創業者死去、後継者不在で混乱…ゲームセンター運営企業の破産劇
ゲームセンターを運営していたネクサスエンタープライズは、10月28日に大阪地裁から破産手続き開始決定を受けた。同社の創業は2010年。店内のクレーンゲーム機などに流行の景品をいち早く取り入れ、集客力を高める戦略で脚光を浴び、大型商業施設や量販店内のテナントとして出店を重ねていった。 コロナ禍では、アパレルショップなどが商業施設から撤退するなか、その空きテナントを埋める存在として重宝された。カプセルトイの扱いも増やしながら、出店を加速。その勢いは金融機関の目にも留まり、スタートアップとして注目された。 しかし、25年1月に創業者が死去。社内が混乱する中、私的流用のほか、赤字を黒字に見せかける粉飾決算などが明らかになった。取引金融機関に対しては返済猶予を要請したものの、後任の代表者が決まらず、融資条件変更契約が結べない状態が続いた。 しびれを切らした一部の金融機関は、期限の利益を喪失させ、借入金と預金の相殺を強行。そうした動きに追随する金融機関も現れ、自由に預金を動かせなくなる事態に陥った。 創業者の死去から5カ月が経過した頃、ようやく後任の社長が決まったが、赤字は解消せず、頼みの綱だった創業者の死亡保険金も、あっという間に底をついた。9月には人件費の支払い原資すら確保できなくなり、自己破産申請の準備に入った。 帝国データバンクの調べによれば、25年における日本企業の「後継者不在率」は50・1%。前年から2・0ポイント低下したが、まだ半数の企業で後継者が定まっていない実態がある。 後継者の育成には長い年月を要する。社長が「まだ年齢が若いから大丈夫」などと何の手も打たなければ、それこそ“ガチャ”で後任を決めるようなことになりかねない。いつ何が起こるか分からないのが経営だ。後継者や参謀役を育て、万が一に備えることも、経営者の重要な責務の一つと言えるだろう。(帝国データバンク情報統括部)