桃色に塗りつぶされたキャンバスで。   作:烈風一一

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まあ、最終的にはこの人のことも裏切るからね。利用するだけして捨てるさ

「どうするのさ、アコちゃん。先輩、かなり本気だよ?」

「...あの男は万魔殿の回し者で、ヒナ委員長を害するために送られてきました」

「え?でも-」

「事実なら後からいくらでも証明できます!いいからやりなさい!」

この数は二個中隊くらいかな?混乱してるから本調子じゃない、にしてもかなり面倒。苦手な面制圧力が必要...まあ、そこのミニガン担いでるお嬢さんがやってくれそうだしいっか。

「最初から交渉する気ないでしょ?ならまあ-」

ちょっと、楽しませてもらおうかな。

「アビドスの皆さんは好きに戦ってもらって大丈夫ですから」

セレクターは単発になってるから大丈夫。バイポッド使いたかったけど、まあ単発なら問題ないかな。

「行動開始」

煙を吐くように息を吐き、肩をストックに当て、スコープをのぞき込む。

マズルフラッシュと重い射撃音とともに部員ちゃんたちのうち何人かが倒れる。

「さて、次は?」

アビドスの人たちも善戦してるみたいだ。これなら本気出さないで済むや。

「川瀬部隊長を優先的に攻撃!戦車でも榴弾砲でも持ってきて構いません!」

へえ、そこまでか。そしたら。

「ほいっ」

壁を駆け上がるのが特技だからさ。3階くらい余裕だよ。

「榴弾砲はそこだね」

榴弾をたどたどしく装填してる部員ちゃんにも一発。一年生かな、ごめんね。

「撃て!」

アコちゃんも指揮がうまいね。これなら僕がいなくなった後も安心さ。

「ほっ、と!」

着弾地点から飛び降りる。ウィングスーツで滑空して砲兵の場所を確認し、全員まとめて倒す。風が気持ちいいね。

「戦車はまだですか!」

そのままアコちゃんの近くに着地。

「無駄だよ、通信設備はだれが用意したと思ってるのさ」

アコちゃんも無力化か-

「させないっ!」

イオリちゃんがこっちに来る。射撃が間に合わないと思ったのか、ストックで打撃しようとしてる。思ったより勘がいいのかな。

「おーおー、近接戦闘苦手なんだけどさ...」

宙返りしてストックの打撃を回避。できるだけ銃で戦おう、手や足が出てしまうとつい暴力的になっちゃいそうだ。

「よく見てるね」

「誰から教わったと思ってるのさ!」

右に、左に。がむしゃらにやってるように見えて意外と考えてるんだよね。

でも、それも手に取るようにわかるさ。

「そこっ!」

その動きも僕が教えたからね。悪手さ。

「はい、おーしまいっ」

頭に向かって三発、目とかは避けるけど正確に。

これでよろめくだけなのがすごいよね。

「っ、まだ...!」

「おしまい、寝てなよ」

足払いして一発。しばらく寝ててくれるでしょ。

「さて、次はだれ?」

アビドスの人たちのおかげでだいぶ減ってきたね。いい感じ。

「かくなる上は、私が...!」

その時、足音がする。どこか軽く、しかし真剣な様子の。

「私が、どうしたのかしら」

冷めたような声が響く。

「ヒナ、委員長...」

「演習と偽っての無許可の部隊運用及び他自治区付近での戦闘、民間人への攻撃。言い訳があるなら今のうちに聞くわよ」

「こ、これは便利屋を-」

「どこにいるのかしら?」

気づいたら便利屋もいなくなってる。まったく、行動が早い。

「アビドス対策委員会」

戦闘が止まったこの場の静寂を破る。ちょっとヒナちゃんが大きく見えるね。

「無許可の自治区付近での戦闘行動及び破壊活動に関して、謝罪する。」

頭を下げる。あ、アコちゃんが白目剥いた。

「天雨アコら2名の処罰は確実に下すわ。追って処置に関しては通知するから、この場に関しては一度矛を収めてほしい。都合のいいことばかり言っているのはわかるし、抗議等があれば受け入れるわ」

アビドス側も驚いているみたいだね。そりゃそうか。

「先輩、ありがとう。先輩がメモを置いてくれなかったら気づかなかったかもしれないわ」

「いやー、僕は何も。結局止められなかったからねー。ヒナちゃんのおかげだよ...さて、僕はちょっと遅れて帰っても大丈夫かな?」

「ええ、気を付けて」

 

「改めて、川瀬と申します。アビドスの皆さん、今回は大変失礼いたしました」

「いえいえ、加勢していただき助かりました!」

「...そういえば、確か対策委員会は5人だと伺っておりますが。もう一人の方は?」

「ホシノ先輩のこと?連絡が取れなくて-」

なるほど?以前に謎の生命体と会ってたのが関係してるかな。

「あれ、先生。みんなもこんなところでどうしたの?」

ああ、噂をすればなんとやらといった感じか。

「ホシノ先輩!どこいたのよ!」

「ごめんごめーん、ちょっと寝過ごしちゃってねー。そういえばそっちの人は...前会ったことあったりする?」

...何のことだろうか?放浪してた時のことを見られたかな?

「いえ、会ったことは...以前絵を描きに来たことがありましたので、その時見かけられたのかもしれません」

「へー、私は小鳥遊ホシノ、よろしくね~。」

「川瀬ミナトです、よろしくお願いします」

 

「先生、今回はご迷惑をおかけしました。」

「いやいや、大丈夫だよ」

これが先生というものか。なかなかに甘そうだし..というか実際甘いっぽいね。この分だとアコちゃんたちのこともそんなに問題視してなさそう。

「改めて、川瀬ミナトです。部隊長を務めています、よろしくお願いいたします。」

「うん、よろしくね。部隊ってことは、君以外にもいるの?」

ああ、そこに気づくか。観察眼は優れているかもしれないね。

「いえ、この部隊のメンバ-は僕だけです。あえて風紀委員内に正体不明の部隊を置くことで外部から見た戦力を増やそうということですね。それと、もともと別の組織の所属だったので独立した指示系統のほうがやりやすいんです」

「そうなんだ、他の組織って?」

「まあ、風紀委員の上の統治組織です。またゲヘナにいらした際には説明します。」

「うん、ありがとう。またいつかお邪魔させてもらうよ」

本当のことは言ってるから問題ない。腹の探り合いになってないのは僥倖だね。

「これ、僕の連絡先です。何かありましたらご連絡ください。」

しれっと連絡先だけ交換しておく。

この人はおそらく、自己犠牲をいとわないタイプだ。あと怒らないタイプ。監視網の拡張とかに使わせてもらうかね。

「ありがとう!」

「いえいえ」

優等生のような笑顔を張り付ける。嘘でもないけど本当でもない。

今回は未接触だったアビドスとも接触できたのは大きいね。

もしアビドス方面で計画を遂行しないといけなかったらこっちが錦の御旗を手に入れることができるから。アコちゃんには感謝しないとかもね。

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