フレックス制度はあるけど、実際は誰も使ってへん。前職はそんな職場やった。
ある日、思い切って上司に聞いてみた。
「フレックス使ってもいいですか?」
上司は眉をひそめて言った。
「……まぁ、申請出すなら勝手にしたらええけど。ただ、みんな普通に来てるからな。」
許可というより、
『やめとけ』っていう空気だったね、
完全に。
その日の午後、
席を外した瞬間、後ろからひそひそ声が聞こえたんよ。
「え、今日遅れて来てたよな?
あれってアリなん?」
ああ、制度より空気の方が強い職場ってこういうことか、って思ったね。
転機は、もっと後になってから来た。
人事部の課長が異動してきて、
朝会でこう言った。
「フレックス、使ってください。
制度は "配慮”じゃなくて“権利”です。」
上司が食い気味に言った。
「いや、うちは業務の連携が…」
課長は遮った。
「連携できてないのはフレックスのせいじゃなくて、仕組みの問題です。
制度を縛るために空気を作ってはいけない。」
空気が変わった。
圧倒的に。
そこから数週間で、
フレックス利用が一気に広がったんよ。
・保育園の送迎で走り回ってた先輩が余裕を取り戻した
・通院を我慢してた後輩が定期的に治療できるようになった
・朝のなんとなく早出する文化が消えた
・集中できる時間帯に作業ができてミスも減った
驚くほど、誰も困らん。
課長が言った言葉が今でも忘れられない。
「制度を使わせない文化はハラスメントと同じ。そんな環境で人が育つはずがない。」
私はようやく理解した。
制度を殺すのは、ルールじゃない。
空気ってこと。
そして空気を変えられるのは、
最初に踏み出すひとりの勇気なんよ。