Post

Conversation

フィジカルAIがまるで「従来ロボット工学を置き換える主役」のように語られる、という意見には共感します。 ロボットの基礎性能を決めているのは、今も完全にメカ設計・電気設計・制御工学であり、AIがその物理限界を魔法のように上書きできるわけではありません。 ただその一方で、フィジカルAIを「判断の補助」としてだけ捉えると、現在起きている技術変化の核心が少し見えにくくなるとも感じています。 フィジカルAIの進展は、 ①知覚のモダン化(3D理解、マルチモーダル、自己教師学習) ②判断の高次化(世界モデル、模倣学習、RLによるスキル獲得) ③実行の柔軟化(学習統合型の軌道生成、接触操作、動的バランス) これらをデータを用いて一体化する方向です。 従来ロボットは「設計者が事前に想定した状態空間で動く」ものでしたが、学習ベースの手法が入ることで、「特定のタスクでは、非定型性や不確実性に対して従来よりロバストに動ける」場面が増えてきています。 これは従来工学を否定しているわけでもなく、フィジカルAIがたんなる判断の補助でもなく、「ロボットが扱える状態空間を拡張する追加レイヤーとして機能している」という理解が正確だと思います。 フィジカルAIについて発信している人は、AIは剛性・帯域・センサ信頼性といったハード設計の土台の上でしか成立しないということを前提としたうえで、従来工学だけでは扱いきれなかった複雑な接触操作や動的環境への適応が、学習によって現実的な手法になり始めている点を強調しているのだと思います。 フィジカルAIはロボット工学の置き換えではなく、「工学 × データ × AIで、ロボットが扱えるタスクレンジを広げていく技術」と捉えるのが、現状に最も近い理解だと考えています。
Quote
ぶたまる@生技
@pokamaru3
昨今のフィジカルAIが『新時代の主役」と扱われ、これまでのロボット工学が『過去』のように語られる見出しに、どうしても違和感が残りました。 ロボットは、ざっくりシステムとして分解すると、 ① 知覚(センサ・電装) ② 判断(制御・演算) ③ 実行(駆動・メカ) の3層のイメージとなります。
Show more