歯学部の学費っていくらかかる? 日本歯科大学新潟生命歯学部は1000万円の値下げ

2025/12/12

■特集:広がる医療系学部

歯学部は、歯科医師という医療に携わる人材を育成する学部です。6年制で国家資格を目指すことや、私立大学は学費が高いことなど、医学部と多くの共通点がありますが、医学部ほど学費が話題になることはあまりありません。では、歯科医師になるには、いったいどのくらいのお金がかかるのでしょうか。(写真=Taka / ピクスタ)

偏差値が高いほど学費も高い傾向

日本で6年制の歯科医師養成課程(歯科大学や歯学部)を設けている教育機関は、国立11大学、公立1大学、私立17大学があります。

国立大学の学費は、学部に関わらず、基準となる標準額が定められており、入学金が28万2000円、授業料(年額)が53万5800円です。6年間では約350万円になります。ただし、国立大学の授業料は各大学が一定の範囲内で自由に設定できることになっているため、東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)は約414万円です。

公立大学は九州歯科大学のみで、福岡県内者と県外者で入学金が異なり、県外から入学した場合の学費は6年間で約373万円です。

私立は大学によって異なり、6年間でおおむね1800万〜3200万円かかります。私立大学で最も安いのは、姉妹大学である明海大学朝日大学で、どちらも1793万円です。最も高額なのは東京歯科大学で3190万円、続いて日本大学歯学部、大阪歯科大学、日本歯科大学生命歯学部、愛知学院大学が3100万円台で並んでいます(下表参照)。

(表=医歯専門予備校メルリックス学院のブログをもとに編集部で作成)

医歯専門予備校メルリックス学院の鈴村倫衣・受験情報センター長は、こう話します。
私立大学の医学部は学費が安いところが人気ですが、歯学部の場合は東京歯科大学を含め、学費が高い方から4大学が人気です

歯学部で人気に直結する要素は、「立地」と「歯科医師国家試験の合格率」です。4大学はいずれも当てはまり、偏差値も高いところが多いと言います。

「歯学部では、留年する学生が少なくありません。『入り口が甘い大学』、つまり偏差値が低い大学ほど留年する学生が多く、国家試験の合格率も低い傾向があります。1年留年するごとに約300万円の授業料が余分にかかり、留年を繰り返す人もいます。学費が安い大学に入ったとしても、留年や国家試験浪人をすれば負担する学費は増えてしまいます。ストレートで卒業、国家試験合格ができないこともある程度考慮して、学費を用意する必要があります」

(表=医歯専門予備校メルリックス学院のブログをもとに編集部で作成)

歯学部ならではの出費も

では、私立大学の学費には、どのような費用が含まれるのでしょうか。
まずは、入学金が50万~60万円、授業料が6年分かかります。そのほかに大学によって名目はさまざまですが、施設設備費、歯学教育充実費、実習施設費といった「学びにかかわる費用」がかかります。また、ほとんどの大学が同窓会費、校友会費、学生後援会費、父兄会費などを委託徴収しています。

「委託徴収するお金の名目や金額は、大学によってかなり差があります。ホームページには委託徴収金を抜いた金額を表示している大学も多いので、注意が必要です」

こうした学納金以外にも、必ず必要になるお金や、かかる可能性があるお金もあります。

●必ず必要になるお金
・教科書、参考書、実験器具、白衣などの購入費
・共用試験受験料
・国家試験の受験料
・予防接種費用(病院実習のためにインフルエンザワクチンなどの接種が必要)

●かかる可能性があるお金
・期末試験(科目ごとに数千円)、共用試験に落ちた時の再試験料
・留年した場合の授業料(1年につき300万円前後)
・国家試験対策の予備校代(授業料、模擬試験などの費用)
・部活動の費用

見落としがちなのが、国家試験対策の予備校代です。
「大学側も、自校の教員のほかに予備校の講師を呼んだりして国家試験対策の授業をしていますが、歯科医師国家試験のストレート合格率は高くても70%台です。外部の予備校に通って模試を受けたり、苦手な科目の補習を受けたりしないと、よほど優秀な人でない限り、合格は難しいと思います。中には『学内で完結させるので外の予備校に行く必要はない』という方針を掲げている大学もありますが、ほとんどの大学が学外の予備校を使っています。さらに国家試験に不合格になると、大半の人は国試浪人という形で予備校に通います。国試浪人をしなければ、そこまで大きな費用にはなりませんが、想定しておかないとあわてることになりかねません」

さらに歯学部では部活動に参加する学生が多く、部活動の内容にもよりますが、部費、用具代、グラウンドの使用料、合宿費、大会参加のための遠征費などがかかります。部活動で人脈を作っておくと、国家試験の過去問が手に入りやすかったり、卒業生からアドバイスをしてもらえたりするということもあるようです。

特待生制度を活用する

私立大学の学費は高額ですが、多くの大学が独自の特待生制度を設けており、成績優秀者の学費を減免しています。鈴村さんは「節約を考えるなら、この制度を利用することも考えてほしい」と話します。

「大学としては、できるだけ留年者を出さず、国家試験の合格率を上げるために努力しているので、『優秀な学生にリーダー的な存在として学年を引っ張っていってほしい』と考えているのでしょう。そのための取り組みとして、ほとんどの大学が入学時だけでなく、入学後も成績優秀者に学費の減免を実施しています。例えば、鶴見大学は6年間の学費が2600万円くらいかかりますが、6年間成績優秀者だった卒業生から、『その半額で済んだ』と聞きました。減免額は国立大学との差額分だったり、通常の授業料の半額だったり、かなり大きい金額なので、それぞれの大学の制度を調べて、上手に活用するといいでしょう」

1000万円超の値下げをした大学も

一方、高額な学費を値下げする大学も出てきています。

 日本歯科大学新潟生命歯学部は、以前は6年間の学費が3138万円で、歯学部の中でも学費が高い方でした。しかし、2024年度に2100万円へ大幅に引き下げ、歯学部の中で3番目に学費が安い大学になりました。新潟生命歯学部の中原賢歯学部長は、値下げの理由をこう説明します。

「全国から広く優秀な学生を募集したいという思いがありました。県外から進学するには、学費に加えて一人暮らしの費用もかかり、保護者にはかなりの負担です。その負担を少しでも軽減できたらと思い、減額に踏み切りました」

1000万円を超える大幅な値下げ額は、県外出身者が6年間、新潟で一人暮らしをする場合にかかる費用を算出し、それに近い額を設定したと言います。通常、学費を下げる際は当該年度の新入生以降を対象とするケースがほとんどですが、同大学は在学生の学費にも適用したのが特徴です。

「本学では、在学生を第一に考えています。在学生を減額しないという選択肢はありませんでした。値下げ後はオープンキャンパスの参加者が増え、25年度入試では受験者数も増加しました」

松本歯科大学も現在は6年間で2528万円の学費を、26年度から2008万円に値下げする予定です。

メルリックス学院の鈴村さんは、歯学部を志望する高校生にこうアドバイスします。
「歯学部は留年が多いだけに、ストレートで卒業して国家試験に受かることがとても重要です。校風が合っていないと、留年や退学をしてしまうことが多い印象です。志望校を決める時は、オープンキャンパスなどに参加し、必ず自分の目でキャンパスや雰囲気を確かめ、『ここならやっていけそうだ』と思える大学を選んでください。できるだけ留年をしないで歯科医師になることが、結果的にお金の節約にもなると思います」

>>【特集】 広がる医療系学部

(文=熊谷わこ)

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【ランキング】私立歯学部6年間の学費・高ランキング高1位~10位

私立歯学部6年間の学費ランキング”高”1~10(表=医歯専門予備校メルリックス学院のブログをもとに編集部で作成)
私立歯学部6年間の学費ランキング”高”1~10(表=医歯専門予備校メルリックス学院のブログをもとに編集部で作成)

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