0歳からNISAを始める──
たしかに金融商品としては悪くない。
複利は最大に効くし、非課税の恩恵も大きい。教育資金づくりとしては合理的だ。
でも、この制度を“推奨されてしまう”現状そのものに、私は強い違和感を覚える。
だって、0歳児が生まれた瞬間から「将来のために投資を始めろ」と言われる国って、先進国のどこにある?
欧州では大学まで基本的に学費が安いか無料。
北欧では若者の住宅・教育・出産を国家が支える。
アメリカでさえ奨学金の免除や所得連動返済が広がっている。
ところが日本はどうか。
教育費は右肩上がり、賃金は上がらず、奨学金は重い借金。
年金制度には若い世代ほど不信感が強い。
そして政府が出してくる解決策は——
「自分で投資して自分で守ってね」
しかも“0歳から”
という、ほぼ“放置プレイ”に近い自助路線。
本来は国家が整えるべき社会安全網の穴を、
NISAという金融商品で埋めさせているにすぎない。
0歳からNISAをすること自体は賢い。
でも、それをしないと人生のスタートラインにすら立てない社会のほうが、よっぽど問題だ。
“投資教育”が広がるのは良い。
だが同時に、日本がどれだけ未来世代を国家として守らなくなったのか——
この制度は、その残酷な現実を静かに暴いている。
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ライブドアニュース
@livedoornews
【方針】NISA、未成年に解禁検討 子育て世代の資産形成を支援へ
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子育て世代の資産形成を支援するのが狙い。親が未成年者の子ども名義で「つみたて投資枠」を使うことを想定し、制度設計を進める。0歳から利用できるようにする案も検討するという。