日本語試験に3度不合格、追い詰められ利用した「替え玉受験」に16万円…SNSでビジネス化する実態
替え玉役は指示役が用意した。試験に合格した後の報酬の分け前は、指示役が約8万円、仲介者が約2万円、替え玉役が約6万円だったという。 2024年12月に逮捕された替え玉役の供述などから男も今年6月に逮捕された。男は今年11月の公判で、替え玉受験を20~30人に持ちかけたことを認めた。府警の調べには「SNSで仲介し、そのたびに数万円をもらえた」と供述していた。
替え玉役を抱き込んだ指示役がSNSで仲介者を募集し、仲介者がさらにSNSで依頼者を探す――。事件を通して浮かび上がったのは、こうした緩やかな「役割分担」だ。SNSを媒介に、替え玉受験がビジネス化していた実態が浮かび上がる。
■「バレそうになったことない」替え玉役の経験者明かす
「替え玉受験ビジネス」はレアケースなのか。記者は、有罪判決を受けた仲介者の男が依頼者と接触したのと似たようなSNSのグループを調べた。すると、「試験を手伝ってくれる人はいないか」「合格を保証する」といった投稿が多数あった。約20人にメッセージで取材を依頼したところ、1人の男性から返信があった。
この男性は、ベトナム語で「N4、N5保証」と投稿していた。独立行政法人・国際交流基金などが運営する「日本語能力試験」は難易度別に、難しい「N1」から易しい「N5」の5段階に分かれている。そのうち「N4」「N5」の合格を保証する――。そのように読み取れる内容だった。
「バレそうになったことはほとんどありませんでした」。数十回に及ぶやり取りの中で男性は替え玉の経験を明かし、在留カードの顔写真から別人と発覚するのを避けるため、「顔が自分と7割ほど似ている人だけを選びます」と説明した。試験会場では同じベトナム人に何度も会ったとし、「替え玉受験は頻繁にある」との見方を示した。
出入国在留管理庁によると、2024年末時点の在留外国人数はベトナム人は約63万人で、中国人(約87万人)に次いで2番目に多い。警察幹部は「在留ベトナム人は、リアルとSNSの両方で比較的大きなコミュニティーがある。情報交換する中で、替え玉受験などの不正な方法も広まりやすいのではないか」とみる。