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Conversation

昨今のフィジカルAIが『新時代の主役」と扱われ、これまでのロボット工学が『過去』のように語られる見出しに、どうしても違和感が残りました。 ロボットは、ざっくりシステムとして分解すると、 ① 知覚(センサ・電装) ② 判断(制御・演算) ③ 実行(駆動・メカ) の3層のイメージとなります。 AIが作用できるのは②の一部が中心。 しかも②においても、AIはあくまで補助的な役割に過ぎません。 可搬質量、剛性、停止精度、応答性、放熱など 要求性能を決めているのは、今も昔も機械と電気と制御の工学の組み合わせです。 AIが何を考えようが、ハードと制御理論の限界を超えることはできません。 その辺りに散らばるフィジカルAIの情報は、 機械構造・制御安定性・センサ信頼性といういつもの地獄の上で、AIが「試行回数を増やせるようになった」だけ、というのが現状の認識です。 それを 「従来のロボット工学が置き換わる」 「AIが主役になる」 という語り方をする時点で、“AIが何でもできる”という錯覚を先に与えてしまっていると感じます。 フィジカルを語るAIの価値は、 結局どれだけ工学に『従えているか』で決まると考えています。