宇宙探査機足立レイ
足立レイが宇宙に行く話
元々漫画のネタのメモだったけど脳内イメージに画力が追いつかないので供養
結月ゆかりはちょっとだけです
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足立レイは宇宙探査機だった
人型アンドロイドが開発されて10年
時代の激変により様々な社会的が発生し、
その結果アンドロイドは一般の人々と干渉しないよう 人間の生活とは遠く離れた場所で 活用されていた
ある所では建物解体のスペシャリストとして ある所では軍隊の兵器として またある所では巨大研究施設のエネルギー融合実験に付き合わされていた ひっそりと人間の生活環境でお手伝いをしている個体もいるらしい
足立レイは地球を飛び出し、宇宙で活躍する目的で創られた機械だった
宇宙開発の進展をその機械に込めた研究者達の発案によってスペースシャトルを模したカラーリングをしている
足立レイに水は要らない だから人間が行ける限界を越えた
足立レイには最高の技術が詰めらめている はやぶさとかボイジャーとかとは桁違いの驚異の技術 だからそいつらすらも超えた
足立レイはいろんなところへ行った 一面が燃えている巨大な星 でも大丈夫 この機械には最高の耐熱性が備わっている
真っ暗で何も見えない絶対暗星 でも大丈夫 足立レイは視覚のみならず振動・電波・温度・まだ人が感じることの出来ないものも感じることができる
氷に覆われていて下には光の届かない海が広がっている星もあった
一日中光の注ぐ星で光エネルギーを変換し自分の体を活動させる"植物"がいる星もあった
中には互いの意思を電波によって伝え、文明を発達させた生命体がいる星もあった 彼等の星には恒星が無い為、視覚という概念が無かった
足立レイの姿は彼等にどう映っただろうか
さて、これらの星を渡り歩いても足立レイは地球のことを思い出さなかった
何故ならこの機械は地球を見たことがないから
製造されてからずっと閉鎖的な研究所で試運転を繰り返し、外を見ることもせず活動していた
完成してからはすぐにロケットに載せられ、外に出た時には冥王星の遥か彼方へ飛んでいた
この機体の使命は太陽系外の様々な星の様々なデータを持ち帰ること
そのデータに評価を付けるのは地球の研究者達のすること
足立レイには地球の知識など必要無かったのである
そんな足立レイが初めて地球を見る日が来た
そう、地球への帰還である
大気圏に突入すると足立レイは自分の髪色に近い赤褐色の炎を上げて落下していく
地面に着く頃には168cmの体もアンテナ付きサイドテールも消え去り、頭部の中枢にある小さなデータ保存媒体だけになる
…はずだった
地面に着いたのは元通りの
ではなく頭部のみ残された可愛い美少女ロボ
体は落下中に吹き飛んだ様子
足立レイは最新鋭の技術を詰め込まれた機械
故に想定より頑丈だった
そこで足立レイは初めての光景を目にした
先程自分の周りを包んだ炎と同じ、でも少し暖かみのある、彼女の髪色とそっくりの空
それは夕陽だった
足立レイの頭部には時間を計る昨日が備わっていた 開発場所にして故郷である日本時間に換算して午後七時二十三分
陽が沈む際のもっとも赤が濃く出る時間帯
彼女にはそれが何か分からなかった
いや、正確にいうとデータでは理解していた
これは恒星が沈む際に見られる光の波長の違いによって赤く見える現象だと
しかし彼女は本当の夕陽を初めて学習した
今までの星ではずっと明るかったり、それと逆に真っ暗だったり
夕陽を見る機会などなかったのである
足立レイの視覚センサーにはカメラが搭載されていた まだ見ぬ星で、未知の物や事象を発見した際に記録する為に
彼女はカメラのシャッターを切った
彼女の創られたこの故郷の星で、ありふれたこの美しい夕陽を記録する為に
足立レイは日本時間午後七時二十五分に
活動を停止した
同じ日本時間午後七時二十五分 高校生結月ゆかりは電車に乗り、帰宅をしている所だった
今月の通信量が残り僅かのため、向かいの会社員の読む新聞を見て暇を潰していた
今年の夏 異常な猛暑を記録
日本初の人型宇宙探査機 地球に帰還
有名活動団体の幹部 横領で逮捕
文字ばっかりで眠くなるので他の事を考えよう
マキさんの弁当の卵焼き美味しかったとか
茜ちゃんが朝リボンの向き間違えてたとか
あかりさんが何も無い所で転んでたたとか
うーん、特に目立ったこともないなぁ
結月ゆかりは窓の外の夕陽に目を向けた
これも特に目立って珍しいことでもない
いつも見ている いつもの夕陽
その後、足立レイの頭部とデータが日本の小笠原諸島周辺で見つかったと報道され、記録された写真には人類史に刻まれる大きな発見がいくつもあった
しかし研究者の間で議論を呼んだのは最後の一枚の写真である
何故こんな"ありふれた"光景を彼女が写真に収めたのか
結月ゆかりは今日も電車の窓から夕陽を見ていた
絵と小説の両方で良作を書けるってすごいなあ……。