中国軍レーダー照射問題に関するテレビ朝日「報道ステーション」X投稿の問題点と改善を求める声明
令和7年12月10日
前参議院議員 浜田聡
中国軍機が自衛隊機に危険なレーダーを照射した問題で、中国側は「事前に訓練を通告していた」とする音声データを公表しました。
これを受けて、テレビ朝日「報道ステーション」のX公式アカウントは、
「【速報】中国側“事前通告”音声を公開」
という投稿を行い、中国側の主張を大きく取り上げました。
一方で、小泉進次郎防衛大臣は、Xに
「先ほどレーダー照射事案に関する中国国営メディアの報道について、臨時記者会見を開きました。内容は以下の通りです。
――――――
12月6日(土)に発生したレーダー照射事案に関する中国国営メディアの報道について、4点申し上げます。」
と投稿し、添付資料で次の4点を丁寧に説明しています。
1 中国艦艇から「飛行訓練を開始する」との連絡はあったが、訓練区域・時間・規模など、危険回避に必要な具体情報は伝えられていないこと。
2 自衛隊機のスクランブルは、訓練の事前通告の有無にかかわらず、領空と国民を守るための正当な行為であること。
3 当日の航空自衛隊F-15が、中国側の主張のようなレーダー照射を行った事実はないこと。
4 問題の本質は、中国側が約30分にわたり危険な火器管制レーダー照射を行ったことであり、再発防止を強く求めていること。
つまり、小泉大臣は、Xのポストと会見を通じて、
「中国側の音声はあっても、『安全を確保できる十分な情報』ではなかった」
「日本側のスクランブルは当然の任務」
「レーダー照射をしたのは中国であり、日本ではない」
という点を、国民向けに明確に示しています。
この状況を踏まえると、報道ステーションのX投稿には、次のような大きな問題があると考えます。
―――――――――――――――――
【1 “事前通告”の言葉を、そのまま見出しに使った問題】
国際的な意味での「事前通告」とは、
・訓練区域
・期間
・高度
などを、前もってNOTAMや航行警報で正式に知らせることです。
ところが、中国側が今回出してきたのは、
「現場の艦艇から、直前に『これから訓練します』と告げているだけ」
と見られるものです。
それにもかかわらず、
「【速報】中国側“事前通告”音声を公開」
と太字で打つと、
「日本は事前に知っていたのに、わざわざ近づいたのでは?」
という誤解を、多くの人に与えかねません。
これは、中国側の「話の枠組み(フレーミング)」に乗せられてしまう危険な表現です。
しかも、テレビ朝日と報道ステーションは「公共の電波」を使うキー局です。
電波は国民共有の財産であり、その限られた周波数を優先的に使う立場として、一方当事者の言葉をほぼ検証なく見出しに採用するのは、極めて問題だと考えます。
―――――――――――――――――
【2 中国側音声の「怪しさ」への説明がないこと】
今回の音声については、すでに
・SNS上で編集されている可能性
・英語のやりとりの不自然さ
・英語が中国語訛りだとされ、本当に自衛隊側の声なのかという疑問
など、多くの指摘がなされています。
にもかかわらず、報道ステーションの投稿では、こうした疑問点や注意点がほとんど触れられていません。
まるで、中国国営メディアの出したものを、そのまま受け入れてしまったかのように見えます。
公共の電波を預かる放送局が、外国のプロパガンダの可能性がある素材を扱うときは、
・出典
・編集の有無
・信頼性への疑問点
をあわせて説明するのが筋です。今回は、その基本が欠けていると言わざるを得ません。
―――――――――――――――――
【3 問題の本質は「火器管制レーダー照射」であること】
小泉大臣は会見・Xポストを通じて、繰り返し
「問題の本質は、約30分にわたる火器管制レーダー照射だ」
と述べています。
火器管制レーダー照射とは、ミサイル発射の準備段階で相手機を捕捉・追尾する状態であり、国際的に非難される行為です。
しかし、報道ステーションの投稿は、
・中国側の“事前通告”主張
・「日本戦闘機が近づいた」とする説明
を丁寧に紹介する一方で、
「そもそも中国が危険なレーダー照射をしたこと自体が問題」
という核心部分が弱くなってしまっています。
公共の電波を通じて、論点のすり替えにつながるような報じ方をすることは、日本の安全保障にとって望ましくありません。
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【4 テレビ朝日・報道ステーションに求めること】
以上を踏まえ、前参議院議員として、次の点を求めます。
1 今回のX投稿について
・番組内およびX上で、内容の検証と補足説明を行うこと。
・“事前通告”という言葉の国際的な意味と、中国側の主張との違いを、視聴者に分かる形で説明すること。
2 今後の外国発情報の取り扱いについて
・中国など外国政府・軍の映像・音声・資料は、出典や編集の有無、信頼性への疑問を明示すること。
・一方当事者の主張を、そのまま見出しに使わないこと。
・「電波は国民の共有財産」という原点に立ち返り、社内のチェック体制や基準を見直し、その概要を国民に説明すること。
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最後に、危険なレーダー照射の中で任務を全うした自衛隊員と、それを支える関係者のみなさんに、心から敬意を表します。
メディアは、日中対話の重要性を認めつつ、日本国民が中国などのプロパガンダに振り回されないよう、事実と国際ルールに基づいた情報発信を行う責任があります。
とりわけ公共の電波を預かる放送事業者には、自らの報道が日本の安全保障に与える影響を重く受け止め、今回の件を教訓に、より慎重で公正な報道に努めていただくよう、強く求めます。
Quote
報道ステーション+サタステ
@hst_tvasahi
【速報】中国側“事前通告”音声を公開
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中国軍機による自衛隊機に対するレーダー照射問題で、中国国営テレビ系のSNSは「事前に通告した」と主張する音声を公開
中国国営テレビ系のSNSより
中国軍側
「こちらは中国の101艦です。私たちの編隊は計画通り艦載機の飛行訓練を行います」
自衛隊側
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