒジリ「……アキ」
ヒジリの体が少しずつ震えていく。
夢で見た過去の景色が、再びヒジリの脳内へと押し寄せる。
ヒジリ「……アキ、アキ!」
ユイ「大丈夫です、大丈夫ですよ。……私がいますから。だから今だけは……」
ヒジリ「黒い手が……!黒い手が……!」
ユイ「手なんてありませんよ。大丈夫、ちょっと悪い夢をみているだけだから……」
ヒジリ「……助けて」
ユイ「はい。……今だけは、私に貴女を、助けさせてください」
ヒジリ「……ヒジリ。私をキュウサイじゃなくて、ヒジリって呼んで」
ユイ「……はい。ヒジリ」
それからしばらくの間、ユイとヒジリの奇妙な共同生活が始まった。
ユイは日中は学校へ行き、帰ってきたらヒジリと会話する。
ヒジリはユイの部屋の中でゆっくりとリハビリをしながら、ユイが帰ってきたら会話する。
二人が顔を合わせる時間は少なかったが、二人にとって何より濃密な時間だった。 - 153◆uorq7ead4s25/11/11(火) 17:30:48
ユイ「どうですか、怪我の具合は」
ヒジリ「うーん……少し痛みますけど、ようやく歩けるようにはなったかな、って感じです」
ユイ「そうですか、怪我も少しずつ治ってきているみたいでよかったです。あと、今日のご飯は……」
ヒジリ「それなら、私がちょっと作ってみました。……その、勝手に冷蔵庫を覗いちゃったことは申し訳ないですけど、ずっとこうして匿ってもらっているのに、何もできないのって、ちょっとこう、辛いので……」
ユイ「……ヒジリがそれでいいなら、何よりです。それで、何を作ったんです?」
ヒジリ「えとその、唐揚げを……」
ユイ「唐揚げ!?その体で唐揚げなんて、包丁で怪我したり、油ひっくり返しでもしたら、大惨事じゃないですか!」
ヒジリ「え、え、っと……すいません」
ユイ「今度料理をするときは、必ず私がいるときにしてください!もうっ!」
ヒジリ「う、うへぇ……」
ユイ「……それで、これがヒジリが作ってくれた唐揚げですか?」
ヒジリ「は、はい。どうぞ召し上がって……くだ、さい」
ユイ「それじゃ、いただきますと。はむっ……美味しいです、美味しいですよコレ!」
ヒジリ「よかった……」
ユイ「ヒジリ、お料理上手だったんですね、これなら一人で台所にいても……さっきは怒っちゃってごめんなさい」
ヒジリ「……ううん、ユイさんが私のことを心配してくれて言ってくれたんで、大丈夫です!ささ、もっと食べてください」
ユイ「それじゃ、遠慮なく。ヒジリも食べてくださいね。折角こんなに美味しいもの、私一人で食べたら、勿体ないです」
ヒジリ「あ、うん、そうですね。いただきます……なんだか、こんなに美味しい唐揚げ、久しぶりに食べた気がします」
ユイ「そう、でしたか。それは、よかったです」
ヒジリ「うん、とっても、とっても美味しい……」
薄っすらと、ヒジリの目元に雫が浮かんでいたが、ユイはそれを黙っておくことにした。
……きっと、彼女にとって大切なものだろうから。 - 154◆uorq7ead4s25/11/11(火) 17:57:15
それから数日後、ヒジリはようやく一人で不自由なく歩けるレベルまで回復した。
ヒジリ「救災ヒジリ、完全復活です!」
ユイ「はい、無茶しないことー。つんっ」
ヒジリ「いっ、いだああああっ!!傷口をつんつんしないでくださいよ!」
ユイ「風邪でも何でもそうですけど、治りかけが一番ひどくなりやすいんですよ?ヒジリ」
ヒジリ「ううっ、大人しくしてまーす……」
ユイ「……ふふっ」
ヒジリ「笑わないでくださいよー……」
ユイ「ごめんなさい、ヒジリって、意外と弄り甲斐があるもので」
ヒジリ「うーっ、そうしていると……」
ユイ「がおーっ!……今のちょっと似てました?」
ヒジリ「なっ……!」
ユイ「あはははっ。ヒジリ……やっぱり貴女……ぷふっ」
ヒジリ「も―それ以上笑わないでくださいよ!……ふふっ」
ユイ「……よかった。ヒジリがこんなに笑ってくれるようになってくれて」
ヒジリ「私が、笑うように、ですか?」
ユイ「はい。依頼を受けてくれた時も、この部屋で目覚めた時も、どこかヒジリは遠くを見ているような気がして。そしてその時、とても悲しそうな顔をするんです……」
ヒジリ「……そうだったんですね」
ユイ「はい。……ヒジリ」
ヒジリ「殺し屋を辞めないか、と言うんですか?」
ユイ「……どうしてそれを」
ヒジリ「日は浅いですけど、ユイさんの言いたいことは、少しずつ分かるようになってきた、とでもいいましょうか」
ユイ「そうですか……」
ヒジリ「……明日は休日ですし、少し私に付き合ってくれますか?そのことをちょっと、外へ出て考えたいんです」
ユイ「わかりました。……では、今日は早く寝るとしましょう。早起きしてお弁当も作らないと」
ヒジリ「私も作るの、手伝いますよ。後それと、色々とかって来てほしいものがあるんです」
ユイ「……夜ももう遅いですけど、わかりました。ちょっと買ってきます」 - 155◆uorq7ead4s25/11/11(火) 20:56:46
そして、翌日。
弁当の入った包みと、数々の品々を携えて、二人は歩き始めた。
ヒジリ「いくつか、回りたいところがあるんです。多分一日歩き詰めになっちゃいますけど、本当にいいんですか?」
ユイ「はい。……きっとヒジリにとって、大切なところなんでしょうし」
一番最初に辿り着いたのは、人気のないとある廃墟だった。
ヒジリは到着するや否や、近くに放置されたパイプ椅子に腰かける。
ヒジリ「合歓垣フブキさん」
ユイ「……合歓垣、フブキさん?確か行方不明のポスターに書かれていた、方ですよね?」
ヒジリ「……ここで私が殺しました。このパイプ椅子に縛り付けて、棍棒で顔をぐちゃぐちゃになるまで叩いた後で、殺しました」
ユイ「……そう、でしたか」
ヒジリ「合歓垣フブキさんは、ここにいますか?ユイさん」
ユイ「……はい。顔の原型をとどめていない、ヴァルキューレの制服を着た方が、なんでしょう、プリプリ怒っているというか……ですね」
ヒジリ「プリプリ、ですか……ごめんなさい、なんて言いません。だからせめて恨んでくださいね、合歓垣フブキさん」
そして、とヒジリは付け加え、パイプ椅子から立ち上がると、紙袋に入ったドーナツを、パイプ椅子へと乗せた。
ヒジリ「これは、私からのせめてもの……償いとは言えるようなものではありませんが、どうか召し上がってください」
このドーナツは、フブキが命を落とす前、最後に食べたいと思っていたとある裏路地の店のものであった。
ヒジリ「もう、大丈夫です」
ユイ「……ヒジリ、行きたいところって」
ヒジリ「はい。……私が今まで殺めた方々のところへ」
ユイ「辛くは、ないんですか……?」
ヒジリ「辛いですよ。……でも、殺し屋を続けるにしても、辞めるにしても。自らの罪から、目をそらすことは出来ませんし、きっと、しちゃいけないことだと思いますし……」
ユイ「そう、ですか」
ヒジリ「次に、行きましょうか」
ユイ「……ヒジリ、手を繋いでも、いいですか?」
震えるヒジリの手を、ユイがそっと繋ぐ。
ユイ「辛いなら、少しだけでも私に肩代わりさせてください」
ヒジリ「ありがとう……ございます。それと……少しだけ、少しだけでいいんで、待ってもらえますか……?」
ユイ「……はい」
ヒジリはそのまま、泣いた。
ヒジリ「ごめんなさい、合歓垣フブキさん……」 - 156◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:01:08
次に辿り着いたのは、またしても廃墟だった。
しかし、先ほどと違うのは所々に黒く焦げた跡が残っており、白い髪の先客がいた。
ヒジリ「天雨アコさん」
ヒナ「……貴女もここに来ていたのね、殺し屋キュウサイ。もう容赦はしない、と言いたいところだけど……アコの前で、暴れたくない」
ヒジリ「……そうですか。私も、逃げるつもりはありませんよ。私も彼女に会いに来たんですから」
ヒナ「そう……なら勝手にして」
ヒジリ「……天雨アコさんは、私が火をつけて殺しました。……あの時の私は、先生に核心を突かれて、自棄になっていたのかもしれません」
ヒナ「……そんなことでアコを殺したの?」
ヒジリ「はい……許してほしいだなんて言えないので、せめて恨んでくださいね」
ヒナ「そうさせてもらうわ。貴女のことは先生から聞いたわ。過去に何があったのかもしれないし、私が同じ立場だったら貴女と同じ行動をとっていたかもしれない……。それでも貴女は、私の、私達の敵よ」
ヒナ「同行している貴女も、早めに殺し屋キュウサイとは縁を切ることを勧めるわ」
ユイ「……最後に決めるのは私です。ヒジリと一緒にいたいのも、私の意志なので」
ヒナ「そう。……少なくとも手を貸そうだなんて、思わないことね」
ヒジリ「……ユイさんにはそんなことさせませんよ。私の罪は、私が背負うべきものなんですから」
そしてヒジリは廃墟に小さな花束を置き。
ヒジリ「……安らかに何て言えません。だからせめて、私が地獄に堕ちた時に笑ってくださいね」
ユイ「……あの、ヒジリ。多分天雨アコさん、そんな話聞いていないと思いますよ。だって……黒焦げになった人影がさっきからヒナさんの髪の毛にダイブするのを繰り返してますから」
ヒナ「貴女、アコが見えるの……?」
ユイ「もともと霊感があって、幽霊とか見えるんです、私」
ヒナ「アコは……変わらないわね」
そう語るヒナの目に、薄っすらと涙が浮かんでいることを、ヒジリは気付いていた。 - 157◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:04:06
ヒジリ「……次の場所へ行きましょう。……空崎ヒナさん、よければ一緒に来てくれますか?」
ヒナ「……そうね。もう貴女を逃がしたくないから同行させてもらう。……でも、こんな無意味なことをして何になるというの?いい人にでもなったつもり?罪を償ったつもり?」
ヒジリ「そんなことは思ってませんよ。……でも、これから先罪を重ねるにしても、罪の清算をするにしても、もう一度見ないといけない、そう思っているだけです」
ヒナ「そう。……独善的ね、貴女」
ヒジリ「独善的でもないと、殺し屋なんてやってられませんから」
ユイ「あー、ヒジリ!そうやって挑発しない!ほら、天雨アコさんも犬みたいに呻ってますよ!」
ヒジリ「あ、あー……その、ごめんなさい、空崎ヒナ、さん」
ヒナ「今更貴女から謝られても、何も感じないわ。とっとと次に行きましょう」
続いてやってきたのは、山海経の地を一望できる高台だった。
ヒジリ「……ここにやってきたのは、厳密にはまぁ、人を殺したわけじゃないんですけど……」
バックから取り出した双眼鏡を覗き、梅花園の方を見つめる。
ヒジリ「……よかった」
ユイ「梅花園に、何かあるんですか?」
ヒジリ「……前に、梅花園の女の子に頼まれて、あそこの小さい教官さんを助けたことがあったんです。色々と酷い目に遭わされたみたいですけど、無事に心の傷も、体の傷も癒えてくれているみたいで、よかったなって」
ヒナ「とんだ偽善ね。ヒーローにでもなったつもり?」
ヒジリ「確かに偽善かもしれませんね。でもいいんです。……だって、見てくださいよ」
そう言いヒジリはヒナに双眼鏡を渡し、話し続ける。
ヒジリ「あんなに楽しそうに、梅花園の子たちと遊んでるんですから」
ヒナ「……そうね」
ユイ「かく言う私も、ヒジリに救われた人間の一人、ですからね」
ヒナ「……その話は、今はとやかく聞かないでおいてあげるわ。その代わり、もう少しだけ眺めさせてくれる?……貴女が、殺し屋キュウサイが守った笑顔を」
ヒジリ「……はい」 - 158◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:05:29
ヒジリ、ユイ、ヒナの一行が次に訪れたのは、レッドウインターの雪山であった。
雪山は、静寂に包まれ、しんとしていた。
ヒナ「……貴女が殺した人がここにもいるの?」
ヒジリ「はい。……秋泉モミジさん」
ユイ「……確かに、眠ぼけているような人が見えますね」
ヒジリ「貴女を殺した時、私は心の中に空白が生まれたんです。……その時はわからなかったけど、今ならわかる。私は貴女を殺す、ということへの罪悪感を失おうとしていたんです……。貴女と向き合うことを辞めようとしてしまっていたんです……ごめんなさい、秋泉モミジさん」
ヒナ「……変な信条ね。そんなものを、貴女が抱いていたなんて」
ヒジリ「変、ですかね……。私はただ、人を殺すということに対して、向き合わないといけないと思っていたんです……。本当に向き合えていたのかどうかは、わかりませんけど……」
ヒナ「そう。……でも、少しだけ私は貴女のことを誤解していたみたいね。……でも、それなら余計にわからないわ。どうして貴女は殺し屋なんかをしているのか……」
ヒジリ「……その話は、後で話をさせてください。きちんと話しますんで」
ヒジリはその場に、モミジが殺される前日まで読みかけていた本を置き、雪山を後にするのであった。 - 159◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:07:22
次に向かった場所は、かつてとある狂人が「アトリエ」と呼んでいたとある雑居ビルであった。
ヒナ「ここって……例の大企業の会長の狂ったアトリエじゃない」
ヒジリ「勇美カエデさん」
ユイ「……やっぱり、貴女もあの人に協力したことがあったんですね」
ヒジリ「……すいません、依頼を受けた場合に、依頼人さんのことは自分の口からは言っちゃいけない、って決まりがあったので」
ユイ「正直、ショックです……。あの悍ましい趣味に、貴女も加担していただなんて……」
ヒジリ「……軽蔑しますか?」
ユイ「……はい。でも、あの時。ヒジリと初めて会った時の勇美カエデさんの表情を見ていると……貴女のことを恨み切れない自分もいます」
ヒジリ「……ごめんなさい。今の私には、もうこれしか、言えません……」
ユイ「……でも、同時に感謝もしているんです。感謝というより、貴女に殺しの重荷を背負わせてしまったことを……悔いているんですね……私」
ヒジリ「以前、とある依頼を受けた時、依頼人さん自ら止めを刺したい、という話が上がったことがあるんです。その時、依頼人さんに言われたんです。……人を殺すことは、辛いことだって。……ユイさん、貴女の苦しみを、辛さを私が背負えたなら……大丈夫ですから、私」
ヒナ「……詳しい話は、後で聞かせてもらうわ」
最後に、ムシクイーンのカードをその場に置き、ヒジリはまた次へ、次へと殺した人達に対して、懺悔するのであった。 - 160◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:09:24
気付けば、空は夕暮れへと色を変えていた。
とある住宅街の一角、とある空き地に一同は立っていた。
ユイ「ここは……?」
ヒジリ「……殺し屋キュウサイが生まれた場所です」
ヒナ「私立丘の頭高校の跡地、でしょう?」
ヒジリ「……はい。ここで私とアキは……アキは……」
ヒナ「……来栖アキを、貴女自身の手で殺したのね」
ヒジリ「アキは……私にとってかけがえのない存在でした。私にとってアキは、生きる為の理由で、道しるべで……たった一人の友達であり、私が救災ヒジリである為の存在でした」
ユイ「ヒジリ……」
ヒジリ「だけど、色々なことがある内に、私達はおかしくなっちゃって……しょっちゅう喧嘩するようになって……。仕事でうまくいかなかったとき、辛いことがあったとき、悲しいことがあったとき……私達は互いを傷つけてしまいました」
「ねぇ、アキ。あの時私から、謝っておけばあんなことにはならなかったのにね。あの時私が、貴女にもっと寄り添ってあげればよかったのに……あの時、私が。私が……」
前が見えない。
あの日の夕日が滲んでいる。
「アキ……アキ……貴女に、貴女に会いたいよ……貴女に、会って……謝りたいよ。また、この夕日を、綺麗な夕日を一緒に見たいよ……。アキ……貴女の名前をもっと呼びたい……応えてほしい……。アキ……アキ……」
やっと私は。
アキを殺してしまったことを認めて。
アキの死を悲しんで。
もう二度とアキに会えないことを実感して。
泣くことができたような気がする。
「何処かにいるなら、応えてほしい……そうじゃないと私は……もうどうすればいいかわかんないよ……アキ……。離したくなかったのに、私にはもう貴女しかいないのに……。私はただ、貴女に許してもらいたかったの……応えて、アキ……アキ……」
アキとの思い出。
殺し屋キュウサイとしての記憶。
そして、今の私。
「ねぇ、アキ……救災ヒジリって、誰なんだろう……貴女がいないと、私は、私は救災ヒジリでいられる自信がないよ……」 - 161◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:10:51
「……アキさん、そこにいるんですね。いえ、ずっと……ヒジリを待っていたんですね。……わかりました。私が貴女の言葉を、答えを、ヒジリに伝えます」
「え……アキ、なの?」
「……うん。ヒジリ」
「アキ……」
「ずっと、アンタのことを見てた。……アンタが辛そうな時も、アンタが苦しそうな時も、痛そうなときも。ずっと、アタシは傍で見てたんだ。傍で見てただけで、何もできなかったけどさ……」
「いいの……アキ……貴女は、ずっと傍で私のことを見てくれてたんだ……」
「時には殺し屋とかいいつつ、ヒーローみたいにかっこいいこともあったよね。悪い奴らをぎったんぎったんにやっつけてさ……あの時はスカッとしたよ」
「私は……ヒーローなんかじゃないよ。私は……ただ依頼人さんにお願いされたから、仕事をしただけだし、やったことは……」
「そう、ヒジリはヒーローなんかじゃない。ましてや、殺し屋なんかでもないさ」
「……え?」
「ヒジリはさ、普通の女の子だよ。アタシと同じ、どこにでもいる普通の女の子で、背が大きいくて胸が大きくて、でくの坊みたいでさ」
「で、でくの坊はひどくない!?」
「あー、ごめんごめん」
「それ、本気で謝ってる……?」
「……ヒジリ、謝ってどうにかなるようなものじゃないことはわかっているけど……ヒジリ、ごめんなさい。アタシのせいで、アンタの人生滅茶苦茶にしちゃって……。アタシもアンタと仲直り出来たらって、ずっと思っていたんだ。でもさ、アタシ変なところで意地張って……それで……。……アンタに、取り返しのつかないことをさせちまった」
「……意地を張ってたのは、私もだよ、アキ。それに、最後の一線を越えたのは、私の意志だから……」
「……今まで、ずっと辛かったよな。誰にもばれないように一人でたくさん泣いていたし、苦しい日々を過ごさせちまった……」
「アキ……アキのせいじゃ、ないよ……」 - 162◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:12:58
「なぁ、ヒジリ……今まで散々アンタに迷惑かけてきたけどさ、最後に一つだけ、お願い聞いてもらっていい?」
「……何、アキ?」
「アタシは……アンタに、救災ヒジリに、幸せになってもらいたい。もう、アンタの辛い顔は見たくないんだ。……だから、もし仮にアタシのために殺し屋を続けるって言うなら、アタシのために罪を重ね続けるって言うなら……もう、止めてほしいんだ」
「……やだ。そのお願いだけは、やだ。そのお願いは……そのお願いを叶えるってことは、アキのことを忘れるってことだから……アキを、皆を殺した罪を忘れたように、幸せに生きるだなんて、私には許されないし、できないよ……」
「辛いし、苦しいよな……だけど、このお願いを叶えたらさ、アンタのことを許してやる……じゃダメかな?」
「ダメだし、嫌だよ……!私には、救災ヒジリには、来栖アキが必要なんだよ……!来栖アキのない救災ヒジリなんて、救災ヒジリじゃ……」
「……そんなことないよ。いるじゃねぇか。このユイって子もそうだし、実際アンタに助けられた人もいるんだ。……もう救災ヒジリは、アタシとアンタだけのものじゃない」
「わかんないよ……!いきなりアキの癖に難しい話しないでよ!嫌だ、もうアキを失うのは、嫌なの……」
「……いい加減に、してくださいよ!」
誰かが、私の頬を叩く。
頬をなぞって、前を見ると。
そこには、涙を蓄えたユイさんがいた。
「もうヒジリは……私のヒジリでもあるんです!なんで、なんで勝手に救災ヒジリを無くそうとするんですか!アキさんもそんなこと望んでいないのに!貴女がアキさんを思うように、アキさんが貴女を思うように、私だって、貴女のことを思っているんです!……だから、いなくならないでください。私から、離れないでください!」 - 163◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:15:04
あの時の私。
ずっと手を離さないと、アキと誓ったあの日の私が、そこに立っていた。
だから。
「……ごめんなさい、ユイさん」
アキのことは忘れない。今までの罪も忘れない。
「そして、ありがとう。……私に、救災ヒジリに、貴女が新しい色をくれた」
手を繋ぐ。決して離さないように。
手を、繋ぐ。強く、固く。
「……離したくないです」
「私も、離したくないです」
ぞろぞろと、ゲヘナの風紀委員たちが集まってきた。
ヒナ「……きっと出会いが違ったなら、私と貴女は友達になれていたかもしれないわね」
ヒジリ「……そうだったら、素敵ですね」
ヒナ「それでも、貴女の罪は消えるわけではない……。来てもらうわ」
ヒジリ「……ユイさん、どうやらここまでみたいです」
ユイ「私……待っていますから。またヒジリと会えるのを」
ヒジリ「……はい。絶対に戻ってきます」
ふと、空を見る。
夕日は様々な色で彩られて、とても美しかった。
「あぁ、なんて綺麗な夕日なんだろう……」 - 164◆uorq7ead4s25/11/11(火) 21:18:07
SSは以上です。
本日の最初に振らせてもらったダイスは、いつぞやに決めた「シャーレの逃走ダイス」です。
さて、救災ヒジリの物語は、そろそろ終わりを迎えようとしています。
そこで、皆さんにご相談です。
現在浮かんでいるプロットとして
1.このままヒジリの物語を終わらせる
2.ヒジリに関する新たな物語を始める
の2つを考えています。
私としては1でも2でもいいですが、どちらのプロットで進めるのか、少し皆さんの意見を頂きたいです。 - 165二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 01:11:22
2で
- 166二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 08:47:31
あ、やっと終わる?
うちの推しがオリキャラちゃんをヨイショするために雑に殺されなくてほっとしてるからこれ以上引っ張らなくていいよ - 167二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 09:11:01
- 168二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 13:44:02
進退の判断を読者に投げる程度の思い入れなら続けなくていいでしょ
- 169◆uorq7ead4s25/11/12(水) 21:02:22
- 170二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 01:13:17
保守
- 171 >>16725/11/13(木) 09:48:31
- 172二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 18:30:13
何にせよ、せめて
「来栖アキがギャンブルでこさえた借金は地道な努力で返済するのか誰かが代わりに完済するのか貸し手をブッ潰して踏み倒すのか」
「絞首や電気椅子や毒薬よりも痛く苦しい死に方でなければ釣り合わないであろう救災ヒジリの処罰をどうするか」
くらいは明記してほしいし、欲を言うなら
「殺し屋キュウサイ最後の仕事として(あるいは先生が大人の責任を全うするべく)諸悪の根源の一端たるガン・スミスへ引導を渡す展開(いっそ唐突に小悪党じみた本性を現されてもたぶん許せる)」
「ネームドキャラクターの欠員などに起因する原作とは(良かれ悪しかれ)異なる未来(滅亡エンドでも可)」
も書いてほしい - 173二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 18:41:27
2で
墓参りを提案した者だけどちゃんと罪と向き合ったみたいで良かった - 174二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 18:53:19
ぶっちゃけこの話で一番かわいそうなのって殺しの片棒担がされる形になった上でこれといったフォローもないアユムだよね
- 175◆uorq7ead4s25/11/13(木) 21:31:13
保守有難うございます。
色々一日考えましたが、2のヒジリに関する新たな物語を始める、で進めたいと思います。
しばし、皆様お付き合いをお願いします。
今日は、そんな新たな物語の、プロローグ部分だけSSを書こうと思います。 - 176◆uorq7ead4s25/11/13(木) 22:21:31
あれから。
私はいろいろな人に、殺し屋キュウサイのことについて聞かれた。
私はその度に、同じことを話した。
最愛の友達を殺し。数多くの罪のない人を殺し。
そして、今に至る、と。
本当に、色々な人がその話を聞いた。
中には、私が殺してしまった被害者の友達や先輩もいた。色々な罵詈雑言を受けたのを、覚えている。
「ねぇ、どうしてモミジを殺したのよ!どうして……どうして!この、この人でなし!殺されちゃいなさいよ!」
「……私は、貴女を許さない。カエデの命を奪った、貴女を」
「本官はただ職務を全うするだけです……。それ以上も、以下もなく、貴女には何の感情もありません……。例え貴女を恨んでも、フブキは戻ってこないんですから……」
「死んでしまえばいいのに」「殺されるべきだったのはアンタだった」
「死を」「罰を」「報いを」
……そして、私が告げられた判決は、当たり前のものであった。
「死罪」
私は、今こうして何もない、日の光の一切差さない部屋にいる。
死が怖いものだろう、ということは知っているつもりだった。
でも、いざ死ぬとなると、怖かった……。
ゆっくりと、抗いようのない死が近づいてくる。
狂ってしまいそうなほどの恐怖で、何度も助けを呼んだ、叫んだ。
目を開いても、閉じても、あるのは暗闇だけ。
どれだけ喚いても、騒いでも、帰ってくるのは沈黙だけ。
食事はなく、ただただ、死をこの狂いそうな暗闇で待つだけ。
日を数えることすらできないから、もうどれくらいの時間が経ったのかを考えるのはやめた。
胸の奥からドロドロとした恐怖が湧き上がってくる。
あぁ、あの例の薬の幻覚作用か……。
……最近になって、この黒い手の幻覚ですら、愛おしく感じてきた。
「……ユイ、アキ」
唯一の心の支えは、私がこの絶望を受け入れようと思える希望となっていたのは、あの二人だった。 - 177◆uorq7ead4s25/11/13(木) 22:33:57
そう考えたのは、随分と昔のことに思える。
……最後にあの黒い手を見たのは、いつだろうか。
もう、手足に力を入れるのが、目を開けているのが、億劫になってきた。
……誰にも見られず、このまま誰にも知られず、私は死んでいくのか。
あぁ、これが報いか……。
ごめんなさい、ユイ。
そして
「あ……き……」
がちゃん!
私が目を閉ざそうとしたとき、突然の音が私の鼓膜を襲う。
そして、目の前に強烈な光が入ってくる。
手をかざそうとしたけど、そんな体力は私にはなかった。
「うわっ、臭っ……。ウンコとかションベン垂れ流しかよ……」
開幕、その人は私のことを罵った。
「チッ、やっぱりしぶとく生きてやがった。……本部、こちら……」
誰だろう、この人は。記憶の中を巡らせて、この人に会ったことがあるかないかを思い出してみる。
……そうだ、この人のことは知らないけど、この人が来ている服なら知っている。
合歓垣フブキさん。
彼女と同じ、ヴァルキューレの服を着た人だ。
「出ろ、殺し屋」
この人は何を言っているのだろうか。
「……チッ、出ろっつってるのが、わかんねーかなぁ!」
髪の毛を掴まれて、そのままずるずると引き摺られる。
痛い。久しぶりの痛みだった。
でも、呻き声すら、今の私には出せなかった。 - 178◆uorq7ead4s25/11/13(木) 22:58:49
……気が付いたら、ベッドに私は寝かされていた。
目を動かすと、腕に点滴が繋がれていた。
「……起きましたか。殺し屋キュウサイ、いえ、救災ヒジリさん」
どこかで聞いたことのある声だった。
でも、まるで別人のようであった。
「……岩櫃、アユムさん?」
目を動かし、声のした方向を見ると、そこには銃口があった。
「7.62mm弾が1分間に600発発射可能な銃です。普通の銃ですし、普通の人なら、普通の貴女なら殺せませんが……今の貴女なら殺せます」
……この人は本気だ。
ずっと人を殺してきたから、私にはわかる……。
「貴女に残された選択肢は一つです。私の依頼を受けること。以外の選択肢を選ぼうとすれば……貴女は死にます。それをお望みならば、その通りに致しますので」
冷徹な目だった。
私への恨みとか、そういう次元を超えていた。
彼女は、最早私のことを何とも思ってすら、いなかった……。
だから、私の答えは、首をゆっくりと縦に振ることしか、無かった。
「いいでしょう……貴女の最後の依頼は」
「キヴォトスから、殺し屋キュウサイを消すことです」
なんで?どうして?
殺し屋キュウサイは、もういないはず……
「確かに、かつて殺し屋キュウサイを名乗っていた貴女は、矯正局へ送られ死罪となりました。しかし、殺し屋キュウサイは、依然として殺しの『依頼』を遂行しているのです」
「模倣犯……ですか?」
「でしょう。ですが、そうでもないと言えます。……もはや殺し屋キュウサイは、キヴォトスにおける一つの概念となりつつあります。人を殺し、金を得る……そんな汚らわしい商売を、殺し屋キュウサイは続けています。あなたが齎した殺し屋キュウサイという概念が、キヴォトスを変容させてしまったのです」
「……それで私は、何をすれば」
「毒を以て毒を制す」
「そういう、ことですか……」
「察しが良いようで助かります。貴女には殺し屋キュウサイを名乗り、殺しを行う無法者を、全員殺してほしいのです」
「……殺さなければ、いけないんですか?」
「それがあなたの仕事じゃないんですか?殺し屋キュウサイ」 - 179◆uorq7ead4s25/11/13(木) 23:05:03
「殺しの烙印は消えないんです。貴女も……私も。今更なかったことにできると、本当に思っているんですか?たかが死んだくらいで」
「……いいえ」
「なら、よいでしょう。退院は明後日です。以降は私の配下で動いてもらいます。……くれぐれも、銃口を鈍らせないでくださいね、殺し屋キュウサイ」
そうして、岩櫃アユムさんは帰っていった。
……殺し屋キュウサイは生きている。
私が、救災ヒジリが生み出してしまった概念という名の怪物として。
……その責任を、私は背負う必要があった。
例え。
ユイにまた会えなくても。
アキに顔向けできない姿でも。
私が犯した罪に、今度こそ向き合うと、そう決めたから……!
そして、殺し屋キュウサイの、殺し屋救災ヒジリの、最後の依頼が始まった。 - 180◆uorq7ead4s25/11/13(木) 23:21:02
というわけで、こちらがプロローグです。
最後の依頼、と言いつつも、数話またぐような内容となります。
では、今後の流れについてお話します。
ダイスを振り、『殺し屋キュウサイ』の標的となる生徒・人物を決めます。
しかし、今後はヒジリの殺しの判定(現在の値は『59』)によって、『標的を護衛することができるか』を判定してきます。
標的の護衛に成功した場合、シャーレの追跡ダイスの値が1d10ずつ増加していき、100になった時点で黒幕であるガン・スミスとの直接対決となります。
なお、現時点でのシャーレの追跡ダイスの値は『44』です。
では、次回SSの話を決めていきましょう。
護衛対象
1ならモブ、2ならネームド dice1d2=1 (1)
モブの場合(1:ロボット、2:獣人、3:生徒) dice1d3=2 (2)
ネームドの場合 dice1d200=90 (90)
護衛の成功・失敗(59以下で成功、ただし59ちょうどで成功するものの致命的なトラブル、100で致命的失敗)
dice1d100=46 (46)
- 181◆uorq7ead4s25/11/13(木) 23:37:13
ちなみに、もうルートというか、結末は決めています。
当初考えていたルート分岐案ですが
・シャーレに捕縛された状態で、メンタル値が30以下……矯正局で罪を償い過ごし出所するものの、最後に今までの罪の清算をされ、殺される
・シャーレに捕縛された状態で、メンタル値が80未満かつ、依頼成功率が70%未満……先生に諭され、ようやく罪と向き合おうと決心するが、それでも殺し屋としての生き方から抜け出せないエンド
・シャーレに捕縛された状態で、メンタル値が80未満かつ、依頼成功率が70%以上……ガン・スミスと対峙し、殺し以外の生き方を見つけるものの、キヴォトスの必要悪として、生き続ける決意をするエンド
・シャーレに捕縛された状態で、メンタル値が80以上……廃人になって矯正局で一生を過ごすエンド
・依頼成功率が100%となる、もしくは先生が死亡する……伝説の殺し屋キュウサイエンド
・メンタル値が100となる……殺戮者救災ヒジリエンド
という分岐を考えていたりはしましたが、なんかノリで書いてたらこれらすべてに当てはまらなくなっちゃったんですよね……。ユイが一番の誤算です。
実のところ、書こうと思っている内容が大体これと合っているんですよね……
- 182二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 08:41:18
保守
- 183二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 18:33:53
なるほど
- 184二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 00:58:01
保守
- 185二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 01:03:44
保守
- 186◆uorq7ead4s25/11/15(土) 10:48:48
保守どうもですー
またいつもの時間にSS投稿します - 187◆uorq7ead4s25/11/15(土) 13:25:24
そういえばとある別スレにて、本スレの感想として『悪趣味』と頂きました
なんというか、その……ゾクッときましたね(M並感)
あと今日のSS更新分は新スレにしたほうがよさそうですね。
もうすぐ190ですし - 188二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 15:52:53
このレスは削除されています
- 189二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 16:01:46
このレスは削除されています
- 190◆uorq7ead4s25/11/15(土) 19:57:16
https://bbs.animanch.com/board/5876044
というわけで次スレを立てました。
今日の更新は次スレで行います。
このスレで余った分は感想書いてもらうもよし、埋めてもらうもよしで。
アンチコメントもありがたいですね(M並感)
- 191二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:10:04
つよい(確信)
- 192二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:15:09
おつー
- 193二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:15:26
おつー
- 194二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:17:25
おつー
- 195二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:18:55
- 196二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:19:18
おつー
- 197二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:22:12
おつー
- 198二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:22:23
おつー
- 199二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:24:47
おつー
- 200二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 20:25:05