渋谷すばる「己と人と向き合って、 見えてきた新たな行き先」【創造の挑戦者たち#108】

  • 文:小松香里
  • スタイリング:渕上カン
  • ヘア&メイク:矢内浩美
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Subaru Shibutani●1981年、大阪府生まれ。ミュージシャン・俳優。2019年よりソロアーティストの活動をスタートさせる。22年に「SU MMER SONIC 2022」出演。25年、アコースティックライブ「すばると」開催。俳優としても活動の幅を広げている。11月から上海・台北・日本各地を周るアジアツアーを開催中。

2019年からソロアーティストとしての活動をスタートさせた渋谷すばる。来年には芸能活動30周年を迎える。これまでの活動の中でいちばんの挑戦はなにかと聞くと、「独立したこと」と答えた。

「グループから独立したことは大きな挑戦でしたし、人生においても重要な節目でした。自分の音楽を突き詰めようと、いろいろな国に旅に出て、刺激を受け、ソロアルバムをつくろうと思いました。  帰国して、1枚目のアルバムをリリースしてツアーもしました。ですが、コロナ禍になってライブができなくなって……。そこからは無茶苦茶しんどかった。来てくれる人にリスクがある状態でライブをやるというマインドになれない時期が長く続き、いろいろな面でドン底の状態でした。少しずつ、『人前で歌って元気になってもらわないと』というマインドになっていきました」

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2024年にレコード会社のトイズファクトリーと契約。アルバム『Lov U』はこれまでと違い、ほぼ提供曲で構成された。

「いまのレーベルのスタッフに紹介していただいたクリエイターの方々に曲をつくってもらい、ツアーをしました。新たな表現を通して自分のことを客観視できた。『こういうことをやってもいいのか、次はこういう曲を制作してこんなライブをやりたい』という意欲が湧く中で、オーディエンスにもっとライブを楽しんでもらいたいと思えるようになった。今回のアルバム『Su』を制作している時は、ずっとオーディエンスが客席で歓声を上げて盛り上がっているような映像が浮かんでいました」 

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『Su』は自作、提供曲が分け隔てなく、自由でオープンなサウンドと、人々の孤独にそっと寄り添う言葉が詰まったアルバムだ。

「グループ時代にはもっと自由で僕らしい表現をやってきたなと思って、自分のアイデンティティである関西弁を畳みかけるような曲をつくろうとしてできたのが、リード曲の『Su』。一瞬たりとも飽きさせないように展開を変化させ、曲が終わった時に無意識に『イエーイ!』と叫んでしまうような曲。より外に向けて届けようというマインドになれました」

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正しく向き合うことを、日々考え痛感した毎日

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盟友・横山裕とコラボした楽曲も2曲収められている。トイズファクトリーとの契約後、初めてリリースした楽曲「人間讃歌」のMVを見た横山が、渋谷に連絡してきたことがきっかけだった。バンドを携えたギター&ボーカル・横山との2マンも行われた。

「久々に会った時に、ソロでツアーをする予定だと話してくれました。勝負する姿勢、生き様に感動して。なかでも勝負する姿勢に感動して、僕でよかったら思い切りぶつかろうと。初めてバンドを背負ってひとりで歌う横山は、めちゃくちゃかっこよくて刺激を受けました」

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続けて「この仕事は新しいことだらけ。何十年やっても緊張や不安がずっと付きまとう」と話す。

「最終的には自分のやりたいように飛び込んでいくだけで、それであかんかったらしょうがない。『なんとかなる』と思うしかない。なんの保証もない仕事をずっと続けているのは自分でもおかしいと思います(笑)。僕の仕事は人と関わって、モノを通して人に届けていくこと。近くにいる人たちのことも自分のことも信じられないと、よい方向に転がっていかない。独立して数年は、そこがうまくいかなかった。その経験があったからこそ、いまのありがたみを感じます。信じている人たちとつくったものを届けていきたいですし、受け取ってくれた人からリアクションがもらえることがいちばん嬉しい。ファンの方だけでなく、横山にも届いてコラボにもつながったわけですし。同じ年でずっと一緒に活動してきた横山を、久々に見て『めちゃくちゃ愛されてるな』と思ったし、自分もそうありたいと改めて思った。そのために媚びを売ったりはしませんが、『正しく向き合うって、どういうことだろう』と考えさせられました。真剣にやってたら悪いようにはならないと思うので、めっちゃ真面目にやってますよ(笑)」

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WORKS
アルバム『Su』

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2025年11月5日に発売されたばかりの最新アルバム。渋谷が作詞・作曲を手掛けた「Su」をはじめ、盟友・横山裕のアルバム『ROCK TO YOU』収録曲「繋がる」を、フジイケンジが新たにリアレンジしたバージョンも収録。渋谷の幅広い楽曲の可能性を感じる1枚だ。

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ライブ「渋谷すばる ASIA TOUR 2025-2026『Su』」

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渋谷すばるソロ活動史上最大スケールのライブツアーとなる、初のアジアツアー。11月に上海と台北で開催され、大盛況を収めた。年明け2026年1月24日からは国内各地を巡回予定。渋谷すばるの“素”がむき出しになる、国境を越えた音楽の旅が始まる。

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ライブ「横山裕×渋谷すばる」

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2025年9〜10月に、盟友である横山裕と行った対バンライブ。6月にリリースされたコラボレーション楽曲「繋がる」に続き、大きな話題を呼んだ。2都市全5公演で3万5000人を動員した。それぞれがアーティストとしての覚悟をぶつけ合った唯一無二のステージ。

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ジャガー・ルクルトの名作「レベルソ」に宿る、100年を超えて継承されるアールデコのデザイン

  • 写真:渡邉宏基(LATERNE), 宇田川 淳
  • 文:柴田 充
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なめらかでやわらかな肌触りのミラネーゼブレスレットを纏った2025年の新作「レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」。「レベルソ」は初期からさまざまなバリエーションがつくられており、スモールセコンドもそのひとつ。

ジャガー・ルクルトの「レベルソ」が初代から継承するデザインは、決して一過性ではなく、タイムレスな魅力を放つ。機能的でありながら装飾的。変化を感じさせず、進化する。それが「レベルソ」だ。

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前編:ジャガー・ルクルトのアイコン、「レベルソ」誕生の歴史と進化を紐解く
後編:ジャガー・ルクルトが誇る、ふたつの顔をもつ「レベルソ」の卓越性

初代の意匠を受け継ぐ、モノフェイスの「トリビュート」モデル

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レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド/「レベルソ・トリビュート」のシリーズは、ドーフィン針やバーインデックスといった初代のデザインを再現する。ケースと同色で統一した文字盤は、グレイン仕上げでクラシックテイストを演出。手巻き、18KPGケース&ブレスレット、ケースサイズ45.6×27.4㎜、パワーリザーブ約42時間、3気圧防水。¥6,600,000

衝撃から文字盤を守るという機能性から生まれた「レベルソ」が、これほどの長きにわたって愛され続ける理由のひとつにデザインがあることは言うまでもない。それはアールデコ様式に基づく。

1925年のパリ万国博覧会からアールデコの名は広まり、世界を席巻した。機械文明の美的表現に則り、幾何学模様や流線形、金属の美しさによる装飾美術は、本来、バウハウス的な無機質な機能主義とは対照的だが、それを機能美へと昇華したエレガンスが「レベルソ」のデザインには宿る。オリジナルのデザインを現代に受け継ぐ「レベルソ・トリビュート」からもそれは見て取れるだろう。

直線的なケースからストラップにシームレスな曲線を描くフォルムは当初「キュビズムのトノー型」と呼ばれたほど。ケースの上下に施されたゴドロン模様は、ニューヨークに伝播し、摩天楼に群居する建築装飾を思わせる。だがそれも本来は、反転ケースの継ぎ目を目立たなくさせるための技巧であり、機能と渾然一体となった「レベルソ」のデザインの深遠だ。

マスターピースと呼ばれるデザインは、外観が変化しているように見えることなく変化し発展するというパラドックスが成立する。この進化で「レベルソ」は不動の地位を確立したのだ。

レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンドの詳細はこちら

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