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「性表現批判は現実の被害を軽視すること」という自由戦士の詭弁を粉砕しよう!

割引あり

 表現の自由戦士、つまり表現の自由を守ると騙りながらアンチリベラルに基づく誹謗中傷と女叩きに精をあげている人々の中では奇妙な論理が共有されていることが多い。そのうちのひとつが、以下のような主張だ。

 この主張は近年になって目にするようになった印象がある。原因は不明だが、通例的な普及理由であればどこかの自由戦士アカウントが思いついた主張をほかの木っ端アカウントがコピペして使いまわしているのだと思われる。確かなところを調べる気はない。

 さて、主張本体の話だが、上掲のような投稿は要するに、性的な表現を批判するリベラルやフェミニストに対し、そうした行為に走るものが現実の被害を軽視していると言いがかりをつけるものである。

 しかし後述するように、実際に被害を軽視、どころか被害者非難や加害者の擁護に走っているのは自由戦士の側なのでこの主張は言いがかりである以上に立場の簒奪という点で卑劣ですらあるのだが、それ以前の問題として様々な事実関係が間違っており、一切妥当なところがない。

 今回の記事では表現の自由戦士たちのこうした奇妙なドグマを解体することで、いかに彼らが愚かで有害であり、表現の自由を守る足かせになっているかを明らかにする。

被害を軽視しているのはどちらか

リベラル・フェミニストの対応

 自由戦士たちは、創作物を批判するリベラルやフェミニストが現実の被害を軽視しているとぬかす。だが、実際はどうだろうか。

 以下は今回の自由戦士によるハレーションのきっかけになった藤原のりまさ衆議院議員の投稿である。

 この投稿からわかる通り、藤原議員は以前から一貫して、現実にある性被害に対し厳しい態度を取ってきた。立憲民主党の議員ははこの手の問題に対し力の入れ方がまちまちな印象があるが (各々専門や関心があるから当然だが)、藤原議員は立憲のなかでは力を入れている方だと言っていい。

 フェミニストの例としては仁藤夢乃氏を挙げたいが、もはや具体例を出すまでもないだろう。実際に歌舞伎町を中心に活動し、性搾取に苦しむ少女を支援している人物が性被害を軽視しているはずもない。

 例となる人物を挙げればきりはないが、基本的にリベラルやフェミニストが性被害を軽視しているという証拠はない。強いて言うなら左派男性は性暴力関係の話になると「バグる」事例があるものの、保守系や右派に比べれば確率は低いしそういう事例は身内からも批判されている。

実際に軽視しているのは自由戦士

 では、実際に性被害を軽視しているのは誰だろう。そう、表現の自由戦士たちである。

 具体的な証拠として、大半の自由戦士は暇アノンであることが挙げられる。デマと誹謗中傷によって貧困女性や性搾取の被害に遭っている女性への支援活動を妨害する行為は性被害の軽視そのもの、というよりはさらに酷い行為というほかない。

 例えば、先に引用した自由戦士議員、やぶはら太郎は暇アノンに親和的な態度を取っていた。

 しかも、こうした態度をとっていたにもかかわらず、指摘されるとニュースを投稿しただけと居直る卑怯な態度もとっている。彼がニュースを投稿した時点でColaboへの「疑惑」はデマであり、誹謗中傷の口実になっていたことは明白だった。その文脈を無視してニュースを拡散する行為は「中立」ではない。

 やぶはら太郎は藤原議員と同じ立憲民主党の所属である。もしかすると、表現の自由戦士は彼の言動を見て「リベラルは性被害を軽視している」と言っているのかもしれない。だとすればその主張は正しい。

 もうひとつ醜悪な行為の実例として、オタク議員を自称する荻野稔と初音ミクの夫を自称する近藤顕彦のやり取りを挙げたい。

 これはTwitterで荻野と近藤がAVに関するやり取りを行っている場面である。それだけで十分下品だが、最大の問題は、彼らがやり取りしているAVが女性支援団体の代表を明らかに模した人物を登場させ、その人物がレイプされるという内容になっているということだ。これは性暴力被害の軽視を越えて、実在の人物に対する性暴力をエンタメ化することで実際に被害を与えながら性暴力も扇動する行為だというほかない。

 自由戦士による性暴力被害の軽視の事例も、やはり枚挙に暇がないのでこの程度にしておく。事実関係だけを捉えれば、性被害を軽んじているのがどちらの側なのかは明白だろう。

立場を簒奪する醜悪さ

 こうした事実関係にもかかわらず、表現の自由戦士たちは自らこそが性被害を考えているのだと騙る。このような行為は、真に性被害の解決のために尽力する人々の立場を奪うという点で、嘘をついている以上に醜悪で汚らしい振る舞いだ。

 なぜか? 理由もまた無数にあるが、ここでは実際の性被害の解決への妨害と、労力の簒奪による女性差別の再生産という側面から論じよう。

 まず、言うまでもないことだが、自由戦士たちが性被害を考えていると嘘をつくことは現実の性被害の解決を遅らせる。とりわけ、やぶはらや荻野のような、表面上は公的で確固たる立場にある人間の戯言は悪影響が大きい。

 性被害の解決方法には様々な手段が考えられ、議論と試行錯誤が不可欠である。そうした試行錯誤は真に性被害の解決を目指す人々でなされるべきだが、そこに表現の自由戦士の戯言が混ざると問題が起こる。彼らは様々な主張をするが、実際には性被害の解決など望んでいないので、彼らの主張は問題解決に何の貢献もしない。にもかかわらず、表面上は解決を目指す立場を装うため、議論が彼らの無価値な主張の方へ引っ張られてしまう。引っ張られ方の強度には差異があるものの、彼らの主張は本来何の価値もないものなので、わずかでも引っ張られればその時点で損失である。

 例えるなら、殺人事件が発生し解決に努力するなかで、別に事件をどうでもいいと思っている人間がさも解決に協力する振りをして「宇宙人が犯人なのでは?」と言い出すようなものだ。真犯人宇宙人説は荒唐無稽なのでそんな説に割かれる時間は1秒でも無駄である。性暴力問題における自由戦士の主張も同程度に荒唐無稽だが、外形的にはそこまで明白ではないうえに愚かで差別的な自由戦士が次々に賛同するため、より時間を無駄にしやすい。

 自由戦士は人に対し性被害を軽視しているといういちゃもんを付けながら、実際は彼ら自身が問題解決を遅らせている。そのような事実がありながら他人に文句ばかり言う人物のことをみて心地よくなる人間はいないだろう。多弁な役立たずほど人をイラつかせるものはない。

 もうひとつの醜悪さの理由は、労力の簒奪による女性差別の再生産である。この説明に入る前提として、自由戦士の大半が男性であることと、女性の意見は男性の意見に比べ軽視されやすく男性は女性の意見をさも自分の意見であるかのように奪いやすいという性質を抑える必要がある。

 このような性質はむろん女性差別を根底にしたものだ。女性の主張はたかが知れており男性の主張の方が価値があるという女性蔑視的な態度が生み出す構造と言えよう。そして、性暴力もまた女性差別が根底にあることが多い。

 ほとんどが男である自由戦士が性被害を考えているという立場を取り、フェミニストを誹謗中傷して追い落とすことは、性暴力対策の重要な立場を奪うことに繋がる。それは、男性が女性の意見を簒奪し、彼女たちの主張を取るに足らないものだと軽視することであり、女性差別の構造そのものである。

 彼らの行為は女性の立場を簒奪することで女性差別を強化・再生産している。性暴力の根底に女性差別があるのなら、それは巡り巡って性暴力を強化することにも繋がる (あいつら直接性暴力肯定してるじゃん、というのはさておき)。ここでも皮肉なことに、彼らが性被害の解決を騙れば騙るほど、かえって問題が悪化していく様相が見て取れる。

 こうした2つの側面を整理すると、自由戦士の振る舞いの醜悪さは「無能な働き者」の延長線上にある「敵意ある働き者」としての側面にあるともいえる。産婦人科医が低用量ピルの認可を妨害するような、口ではその属性の味方をする素振りをしておきながら積極的に権利を侵害するタイプの下劣さだ。表現の自由戦士が他者の権利を口にするとき、その本心は常に利己でしかない。

表現は実際の被害と切り離されているという信仰

表現の悪影響はある

 性表現への批判が実際の性被害を軽視する行為だという自由戦士の主張には重要な前提がある。それは、表現物と実際の性被害には何ら関係がないというものだ。もし関係があるなら、表現物への批判は実際の性被害を防ぐことに繋がるため、彼らが批判を実際の被害への軽視だと主張するためには、この前提が真である必要がある。

 だが、現実では表現と実際の被害には繋がりがある。例えば、自由戦士が固く信仰している教典には「表現物に悪影響はない」と書かれているが、実際には悪影響が確認されている。

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