生成AI(人工知能)が技術分野の学会の威信を揺さぶっている。半導体分野の最高峰の国際学会「IEDM(International Electron Devices Meeting)」では、少なくとも一部を生成AIに書かせたと疑われる論文の投稿が増えた。米サンフランシスコで開催中の「IEDM 2025」(2025年12月6~10日)でも関係者が警鐘を鳴らした。学会の質の担保が運営側の重荷となり、同様の事態は様々な分野で起こり得る。
IEDM 2025のオープニングセッションでは、同学会執行委員会ゼネラルチェアのJan Hoentschel(ヤン・ヘンチェル)氏が「見覚えのあるタイトルをしばしば見かけた」と論文査読の内情を明かした。今回の論文投稿数は923件と、2022年の562件からわずか3年で1.6倍に増えた。採択論文数は295件と2022年の222件から微増にとどまり、採択率は2022年の40%から32%へと大きく下がった。
IEDMでは生成AIの普及元年といえる2023年を境に、投稿論文数が急増した。ヘンチェル氏の指摘は、生成AIによる論文の執筆を疑わざるを得ない事例があることを示唆する。
投稿された論文は全て査読する必要があり、生成AIの登場で「価値の高い論文を選ぶことが難しくなってきた」(IEDM 2025執行委員会メンバー)。様々な分野の研究開発に生成AIが恩恵を与えている半面、生成AIによる論文の作成やそこに含まれる誤った情報を見抜く力が査読者に問われるようになった。