日本語試験に3度不合格、追い詰められ利用した「替え玉受験」に16万円…SNSでビジネス化する実態
替え玉受験は、驚くほど簡単だった。その女性とスマホアプリでメッセージをやり取りし、試験直前、在留カードを女性から指示された場所に郵送するだけだった。
替え玉役は、2024年11月の日本語基礎テストを大阪市内の会場で受験。会場の担当者にカードを提示し、チャンさんになりすまして受験した。 その後、チャンさんの元に合格証書が届いた。指定された口座に16万円を振り込み、「受験」は終わった。
発展途上国への技術移転を目的とした技能実習に比べて、企業の「即戦力」を求める特定技能の平均月給は高い。チャンさんは在留資格を特定技能1号に切り替え、今年3月から新潟県の製菓工場で菓子の量を確認する仕事を始めた。日本語はほとんど話せないままだが、月給は27万円に倍増した。
次は事実上の永住が可能な「特定技能2号」を取り、家族を日本に呼ぼうか。そんな想像もし始めていた。 だが、大阪府警は24年12月、別の人物になりすまして日本語試験を受けたとして、替え玉役を入管難民法違反容疑で逮捕。府警は依頼者を次々と割り出し、チャンさんも今年4月に逮捕された。
■指示役や仲介役、緩やかに役割分担 浮かび上がった実態
替え玉受験はどのように広がっていたのか。 「依頼者を紹介してくれるだけで2万円を払う」。複数の捜査関係者らによると、事件の指示役は、SNSにベトナム語でこうした投稿をし、依頼者を集める「仲介者」を探していたという。介在する人を増やし、捜査が自らに及びにくくするためとみられる。
この投稿を目にしたのが、ベトナム人の男(25)(入管難民法違反などで有罪判決)だった。指示役に連絡を取ったところ、「仲介は罪に問われない」と聞かされた、と府警の調べに説明した。
男は、在留資格「特定技能」の「介護」や「外食業」など数種類の技能試験に合格し、日本に在留するベトナム人のSNSグループで優秀な人物として知られていた。仲介を担うことにし、グループ内で「試験に落ちて困っている」と投稿していた女に連絡を取り、替え玉受験を持ちかけた。女が話に乗ってくると、その後は自分と女、指示役3人のグループチャットを作り、連絡を取り合ったという。