謎の商人ロールプレイ 作:誰かさん
がっと、ロキが目を開く。朝にはあまり強くないし、なんなら起きても目が冴えるまでベッドの中でゴロゴロしているタイプの彼女。しかしここ最近は、むちゃくちゃ目覚めがよかった。
跳ねるようにしてベッドから出る。寝間着から着替えている余裕などない。時計を見れば、もう時間寸前なのだ。
ベッドメイクの時間も惜しんで跳ね、半ば扉を叩き付けるようにして部屋から飛び出る。その音で少し周囲が騒がしくなった気がしたが、気にしていられない。今の音で起きたのなら手遅れだし、すでに起きているなら一分一秒が惜しい。
ロキは、しゃにむに爆走した。各所で焦る音が聞こえたが、気にしていられない。ここには負けられない戦いがある。
(ごめんなぁ、みんなッ! でもこれは、ウチかて負けられへんのやッ!)
目指すは上、ロキ・ファミリアがホーム『黄昏の館』が最上部。背後からばたばたと「止めろ!」だの「行かせるな!」だのという声が響いてくるが、振り返っていられない。
先頭を走っているからと言って、まだ油断はできなかった。部屋の位置的にロキが一番有利だと言っても、例えばフィンやティオナなどが本気を出せば、追い抜かれない自信はない。
「大丈夫、ウチはやれる! 今日こそウチの勝利や!」
半ば自分に言い聞かせるよう鼓舞する。すでにロキの近くには、山のように子供達が迫っているのが分かった。
必死に走るロキには、もはや我が
階段を駆け上がった先にある扉に、ほとんど全身を叩き付けるようにして飛び込む。ドアノブをひねるのが間に合わず、顔を叩き付ける羽目になった。しかし、そんなことはどうだっていい。もっと重要なものが、扉の先にあるのだから。
焦りながらも開いた扉の向こうにあったのは、地上のそれより近い空。まだ誰も居ない尖塔にあるバルコニーだ。
「うおっしゃあああぁー!」
ロキが上げる勝利の雄叫びと、扉の向こう側から伝わってくる悲鳴。これもまた心地よい。勝利の味だ。
彼女は鉄柵に手を置いて、大きく息を吸い込んだ。そして、全力で叫ぶ。
「海賊王に、ウチはなる!」
……つまりこれは、誰が『ONE PIECE』ごっこの権利を得るかという戦いだったのだ。
『ONE PIECE』、それはある意味において、現オラリオの
発表された当初は「なんだかよく分からないけどとにかく面白い本」でしかなかった。しかし発刊を重ねて行くにつれて「何これめっちゃ面白い!!!」へと変化していった。どれくらいの規模で流行っているかと言うと、一昔前に比べ100倍以上の人間が『悪魔の実』を求めて夜の街を彷徨い、どこへ行っても子供(眷属という意味ではない)がワンピースごっこをしているほどである。
今や『ONE PIECE』の続刊は、なければ暴動が起きる程のものになっていた。
オラリオ……というか世界において、物語というのは大体が史実を少し脚色したものだった。数少ない例外も、事実を多少ひねったものである。つまり、物語の構築方法においても、ONE PIECEは例外中の例外だったのだ。
ゼロから作られた物語の魅力。斬新な設定の数々。ストーリーも既存のものとは比べものにならないほど練られており、なによりこの本は「伏線」という概念を生んだ。
ONE PIECEは頂点にして原点である。が、だからといって負けを認める者ばかりではなかった。自分もこの新書式『漫画』を描いて、世に広めようと気勢を上げる者は少なからずいたのだ。
そのため、本屋の裏手に手紙を置かせて貰って(ONE PIECEを発刊している正体不明ファミリアへの接触方法を誰も知らないための、苦肉の策だ)、印刷技術をなんとか提供して貰おうとする。相手に応える義理もないのだが、それから暫くして、ギルドの正面に巨大な高性能印刷機が複数台どでんと置かれていた。ちなみに、むちゃくちゃ邪魔だったとか。
とにかく、今のオラリオはONE PIECE一色なのである。
「ふう、朝の絶叫むっちゃ気持ちエエわ! やっぱルフィごっこは最高やな!」
子供がよくONE PIECEごっこをしているが、別に子供しかしないわけではない。むしろ割合や頻度では、神の方が遙かにごっこ遊びをしている。じゃあ冒険者がONE PIECEごっこをしないかと言えば全然そんなことはなく。まあつまり誰でもしているわけだった。
「くぅぅぅ……ずるいぃ、私もうずいぶんと長いことやってないのにぃぃ……」
「俺なんてまだ一回もないよ……」
ロキ・ファミリアには、当然いくつもの決まりがある。今回のそれは、一番新しいルールだった。つまり、ONE PIECEごっこで叫べるのは朝に一番乗りを果たした一人のみ。
なぜこんなに馬鹿馬鹿しい決まりを明文化する羽目になったのかと問われたら、そりゃもうロキ・ファミリア中で今朝ロキが行ったような事が横行したからである。つまり、やってる方は楽しいが、関係ない人間にとってはうるさいだけ。最終的には幹部の合議により(リヴェリアなどはあまりの情けなさに泣きながら)こういった決定が下された。
「ふふん、今日の朝食は特別うまいな」
「やあロキ。ご機嫌だね」
トレーを持ってロキの正面に座ったフィンが、苦笑をしながら語りかけてくる。
「そらそうや。今日はウチの勝ちやからな」
「みんな頑張るなあ」
などと、興味の無いふりをしている彼だが。
ロキと、後はリヴェリアとガレスあたりは気付いているだろう。フィンの私室にはONE PIECEが綺麗に並べられているし、たまに作中の真似だってしていることを。
(フィンはもうちょっとオープンになった方がええと思うんやけどなあ)
己は
ガレスなど、ひたすらオープンにONE PIECEを楽しんでいる。実はリヴェリアも無茶苦茶読み込んでいるのだが、プライドが邪魔をしてのめり込んでいる風に見せられていなかった。フィンもそういう所がないわけではないが、リヴェリアの場合は純度100%の見栄だ。さすがに自分を大きく見せすぎである。
この事実を一番理解してるのはガレスだ。彼は二人に対して、「つまらん意地で十分に楽しめんとは、なんと情けない事よ」と呟いていた。
とにかく、今のオラリオはどこもかしこもワンピブームだ。知らない相手とも、ONE PIECEの話題を出せば仲良く話せる、などと囁かれていた。実のところ、これは全くの事実である。
「んで、どないしたんや? ウチと語る?」
彼はすでに朝食を終えたのだろう、手に持っているのはティーカップのみだ。
「いや、特にこれといって用事があったわけじゃないんだ。ただ席が空いてたからね」
などと言っているが、彼が語りたがりなのは誰もが知るところだ。格好つけて、自分から言い出せないだけで。
「なになにー? ワンピについて語るの? あたしも混ぜてよー」
そう勢いよくやってきたのは、フィンと同じく朝食を手早く済ませていたティオナだった。彼女はフィンと真逆で、自分からガンガン話題を振って語るタイプである。
ロキは知っている。実はこの二人、ことワンピトークという一点において、相性が悪いという事を。
ワンピトークにはいくつかの派閥がある。作品が将来どう展開されるかというのを楽しむ予想派。設定などを推察する考察派。純粋に物語を楽しむエンジョイ派など。その他にもいろいろ。派閥の中で細かい分類を分ければ、一体どれほどの数になるか分からない。
フィンはがっちがちの考察派で、ティオナはがっちがちのエンジョイ派である。物語の語り方について諍いが起きるというのも、実はよくある事だった。
ただまあ、この組み合わせなら喧嘩は起きない。強火ファンだということを隠しているフィンは、最終的に折れて相手に合わせるからだ。
「新しいの凄かったよねー! あたし、ゴムって電気通さないの初めて知って、へーってなったよ」
「ああ、分かる。実は僕の方で検証を依頼してみたんだけど、本当だったよ。もしかしたら電気系の魔法対処に使えるかも知れないって事で話題になってる。ただ、ゴムの木を大量に仕入れる手段はないんだけどね」
「そうなの? 難しいことよくわかんないなー」
予想通り、フィンが聞き手からの話題振りに回っている。彼は相手に気持ちよく話させるのがとても上手かった。
「あーっ、もう! 続きが楽しみすぎて辛い! エネルとの戦いどうなるんだろ!?」
ティオナがばんばんテーブルを叩きながら叫んだ。
現在、ONE PIECEは31巻まで発刊されている。空島での戦いが、丁度最終決戦という所だ。これはつい先日発売されたばかりである。
ONE PIECEの発売には法則性があり、だいたい月末に1巻、たまに2巻置かれる事となる。続きは次の月末まで待たなければいけなかった。
「しゃーないやん。待ってる時間も楽しみ方の一つと思っとこ」
「ティオネと語り合ったりすればいいじゃないか。普段、君達はワンピトークしないのかい?」
「うーん、しなくはないんだけど……。ティオネとはちょっと方向性が違うんだよねえ」
ぷっと膨れるティオナに、苦笑するしかない。といっても、苦笑いの対象はティオナではなくティオネだ。
ティオネは元々、フィンに釣られる形でONE PIECEを読み始めた。今では関係なくのめり込んでいる。が、それでもやはりフィンと語り合いたいようで、無理矢理に考察派(っぽい)語り口をしていた。そのため、純粋に話を楽しみたいティオナとは微妙に合わないのだ。
「だからしょうがないけどね、ワンピカフェにいつも行ってるんだよ。実は今日も、フィンとロキに会わなければそのつもりだったんだ」
ワンピースカフェ。字面を見れば分かるとおりに、ONE PIECEの事が中心になっているカフェテリアだ。
実はこちらにも細かい分類があった。元のカフェを改装したコラボレーションカフェ、最初からONE PIECEありきで設計されたコンセプトカフェなど種類は様々。一番の特色は、語りたい内容だったりで客層の棲み分けが自然と行われている所だ。行きつけへ向かえば、いつでも同好の士がいるし、それだけオラリオがONE PIECE一色という事でもある。
ちなみに、そういった類いの喫茶店は普通の店よりお高い。なぜだろう。
「あーあ。要望出したらもっと早く続刊出ないかなあ」
「無理やろなあ」
気持ちは分かるが、さすがに常識外れの要求である。
漫画に挑戦する者は多数いるが、彼らが寝食を犠牲にしても、せいぜい三ヶ月に一冊がいいところ。月に一冊のペースを軽く上回るONE PIECEがおかしいのだ。オダ・栄一郎とは一体何者なのか。現時点では、軽く化け物である。
「それが駄目なら、あたしも能力欲しい! できれば
「もっと無理や」
悪魔の実を得られるかどうかは、完全に運任せである。配っている方が人を選んでいる様子はないため、夜に人気が無い所を歩き続けていれば、可能性はなくもないのだが。
正直な所、謎のファミリアは悪魔の実関連でさえなければ、割と要望を聞いてくれる。
直接的な連絡方法こそないが、本屋の裏手に手紙を置いておけば、いつの間にか回収されているのだ。それでONE PIECEの追加発注ができたり、巨大高性能印刷機をくれたり、漫画機材一式をくれたりなど。しかも、全て無償でだ。趣味道ここに極まれりである。
ただこれも、悪魔の実関連となれば話は別。
恐らく絶対数が少ないというのもあるだろう。こればかりは誰の制御下にも入らなかった。ギルドが支配下に置こうとしたり、複数のファミリアが悪魔の実を独占しようとしたり、動きはかなりあったのだ。しかし全てが失敗。あまつさえそういった行為を行った組織の関連構成員とは、二度と接触しないようにしている。
(これはほんま危なかったわー)
実はロキも、そうやって悪魔の実を支配しようとしていた者の一人だ。有力な悪魔の実を団員に与え、残りを他ファミリアに高く売りつけようともくろんでいたものである。
これはフィンに大反対を食らったため実行されなかったが、結果的には正解だった。下手をすれば、二度と能力持ちが手に入らなくなった所なのだから。
相手は非戦闘ファミリアで、政治感覚にも疎い。というかない。だから「とりあえず攻撃してこない所には平等に」という方針を貫いているのだろう。後は、そういったファミリアにありがちな、どこかの傘下にでも入っていちいち口出しされるのが嫌、というあたりか。まあいかにもである。
「ティオナも読むだけやなくて、他の楽しみ方をしてみたらどうや? アイズたんほどとは、さすがに言わんけど」
「えー、うーん、あれはちょっと」
「やめてくれ。あの子みたいなのが増えたら困る」
ティオネは困ったように苦笑を、フィンはかなり本気で注意するように言ってきた。
ONE PIECEを見てから向こう、アイズはしょっちゅうわがままを言っている。
最初は……刀が三本欲しいだったか。ただでさえ使い手の少ないオラリオでは、刀と言うだけでそれなりの高級品である。それで長く使ってくれるならばまだしも、漫画の真似をしたいだけで揃えられるものではない。が、それではアイズが折れず、困ってしまった。ゾロがミホークに負けたところで「やっぱり一本」と言い出したのだからなおさらである。
その後も、作中で新しい道具が出る度にあれが欲しいこれが欲しいと。最近欲しがっていたのはバズーカだったか。そんなもんねえよ。
さすがにあそこまでわがままを言われては困るが、ともあれ作品を満喫している。ただ満喫しすぎなだけで。
「どうせ中身について語っとったら、一ヶ月なんてすぐや。最近、悪魔の実の分類について明かされた所やしな」
「
悪魔の実の分類、ないしは名称は、長いこと議論が続けられていた題材である。
実は現在、
それに比べて
ただ、これに関しては、そもそも
「悪魔の実の分類いいよね! なんかもう名称だけで胸躍る!」
「これ考えた奴天才やなってウチも思うわ。
「能力そのものの発想も絶妙だよ。実際にある物質、生物、現象を扱っているから、直感的に理解できる。かといって元になったものにできなければできないわけじゃない。それはアイズが証明しているからね。発想次第でどこまで強くなるというのは夢があるよ。もちろん、夢だけじゃないんだけど……」
「うーん、やっぱりあたしも能力欲しい! ねーロキー」
「これだけは、どんだけねだられてもほんま無理やって!」
「ロキの言うとおりだよ、ティオナ。それに、能力って言ったって絶対に強くなれる訳じゃないんだ」
フィンのどこか寂しそうな言葉に、ティオナとロキはそろって「あー……」と声を漏らした。
彼は人差し指を伸ばすと、その先端から糸を垂らす。意思にしたがって自由に動くそれだが、見た目通りに力強さはなかった。当然というかなんというか、冒険者家業に生かすには、些か貧弱すぎる。
活用方法はいろいろ探っているようだったが、現状、悲しいほど攻撃能力はなかった。
「僕ももちろん、アイズほどなんてわがままを言うつもりはないけどね。彼女の振動は、どうやら能力の中でも飛び抜けて強力みたいだし。ただ、もうちょっとこう、なんとかならないかとは思ってしまうよ……」
「まあまあ、そんな卑下することないやん。糸も糸でむっちゃ便利やって聞いてるで。なあティオナ」
「そうだよぉー。モンスターを縛り付けたり動きを制限したり誘導したり、いろいろできるじゃん」
イトイトの実(仮称)は完全に集団戦での支援向け能力であり、逆に言うと一個人で生かす力ではない。
能力自体は、集団戦が得意なロキ・ファミリア必須と言えるほどのものなのだが。如何せんフィンの資質には合っていても、
なおも納得できていない様子のフィン、ティオナがぷっと頬を膨らませる。
「あたし知ってるよ、それって自虐風自慢って言うんでしょ。あるんだからいいじゃん」
「いてて、悪かったって」
ティオネがべしべしと、テーブルの上に乗っているフィンの手の甲へチョップを落とす。
その後、彼女はぐでっとテーブルに突っ伏してしまった。顎を乗せ、視線だけを上げている。
「あーあ、本当にあたしの元へ来てくれないかなあ。
「いや、
「そもそもURなんて、現状ゴムゴムとヒトヒトしかないやん」
最初は能力の性能そのもので語られていた悪魔の実も、ONE PIECE本編が進むにつれて「能力は使い手次第」という風潮が広まっていった。根本的に、主人公であるルフィのゴム能力からして、それ自体は明確に弱いのだ。逆に、能力に振り回されるのは格好悪いという印象がついたという意味でもある。まあつまり、能力の性能で強弱を評価するのはダセェという事だ。
なので悪魔の実のレアリティ評価は、原作でどれほど活躍したか。
ちなみにこのランク付けは、元々神の間で使われていたものだ。それがいつの間にか子供達に伝わって、一般的に利用されるようになって今に至る。
「ゴロゴロの実かスナスナの実ほしー」
「どちゃくそ高望みするやん……」
「
実際にないかどうかは知らないが、少なくともオラリオで
ロキは、ここまでできる奴らが再現できないことはないだろうな、と考えている。だから、ただ単にまだ獲得者がいないだけではないかと考えていた。
能力で強弱を論じるのはどうかという意見は正しい。が、それはそれとして
「僕個人としては、あまり原作の内容に引っ張られて能力を評価するのはよくないと思うよ。ヒュアキントスみたいになる」
「それ誰?」
「アポロン・ファミリアの団長や。知らん?」
「わかんない」
「能力がバネバネの実でね。あまりの噛ませっぷりにホームの前で泣きわめいてたんだ」
「うわぁ……うん、気をつける」
悲しい事件だったね……と、ロキとフィンは顔を見合わせる。
バネバネの実の名誉のために言っておくが、あれは恐ろしく強力な能力なのだ。
この手の問題で悲観する者は少なくない。
大の大人が泣きわめく姿は非常に見苦しかった。それは確かだ。しかし実際問題、気持ちは分かってしまうので、指摘も難しいというのが現状だ。特に、ヒュアキントスが「やーい、お前の能力原作でワンパン」などと煽られている姿を見たら特に。
ちなみにその後、ヒュアキントスは相手をぶん殴っていた。誰も止めなかった。
「そうだ、ロキだったらどんな能力が欲しい?」
ぱっと、急に思いついたと言った様子で、ティオナが話を振ってくる。
「ウチ? いや、神は能力を得られんやろ。いや、得られんのか? 下界の体ならいけるかもしれんな……。まあどっちにしろ、子供達の方が有効に使えるわ」
「もー、そういう話じゃないって。もし得られるならどんな能力がいいかって事」
「いいね、それ。僕もちょっと気になるよ」
「うーん……」
いつものセクハラ発言をかましてもよかったが、ティオナが求めているのはそういうことではないのは明らかで、真剣に考える。
改めて、下界でどんな能力がほしいか。それもONE PIECEっぽいもので。なかなか難しい題材だ。
「ニョキニョキの実みたいなのあったら欲しいなあ。植物の成長を助ける、というような感じの」
「へー、なんか意外。どうして?」
「ファミリア内で薬草毒草の品種改良行っとるやろ? 成長を助ける能力があったら、世代交代を早められるやんか。実は前から研究しててん」
「へー」
そんな風に。ロキは気付けば、丸一日フィンやティオネとワンピトークを続けていた。
その時間はまあ、無駄と言えば無駄としか言い様がなかったが。
なんというかだ。内容のくだらなさに反して、充実した時間だったとは言っておくことにしよう。