《SIMカードの契約も問題ない》中国系「偽造健康保険証」作成業者に接触、料金は「1枚1万3000円。2枚以上なら1枚1万円」、マイナ保険証への一本化に対応した動きも
医療機関でなくともSIMカード契約には使える可能性
業者は支払い方法として、主に中国で使用されているウィーチャットとアリペイの支払い用のQRコードを送ってきた。日本のPayPayで支払えるか尋ねると、「PayPayはリスクがあるので使えない。またリスク回避のため、『商品』の発送の際には、ウィーチャットではなくEメールで詳細を送る」と、摘発のリスクを恐れ、警戒する様子を見せている。 業者が偽造保険証のサンプルとして送ってきた写真には、東京都北区が発行元とされる「東京都国民健康保険被保険者証」とあり、表面に施されている偽造防止のセキュリティ印刷も見て取れる。実際に偽造品だとすれば、非常に精巧なつくりということになる。 偽造マイナンバーカードについては、本物と並べて比べるとフォントがわずかに太いように見えるものの、表面のデザインや色彩は違わず、パッと見ただけで違いを指摘するのは難しそうだ。裏面には個人番号の記載のほか、ICチップも埋め込まれているように見える。 前提として、紙の保険証であれ、マイナ保険証であれ、それを使って病院で受診することは難しい。多くの医療機関でオンライン資格確認が行なわれており、保険者番号などの照合があるからだ。 ただ、偽造保険証を含むニセの身分証を利用してSIMカード契約を交わす事件などが報じられている。実際に可能なのか。業者に尋ねると、「我々の顧客はみんな問題なくできている」と断言し、さらに「SIMカードについては契約が不安なら、我々が持っている他人名義のSIMカードをあなたに売ることも可能だ」と、営業までされてしまった。 後日、この業者にウィーチャットの音声通話機能を利用し、取材を行なった。答えたのは20~30代くらいの若い中国人女性と思しき人物だった。メディアであることを伝え違法性の認識について訊ねると、「需要があるからやっているだけ。これだけ時間を使わせておいて! 買う気がないなら二度と連絡しないで!」と怒りを露わにし、こちらのアカウントはブロックされてしまった。 * * * 関連記事【《現物写真を公開!》中国人向け「健康保険証」「マイナバーカード」偽造業者の手口と実態を追跡 賃貸契約、違法風俗店経営、不法就労…“売る側”と“買う側”の生々しい証言】では中国系業者による保険証やマイナンバーカードなどの「偽造身分証」売りさばきの手口と実態を、現物写真とともに詳報している。 【プロフィール】 廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)/フリーライター。1986年生まれ、東京都出身。明治大学を卒業後、中国の重慶大学に留学。メディア論を学び2012年帰国。フリーランスとして週刊誌やウェブメディアで中国の社会問題や在日中国人の実態などについて情報を発信している。 ※週刊ポスト2025年12月19日号