クマ被害拡大の日本を救う"公務員ハンター"を直撃!?「ほぼ丸腰同然です。正直、怖い」
各地で拡大するクマ被害を受け、これまで猟友会任せなことも多かった大型害獣の駆除について、自治体が"公務員"として直接ハンターを雇う流れが生まれつつある。 【写真】獣の足跡を発見した櫻井氏 その職の名は「ガバメントハンター」。彼らは日々、どんな仕事に従事しているのか? 待遇は? 長野県小諸(こもろ)市で活動する現役のガバメントハンターに密着した! * * * 【数少ない正規職員】 全国各地でクマによる被害が相次ぐ中、対策の切り札として「ガバメントハンター」が脚光を浴びている。 ガバメントハンターとは、狩猟免許と実猟経験を持ち、有害鳥獣の捕獲や駆除を公務として担う自治体職員のこと。 11月上旬、高市早苗首相は国会で「ガバメントハンターの確保を進める」と明言。その後、政府が取りまとめた「クマ被害対策施策パッケージ」では、その人材確保を主要施策に位置づけ、人件費支援制度の創設も盛り込まれた。 ガバメントハンターの雇用形態は正規と非常勤に分かれるが、現状では非常勤が多い。例えば兵庫県神戸市は2025年度、年収200万~500万円、賞与年2回、1年契約の条件で「鳥獣対策専門員」を公募している。呼称は違えど、これも実質的にはガバメントハンターだ。 そんな中、正規職員として雇用する数少ない自治体が、長野県小諸市である。 標高2568mの浅間山南麓に広がる人口約4万人の市で、これまではシカ、イノシシ、ハクビシンの農業被害が多かったが、24年に入ってクマの出没が急増し、市内では初めて人身被害も発生した。 一方で、捕獲従事者である小諸市猟友会の会員は、08年の102人から現在は40人弱に減少。加害獣の増加とハンター不足、この穴を埋める存在として活動しているのが、同市農林課の2人のガバメントハンターだ。 そのひとりが、櫻井優祐(40歳)。16年、わな猟免許と散弾銃、ライフル銃を扱う第一種銃猟免許を取得し、23年4月に一般行政職として小諸市役所に入庁した。 鳥獣対策の専門職として採用されたわけではなかったが、「実猟経験があるなら」との人事判断で農林課に配属。今も狩猟期間中の毎週日曜には趣味としての狩猟を続ける現役のハンターで、数日前にも「猟仲間と一緒にクマ3頭を仕留めた」と語る。 もうひとりの佐藤勝弥(28歳)は、「まさか自分がこんな仕事に......」と苦笑する。新卒で入庁して7年。企画課で広報を3年、教育委員会で学校関連業務を2年半担当した後、24年10月に農林課へ配属された。