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福祉xアートで異彩を世に放つヘラルボニー 相次ぐコラボで「境をまぎらかす」

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

ヘラルボニーという会社をご存知でしょうか。自らを福祉実験カンパニーと呼び、知的障害がある作家の個性を「異彩」と捉えて世の中に放つことをビジネスとしています。本日9月20日の夜には「ガイアの夜明け」でも放送予定です。

以前からその存在は認識していましたが、本格的に興味を持ったのは毎年参加している2021年の「ICCサミットFUKUOKA2021」でした。ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」をミッションに掲げたビジネスカンファレンスで、毎回1000名以上の参加者が多様なセッションを通じて真剣に議論する場です。その中には「カタパルト」と呼ばれるピッチイベントもあり、社会課題を解決をテーマにした「ソーシャルグッド・カタパルト」でヘラルボニーのピッチを見ました。そして、見事優勝をされ、直近ではLVMHイノベーションアワードにて日本初となる受賞の栄誉に輝きました。

私個人としては昨年のギャラリー展示に参加し、様々な異彩作家の作品を紹介していただきました。その中でもひときわ目に止まった井口直人さんの作品をお譲りいただきました。

福祉というとNPOなどの非営利団体によるサポートが多いと思います。ヘラルボニーは異彩作家から解き放たれる純度の高いアート作品を資本主義のコンテクストに乗せることでビジネスとして成立させています。このアプローチには非常に感銘を受けるとともに、大きな可能性も感じています。

強さの源泉であるライセンスの仕組みは、「純度の高いアート作品を生み出す点でもメリットがある」と、松田氏は話す。

一般的なアート作品の販売を考えたとき、例えば半年や1年で10作品をつくって個展を開いて売る、もしくは依頼を受けて期日までに仕上げるといったことが定石だろう。つまり、納期に縛られがちだ。

だが、「知的障害のある人のほとんどは、作品をつくろうと思ってつくっているわけではない」と松田氏は話す。書きたいから書く、描きたいから描く。ごく自然な欲求として作品を生み出しているというのだ。「作家さんが根源的に生み出したいと思ったことの発露であり、純度が非常に高いものを、私たちがアートという枠組みにはめ込むことで経済性が付いてくる」(松田氏)。知的障害のある人たちが経済に合流するための大きな武器、それがこのライセンスのモデルなのだ。

日経電子版

先日行われた「ICCサミット KYOTO 2024」では「対立のない優しい世界を目指して」を企業理念に掲げるお茶スタートアップであるTeaRoomとのコラボで茶会が開催されました。ICCサミットでの茶会は今回で5回目となりますが、幸運にもすべての回に参加させてもらっています。毎回趣向を凝らした素晴らしい茶会でしたが、今回は一生忘れられない貴重な体験となりました。

亭主を務めたTeaRoom代表の岩本さんは、今回の趣向を以下のように表現されています。

TeaRoomが根ざす「茶の湯」だから、成し得ることは何か。たどり着いたのは「境をなくす」ではなく、「境をまぎらかす」という発想でした。

境をまぎらかした社会の姿を紡ぎたい
「境をまぎらかす」というコンセプトのヒントになったのは、わび茶の祖・村田珠光の「和漢の境をまぎらかす」という言葉です。唐物中心だった道具に対して、和物をどう調和させていくか。日本には、異文化を横断し、呼応し、刺激され、そこに「らしさ」を付加しながら発展してきたという背景があります。

茶室は、様々な方や様々なものが集った時に、互いの異なる部分がはっきりと際立つのでも、まっさらに無くなるわけでもなく、間(あわい)が生まれて、境がまぎらかされる。そんなことが起き得る場所です。

誰もが肩書きや職業や年齢や国籍に関係なく、平等に集う茶室。

茶室の様子を、目指したい「社会の姿」としてみせることができないか、と考えました。

https://note.com/tearoom/n/n1c3882512310?sub_rt=share_pb

今回の茶会で披露された数々の作品の中で、異彩作家の肥後 深雪さんが絵付けされた茶盌をお譲りいただきました。わたしはどんなものでも日常使いする主義ですので、これから日々の一服をこの茶盌でいただくのが楽しみです。まさに、境がまぎらかされていく瞬間なのかもしれませんね。

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※ タイトル写真は筆者撮影(ICCサミット KYOTO 2024 茶会にて)

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福祉xアートで異彩を世に放つヘラルボニー 相次ぐコラボで「境をまぎらかす」|村上 臣(電脳コラムニスト)
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