損な役回り
対立する意見をまとめていくのって、むつかしいですね。調整とか交通整理、悩ましいところです。
20年くらい前に働いていた職場での事例です。専務が何かしらの営業施策を実施しようとする時、総務担当の常務に説明に行くよう、営業課長に指示を出していました。営業施策の実施に必要な経費の許可を取るためです。
たいていの場合、営業課長は、常務に厳しく質問を受けたり却下をされたりします。却下された理由を、専務に報告に行くと、「何を言っているんだ。この施策が新商品の拡販に必要なことを、君はわからないのか?」と責められます。完全に板挟み状態です。
両者から個別に責められ、まるで彼一人が大悪党のような扱いを受けたりしています。
何度かのやりとりの後、落としどころが見つかります。その段階で、専務が自ら常務の所に出向き「いろいろ無理言ってすみませんね」などと挨拶に行くと、「いやいや、会社もいろいろ厳しいんですが。まあ、この新商品は重要ですから。当然です。」と、こちらも何ごともなかったかのような応対をします。二人は終始にこやかに挨拶を交わし、この件は決着します。
「直接やり取りしてよ!」
と言いたくなるところです。
立場、役職、年齢を問わず、このような損な役割を果たしている人がたくさんいるように思います。言いにくいから、といって新入社員に言わせようとする3年目の先輩とか、いますよ。実際。
損な役割にも、受けていい役割と、受けてはいけない役割があります。
受けてはいけないタイプの損な役割
人はだれでも面倒なことは避けたいです。
ついつい、自分より「年齢が下」「役職が下」「社歴が浅い」「日頃あまり文句を言わない」といった言いやすい人に、そういう役割を押し付けて便利に使われてしまいがちです。
損な役割を果たすよう指示を受けたら、まず、その案件の目的をよく見定めましょう。
目的にどうしても同意できない時や、単に嫌なことを押し付けられただけ、誰かと誰かが仲が悪いせいで代理戦争をさせられているだけ、であれば、逃げ出してもいい。
意に沿わないなら、勇気を出して「自分にはできません」と言ってみましょう。いつもいつも従順にしていると、何を言ってもいいと勘違いして指示を出す人がいるのです。
一度でも、「嫌です」と言うところを見せておけば、周囲の反応も変わるはず。
ほんの数年、年上とか先輩とか、というだけで、便利に人を使うような人の言いなりになる必要はありません。
受けていいタイプの損な役割
目的が、エネルギーを費やすに値することなら、役割をしっかり理解して、目標のための調査、勉強、準備を行って対処して問題ないでしょう。
損な役割について、「勉強のため」という考えには、理解できる部分もあります。そうした役割を果たす中で、立場の異なる人の考えを、より多く聞く機会に恵まれます。また、1つ1つに誠実に対応することで、信頼が高まります。こだわりを持つ人、少数派にも関わらず熱く主張する人、さまざまな人との関わりを通じて、課題解決のパターンや、ある種のワザ(のようなもの)に多く触れることができます。
そういった役割の辛さや意義を理解してくださる方がいれば、長い目で見ると、いい経験であったと、報われる日も来るかもしれません。
いずれ、減っていけば。
もちろん、”損な” ということですから、あまり気分のいい仕事でないことは事実です。進めていく中で、メンタルの不調を予感することがあれば、早めに退散しても何ら恥ずかしいことではありません。(ここの見極めが非常に難しい。自分自身だけでなく、同僚に対しても、ここは注意深く見ておく必要があります。ケガや外傷と違って、メンタルは一度傷つけると、回復が難しいので。)
私は20代の頃、どちらかというと、損な役を押し付けられる側だった気がします。だからこそ、自分が40代や50代になった時には、他人にそういう役割を押し付ける人にはならないでおこう、そう思いました。
いずれ、板挟みになる人や、調整や根回しといったことが、仕事の中で主流でなくなる方向に向かっていくと信じています。自分も少しだけでも、その流れを加速する側に加担したいと思っています。ほんとうに、少しづつですが...
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