【弐寺DP】上達論あるあるに対するアンチテーゼ集

2025-12-13 02:20 追記
以下は全て私の願望です。頑張れない自分を守りたい。頑張れなくても価値があるんだと信じたい。そんな感情が生んだ叫びです。お目汚し大変失礼します。

はじめに

このゲームが上手くなりたいと願う読者なら、上達論に興味をもった経験が一度くらいはあるだろう。だがしかし、皆同じようなことばかり言っているとは思わないだろうか。手近な上達論を信じて頑張ってみるも、どうも成長が遅い、自分には合わない、才能が無いんだと諦めてしまい、無為なプレイを繰り返す毎日を送ってはいないだろうか。

しかし、それはあなたの所為ではない。人生に正解が存在しないように、上達論にもまた正解なし。誰かにとっての最高の薬が、あなたにとって毒をもたらす可能性は大いにある。

この記事では、ネットでよく見かける上達論に対して片っ端から反論していく。もちろんそれらは全て筆者である私の意見だが、中には間違いに近いようなものも含まれるかもしれない。しかし、重要なのは内容の是非ではない。「これが正解だろう」という、あなたの持つ固定観念を破壊することだ。

以下に記すアンチテーゼのいずれかが、迷えるプレイヤーの一助となれば幸いである。

心構え編

上手くなるために、根気や一貫性は必要ない

「物事の上達には、根気が必要だ」

もっともらしい言葉だが、本当にそうだろうか。根気は一つのことを継続して行うための重要なファクターではあるが、弱点がある。それは、軌道修正が難しくなる点だ。結果が出ない時、根気ばかりを大事にしていると、それが間違ったやり方であっても延々と続けてしまう危険性がある。

では何を大事にすべきなのか。それは「思考の柔軟性」だ。

思考の柔軟性が高い人は、試行錯誤のサイクルが速い。そして、サイクルの速さは、不調時の突破口を見つける確率に直結する。練習において、上手くいかない時期というものは避けては通れない。これは万人に共通する絶対法則だ。その状況を打開するために、ときには今までと180度異なる考え方が必要になるかもしれない。それならば、継続力は無くても色々な方法を試し、その時点での自分に合った手法を獲得していけるような強さが、結果的により遠くへと自分を運んでくれるだろう。

練習編

アベレージは、気にしなくてよい

「対戦で勝つためには、自己ベストよりもアベレージが大切だ」

言いたいことは分かる。いくら練習で上手くいっていたとしても、本番で上手くいかなければ意味がない。そういうことだろう。

だが、よく考えてほしい。アベレージが自己ベストを超えることは絶対にないのだ。いくら下限を安定させたところで、自己ベストで大きく負けている相手に勝つことは難しい。もっとも、自己ベストが高いプレイヤーはそのスコアを記録する過程でより多くの反復練習をこなしており、アベレージも高いことが多いだろう。そう、自己ベストを伸ばす練習はアベレージを伸ばす練習そのものなのだ。

そういう意味で、「いくら練習で上手くいっていたとしても、本番で上手くいかなければ意味がない」というのは、むしろ逆である。練習で上手くいかなかったことが、本番で上手くいくはずないのだから。

一発スコアも、気にしなくてよい

何故か。一発スコアの練習は、一日に一回しかできないからだ。

先の項でも少し触れたが、練習の基本は反復である。一発スコアの練習といって、一日に一回しか詰めたい曲を触らないというのは、少々もったいない。

ピアノにたとえてみる。本番は一発勝負だからと言って、一日に一回しか曲を弾かないという人がいたらどうだろうか。さすがに復習くらいはした方が良いと思うのではないか。そして、その日のうちに、できるようになるまで、自分の納得のいくまで練習するのではないだろうか。

ビートマニアも同じである。一発スコアばかり意識して練習をないがしろにしては本末転倒だ。一発スコア自体をコントロールしようとするのではなく、反復練習による記憶の蓄積の結果、自然と一発スコアが伸びていく。そういう捉え方をすることが大切だろう。

一応補足しておくが、反復練習で癖がつくという場合は、地力が足りていないため、その曲は詰めるべきでない。

イージー特攻は、しなくてよい

「イージーできるかギリギリくらいの難易度に特攻するのが、上達の近道」

これはほとんどのプレイヤーの共通認識と言っても差し支えないほど浸透している考え方だろう。しかし、本当にそうだろうか。

ビートマニアの上達プロセスを最大限抽象化した場合、それは「『できない』を『できる』に変えること」だと言える。ただ、「できない」をいくら繰り返しても「できない」ままだ。「できない」が「できる」に変わる条件とは何なのだろうか。

その鍵となるのは、適切な難易度設定だ。イージー特攻理論は、その難易度設定が適切だと主張しているのだろう。しかし、実態はどうだろうか。イージーできるかできないかくらいのレベルでは、押せているのか押せていないのかよく分からないような感覚で、ゲージが残るかどうかは運だという場合が多いのではないだろうか。イージーランプが多いことを「誤魔化しが上手い」と表現するのもそのような背景からだろう。

適切な難易度設定というのは、「できそう」という状態を作り出すことに他ならない。つまり、先の主張はこう言い換えられる。「ビートマニアの上達プロセスは、『できそう』を『できる』に変えることだ」。

ここで、大きな落とし穴が存在する。それは、繰り返しになるが、「できない」をいくら繰り返しても「できない」ままだということだ。決して「できない」を繰り返して「できそう」に変えることはできない。適切な難易度設定というのはそういうことだ。つまり、「できそう」と「できる」のみで構成され、かつ「できそう」の割合が高ければ高いほど良い。この点で、イージー特攻は負荷が過剰であると言える。譜面に含まれる「できない」の部分が練習効率を下げているのだ。

ハード・エクハ・フルコン埋めは、やればやるだけ良い

「下限埋めは上達効率が悪い」

これもよくある定説だ。しかし、先の項を読んでくださったあなたなら、それが常に正しいとは限らないことが理解できるだろう。「できそう」を「できる」に、というのは前述の通りだが、「できる」は更に高次元の「できる」に昇華できるということも付け加えておこう。

中には、ハード以上のゲージでは途中落ちが存在することから、十分な経験値が得られないのではないかと心配する読者もいらっしゃると思われるが、これは全く問題ないどころか、明確なメリットである。というのも、途中落ちというのは「できない」が出現した瞬間に練習を中断させてくれる機能だと言い換えることができる。つまり、「できない」を叩かされている時間を最小限に抑えてサイクルを回せるので、むしろ練習効率は上がっていると言える。

また、上限を触らなければ上限は伸びないという意見もあるだろう。これについては、地力の「繰り上がり」という概念を用いることで解決することができる。これは、「できそう」が「できる」に変化する時、「できない」からその分の地力を「できそう」に持ってくるというものだ。これは言い換えれば、下限上げこそが上限を押し上げる唯一の道だということだ。

ハズレ譜面は、捨ててよい

「ハズレ譜面にこそ、上手くなる栄養が詰まってる」

そう思って、ハズレ譜面でも全力で食らいつこうとする場面は多いだろう。

しかし、これも例によって無駄が多いと言わざるを得ない。難易度が高すぎるのだ。どうしても押せる配置が増やしたくてハズレ譜面をやるのであれば、ハズレだったとしてもちゃんと押せるくらいの難易度の譜面を選ぶべきだ。

テクニック編

リリースタイムは、早くなくてよい

「ビートマニアが上手い人は、リリースタイムが早い」

気付いたらそんな共通認識が出来上がっていたが、本当にこれは理にかなっているのだろうか。

ピアノを習っていた人なら、レガート奏法とノンレガート奏法について学んだことがあるだろう。レガートとはイタリア語で「なめらかに」という意味で、テクニック的な視点では、2つの連続する打鍵において2打鍵目と同時、あるいは少し遅らせて1打鍵目を離鍵(リリース)する奏法だ。ノンレガートは逆に、1打鍵目を離鍵してから2打鍵目に入る奏法で、音と音との間が途切れるのが特徴である。ここで考慮すべきなのは、レガート奏法の方が圧倒的に「ラク」だということだ。

この考え方をビートマニアに適用すれば、指押し時の適切なリリースタイムが見えてくる。すなわち、16分乱打であれば16分音符1個分のリリースタイムが最も適切だということだ。これより早ければ無駄なエネルギーを消費しているし、遅ければ次の打鍵に間に合わない可能性がある。

なお、腕押しや指ガチ、北斗の場合は少し状況が違ってくる。この場合では打鍵ごとに指を完全に鍵盤から離す必要があるため、許容されるリリースタイムは16分刻みであれば16分音符1個分未満、かつ早ければ早いほど良い。

判定は、SLOWが多くてよい

「FAST:SLOW比が1:1か、FASTが少し多くなるように調整しましょう」

これもよく聞く内容だが、本当に適切な設定と言えるだろうか。

まず、クリア狙いの場合。これは基本的には問題が出ないだろう。認識が遅れた際のバッファに余裕を持たせた形で、またBADハマり防止としても有効な設定だ。より多くのノーツを拾うクリア狙い用の設定として非常に理にかなっていると言える。

問題はスコア狙いの場合だ。スコア狙いの場合、当然ながらプレイヤーはピカグレを狙うよう無意識的な打鍵の調整を行う。FASTが多ければ遅めに、SLOWが多ければ早めに、という具合だ。基本的に、SLOWというのはコントロールすることが難しい。少しの認識の遅れ、指のもたつきがSLOW判定に直結する。対してFASTというのは、コントロールしやすい。FASTが出た際に少しだけ遅めに叩くというのは比較的容易である。

しかし、このコントロールのしやすさが問題だ。FASTがある程度出る設定下では、プレイヤーはFASTが出なくなるように少しずつ遅めに叩く調整を無意識で行ってしまい、結果として全体がSLOW寄りになる。そして、SLOW寄りになった判定を1:1に戻すために、判定を少し深めに設定する。これを繰り返していくと、無限に判定が沈んでしまう。

これを回避するためには、最初からSLOWが多く出る設定にするしかない。要するに、「遅れるか、遅れないか」だけの判定にしてしまうのである。前述した通り、SLOW判定はコントロールすることが難しいので、無限に判定が浅くなるということは比較的起こりにくい。地力が上がり、押せる範囲が増えればSLOWが減り、スコアが伸びる。SLOW多めの設定は、このように上達プロセスを単純化できるメリットがある。

餡蜜は、してもよい

これも、「できない」くらいなら、餡蜜して「できる」状態を作った方が良いということだ。

トリルが降ってきている位置と速度が分かる。餡蜜だったとしてもそれをクリアできる程度の認識力は要求されている。つまり、その譜面での指の力の向上には寄与しないかもしれないが、認識力にとってはプラスに作用するということだ。餡蜜とガチ押しの違いは、指を同時に降ろすかズラして降ろすかでしかない。餡蜜で押せるようになった後から、ガチ押しで押す練習をしたとしても遅くはない。

餡蜜していると指が強くならない。そこに間違いはないが、それを自分の上限ギリギリの譜面でやる必要は全くないということだ。指を強くしたいなら、自分が余裕を持って押せる難易度の譜面を使って丁寧に押す。その方が何倍も経験値を得ることができるだろう。

フォームは、美しくなくてよい

「ビートマニアが上手い人は、フォームも美しい」

これは結果論である。フォームが美しいから上手くなったのではなく、上手くなったからこそフォームが美しいのだ。

手首は、固定しなくてよい

フォームの話でよく言われるのは、手首を固定して指だけで押す、というものだ。このフォームの良い点は、システマチックに指を動かすことができてフィードバックが容易な点だ。しかし、部位の固定は他の部位の動きを制限することでもある。分かりやすい例で言えば、片手デニムを手首を固定しながら押すのは至難の業だろう。

手の大きさや形は個人によって違うのに、フォームを固定しようとするのは不自然ではないだろうか。打鍵ごとに最適な手の形、ポジションに変化させながら自然な手の形を保つというのが、成果の最大化という面でも、怪我の防止の面でもより有効だろう。

運指は、左右対称でなくともよい

運指やフォームについて、左右対称にこだわるという場面も多いと思われるが、その必要はない。

まず第一に、利き手の存在がある。右利きなら、右手でお箸を持ち、左手でお茶碗を持つ。言わば、利き手が主力で、非利き手は補助である。現代人はこの力関係の上で生きており、成人であればそれは絶対的な原則として存在していることだろう。それ故に、左右で得意な動きが違うというのは当然のことだ。比較的力の弱い非利き手を無理やり利き手の動きに合わせようとするのは怪我のリスクにも繋がり、危険である。

もう一つは、譜面の認識方法にある。あなたは譜面を見る時、どのようにそれを「読んでいる」だろうか。恐らく、無意識に「左から右」に向かって読んでいるのではないだろうか。「中心から外側」だと言う方もいらっしゃるかもしれないが、それならば左手側の黒鍵3個押しを「6・4・2」と読むはずだ。つまり、認識からして左右対称ではないのだ。それにもかかわらず、左右対称を心がけて打鍵するというのは、認識と打鍵との間に微小な齟齬を生じさせていることになる。潔く、左右に主従関係を持たせた方が自然なプロセスを維持できるのだ。

おわりに

いかがだっただろうか。もしかしたら屁理屈をこねているだけのように見えたかもしれない。だが、そのような突飛な考えが、パラダイムシフトを引き起こす可能性はゼロだとも言い切れない。

逆張りというのは、間違っている可能性の方が高い。しかし、私は好んで逆張っているのではない。これは内省の結果であり、極めて自然な結論である。

もし、これらの主張の中であなたの琴線に触れるものがあれば、それを持ち帰って考えを深めてみてほしい。自分なりに考え続けることこそ、一番の上達法なのだから。

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