日本映像学会「映像身体論」研究会にて講演を行います
映画理論・メディア理論などをご専門とする難波阿丹さんにお声かけいただき、氏が発起人となって立ち上げられた日本映像学会「映像身体論」研究会にて講演をさせていただくことになりました。昨年刊行した著書『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ――デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術』を起点に、研究会の名前にも冠されている「映像」と「身体」の現代的な関係を考えるための、有益な視点を提供できればと思っています。
タイトルは「Y2Kと〈エーテル〉の美学」。本の刊行から時間が経ち、さまざまな取材・執筆に携わった経験や、個人的に文献を読んだりした中で、自らの思索の中核となる概念は〈セカイ系〉ではなく〈エーテル〉なのではないか? と考えるに至ったその軌跡を紹介する予定です。本の中では扱いきれなかった、VRや生成AIといったテクノロジーについての考えも披露することになりそうです。この記事の末尾に発表予定のスライドを掲載しておりますので、そちらをご覧になっていただければざっくりと当日の内容を摑んでいただけるのではないかと思います。
講演は一般の参加も受け付ける形で、12月7日(日)の日中にオンラインで行われます。以下の概要内にある事務局のアドレスにご連絡いただくことで、Zoomへの招待リンクを受け取れる形となっております。質疑応答の時間もありますので、拙著をお読みいただいた方はぜひお気軽にご参加ください。お話ししましょう!
講演概要(日本映像学会ホームページより引用)
第5回 日本映像学会「映像身体論」研究会「Y2Kと〈エーテル〉の美学」
本研究会は、近年興隆する映像身体論の潮流を検討し、従来の美学・芸術学が対象化してこなかった「brain tingles(脳のうずき)」や「head orgasm(頭のオーガズム)」等の映像がもたらす「快/不快」情動、あるいはインターフェイスの視/触覚的側面について理解を深めることを目的とし、多様な学術分野から代表的な論者をお招きして、意見交換を進めてまいります。
第5回オンライン公開研究会では、昨年『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ』を刊行された気鋭の批評家、北出栞氏から「Y2Kと〈エーテル〉の美学」と題するご講演をいただく予定です。ご関心のある方はどうぞ奮ってご参加ください。
【日時】2025年12月7日(日)14:00-16:15(日本時間)
【会場】オンライン(無料)
【参加方法】
参加を希望される方は、名前、所属を明記の上、下記アドレスまでお問い合わせください。
head.orgasm@gmail.com
【定員】
20名(※先にお申し込みの方を優先的にご案内いたします。)
【プログラム】
14:00-14:30 趣旨説明:難波阿丹(「映像身体論」研究会代表)
14:30-15:30 講演:北出栞「Y2Kと〈エーテル〉の美学」
15:30-16:15 質疑応答
「Y2Kと〈エーテル〉の美学」発表予定スライド
追記
21枚目のスライドに使用したVRの装着イメージについて、引用元である作家の伊藤道史さんより以下のご指摘がありました。
こちら一応補足させていただくと(自分のVRの写真をご使用いただいているので)、この作品は脳波デバイスを使っており、身体、特に頭部を動かすと、筋電が大きくノイズになり思考や感情の情報を取得しづらくなるため、できるだけ身体を動かさなくてよい形でした。身体を動かすVRも作っています!!! https://t.co/bkKGz8b2Aa pic.twitter.com/1VqjSDBE3g
— 伊藤道史 | Michibumi Ito (@mi_mi_mi_mi65) December 10, 2025
発表の流れ的には、大気中の光の中から身体を動かして情報をピックアップする「包囲光」モデルに対して、VRは機器を被ることで制限を加えている…という説明の中でこのスライドを出したのですが、引用画像が「個別」のVR「作品」のプロモーションとして作成されたものであることを鑑みると、メーカーのホームページなどにある「一般的」なVR「機器」のイメージを採用すべきでした。
しかしながら、たとえ伊藤さんの言う「身体を動かすVR」であっても、装着者を外側から撮った写真では「機器に身体が縛られている」印象自体は残る気もします。この、VR「作品」の内容は「見る」モデルを前提としたウェブ記事上でその真髄を伝えることはできず、外側から装着している様子を写真に撮ったものを「作品」の一部として扱うしかないということ自体が、このスライドで述べた「見る」から「包囲光」へというメディアの過渡期を示しているように思いました。



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