桃色に塗りつぶされたキャンバスで。   作:烈風一一

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やっぱり、病気はお医者さんに聞くのがいいよね。

「...え?今日仕事ないの?」

風紀委員に着いたはいいものの、今日は仕事がないらしい。

幹部のみんなは出払っているみたいだし。

「ええ、何か特別演習らしくて...万魔殿からもそれを理由として書類も届きません」

おかしいな。部員ちゃん曰く書類は届いていないらしいが、あの嫌がらせに余念がないマコトがそうするだろうか?

「わかった、ありがとう。僕は留守してるから、君も今日は非番でいいよ。」

やることがないならもう非番でいいかな。僕で大体のことはできるし。

「ありがとうございます!失礼します!」

部員ちゃんは喜んで帰ってった。よかったよかった。よいことをすると気分がいいね。

「さて、と...仕事がないってんならちょうどいいや。怒られに行ってくるかな」

カメラで監視するのもいいが、だれか来ないとは限らないから困る。だから用事を済ませてしまうことにした。

何かあったら携帯に電話が入るでしょ。

 

「失礼します」

「はあ...何か月ぶりですか、浦和さん。いきなり呼びつけておいて診療してって」

彼女こそ僕の主治医、氷室セナさんです。専門は外科で内科はあまり得意でないそうですが、一応医療の資格を持ってるらしのでお願いしてます。精神科でもそれなりにしっかりとやってくれるので助かってます。

「正直時間がなかったのとまた怒られるのにビビってきてませんでした」

セナさんは僕の昔を知る数少ない方の一人です。一年生の時には浦和姓をまだ名乗っていて、ちょくちょく救急医学部のお世話になっていたので当時中学三年生ながら救急医学部にいたセナさんにだけは浦和姓で呼ぶのを許しています。

マコトには許してないです。行ったら厳しく対処するとでも言わなければ口を滑らせそうなので。

「あなたが煙草を吸わなければいい話なのでは?」

そして煙草を吸い始めたのがマッハでばれた唯一の人です。

「これ吸ってると記憶がだんだん消えて行って楽なんですよ。ってことで、診療よろしくお願いします」

「しょうがない人ですね...では、診療を始める前に。いつも通りではありますが、私は医療従事者の資格を持ってはいるものの精神医療の専門家ではありません。私の言うことはすべてアドバイスとして考えてください。」

「ええ、もちろんわかってますよ。氷室先生」

若干聞き飽きた注意すらきちんとしてくれるのもセナさんの良いところでもありますからね。

「では。最近過去のことを思い出すことは?」

「一日に数回くらいは。ただ、隠しておけるほどですね」

「前よりはよくなっていますね。薬の副作用などは感じますか?」

「あんまり」

このやり取りもいつも通りですね。

「死にたいと思ったり、逆に攻撃したいと思ったことは?」

「それはよくあります。治安維持中に攻撃性が爆発しそうで大変でした」

「なるほど...夢は見ましたか?」

「両親からの折檻と妹の夢を」

両親はいつも僕に理不尽な行動を強いてきました。今でも夢に見ます。

「妹さんはどのようなことをしていましたか?」

「いつも通りです。僕の前でいろいろなことを成し遂げていて、僕は見向きもされない。両親はそれを見て妹をほめたたえ、僕には折檻しました」

だからあまり寝たくないんだ。

「ほかに最近あったことに関しては?」

「特筆すべきことはありませんね。」

「そうですか、わかりました。まず、あなたのこちらに来るまでの過去に起こった悪いことはあなたのせいではありません。もう数十回あなたの話を聞いてきましたが、何一つあなたの責任であることは見当たりませんでしたから」

これもいつも通りです。でも、すべては僕が無力だったのが、無能だったのが悪いんです。

それに、だれから許されようが満足できません。

あれを超えるまでは。

 

「...以上で診療は終了です。いつも通り薬を一か月分処方しておきますが、確実に決められた量だけ使ってくださいね」

「ありがとうございました」

セナさんの診療はこれで終わりです。助けようとしてくれるのはありがたいんですが、僕はそれじゃもうたぶん助からないでしょうね。

正確に言えば、効果はちゃんとあるんです。ですが、それは日に日に悪くなっていく精神を保つだけで根本的な解決には至らない。

多分、復讐が終わるまでこれが戻ることはないんだろうね。

 

あれから思いついたことがあります。兄さんの所在地についてです。

どうやら兄さんは様々なところを渡り歩いたようで、トリニティとゲヘナ以外のところに痕跡が残っていました。

兄さんはおそらくトリニティかゲヘナの自治区に住んでいるようです。兄さんならわざと証拠を残すくらいしそうですから。

それに、最後の手紙に書いていた「遠いところ」というのは物理的にも精神的にも遠い場所、つまりゲヘナのことではないかというのが私の結論です。

ブラックマーケットを通っていけば3時間ほどで着くのですが、迂回すれば半日はかかります。簡単に行ける距離でもありませんし、何よりトリニティ生が行くなんてありえない場所を通ってありえない場所に行く羽目になるから来ないだろうと考えたのでしょう。

ですから、私はゲヘナで情報収集を行ってみることにしました。

日帰りで行くにはブラックマーケットを通る必要があるので、しょうがなくブラックマーケットに行くことにしました。

すると。

「う、うわあああああ!助けてくださいいいい!」

目の前をダッシュで逃げるトリニティ生に会ってしまいました。おかしくないです?トリニティ生が行くなんて普通あり得ない場所ですよ?

しかも後ろには不良たちが血相を変えて追ってきてます。なにしたんですかあなた。

ですが、ただ見過ごすのも忍びありません。

しばらく使っていなかったため動くか心配ですが、私の純粋な願いは朽ちていないと信じています。

「あらあら、花の女子高生を追っかけてナニをするつもりなのですか?」

「だ、誰だお前!まさかあいつの知り合いか!?」

「いいえ?通りすがりの者ですよ?それよりあなた方はまさかあの子に**を***て*********をしようと-」

「な、なに言ってるんですか!?」

助けた子からドン引きされてる気がします。というかされてますね。ですがこれでいいんです。

「ごちゃごちゃと訳の分からないことを、しかもこんな公共の場で...お前ら、やるぞ!」

不良が向かってきます。それでいいんです。

怒りで我を忘れたときは戦略など考えつかないことが多いですから。

「ふふっ、もう終わりですよ?」

彼女らの弱点はマスクだと聞いたことがあります。口元が見られるのが恥ずかしいとも。

なら、そこを打ち抜けば終わりますよね。

「痛っ...え?え??」

一人の不良が困惑してます。

「あ、口元が見えてますよ?まさかその破れたマスクで*****をしようというのですか!?」

「い、いや...もうお嫁にいけない...」

なんだか悪いことをした気がしますが、これで証明は完了しました。

「なっ...お前、それはマナー違反だろ...!」

あなたたちが怒れば怒るほど、こちらに有利になっていくのですよ。

「では女子高生を追いかけるほうもマナー違反なのでは?」

「もとはと言えばこいつが-」

「うるさい口ですね?」

二人目。

「くそっ、もう許さねえ...おい、戦車もってこい!」

エンジン音がします。ですが、そんなことすればマーケットガードに目を付けられるはずです。

「...ん、戦車?」

誰かの声が聞こえる。

「大丈夫かい?」

見ると、見たことない学校の人たちが四人、それと大人が一人。

渡りに船です、私は対戦車兵器など持ち合わせていないので。

「ふふっ、楽しい楽しいパーティー中です。一緒にどうですか?」

「ま、集団リンチを見逃すわけにもいかないからね~。やろっか~」

その方々はあっという間に不良たちを制圧してしまいました。

正直こんなに強く統率の取れた学校は見たことがありません、トリニティなどは一部組織を除いて負けるでしょうね。

「あ、ありがとうございました...!」

「いえ、私は何もしていませんよ?」

「君、なかなか強いね?おじさんびっくりしちゃったよ~。」

「そちらこそ、相当統率の取れた動きでしたよ?あんなのどの学校でも見たことありませんでした。まさか、毎日****をして仲を-」

周りが絶句する。まあ、そうでしょうね。

それが目的ですから。

「君はなんて言う名前なんだい?」

大人が出て来ましたね。確か、先生と言ったでしょうか。

「浦和ハナコと申します。トリニティ総合学園二年です。あなたはどなたでしょう?」

「ああ、私から名乗らないのもおかしいね。私はシャーレの先生って呼ばれてる。好きに呼んでくれていいよ。」

「あら、あなたがあの。超法規的な機関に所属されており、その力で生徒と-」

「ちょっ、あんたさっきから何言ってるのよ!?」

猫耳の女の子が言ってくるけど、一旦無視する。それより大事なことがあるんです。

「なら、その力を持ってして一人の人間を見つけるくらい造作ないですよね?」




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