自由にしかし楽しく!クラシック音楽

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みんなのオーケストラ in Kitara~あつまれ動物たち~(2024/12) レポート

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2024年の聴き納めはこちらでした。札幌市と札響が共催する、休憩なし約1時間のお話つきの演奏会。チケット料金は一般1,000円、5歳~中学生は無料というリーズナブルな設定!私は小6の娘と一緒に、同日2回公演のうち午後の部を聴きました。なお午前・午後ともにチケット完売したとのことです。


みんなのオーケストラ in Kitara~あつまれ動物たち~(午後の部)
2024年12月28日(土)14:00~ 札幌コンサートホールKitara 大ホール

【指揮とお話】
太田 弦

管弦楽
札幌交響楽団コンサートマスター:会田 莉凡)

【曲目】
J.シュトラウスⅡ:ポルカ「クラップフェンの森で」
ルロイ・アンダーソン:チキン・リール
ルロイ・アンダーソン:ワルツィング・キャット
ヘンリー・マンシーニ:仔象の行進
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」より“情景””4羽の白鳥の踊り”
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲

ディズニーソング・メドレー(直江香世子 編曲)

(アンコール)プライヤー:口笛吹きの少年と犬


札響による演奏をKitaraにて親子でお得に聴けるありがたさ!しかも演目は親しみやすいもの揃い。クラシック音楽になじみが薄い人であっても親子で気軽に参加できる、こんな企画は大歓迎です!2公演分(約2000名×2回)のチケットが完売した事と、当日の会場の楽しい雰囲気からも、今回のような企画は多くの札幌市民に望まれていると私は感じました。ありがたい事に、うちの2人の子はいずれも札幌市とその近郊の小学6年生を対象とした「kitaraファーストコンサート」も聴かせて頂きました。おかげさまで、うちの子たちは肩肘張らずに演奏会を楽しめるように育っています。「kitaraファーストコンサート」はもちろんのこと、今回のようなビギナー向けかつ親子で楽しめる演奏会も、この先ずっと続いてほしいと私は願っています。

何より演奏のクオリティが高いからこそ、企画の良さが活きてくるのだと思います。2024年は札響の公演を全部で17回聴いた私ですが、何度聴いても札響は素晴らしいです(偉そうにごめんなさい!)。しかも世界に誇れる音響のkitaraで聴けるなんて幸せ!私、札幌市民で良かった!まず、当たり前とはいえ札響の団員さんお一人お一人がめちゃくちゃ上手いんですよね。「動物の鳴き声」を模した部分をはじめとした、各ソロ演奏は一瞬で聴き手を魅了する説得力!主役を彩るための伴奏部分でも、例えば弦のトレモロだったりピッチカートだったりがビシッとキマって、「ここぞというとき」に鳴る打楽器の一打は絶妙な間合い!そんなお一人お一人が思いを1つにして演奏すると、ただの音ではなく生き生きとした「音楽」になるマジック!札響の演奏を聴く度に、その時限りの生きた音楽と出会えて、私は感激します。今回いずれの演目も楽しく聴かせて頂きましたが、中でも個人的には「ディズニーソング・メドレー」がイチオシです。各ソロの見せ場てんこ盛りで、その全てが美味しい!また、目まぐるしくカラーが変化するにもかかわらず、いずれのシーンも瞬時にその世界を創りあげる合奏が素晴らしい!そして直江香世子さんによる編曲がとても良かったです。性格が異なる10曲(!)を約10分(!)にぎゅっと濃縮したメドレーは、曲から曲へとシフトする流れがごく自然で、10曲繋げた大きな流れが1つの大曲になっている感じ!またソロパートの当て方が最高!盛り上がりの演出も一辺倒ではなく、シーン毎に楽器の音色をうまく使い分けていたと感じました。ほんの少し演奏会慣れしている私は、もしかすると踏み込んだ聴き方をしてしまったかもしれません。しかし会場の雰囲気からも、隣に座る我が子を見ても、「まっさら」な人達が心から楽しんでいる様子を私は肌で感じました。「まっさら」な人達に響く音楽となったのは、曲そのものの魅力に加え、やはり演奏のお力があればこそです!

今回の指揮者は札幌ご出身の太田弦さん。バラエティに富んだ演目の数々を、メリハリきかせて思いっきりオケを鳴らし、トークを交えながら1時間の枠できっちり進行くださいました。日本の若手指揮者さんの中でもピカイチな、まさに地元・札幌の誇りです!札響の演奏を聴いて育ったという太田さんは、「P席から指揮者を見ている、変な子供だった」とか!この日の演奏を聴いた子達の中にも、第2第3の太田弦さんがいるかもしれませんね。たとえプロの音楽家にはならない(多くの人はそうだと思います)場合でも、子供の頃からこんな風に音楽に親しんでいれば、大人になってもきっと自然体で音楽を楽しめて、豊かな人生を送れると思います。地元・札幌に札響とKitaraがある事のありがたさを、私は改めて実感。そして、これを当たり前に聴いて育つ札幌っ子たちが素直にうらやましいです!


オケの編成は、12型(12-10-8-6-5)だったと思います。木管は2管を基本にピッコロや低音木管群、金管ティンパニに加え多彩な打楽器、ほかハープとピアノ・チェレスタが曲に応じて加わりました。1曲目は、J.シュトラウスⅡのポルカ「クラップフェンの森で」。一足早いニューイヤーコンサート(!?)な、明るく華やかな音楽!弦や木管が歌うメロディに、支える低音ベース、スネアドラムや大太鼓等がいい感じに入るのが気持ちイイ!高音でコロコロ鳴く美しい鳥笛も素敵でしたが、なんといってもこの曲の主役「カッコウ」のポッポー♪が面白かったです。しかもカッコウは自由自在に移動しながらの演奏で、舞台上の他の団員さんの耳元だったり、P席に移動してオルガンの前あたりだったりと、あちこちに出没してはポッポー♪を繰り出すのが楽しい!客席からも温かな笑いが起きて、会場はリラックスした雰囲気に。幸先の良いスタートでした。

ここで指揮の太田弦さんがマイクを持ち、ごあいさつと「札幌交響楽団」の紹介。以降も節目毎に簡単な曲目解説をメインとしたトークがありました。コンパクトにまとめられ、子供たちも大いに楽しめたトーク内容につきましては、ここではダイジェスト版にて演目毎に書き添える形でレポートします。

ルロイ・アンダーソン(タイプライターや紙やすりを用いる曲等を作った「アイデアマン」by太田さん)の曲を2つ続けて。「チキン・リール」テンポの速いにぎやかな音楽!個人的に印象深かったのは、フルートとオーボエの掛け合いです。超高速演奏の丁々発止なやり取りは、まるでニワトリが言い争いをしているよう!「ワルツィング・キャット」前の曲から一転して優雅なワルツに。やはり高音弦の曲線的な「ニャア♪」が素敵!札響の弦によるニャア♪はずっと聴いていられる良さでした。最後は「ワンワン!」の犬の鳴き声のおまけまで!演奏後、指揮の太田さんが「猫の鳴き声は何の楽器でしたか?」と会場に問いかけると、あちこちから「バイオリン!」の声(お子さんがほとんどでした)があがりました。「そうですね。オーケストラの楽器で色々な動物の鳴き声を出せます」と仰っていました。

ヘンリー・マンシーニ「仔象の行進」。イタリア系アメリカ人のマンシーニは、「ティファニーで朝食を」等たくさんの映画音楽を書いたそうです。この曲はアフリカを舞台にした映画「ハタリ!」の挿入曲で、「子象が川へ行く、たいしたことないシーン(!)」の曲。しかし聴けば「ああこの曲!」となると思います、と解説がありました。明るいズンズンチャッチャ♪のリズムはドラムセットが存在感抜群!愉快なメロディが登場すると、会場は「ああ!」と気付いた感じでした。メロディを歌った楽器の中でも、個人的には低音金管群やバスクラリネットのぐっと来る低音に「ゾウ」の重量感を感じ、印象深かったです。札響はこんなポップな曲も上手いですね!

リムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」。オペラ(「サルタン皇帝」のようです。私調べ)の挿入曲で、主人公がハチに変身して飛ぶシーンで使われるそう。個人的には「超絶技巧を楽しむための曲」と認識しており、オケの皆様の凄技にとても期待して臨みました。一糸乱れぬ超高速演奏で、各ソロ演奏のすごさ(もしかして管楽器は一息で!?)はもちろんのこと、弦は音を小刻みにしながらメロディを奏で、刻むピッチカートもキレッキレ。ハチがブーンと飛んでいる羽音ような強弱の波にゾクゾク。息つく暇もないほど惹きつけられた演奏でした。ああすっごい!札響の皆様、最高です!

チャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」より2つ続けて。「白鳥のテーマはオーボエが演奏します」「『4羽の白鳥の踊り』では白鳥の鳴き声が聞こえてきます」といったお話しに、「全部踊りがついています。よろしければご覧になって」とバレエ鑑賞のおすすめもありました。まずは超有名な“情景”。ヴァイオリン&ヴィオラの深刻なトレモロ、何度聴いてもイイ!美しいハープは水面のよう!来ました、オーボエによる「白鳥のテーマ」。暗闇の中でそこだけ別世界な感じで浮かび上がるオーボエの美しさ!トレモロも低弦ピッチカートも少しずつ盛り上がっていき、力強く歌うホルンが大迫力!弦が歌いパワフルに金管が鳴るのがカッコイイ!やっぱりチャイコフスキーは楽器の使い方が上手いと再確認しました。続いて”4羽の白鳥の踊り”。低音で音を刻むファゴットの存在感!オーボエはじめ木管群が小刻みにステップするように歌うと、私は自然とバレリーナの動きを思い起こしました(詳しくはないのですが)。弦も静かにメロディを歌ったりピッチカートを刻んだりと、ほんの短い演奏時間でもしっかりきっちりとした仕事ぶりはさすがでした!ところで「白鳥の鳴き声」とは、やはり各木管でしょうか(フルート、オーボエクラリネットファゴットでちょうど4羽!)?

「白鳥」つながりで、ワーグナーの歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲。太田さんは「ネタバレしないように」と深入りはしませんでしたが、「ローエングリンは白鳥の小舟に乗って登場する、かっこいいかどうかわからない……」と、とても気になる感じで紹介くださいました(笑)。華やかな弦と金管打楽器、ジャーンと鳴るシンバル、最初からド迫力!金管群&低弦の骨太な歌い方に思わず身震い!ホルンは壮大に、トロンボーン&チューバは大地を揺るがすようにと、同じフレーズでもパートによって異なる表情が楽しめました。中間部では木管群が穏やかに歌ってくれて少しほっとして、再び骨太な盛り上がりに。大忙しな弦もさらに華やかになっていました。なんて壮大で大迫力な音楽!これこそオーケストラの醍醐味ですね!「ワーグナーってこんな感じです」と太田さん。「オーケストラは大変、もっと拍手があってもいいくらい(!)」の言葉に、会場から大きな拍手が起きました。

プログラム最後の曲は、ディズニーソング・メドレー(直江香世子 編曲)。10曲(「世代によって知っていたり知らなかったりするかも」by太田さん)を続けての演奏で、控えめな照明演出もありました。約10分という短い演奏時間に、良いところをぎゅっと盛り込みすべてが1つのストーリーとして連なっているように感じられた、大変素晴らしいメドレーでした!編曲にも演奏にも大拍手です!とっても楽しかったので、客席から自然と手拍子が起きたのはご愛敬ですね♪「星に願いを 『ピノキオ』より」 安定の弦に、鉄琴&ハープの輝き、ホルンの温かさ金管のきらびやかさ!聖夜を思わせるライトアップもニクイです。「バロック・ホウダウン エレクトリカルパレード・テーマ曲」 低弦によるぐっと重厚な始まりから、明るくノリノリな音楽へ。ヴァイオリンから木管金管へとメロディのリレーもテンポ良く楽しい!「ミッキーマウス・マーチ」 打楽器と低音パートが刻むマーチのリズム、トランペット→木管のソロがカッコイイ!金管が華やか!「ビビディ・バビディ・ブー 『シンデレラ』より」 鉄琴&ハープの美しい響きは、まるで魔法をかけているよう!おなじみのメロディを歌う弦は美しく、金管のパワフルさは元気いっぱいな感じ!「チム・チム・チェリー 『メリー・ポピンズ』より弦楽合奏による前奏が超素敵!切ないメロディをはじめ木管群が歌い、続いてトロンボーン→チューバ→トランペットとリレー。各ソロの良さを味わえました。「美女と野獣美女と野獣』より」 ピアノから中低弦につながる前奏の切なさ美しさ!おなじみのメロディをたっぷりと歌ってくださったイングリッシュホルン独奏がとっても素敵!様々な楽器で独奏をリレーしていき、それぞれの良さはもちろんのこと、トランペットが歌うシーンを支えた包容力あるコントラバスのピッチカートもまた良い仕事をしてくださいました。「ホール・ニュー・ワールド 『アラジン』より」 ピアノ&ハープが彩るオケに乗って、来ましたチェロ独奏!この歌をチェロに当ててくださりありがとうございます!メロディはヴァイオリン独奏に引き継がれた後、各トップ奏者による弦楽四重奏に。素敵すぎます!全体合奏での盛り上がりでは、メロディを歌ったホルンの温かさ大らかさ、がっつり支える低弦が頼もしい!「レット・イット・ゴー 『アナと雪の女王』より」 序奏のピアノ、続いた弦は凍てつく空気を思わせる美しさ!ズンズンと前進していくような展開にドキドキ。「♪ありのままの~」はとても華やかで清々しい盛り上がりでした。「パート・オブ・ユア・ワールド 『リトル・マーメイド』より」 はじめはクラリネット、次にオーボエ、続いてフルートと、木管群が歌をリレーして、最初のうちは寂しげだったのが次第に希望が見えるように色合いが変化。彩るハープや弦のトレモロがきれい!壮大な盛り上がりでは金管群のパワフルさがすごい!その派手な盛り上がりからそのままラストの「イッツ・ア・スモールワールド」へ。 弦が歌い金管が歌い、ピッコロが華やかに彩る、明るく楽しい音楽!ダッダダダ♪と重低音の締めくくりがビシッとキマって、超充実のメドレーは大団円となりました。演奏後、指揮の太田さんが「いくつ知っていましたか?」と会場に問いかけると、あちこちから「全部!」と元気な声が!ちなみにうちの娘も全部わかったと喜んでいました(笑)。

カーテンコール。指揮の太田さんからごあいさつとアンコールの曲目紹介があり、演奏へ移りました。プライヤー「口笛吹きの少年と犬」。うちの娘は「郵便局のCMソング」として認識していました。初めて生演奏で聴けることに親子で大喜び!独奏(口笛パート)はピッコロでした。「ピー♪」と思いっきりためてから、スキップするように歌う口笛(ピッコロ)が楽しい!1,2のリズムを刻むオケでは、低音金管群が頼もしく、小太鼓・大太鼓が小気味よい!ラスト直前に口笛もオケもあえて「外す」感じになったのも面白かったです。あっという間の1時間、親子でとても楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございます!今後も親子共々お世話になります!


この日の2日前に聴いた、札幌交響楽団の主催公演です。「札幌交響楽団 hitaruシリーズ定期演奏会 第19回~新星エヴァチャイコフスキー」(2024/12/26)。「新星」ピアニストのエヴァ・ゲヴォルギヤンさんとの鮮烈な出会いに感激!信頼のユベール・スダーンさんに導かれ、「この風の彼方へ」は年の瀬の忙しなさで淀んだ心に風穴が開いたと感じ、「ペール・ギュント」では風のように冒険の人生を駆け抜けることができました。

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最後までおつきあい頂きありがとうございました。