「変節すれば党割れる」立民の安保政策大転換、反対根強く…見通せぬ意見集約

立憲民主党
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立憲民主党が安全保障政策の党内議論に着手した。集団的自衛権の限定行使を可能とする安全保障法制を「憲法違反」と位置づけてきたが、日本を取り巻く安保環境の厳しさを背景に「容認論」が広がりつつある。ただ、源流の民主党時代から「安保法制反対」と掲げ続けてきただけに慎重論も根強く、意見集約できるかは不透明だ。

「本気で政権を取るつもりだ」

立民は10日、安保政策に関する調査会の会合を開き、会長を務める岡田克也元外相が「安保法制についての考え方を役員間で議論したうえで、この場で諮りたい」と語った。集団的自衛権の限定行使の根拠となる安保法制上の「存立危機事態」に関する党見解を決める予定だ。

立民は安保法制を違憲とする論陣を張ってきたが、岡田氏は11月7日の衆院予算委員会で「従来の個別的自衛権では対応できない事例があることは認識していた」と明かした。立民若手は「限定的な集団的自衛権の容認にかじを切るということだ」と解説。立民関係者も安保政策を現実路線へと転換させる狙いだと説明し、「本気で政権を取るつもりだ」と語る。

「年内に決められるくらいなら…」

とはいえ、意見集約は容易ではない。立民の基本政策は安保法制について「違憲部分の廃止」を掲げる。「違憲部分はない」(枝野幸男元代表)との容認論もあるとはいえ、立民ベテランは「変節するなら党は割れる。主張を転換したいなら自民党に移ればいい」と牽制(けんせい)する。安保法制に反対する共産党と良好な関係を築いている議員もいる。

岡田氏も当初は年内の意見集約に言及していたが、10日の会合では「来春」に先送りする意向を示した。早期の衆院解散・総選挙の可能性が低下したことを理由に挙げたが、意見集約に時間を要すると判断したとみる向きもある。

会合では、年内に結論を出すべきだという強硬論や、来年2月の党大会までをめどにする意見などが出たが、岡田氏は「慎重にやりたい」と語ったという。

この日の議論を予想したように、立民重鎮の小沢一郎衆院議員は9日、記者団に「年内に決められるくらいなら(今ごろ)政権を取ることができている」と述べていた。(末崎慎太郎)

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