1999年2月、韓国・ソウルの地下鉄で変わったアナウンスが流された。
「統一教会の合同結婚式に参加する人は、ここで降りましょう」
この日、市内を貫く河川・漢江(ハンガン)のほとりにあるオリンピック競技場で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の一大行事「合同結婚式」が開かれた。
教団の機関紙などによると、4万組のカップルが集まり、創始者の文鮮明夫妻も出席した。「真の父母(夫妻のこと)の真なる愛と生命と血統的因縁を復帰した」という祈りの文句がささげられたという。
広島県に住む40代の男性は、このイベントに16歳で参加させられた。
「高校1年生ですよ。教団が決めた相手と『結婚』させられるなんて、全くピンとこなかった。嫌で嫌で仕方なかったけど、親には言えなかった」
男性は、信仰を持つ両親のもとで育った「2世」だ。自らが信じたことはない。
「子どもに選択肢はない。あれは虐待でした」
高額な献金被害に焦点が当たりがちな旧統一教会問題だが、信仰を強制された2世の苦しみは、今も続いている。
一度だけ写真を見た「結婚相手」
教団にとって、結婚は「祝福」と呼ぶ大きな宗教行事だ。韓国での大規模な合同結婚式は、2025年4月にも予定されている。
26年前、この男性の「相対者」(結婚相手)とされたのは、同じ高校1年生の少女だった。事前に一度だけ写真を見せられ、当日に会…
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